Japanese
スペシャ主催"MVA BEST VIDEOS"にRADWIMPS、クリープハイプ、アルカラ、KANA-BOONら50タイトル選出
2014.02.03 16:00
スペースシャワーTVが主催するビデオ・クリップの祭典"MUSIC VIDEO AWARDS"にて、2013年にリリースされた楽曲のミュージック・ビデオの中から、優秀作品50タイトルを選出した"BEST VIDEOS"が発表された。
発表されたのは以下の50タイトル。
青葉市子「いきのこり●ぼくら」(Dir:辻川幸一郎)
赤い公園「今更」(Dir:田辺秀伸)
安室奈美恵「Ballerina」(Dir:YKBX)
アルカラ「名探偵ミスタ相棒はジョニー」(Dir:田辺秀伸)
andymori「宇宙の果てはこの目の前に」(Dir:フカツマサカズ)
illion「MAHOROBA」(Dir:TETSUYA NAGATO)
AKB48「恋するフォーチュンクッキー」(Dir:関根光才)
EXILE「EXILE PRIDE ~こんな世界を愛するため~(スペシャル・エディション)」(Dir:久保茂昭)
奥田民生「風は西から」(Dir:関根光才)
加藤ミリヤ「Lonely Hearts」(Dir:丸山健志)
KANA-BOON「ないものねだり」(Dir:山岸聖太)
きゃりーぱみゅぱみゅ「もったいないとらんど」(Dir:田向潤)
クリープハイプ「社会の窓」(Dir:松居大悟)
くるり「Remember me」(Dir:端地美鈴 and CHIMASKI)
KREVA「王者の休日」(Dir:須永秀明)
ゴールデンボンバー「Dance My Generation」(Dir:今村繁)
coldrain「The Revelation」(Dir:maxilla)
サカナクション「ミュージック」(Dir:関和亮)
サザンオールスターズ「ピースとハイライト」(Dir:川村ケンスケ)
さよならポニーテール「青春ファンタジア」(Dir:土屋亮一(シベリア少女鉄道))
SOUR「Life is Music」(Dir:川村真司+井口皓太)
椎名林檎「いろはにほへと」(Dir:児玉裕一)
SiM「WHO'S NEXT」(Dir:INNI VISION)
[Champagne]「Kick&Spin」(Dir:瀬里義治)
SEKAI NO OWARI「RPG」(Dir:田向潤)
高橋優「同じ空の下」(Dir:大橋仁)
電気グルーヴ「Missing Beatz」(Dir:田中秀幸)
tofubeats「No.1 feat.G.RINA」(Dir:細金卓矢+杉山峻輔)
冨田ラボ feat. 原 由子, 横山剣, 椎名林檎, さかいゆう「この世は不思議」(Dir:加藤マニ)
NICO Touches the Walls「ニワカ雨ニモ負ケズ」(Dir:中村浩紀)
nicoten「アルドレア‥」(Dir:中村浩紀)
ねごと「たしかなうた」(Dir:関和亮)
BBQ CHICKENS「Blue Blood In Your Heart/Nippon」(Dir:Nikivision
HaKU「everything but the love」(Dir:大原大次郎×井口皓太(TYMOTE))
Perfume「Magic of Love」(Dir:関和亮)
BUMP OF CHICKEN「虹を待つ人」(Dir:番場秀一)
People In The Box「気球」(Dir:加藤隆)
古川本舗「HOME」(Dir:岩井俊二)
THE BAWDIES「SING YOUR SONG」(Dir:田辺秀伸)
星野源「化物」(Dir:春山 DAVID 祥一 + 星野源)
マキシマム ザ ホルモン「予襲復讐」(Dir:南関東逆境会Neo(大根仁+大関泰幸+もがりまさひろ+上田大樹+easeback+DEVICEGIRLS+ニイルセン+大原大次郎))
松任谷由実「Babies are popstars」(Dir:森本千絵/泰永優子)
MAN WITH A MISSION「Emotions」(Dir:富田兼次)
Mr.Children「REM」(Dir:丹修一)
MIYAVI「Secret」(Dir:中村剛)
YUKI「STARMANN」(Dir:平野文子)
ゆず「LAND」(Dir:Kazuma Ikeda / Daisuke Shimada / Yuko Yasunaga / fantasista utamaro)
米津玄師「MAD HEAD LOVE」(Dir:鎌谷聡次郎)
RADWIMPS「ラストバージン」(Dir:田辺秀伸)
ONE OK ROCK「Deeper Deeper」(Dir:石井"taka"貴英)
なお、MUSIC VIDEO AWARDSのオフィシャル・サイトにて、選出された50タイトルのミュージック・ビデオが公開されているので、併せてチェックしよう。
▼SPACE SHOWER MUSIC VIDEO AWARDS"BEST VIDEOS"
https://mva.jp/bestvideos/
関連アーティスト
BUMP OF CHICKEN, KANA-BOON, MAN WITH A MISSION, MIYAVI, NICO Touches the Walls, ONE OK ROCK, People In The Box, Perfume, RADWIMPS, SEKAI NO OWARI, THE BAWDIES, YUKI, [Alexandros](ex-[Champagne]), andymori, coldrain, illion(野田洋次郎), tofubeats, くるり, ねごと, アルカラ, クリープハイプ, サカナクション, マキシマム ザ ホルモン, 古川本舗, 奥田民生, 星野源, 椎名林檎, 米津玄師, 赤い公園, 電気グルーヴ, 青葉市子, 高橋 優Related NEWS
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"NARUTO"シリーズでは4回目のタッグとなる"BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS"のOPテーマとして、物語とシンクロする部分はもちろん、これまで以上にロック・バンドが伝えてきたマインドを自分も繋ぐんだという谷口 鮪(Vo/Gt)の意志に満ちた歌詞、ストリングスも含めた厚い音塊で押せる今の力量が鮮明だ。"無我"を意味するTrack.2は谷口お得意の韻を踏んだラップ調のヴォーカルと演奏のリズムが表裏をチェイスするようなリズムの組み立てがユニーク。シニシズムと和テイスト、そしてヒップホップを料理した独自のものを作るKANA-BOONらしい出来だ。打って変わって高速ウエスタン風のTrack.3は2分ちょいのショート・チューン。いい曲も面白いこともテーマにフォーカスが合っている。(石角 友香)
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最近の曲作りでは、DTMで構成を練り込んだデモを作ること、自分の中で納得感が強い曲を作ることを挙げていた谷口 鮪(Vo/Gt)。2017年第1弾は得意の四つ打ちも大幅にアップデートされ、スピーディな展開にダークでソリッドな世界観も積載された、キャリア上最強のエクストリームなナンバーだ。TVアニメ"機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ"OP曲として"戦場での一瞬の輝き"をテーマに書き下ろしたという着眼点自体が、1曲1曲の強度で"勝ちに行く"、今のKANA-BOONのスタンスも反映している。展開の多さと構成の複雑さで言えばTrack.2「スーパームーン」も、パンク、ファンク、大きなグルーヴのロックまで呑み込んだ大作。一転、Track.3「君を浮かべて」はシンプルなアレンジだが、かつてないまっすぐな言葉に心が震えた。(石角 友香)
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アルバム『Origin』のリリースから約8ヶ月。乾いたアメリカン・ロックとトライバル感が混ざり合ったような序盤から、メロディもすべての楽器も復活祭に参加するように集まってくる構成の新しさがある。そして大サビで歌われる"言葉を紡ごう/心を震わそう"というKANA-BOONの最も太い軸に辿り着く覚醒感。瞬間沸騰ではなく、前進しながら徐々に心が沸き立つ構造に谷口鮪のソングライターとしての成長とタフさを増したバンドの力量を感じる。「Wake up」が表だとしたら、もう一方の今のKANA-BOONからのソリッドな意思表示が「LOSER」。強靭になったグルーヴそのものが現状に安住することなく、一撃であらゆるリスナーを射抜こうとする。そしてR&Rマナーを血肉化した「Weekend」の軽快さもすこぶる新鮮だ。(石角 友香)
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前作『TIME』のエンディング曲「パレード」で夢見た場所に足を踏み入れた歓喜を歌ったバンドの痛みを伴う成長の物語がここにある。アルバムの先鞭をつけた「ランアンドラン」はともかく、ポップな「なんでもねだり」から、ラウドでソリッドな新機軸「anger in the mind」や、ドラマティックな「インディファレンス」、当世流のネオ・シティ・ポップをKANA-BOON流に昇華した「グッドバイ」などサウンドの多彩さがまず1つ。加えて、この時代を生きる20代の真っ当なオピニオンとしてのリアルな歌詞が冴える「革命」、この1年の逡巡とバンドの決意がそのまま歌詞になった「スタンドバイミー」や「Origin」といったメッセージ性が窺える新機軸。登場時の勢いとはまた違う、"今"の強さが封じ込まれたアルバム。(石角 友香)
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前作のスプリット・シングルを含めると、なんとデビューから2年4ヶ月で9枚目のシングルとなる今作。『ダイバー』以降顕著になってきた広がりのある古賀のギターのディレクションなど、アレンジ面での深化が冴える仕上がり。大きなグルーヴを持つ8ビートと、どこかメロディック・パンク的なニュアンスも持つTrack.1「ランアンドラン」は、これからの季節、新たな環境に身を投じるあらゆる人、特に若い世代のリスナーにとって勇気の源になってくれそうな1曲。カップリングの「I don't care」は、まさにタイトルが示唆する通り、口ばかり達者で動かない奴らを一刀両断。ラウド且つタイトな音像がこれまでのKANA-BOONになかったフィジカルなタフさも感じさせる新境地だ。(石角 友香)
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CDの形態が複数あるのを承知で、できればこのスプリットに収録されているトータル6曲すべて聴いて欲しい。それぐらい両バンドとも楽曲クオリティと新たな挑戦を体感できる。KANA-BOONの「talking」はファンクネスすら感じる16のグルーヴやラップ部分にロック・バンドのケレン味を感じるし、アニメのエンディングにそのヒリヒリした世界観がハマる。シナリオアートの「ナナヒツジ」で聴けるソリッドで急展開する構成も新しい。また2曲目(KANA-BOON「ぬけがら」/シナリオアート「トワノマチ」)にどちらも各々の色合いでセンチメンタリズムを喚起する楽曲を配しているのも聴き比べてみると面白い。そして"すべてがFになる"裏メイン・テーマとも言えそうなKANA-BOONの「PUZZLE」での楽器隊の豊富なアイディアとテクニカルなプレイは嬉しい驚きの連続だ。(石角 友香)
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当日のライヴも観たが、この映像作品でもまた心揺さぶられてしまった。KANA-BOON自身が夢の舞台に立つ、そのエモーショナルな部分をどんなアングル、スピード感、質感でドキュメントするか?という1番大事な部分が素晴らしく共有されているからこそ成せる作品だと思う。正真正銘、初めて足を踏み入れる武道館(4人がいっせーので入口を越えてみたり)のシーンだったり、歌う鮪の口元、ステージからのメンバー目線の客席、スタンド最上階のファンのシルエット、宙吊りになった古賀を下から見上げる鮪と飯田の笑顔だったり、頼もしいこいちゃんの背中だったり......。演奏や様々な試みやユルユルなMCはもちろん、一回性の撮影でまるで映画のごときダイナミズムに昇華したチームKB、そしてバンドの求心力に脱帽!(石角 友香)
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もとよりKANA-BOONは曲がいい。それは高速BPMと四つ打ちを特徴としていたころからなのだ。そして新たな武器を手にした「シルエット」以降のKANA-BOONがより大きなグルーヴと、谷口鮪(Vo/Gt)が音楽に生きる根拠を明快に楽曲に昇華したのが今回の「ダイバー」だろう。単に大好きなアニメというだけでなく"NARUTO"とKANA-BOONの親和性の高さは大げさに言えば運命的。今夏の映画版のための書き下ろしだが、バンドがどれだけ大きな視点で活動しているのかがわかる代表曲足りえる新曲。加えてTrack.2「スパイラル」での古賀隼斗(Gt)のイマジネーションに富むフレージングや全体的に大人っぽいプロダクションにも注目。Track.3の「街色」は鮪のファルセットから地声へのスムーズさ、背景的な音作りが新しい。(石角 友香)
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近年、バンド/アーティストがポピュラリティを獲得する大きなステップボードになっている印象があるCM且つ好企画でもある資生堂"アネッサ"のタイアップ曲として書き下ろした「なんでもねだり」。風の匂いや太陽の熱が明らかに変わっていく季節感をサウンドやビート、リフで表現。歌詞はCMの映像にも登場する"欲張りな女の子"と彼女に翻弄されつつ、眩しげに見つめる男の子が目に浮かぶ、楽しくも青春が輝く内容に。カップリングは「ウォーリーヒーロー」から続く同質のテーマを持った、ソリッドで強い「watch!!」、アルバム『TIME』ラストの「パレード」のさらに先を歩いて行く自分たちや友達を歌った「タイムトリッパー」。これから起こるどんなことも楽しんでいこうとする彼らの今の強さがわかる。(石角 友香)
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怒涛のフィルが時間に追われながらも全力で走る決意をタフに表現するオープニングの「タイムアウト」から、時間をテーマにしたアルバムの大きな意志に巻き込まれる。90年代後半以降の"ザ・日本のギター・ロック"な「ターミナル」の孤独と自由。雨音のイメージを増幅するギター・フレーズが美しい「スコールスコール」や、谷口鮪がパーソナルな心象を都会のどこにでもありそうな情景に溶け込ませて歌う「愛にまみれて」のバンドにとっての新生面。特に「愛にまみれて」にうっすら漂うノスタルジーを表現するコーラスの美しさはレコーディング作品ならでは。攻めの前半からメロディや歌詞の新しさにはっとする後半への流れそのものが聴き手にとっても"生きている今"になるような強い作品。(石角 友香)
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4カウントとギター・リフのおなじみのイントロの次に展開する開放的な8ビートが作る、KANA-BOONの新しいスタンダード、「シルエット」。思期から青春期を走りぬけ、覚えてないこともたくさんあるけれど、ずっと変わらないものを教えてくれた人たちのことを思うヴァースはライヴでも大きなシングアロングが起こりそうだ。カップリングはインディーズ時代から存在していた「ワカラズヤ」と、最新曲の「バカ」。すれ違う気持ちが一層ジリジリする恋心を浮かび上がらせる「ワカラズヤ」の愛らしさも、エッジーな16ビートに乗せて谷口のラップも交え、フラストレーションの吐き出し先のない自分のめんどくささを歌う「バカ」にも、いい意味で肩の力が抜け、曲作りに対してタフになった今の4人が見えてくる。(石角 友香)
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清涼飲料水のタイアップがついてもおかしくないような、夏らしい眩しさの中で描かれるのは、バンドで生きていくことを決めた自分が、別の道を行くことになる"キミ"との距離を描きながら、最終的には自分の決意。事実から生まれながら、長くKANA-BOONが音楽や自分と向き合うときに思い出される大切な曲になりそうな予感もある名曲だ。毎回、表題ともアルバム収録曲とも違うチャレンジングな一面を見せるカップリング。今回もこれまでにない変則的なビートが印象的なダンス・ロック「日は落ち、また繰り返す」、ドライヴ感に加えてグラマラスな印象さえある「ロックンロールスター」の2曲は、無意識のうちにも彼らが洋楽のエッセンスを吸収していることを実感。ライヴの楽しみ方の幅も広がりそうなシングルだ。(石角 友香)
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ソリッドなギター・リフ、四つ打ちのなかに部分部分でヒネリの効いたスネアが入り、谷口鮪のリリックは意味より破裂音や韻の快感を重視しているような「フルドライブ」。リスナー側がスリリングなチェイスに身をおいているような感覚が新しい。Track.2「レピドシレン」は魚ながら肺呼吸をしなければならない魚を比喩に用いたことで、焦燥と疾走を同時に焚き付けられるような仕上がりに。特に古賀のギターは全編、カオティックな曲のバックグラウンドを形成するサウンドスケープを担う出色のアレンジ。Track.3「夜のマーチ」は、まさに夜の色と空気感が立ち上がるような映像喚起力抜群の聴感。マーチングのリズムを主体に変化していくリズムが、歌詞での心の動きとシンクロするアレンジもいい。(石角 友香)
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逞しささえ感じるリズムと澄んだ空気を感じさせるギターのフレーズが好対照を描くタイトル・チューン「結晶星」。やめたいことはやめればいいし、やりたいことをしっかり結晶させればその輝きで、これからを変えていけるというメッセージが、今の彼らの経験値やスキルで鳴らされていることに大きな意味がある。新しい季節を迎えるあらゆる人の心に穏やかだが確かな火をつけてくれる1曲。「ミミック」は前作『DOPPEL』収録の「ウォーリーヒーロー」にも似た、顔の見えないSNSのコミュニケーションに対する問題提起。「桜の詩」は「さくらのうた」から時間が経過し、女性目線で描かれたアプローチが新しい。まったく異なるニュアンスとテーマを持った、挑戦的な1枚。 (石角 友香)
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人懐こいサビにも、思わずステップを踏みたくなるビートにも、もちろん、想いを遠くに投げかけようとする谷口鮪の声にも、"音楽があったから今、僕はここにいる"、そんな切実さが横溢している。ライヴでもなじみのインディーズ時代からの「ワールド」「MUSiC」「東京」「目と目と目と目」はアップデートされたアレンジ、演奏と音像で収録。現在のライヴ・シーン、ひいてはSNSでのコミュニケーションについて谷口の思うところが、鋭いギター・リフや性急なビートとともに表現された「ウォーリーヒーロー」をはじめ、デビュー・シングル「盛者必衰の理、お断り」などの今年の楽曲から成る、1stフル・アルバムにしてKANA-BOONの存在証明的な1枚。10代に圧倒的な人気を誇る彼らだが、現状に息苦しさを感じるあらゆる人に響くはずだ。(石角 友香)
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彗星の如く、という言葉が相応しい快進撃を続ける、大阪は堺から現れた4ピース・バンドKANA-BOON。初の全国流通盤『僕がCDを出したら』から約5ヶ月というインターバルでメジャー・デビューという異例のスピードも、現在の彼らの注目度と楽曲のクオリティやライヴ・パフォーマンスを考えれば当然のことだ。そしてデビュー曲である「盛者必衰の理、お断り」はKANA-BOONの持つ抜群のセンスが冴え渡る楽曲。抜けの良いヴォーカル、思わず口ずさみたくなる語感の良さと人懐こいメロディ、ヒーロー感のあるギター・リフ......非凡な展開でありながらもストレートさを感じさせるのは、彼らが素直に自分たちの気持ち良い音を鳴らしているからなのだろう。10月にリリースされるフル・アルバムにも期待が高まる。(沖 さやこ)
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ライヴで大合唱が起こる人気曲「ないものねだり」でアッパーにスタートし、大きなステージに立っているアーティストと入れ替わる感覚をアレンジでも表現したユニークな「クローン」、ギター・リフのソリッドさと、聴き手ひとりひとりにダイレクトに放たれるストレートなメッセージが痛快な「ストラテジー」「見たくないもの」、アルバム・タイトルのフレーズも含まれる「眠れぬ森の君のため」。そして、ヴォーカルの谷口鮪にとっての歌や思い出の重みや、それゆえの切なさが胸に迫るラストの「さくらのうた」の全6曲。歌詞カードなしでも飛び込んで来る言葉の鮮明さと歌に沿った演奏の音楽的な破壊力。"僕がCDを出したら"その先は......野心と不安のバランスに大いに共感。(石角 友香)
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アニメ"「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編"のOP主題歌として、MAN WITH A MISSIONとmiletという異色タッグが実現した「絆ノ奇跡」。「コイコガレ」は同アニメのED主題歌であり、こちらは"鬼滅の刃"で「炎」(LiSA)や劇判などを手掛けてきた梶浦由記が作詞作曲を手掛け、マンウィズと共に編曲をしたスペシャルなタッグになっている。アニメの世界観を意識し和楽器のエッセンスを用いるなど、miletのヴォーカルとの掛け合いがドラマチックな「絆ノ奇跡」が迸るバンド・サウンドが軸になっているのに対して、「コイコガレ」の梶浦×マンウィズ×miletの掛け算は新鮮。ストリングスが先頭を走り、そこにギターやそれぞれのヴォーカルが有機的に絡む。エモーショナルでいて、先の読めない緊張感も並走するヒリヒリする爆発感が妙味だ。(吉羽 さおり)
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昨年の『Break and Cross the Walls Ⅰ』と連作となる今回。この2作で、"対立"や"衝突"から"融和"、"調和"へという普遍的とも言えるテーマを音楽で表現し、スケール感のあるハイブリッドなロック・サウンドで打ち鳴らした。世界や社会を映した大きなものとしても、またひとりの人間が成長、成熟していく過程でも響く、様々な場面でしっかりと地に足をつけて歩んでいくことやその実感を味わわせてくれる内容だ。布袋寅泰とのコラボによる「Rock Kingdom」や映画主題歌「More Than Words」、アニメ主題歌「Blaze」他タイアップ曲もあるが、一貫して底通するものがある。バンドのこのブレなさが、曲やサウンドの底力にもなっている。そのスピリットを形にしたアルバムだ。(吉羽 さおり)
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2021年12月に横浜、名古屋、大阪の3都市で開催された、約2年ぶりとなるアリーナ・ツアーより、横浜アリーナ公演2日間を収録した映像集がこちら。初日と2日目、それぞれ17曲が収められ、大ボリュームで、初期の楽曲が中心となった初日と2013年から最新楽曲までが披露された2日目と、マンウィズのこれまでの歴史を振り返るような内容となっている。気合の入ったパフォーマンスや迫力のある演出だけでなく、ユーモアたっぷりの面白動画もしっかり収録。メンバーそれぞれを絶妙なアングル(笑)でとらえたカメラ・ワークで、様々な視点から楽しめるのは映像作品ならではだが、メンバーの高揚感からは再び動き出す世界へのポジティヴな感情も伝わるし、フロアの熱量も臨場感満載だ。(山本 真由)
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約3年半ぶりのオリジナル・アルバムとなる今作は、2作連続リリースの第1弾。「Remember Me」や「Change the World」などの重厚感があってドラマチックな、これぞマンウィズという曲から、「yoake」やタイトル曲など新たな扉を開いてバンドのスケール感を広げていく曲など全14曲が収録された。そのサウンドスケープの原点にあるのは、初めてロックに触れたときの痺れるような感覚だろう。その身体を貫いた興奮や恍惚感を何度でも味わうように、音楽の探求や自己の探求がより深く続いている。爆裂なサウンドから、緻密なディテールを重ね描きこんだ小宇宙的サウンドなど、手法はそれぞれだが、音楽の中心にある衝動感や熱量に心を掴まれる内容になっている。続く作品への期待も高まる。(吉羽 さおり)
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士気が上がるような、あるいは唱えることで自分にエンジンをかけるようなポジティヴなシンガロングで始まる表題曲。Kamikaze Boy(Ba/Cho)とJean-Ken Johnny(Gt/Vo/Raps)による曲で、骨太なビートにベースが暴れまわるダイナミックなバンド・アンサンブルに、ストリングスがさらなる厚みを加えるサウンドが強力だ。メリーゴーランドから湧くのはポップなイメージだが、曲が進むごとにうねりを帯びて、そのパワーとグルーヴの遠心力で、途方もない場所に連れていくような曲になっている。昨年の3ヶ月連続シングルからのEP、そして6月にリリースしたシングルとハイペースで、良質な曲を作り上げてきている現在。その充実度に、先に見据えるだろう作品への期待が急角度で上がってくる。(吉羽 さおり)
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タイトル曲は、これまで何度かタッグを組んだ中野雅之(BOOM BOOM SATELLITES)と共同アレンジ。バンド・サウンドとテクノ、エレクトロ・ミュージックのミックスはマンウィズにとって新しいものではないが、今回はより有機的な融合を果たしていて、互いが衝突した爆発感をパッケージしたというより、継ぎ目なくシームレスで、新たな生き物の鼓動がある。五感を研ぎ澄ませた臨戦態勢で機を狙うような、スリリングな曲となっており、そのゾクゾクする緊張感が彼らのロック・ミュージックの地平をさらに切り拓く曲になりそうだ。全曲にタイアップがあり、ドラマチックな映画挿入歌「Perfect Clarity」、NHK「みんなのうた」に決定している「小さきものたち」とバンドの枠も広げるシングルになった。(吉羽 さおり)
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結成10周年を記念した、メンバー選出によるベスト盤は、代表曲や、最新シングルから「Change the World」と「Rock Kingdom feat. 布袋寅泰」の全17曲を収録。2011年に発表されブレイクスルーのきっかけとなった「FLY AGAIN」や、ドラマ主題歌として広くリスナーを獲得した「Remember Me」、TAKUMA(10-FEET)をフィーチャーした「database」や中野雅之(BOOM BOOM SATELLITES)プロデュース曲「Hey Now」、その他ライヴでのキラーチューンが揃う。力のあるロック・バンドだと証明してきた10年。そして様々なジャンルを内包し、繊細さとダイナミズムを兼ね備えた王道たるロック・ミュージックを更新し続ける彼らの歩みが凝縮された1枚だ。(吉羽 さおり)
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ドキュメンタリー映画の公開に始まり、アニバーサリー・イヤーの企画が目白押しのMAN WITH A MISSION。リリース3部作第1弾は、B面曲とカバー作品集。自身の映画主題歌で、大合唱に士気高まる新曲「The Victors」が1曲目を飾り、MR. BIGカバーや10-FEETのコラボ・アルバム収録曲、和田アキ子カバーなどと、シングルのカップリングならではのコアで、狼のバックボーンがより垣間見える曲が一堂に集まった。「ワビ・サビ・ワサビ」は哀愁が練りこまれた直球のパンクであり、FARのギタリスト Shaun Lopezとの「Mr. Bad Mouth」、「The Anthem」は鋭いエッジをモダンに昇華したポスト・ハードコアの香りが濃い。バンドの奥行きを知る1枚だ。(吉羽 さおり)
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結成10周年を記念した3部作第2弾のリミックス・アルバム。Jagz KoonerやSLUSHII、Ken Ishii、石野卓球らが手掛けた全12曲を収録。新たな曲としては、上田剛士(AA=)による「Take Me Under」と、"Hero's Anthem"と題した「FLY AGAIN」のニュー・リミックスが加わった。前者は、これぞAA=というアプローチでのっけからミニマルで攻撃的なデジタル・ノイズが鳴り響き、メロディを生かしながらも新次元の曲へ。また後者はコーラスやシンガロングをまとってライヴのボルテージを封じ込めたようなミックスに。キャッチーで、印象的なリフやフレーズ感といった武器が多い原曲だからこそ、素材としてのポテンシャルも高い。マンウィズの強みを再確認するリミックスだ。(吉羽 さおり)
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5thアルバムから1年を経た6月現在も、同作を引っ提げ国内外を巡るロング・ツアー中であるマンウィズ。後半は初のアリーナ・ツアーであり、地道に活動すること9年で本人たちも予想だにしなかった光景を目にしているという。そして今作「Remember Me」はフジテレビ月9ドラマの主題歌に決定である。いったいどこまで行くのだろう。希望に満ちて、高揚感とエネルギーに溢れたこのロック・チューンを聴けば、突き進む彼らの道になんの迷いもないことが伝わってくる。好きな音楽、マニアックな志向は変えることなく、そのスケールを大きくしていく気概が詰まった曲だ。先行配信された「Left Alive」、「FLY AGAIN 2019」なども収録され、アルバム以降の晴れやかな第一声となった。(吉羽 さおり)
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前作『The World's On Fire』からの深化を見せ、さらなる境地へと踏み込んだ5thアルバム。1曲目は、人間と人工知能の能力が逆転するシンギュラリティ(技術的特異点)を歌う「2045」。パワフルなビートで、新次元に恐れることなく自分の可能性を信じることが歌われる曲でアルバムは幕を開け、不穏なトーンのリフが印象的な「Broken People」へ雪崩れ込む。キッチュなガレージ・パンクと相反するインダストリアル・サウンドが衝突したようなこの曲があるかと思えば、美メロのバラード「Please Forgive Me」、そしてMWAMの王道をアップデートした「Break the Contradictions」など、音楽性は幅広く、その挑戦をしなやかなバンド感で昇華している。既発曲も作品の彩りとなっており、音の地平はどこまでも広い。(吉羽 さおり)
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轟音ギターリフを中心に、ダンサブルなサウンドがグルーヴ! オープニングナンバーの「DON'T LOSE YOURSELF」からいきなり、高揚感がヤバいです。ロックテイストありパンキッシュあり、ポップなメロディーも聴かせるニクいワザも駆使しつつ、さらにデジタルサウンドも効果的に導入、etc......。様々な音楽性を旺盛に消化・吸収しているそのスタイルは、インタビューで本人も語っている"AIR JAM世代"が拓いた日本のロックシーンの新たな流れを受け継ぎ、それをさらに洗練させた形で表現しているかのよう。狼フェイスとおフザケ感満載な言動に、"オマエら何者やねん!?"とうさんくさげな視線を向けている方々も多いのではと思われますが......(笑)。相当ハイレベルな音楽知能がなければ、こんな作品は絶対に生み出せないはず! ヤバいです!(道明 利友)
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自らの才覚と手腕で音楽人としての成功を果たしたうえに、俳優や声優としての活動も行っているほか、最近ではモデルとしてグッチのグローバル・キャンペーンにも起用されているMIYAVI。その経歴は実に華やかである一方、彼はUNHCR親善大使として難民問題に対し献身的アプローチを続けている賢者でもある。それだけの広い視野と多くの経験を経てきているMIYAVIが作詞を手掛け、Jeff Miyaharaが作曲したこの表題曲はアニメ"トライブナイン"OPに起用されているが、すべてを凌駕していくような力強さをもって放たれるこの歌に込められたポジティヴなメッセージには、綺麗事とは違う説得力が濃厚に漂うのだ。なお、通称 サムライ・ギタリストとしての彼のプレイはカップリング曲のほうでもお楽しみあれ。(杉江 由紀)
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[DISC 1]
作品全体のテーマに掲げた、人生の謎を追求したパーソナルな歌詞と歌としての魅力をたっぷりと味わえる全10曲。そのぶん、たしかにじっくりと聴かせる曲が多いものの、『TWISTER -EP-』、『OYSTER -EP-』の2枚を経て、ルーツに根ざしながら最新トレンドも見据えたアレンジ、アンサンブルはさらに自由になっているから、ブルージーでソウルフルなものから、ダンサブルでサイケデリックなものまで、バンド・サウンドという意味でも物足りなさはこれっぽっちもない。歌を際立たせるため音数を削ぎ落としたというバンド・サウンドからは、演奏している4人の姿が浮かび上がるようだ。しかも、10曲すべてが書き下ろしの新曲。まさにNICO Touches the Wallsの神髄が感じられる。
[DISC 2 (Bonus Disc)]
"NICO盤"の全10曲をアコースティックにアレンジした"ACO盤"。これまで彼らがリリースしてきたその他の"ACO盤"同様、アコースティック編成で焼き直した曲はひとつもない。むしろ遊び心、バンド・サウンドにとらわれない自由度という意味では、"ACO盤"に軍配が上がるか。UKロックっぽいダンス・ロックをアイリッシュ・フォーキーにアレンジした「MIDNIGHT BLACK HOLE?」、アーバンなバラードがボサノヴァに変わった「別腹?」。その2曲を例に挙げるだけでも"ACO盤"の面白さは伝わるはず。NICO Touches the Wallsのルーツ・ミュージックに対する愛着や造詣の深さを知ることができるところも、"ACO盤"の聴きどころだ。(山口 智男)
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[DISC1]
メジャー10周年EPの第2弾。楽曲の幅広さが聴きどころだった前作『OYSTER -EP-』同様、今回も曲ごとに趣向を凝らした全5曲が収録されている。が、ビッグ・ビート的な音像で現在のヒップホップ/R&Bを解釈したという「VIBRIO VULNIFICUS」、中盤スロー・ブギになる「SHOW」、パンク・ディスコな「FRITTER」など、全体の印象はファンク/R&B/ブルースのエッセンスを随所に感じさせながらバンドのグルーヴをガツンとアピールするロック色濃いものに。その中で異色と言えるのが歌謡GSサーフ・ロックなんて言いたい「来世で逢いましょう」。彼らの代表曲「N極とN極」の続編だという。そして、今回のカレキーズはラテンで迫る。
[DISC2(bonus disc)]
DISC1の全5曲のアコースティック・バージョンを収録したボーナス・ディスク。前作同様、単に楽器をアコースティックに持ち替えましたなんて安易なものになっていないところが、"音楽なんだから楽しんだ者勝ち"を掲げる彼らならでは。DISC1のラスト・ナンバーからのラテン・ファンクな「VIBRIO VULNIFICUS」に思わずニヤリ。太いグルーヴを際立たせた「SHOW」、パンク・ディスコが泥臭いブルース・セッションに変わった「FRITTER」。そして、フォーク・ロックにアレンジした「来世で逢いましょう」は2本のアコースティック・ギターが絡み合うソロも聴きどころだ。カレキーズによる「Kareki is burning!!」の、アッと驚くアレンジ。最後まで飽きさせない!(山口 智男)
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[DISC1]
新しいグルーヴを提示した20thシングル『マシ・マシ』からおよそ1年、NICOが待望のニューEPをリリース。今作には、持ち前の遊び心と音楽愛を思う存分に追求した大充実の5曲を収録。バダスなロックンロールからアダルト・オリエンテッドなバラードまで、曲の振り幅からは、この1年でバンドがさらに多くの引き出しを開けながら意欲的且つ実験的に曲作りに取り組んできたことが窺える。ピアノが転がるように鳴るファンキーなリード曲の「Funny Side Up!」は「マシ・マシ」同様、彼らのライヴの景色を変える新たな代表曲になること間違いなし。古村大介(Gt)、坂倉心悟(Ba)、対馬祥太郎(Dr)の3人が作ったインタールード的な「カレキーズのテーマ」も聴き逃せない。
[DISC2(bonus disc)]
DISC1に収録されている5曲すべてのアコースティック・バージョンを収録した、オマケという位置づけのボーナス・ディスク。しかし、ジプシー・ジャズ風の「Funny SideUp!」を始め、それぞれに原曲とは別曲と言ってもいいほど趣向を凝らしたアレンジは、オマケというにはあまりにも聴き応えがありすぎる力作となっており、そんなところからも彼ららしい遊び心と音楽愛を垣間見ることができる。フォーク・ロック調の「Ginger lily」にメンバー全員で加えたハーモニーも見事だ。全編通して、力を入れたコーラス・ワークも今回のEPの大きな聴きどころ。コーラスはこの1年でもっとも変化し成長した部分だと彼らは言っていたが、今後、大きな武器になることは間違いないだろう。(山口 智男)
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メンバー全員が革ジャンでキメた最新のアーティスト写真から20thシングルはロックンロールなのか!? と思いきや、TVアニメ"ハイキュー!! 烏野高校 VS 白鳥沢学園高校"のエンディング・テーマに使われているライヴなら合唱必至の表題曲を始め、うねるようなグルーヴが感じられる1枚に。表題曲のみならず、ドラム・ソロからのインプロがあまりにも熱いブルージーなロック・ナンバーの「MOROHA IROHA」、UAの代表曲をとことんファンキーにアレンジした「太陽手に月は心の両手に」のカバー、ともに今一度ロック・バンドの原点に戻ったうえで、たくましい姿をアピール。THE DOOBIE BROTHERSやRED HOT CHILI PEPPERSを連想させるところも!?(山口 智男)
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新たなスタートと位置づける6thアルバム『勇気も愛もないなんて』からわずか2ヶ月でリリースするシングル。映画"ヒーローマニア-生活-"の主題歌に使われた表題曲は、キラキラと鳴るアルペジオとファンファーレのように鳴るサビのホーンが印象的なNICO流のネオアコ・ナンバー。「まっすぐなうた」「渦と渦」のような激しさこそないものの、懐かしさと切なさが入り混じるメロディからふつふつと熱が沸き上がるようなところもまた彼らの持ち味。沁みる。ファンキーな歌謡ロックの「BAD ROBOT」、美空ひばりの曲を大胆にアレンジした「お嬢さんとこいさん」。メンバーいわく、遊び心しかないというカップリングの2曲も聴きどころだ。特にメンバー全員で歌い、セリフもある後者はファンなら聴き逃せない出色の出来。 (山口 智男)
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アコースティック・アルバム『Howdy!! We are ACO Touches the Walls』を挟んで、前作『Shout to the Walls!』から3年振りのリリースとなる6作目のアルバム。前作以降にリリースしてきた6枚のシングルの表題曲がすべて入っているからって、わかったつもりで聴いたら、幾重にも重ねたコーラスにシンセ・サウンドを加えたオープニングの「フィロローグ」から面食らうことは必至。毎回、勇気と愛を振り絞りながら前に進んできたこの3年間の――順風満帆に見えて、決してなだらかではなかった道のりを、「天地ガエシ」を始め、シングルの表題曲で振り返りながら、前述の「フィロローグ」に加え、ポップなロックンロール、歌謡ブギウギ、アコースティック・バラード、と思っていた以上に多彩な新曲からさまざまな可能性が感じられるところがいい。(山口 智男)
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7月19日の東京国際フォーラム ホールA公演でライヴ初披露した新曲「渦と渦」をシングルとしてリリース。現在、放映中のTVアニメ"アルスラーン戦記"のオープニング・テーマだ。彼ららしいと迷わずに言えるストレートな ギター・ロック・サウンドが「まっすぐなうた」からさらにバンドが加速していることを印象づける。輝きの中に若干の不穏な空気を漂わせる演奏はもちろん、持ち前の反骨精神や不屈の闘志が表れた歌詞も彼ららしい。カップリングは光村龍哉(Vo/Gt)がついに30歳になる思いの丈をぶつけた「僕は30になるけれど」。スライド・ギターが唸るファンキーなロックンロール! そして、恒例のカバーでは、矢野顕子の「ラーメンたべたい」を大胆にアレンジ!! 彼らの遊び心が窺える。(山口 智男)
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昨年(2014年)、彼らが掲げた"リベンジ"というテーマはその後、"挑戦""攻めのモード"に変化。そして、ACO Touches the Wallsという大きな成果を生んだわけだけれど、『TOKYO Dreamer』から約10ヶ月ぶりとなるこのシングルでも"挑戦""攻めのモード"はまだ続いているようだ。「まっすぐなうた」というタイトル通りアップテンポの8ビートで突き進むロック・ナンバー。そこに込めたメッセージと抜き身のバンドの姿のかっこよさを、僕らリスナーもまっすぐに受け止めたい。歌謡サーフ・ロックなんて言ってみたい「いいこになっちゃいけないの」と名曲を大胆にアレンジした吉田美奈子の「夢で逢えたら」のカバー。バンドの遊び心をアピールするカップリングの2曲も聴き応えあり。(山口 智男)
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大成功を収めた先日の日本武道館公演でもコーナーを作っていたように、これまで意欲的に取り組んできたアコースティック・アレンジがひとつ実を結んだことを思わせるバンド初のアコースティック・アルバム。もちろん、アンプラグドで演奏しましたなんて単純な作品ではなく、それぞれに趣向を凝らしたリアレンジが加えられた代表曲の数々を楽しめるものになっている。カントリー調の「天地ガエシ」、R&B調の「夢1号」など、あえて自分たちの曲を、ある意味トラッドなスタイルに当てはめた曲からはルーツ・ミュージックに対する興味とともに定番のアレンジだからこそ際立つ曲本来の魅力が伝わってきて面白い。(山口 智男)
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NICO Touches the Wallsのハードでポップなギター・ロックは、常にすさまじい熱がたぎる。最新作『HUMANIA』は、その熱と90年代の邦楽を熟成させたサウンドへと変化した。新たな音楽シーンが次々と開拓されていく中、彼らは自らの根底に息づく黄金期を新たな解釈で形にしたのだ。NICO特有の若く泥臭い衝動は練り上げられ、自らの内面をストレートな言葉で掘り下げていく。サザンオールスターズらを敬愛する光村のヴォーカルも、彼らを自分と同化させ体内で組み替えることで、自由奔放さを獲得。明けすけになった現実の4人は、時に絶望し過去に恋焦がれる弱さを見せる。しかし、現実を踏みしめる力強さがあってこそ、脆さを見せることができるのだ。昨年の武道館公演を越えて、解放できた等身大の自分。新たな飛躍に向けての大いなる一歩だ。(山田 美央)
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全15バンドが新曲を録りおろした残響recordレーベル10周年記念コンピレーション。好きなバンドだけ聴ければいい、なんて思ってるかたはその考えを改めることをお勧めする。なぜなら、もしこの15バンドにあなたが好きなアーティストがいるならば、間違いなくそれ以外の楽曲もあなたのアンテナに触れるはずだから。それこそが残響recordが10年間でリスナー、そしてアーティストと積み上げた"信頼"だ。ポスト・ロックやエレクトロニカの音楽性を持ち、どこか人を寄せ付けない孤高の輝きを放つ危険性、神聖さを持つアーティストが集うという、事件とも言うべきロマンチシズム。残響recordの看板でもあるcinema staff、People In The Boxをはじめ、全アーティストが独自の色を研ぎ澄ました攻めの新曲を投下している。(沖 さやこ)
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全21曲計70分を1トラックで聴かせた4thフル・アルバム『Weather Report』から約10ヶ月。初のタイアップ曲を含む3曲入りシングル『聖者たち』と同時リリースされる5thフル・アルバムは、過去作と明らかに違うところがある。それは大々的に鍵盤を用いた楽曲があるということ。春のツアーで波多野裕文が鍵盤を演奏していたのは今作の伏線だったのだ。前作が深層心理に働きかけるようなディープな作品だったのに対し、今作では多くの人々の手を引き、包み込む――それは切なる願いでもあり救済でもある、清らかで勇敢な音色だ。そして彼らの持ち味でもある変拍子と不協和音、不安定なメロディは変わらず諧謔的かつ狂気的。総じて、絶望の淵で鳴らされた福音のように、強く気高く美しい。(沖 さやこ)
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今年は特に精力的なリリースやライヴ活動で我々リスナーを楽しませてくれるPeople In The Box。“Ave Maria”をもじったであろうタイトルを掲げる今作は、歌詞にも“さよなら、物質”とある通り、物質を対照とした非常に精神性の強い楽曲が並ぶ。軽やかで鋭い言葉を一言一言まっすぐ歌う波多野裕文のヴォーカル、憂いが零れるギターと包容力のあるリズム・セクション。凛と輝く3人の奏でる音色は美しく混じり合い、心の奥底までじんわりと染み込んで喜怒哀楽全ての感情を刺激する。目を背けたくなるつらい出来事はこの世に溢れている。だが彼らはそれに向かい合い、したたかに音を鳴らす。怒り、悲しみ、喜び、優しさ。人の心はとても複雑に入り組んでいるけれど、核にあるものはとてもシンプルなのかもしれない。(沖 さやこ)
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これまでバンドを支えてくれたファンに対する感謝の気持ちを込め、RADWIMPSがリリースしたメジャー・デビュー10周年記念の両A面シングル。持ち前のミクスチャー・ロック感覚を、とことんアグレッシヴ且つトリッキーに、そしてスピーディに表現した「記号として」とフォーキー且つメロディアスに、この10年間を振り返った「'I' Novel」。後者はヒップホップを生バンドで演奏したようなダンサブルな魅力もある。その2曲に加え、歌と演奏を同時に一発録りした「お風呂あがりの」も収録。マンドリンとウッドベースを使ったドラムレスの正調フォーク・ナンバー。そんなイレギュラーとも言える曲も含め、バンドの懐の深さを改めて印象づける3曲。こういう感謝の表現のしかたがファンには1番嬉しい。(山口 智男)
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1年8ヶ月ぶりのニュー・シングルは、バンドのフロントマンである野田洋次郎が主演を務める映画"トイレのピエタ"の主題歌。その1曲のみ収録したところにこの曲に対する誠実な想いがうかがえる。余命3ヶ月を宣告された主人公が死を目前にして、ついに感じることができた生きることへの想いを詩的に歌い上げたバラード。ギターの弾き語りと思わせ、想いを吐き出しながら高ぶっていく主人公の気持ちを表現するようにストリングス、ピアノが加わり、最後はバンドの演奏とひとつになってドラマチックに盛り上がる。それにもかかわらず、聴き終わったあと、深い感動とともに残るのは静謐という印象。生と死を歌った壮絶なバラード。アンビエントな音響を意識したと思しきサウンド・メイキングも聴きどころだ。(山口 智男)
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恋愛を歌い続けていた『RADWIMPS4~おかずのごはん~』までの4作品、よりバンドの音像を強度にし、人が目を逸らしがちな闇と向かい合い言葉を紡いだ『アルトコロニーの定理』と『絶体絶命』。その6つを経て作り上げられた『×と○と罪と』は、過去最高に切実で痛烈、そして何より素直で自由だ。自然体な音と言葉からは喜怒哀楽が生々しく滲み、ひとつひとつが心臓の中心を抉るように突き刺さる。その痛みの正体は"真実"。こんなことを言えば嫌われるかもしれない、気持ち悪がられてしまうかもしれない――綺麗な嘘の防御だらけの世の中で、彼らは傷つくことを恐れることなく"本音"を鳴らす。その勇敢な姿は美しく、偽りの世界に溺れる我々の救世主のようだ。RADWIMPSはまた新たな地を開拓した。(沖 さやこ)
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現在、アルバムに向け、新曲を作っているというRADWIMPSから届いた約7ヶ月ぶりとなる両A 面扱いのNEWシングル。ともにミッド・テンポのロック・ナンバーながら、激しい「五月の蝿」と穏やかな「ラストバージン」それぞれに正反対と言える曲調。究極のラブ・ソングらしい。愛の終わりと始まりを歌ったと考えれば、曲調の差も頷ける。「五月の蝿」の歌詞は、話題になっているように確かに衝撃的。気分が悪いという感想も理解できる。しかし恋愛っていうのは本来、これぐらい激しく感情が揺さぶられるものだろう。それを思えば、世の中にあふれている、きれいごとだらけのラブ・ソングのほうがよっぽど気持ちが悪い。歌詞を云々するよりもこれをメジャーからシングルとしてリリースする意味を考えるべきでは?(山口 智男)
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日英独仏にてリリース、初ライヴはロンドンにて開催など、海外進出が大きなトピックとなっているRADWIMPS野田洋次郎のソロ・プロジェクト"illion"。初作品『UBU』は野田洋次郎というひとりのアーティストの音楽的才能がとめどなく溢れる荘厳なアルバムだ。生楽器と打ち込みは歌声と共に丁寧に音を編み込み、国やジャンル、理論や制約など、枠組みや既成概念を消してしまうように解き放たれてゆく。冷ややかでありながらぬくもりが滲み、哀しくも優しく、無機質でありながらも肉体的で、時に牙を剥いて襲い掛かり、時に人懐こく懐に潜り込む。そんな奔放さは捉え方によって様々な印象を得られるが、一貫しているのは揺るぎない自身の音楽への信念と挑戦。その姿勢はどこまでも勇敢で美しい。(沖 さやこ)
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SEKAI NO OWARIの2014年第1弾シングル。タイトル・トラックは、"ぜんぶ雪のせいだ。"というキャッチ・コピーとともに、DJ LOVEがティーザー広告に登場したことでも話題となった"JR SKISKI"キャンペーンのCMソング。重厚なマーチにのせて歌われるキラキラした甘くファンタジックな世界観が存分にインサレートされた歌詞には、"君"に恋焦がれる"僕"の感情がギュッと詰め込まれている。カップリング曲「銀河街の悪夢」は足音や踏切の音などの効果音が情景を想像させ、現実を乗り越えようとする主人公の様子が目に浮かぶようである。総制作費5億円という破格のスケールで開催された"炎と森のカーニバル"の映像が収録される初回盤DVDも楽しみだ。(奥村 小雪)
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世界の終わり、初の映像作品は、昨年末に行われた渋谷C.C.Lemonホール公演の模様を収めたもの。いやはや、映像として見ると、凄まじいとさえ思う―。そして、"何故、今、世界の終わりはこれほど求められているのか"ということが良く分かる。今の子供たちが求めているのは、共感でも、励ましでもなくでもなく、世界を丸ごと作り変えてくれる新たな創造主なのだ。"清い"オーラが眩しく乱反射するような彼らのステージには、その楽曲同様に、全てを白く塗りつぶしてしまおうとでもいうようなパワーがある。世界の疎ましさを打ち消すため、自らを欺くために彼らが作った"白い世界"は、ライヴという生身の空間を通すと、今のこの現実の世界を必死で生き抜こうとする生々しい想いが浮かび上がってくる。そして分かるのだ、このバンドから目を背けてはいけないと。(島根 希実)
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デビュー10周年、結成15周年というアニバーサリー・イヤーを締めくくるのは、新たな幕開けへの祝砲ともなるニュー・アルバム。全12曲、どの曲がシングルになってもいい、最高に踊れて笑顔になって、甘酸っぱくて、エキサイティングな、喜怒哀楽を総動員するロックンロールが次々と放たれる。彼らがルーツ・ミュージックから啓示のごとく受け取ったロックンロールの持つプリミティヴな力を継承する核は変わらず。その使命感をより強固に、ソウルフルで華のあるプレイで聴かせる。中でも、ポピュラー・ミュージックの歴史をモダンにマッシュアップしたような「THE BEAT」は面白く、またキャリアを積んだ今だからこそ歌えるバラード「STARS」も洗練された深みがある。この1枚でどんな旅もできそうなアルバムだ。(吉羽 さおり)
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CDデビュー5周年を迎え、1月に5thアルバムをリリースしたばかりのOKAMOTO'Sによる"5.5th"アルバムは5組のアーティストとのコラボレーション作品。RIP SLYMEとはAEROSMITH & RUN-D.M.Cばりのオールド・スクールな王道ヒップホップとハード・ロック・サウンドの融合を聴かせ、スカパラとは大編成イケイケ音楽部隊と化し、Wilson PickettばりにシャウトするROYとはクロさ全開で渡り合う。タイトルと曲調から"民生愛"がビンビン感じられる「答えはMaybe」と、いずれもOKAMOTO'Sならではの、この企画を実現できる実力と各アーティストへの敬意を感じさせる内容。中でもラストの黒猫チェルシーとのデュエット「Family Song」が出色で、2組の友情を感じさせる感動的な楽曲となっている。(岡本 貴之)
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小さい頃から音楽が大好きで、英国や米国のリズム&ブルースやロックンロールを聴き続けてきたのだろう。彼らの楽曲を聴いたらそう思わない人はいないのではないか。それ程トラディショナルなロックンロールを追求し続け、今作もそこからは一瞬たりともぶれてはいない。シンプルでパワフルなサウンド、渋いヴォーカル、全部英語の歌詞。しかし、ただの模倣とは違うのである。古き良き音楽を昇華することにより純度を高め、現代に再構築したのが彼らだ。そして、ファンキー・ビートなTrack.2には驚かされる。ROYの歌声が日本人離れした稀有なものであることを改めて感じずにはいられない。また、Etta Jamesへの愛と尊敬の念に溢れた「TOUGH LOVER」は彼女を知らない人でも楽しめる1曲に仕上がっている。(石井 理紗子)
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異色コラボ? いやいや寧ろ合いすぎちゃってどうしましょう! THE BAWDIESのトレード・マークとも言えるスーツを脱いで臨んだ、ソウル・シンガーAIとのコラボ曲「LOVE YOU NEED YOU」はハンズ・クラップやメロディアスなギター・リフなどがモダンな空気を醸し出す伝統的なロックンロール。ROYとAIのパワフルなツイン・ヴォーカルは息ピッタリ。5人がのびのびと楽しんで音を出しているのが伝わってくるので、聴いてるこっちもウキウキでスキップでもしたくなってくる。Ray Charlesの名曲「HIT THE ROAD JACK」のカヴァーも秀逸。THE BAWDIESの持つエンタテインメント性、AIのシンガーとしての力量をこれでもかと見せ付ける、エネルギッシュなシングルだ。(沖 さやこ)
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THE BAWDIESの勢いは留まることを知らない。現在バンドは怒涛のツアー中、にもかかわらずまさかのニューシングルのリリース。さらにHOT、HOTと言って来たバンドがまさかの"JUST BE COOL"というタイトル。いったいどうなっているんだ!?と思いながら音源を聴いてみると、なるほど納得。ソウル・ミュージックのループ感をTHE BAWDIES流に解釈した素晴らしい楽曲に仕上がっていた。Track.2には7月5日下北沢SHELTERで行われた「THERE'S NO TURNING BACK」TOUR FINALのプレミア音源を収録。これがまたベスト盤か!?というようなTHE BAWDIESの代表曲が収録されている。どちらにせよ、内容、ヴォリュームともに申し分のない一枚。(西浦 雅人)
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前作『THIS IS MY STORY』でTHE BAWDIESがただのルーツ・バンドなどではないと提示した後で、彼らがどう進むのかと思っていたが、ここまで幅広い音楽性をパッケージしたアルバムになるとは思っていなかった。痛快なシングル「HOT DOG」のようなロックンロールから、「I WANT YOU TO THANK YOU」といった驚くほどのポップ・ソングまで、これまでのTHE BAWDIESとは違う振れ幅を披露している。しかし、インタビューでも語ってくれたように、そこには変な力みなどなく、あくまで自然体で楽しんだ結果生まれたフレッシュな感覚が詰まっている。ROY のシャウトも凄まじく、これまでのTHE BAWDIESのロックンロールというイメージをさらに強固に塗り替える一枚。(佐々木 健治)
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『THIS IS MY STORY』で、それまでのルーツ・ミュージックからさらに前進したTHE BAWDIES 独自のサウンドを鳴らした彼等が、メジャー・ファーストシングルとなる『IT'S TOO LATE』をリリースする。音の質感は『THIS IS MY STORY』と同じくモダンなもの。その音は、うねりをあげるギター・フレーズが印象的な痛快なロックンロール。まさに、インタビューでも語られる通り、ルーツ・ミュージックの枠組みでは説明することのできない、独自のスタイルを獲得したことをはっきりと示す楽曲だ。カップリングは、今年のツアー・ファイナルの模様を収録したライヴ・ヴァージョン。そのエネルギッシュなライヴを疑似体験できる内容となっている。(佐々木 健治)
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50~60'sのロックンロールへの憧れだけでは到底太刀打ちできない、「本物」のグルーヴに満ちたTHE BAWDIESの登場は、黒船来航さながらだった。当時のレコードから飛び出してきたかのような、ソウルフルなヴォーカルや跳ね回るリズムは、海外からスタイルだけを拝借するような日本のバンドが持つ、ある種のカッコ悪さを炙り出した。 真の意味での1stアルバムだ、とメンバーが口を揃えて語る本作は、ルーツ・ミュージックの飽くなき探求を進めてきたTHE BAWDIESが、いよいよ本格的にオリジナリティーを開拓した傑作である。モータウン的だったりモダンR&B的だったり、多様さを増した楽曲の中に見え隠れするのは、THE BAWDIESならではのポップ感覚。懐古主義なんて言葉から遠く離れた未来のポップ・シーンに、この音は鳴っている。(榎山 朝彦)
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4作目のアルバム『Me No Do Karate.』をひっさげ、ツアーを続けている[Champagne]が早くもニュー・シングルをリリース。ピアノのループが印象的な「Run Away」はライヴのハイライトを飾る「Starrrrrrr」直系のダンサブルなグルーヴをアップテンポでアピールしつつ、新たなアンセム誕生を印象づける。「Oblivion」はU2を思わせる序盤から徐々にテンポを上げ、[Champagne]節に展開する流れに溜飲が下がる。ともにアルバムからのさらなる前進を思わせるが、そういう曲をツアー中に作り上げてしまったところにバンドの著しい成長を読み取ることも可能だろう。その他、アルバムからのリカット「Rise」に加え、バンドの遊び心があふれるサーフ・パンク・ナンバー「Paint Your Socks Into Pink」の全4曲を収録。シングルとは言え、聴きごたえは満点だ。(山口 智男)
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海外のトップ・バンドが狭義のジャンルに収束していないことや、時にはR&Bなどトップ・トレンドを放ち続けるアーティストがロックよりよほどエッジーだったりすることは往々にしてある。日本のバンド・シーンが細分化してスキル・アップするのももちろんいいけれど、このアルバムはそこで勝負していない。いいメロディがあり、時に大仰なアレンジがあり、しかも楽器の音の分離は最高。冒頭からドラマティックな高揚感が押し寄せる「Rise」から、怒涛のツーバス、トリッキーな曲展開がジェットコースター級のスリルを生む「Kick&Spin」は激流級のカタルシス。メロディの強さに浸りたくなる「Forever Young」「Travel」の流れは、今なかなか得がたい普遍的な輝き。それをベタに聴かせない音作りとビートの勝利!(石角 友香)
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今年4月にリリースされた3rdアルバム『Schwarzene gger』から、生産限定でシングル・リカット。"この曲はアルバムの中で一番言いたかったこと"と川上洋平はインタヴューでも言っていたが、シングルとしてこの曲を改めて聴いて、その言葉の意味を痛感した。サウンド、ヴォーカル共に緊張感と気魄が炸裂。"殺れるもんなら殺ってみろ"――並々ならぬ覚悟がなければ言えない台詞だ。勢いを増し続ける彼らに相応しい。2ndアルバム『I Wanna Go To Hawaii.』に収録されるはずだった未発表曲「Waterdrop」、PRIMAL SCREAMのカヴァー「Accelerator」、疾走感のあるインスト・ナンバー「Busy Dragon Playing」を含む計4曲を収録。(沖 さやこ)
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"俺たちの音を聴け"――鳴らされる音の細部まで、ひたすらにそう咆えている。それは勿論絶対的な自信から来るものでもあるが、それと同時に"悔しい"という感情から巻き起こる衝動でもある。音楽に向かい合う時間が格段に増えた[Champagne]はより音楽的欲求が高まり、尖りを増した。人間の血潮、汗、泥臭さをも隠さず吐き出される感情。研ぎ澄まされた覚悟と本気に、脳天をブチ抜かれたような感覚だ。ロックに溶けるジャジーな音やサンバ調のリズムなどバラエティに富んだアレンジ、入り乱れる日本語と英語、落ち着くこともなく世界中を飛び回るような威力が襲い掛かる。そんな本能的な音像に触れていると、自然と心が大きく解き放たれてゆく。待ち受ける困難に立ち向かう勇気を与える全13曲。(沖 さやこ)
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12月にリリースされるバラードは甘いラヴ・ソング、という常識を覆す。タイトル曲「spy」はサラリーマンを経験しながらバンド活動をしていた川上洋平(Vo&Gt)の心情と葛藤を歌ったロック・バラードだ。粉雪のように柔らかいストリングスと、鋭さを内包するバンド・サウンドが作り上げるスケール感は、鳥が羽ばたくように優雅で、胸を突き刺すように切々としている。ふとした瞬間に誰しもが頭を過る"もしあのときこうしていたらどんな人生だったんだろう"――。想像を膨らませた後に現在の自分を見たとき"こっちに来たことは間違ってなかったよ"と笑ってくれるような優しい曲だ。"我が人生に悔いはない"胸を張って真っ直ぐそう歌う彼の清々しさは、青空のように雄大で美しい。(沖 さやこ)
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「このアルバムのタイトルってなんだろう?」って思った人もいるのではないだろうか?ボーカル川上本人曰く、アルバムのタイトルだけじゃなく、歌詞についても全く意味がないと強調しているそうだ。確かにそうかもしれない。何故なら全曲の歌詞全てがノンフィクションなのだ。特にtrack.3の「Rocknrolla!」なんて自己紹介飛び越えて己の人生暴露状態。そして前作からアルバムの雰囲気もガラリと変わって、骨太ロックを炸裂させながら、リズムを急変させて楽曲の印象を変化させている。ラスト曲の「サテライト」はしっとり切ないバラード。サビ部分の伸びやかなファルセットが美しい。柔軟性を感じさせながら、しっかりとした1 本の芯があるアルバムだ。(成田 早那)
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前作のシングル『City』から約4カ月ぶりとなる2ndシングル『You're So Sweet & I Love You』は、メロディアスでありながら力強いギター音と、弾けるようなポップサウンドに懐かしさと新しさ覚えた。そして今回歌詞は、ほぼ英詞でサビの部分が日本語という構成だ。ちょっとだけ捻くれた部分と、素直な閃きが入り混じっていて面白い。実はタイトルだけみた時に、ラブソングなのかな?と思って聴いてみたら、いやいやそんな単純じゃなかったです。なんだかガツンと全身に衝撃が走りました。Track2は、壮快で心地よいロックナンバー。ライヴで盛り上がるのは間違いなし!バンドとして確かな成長が伺える1枚である。(成田 早那)
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今年1月に1stアルバム『Where's My Potato?』をリリースして以来、怒涛の勢いで数々のフェスやイベントに参加したりと、今話題の新人4人組ロックバンド[Champagne] から待望のニューシングル『city』が到着!実は路上ライヴ時代からあった曲とのこと。今回歌詞もほぼ日本語で書かれていて、慎重に言葉を選び時間をかけて完成させたのが伝わってきた。切ないメロディと疾走感溢れるサウンドに、ボーカルの川上が音楽で生きていくことの事実やココロの叫びなど、自分自身に向けて歌っているのも印象的。またTrack.2 とTrack.3 はOASIS 好きな人は必聴!特にTrack.3 の「美術館」は聴いた後「兄貴~!」って言いたくなってしまうはず!(成田 早那)
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錚々たるメンバーが集結し、くるりの名曲をカヴァーした鶏びゅ~と・アルバム。それぞれが趣向をこらしたカヴァーを披露しているが、その中でも別次元の名演を披露しているのが松任谷由実「春風」。いっそのこと、シングル・カットしたらいいのに。トラディショナルなメロディ解釈が新鮮なハンバート・ハンバート「虹」も素晴らしい。9mm Parabellum Bullet の「青い空」は、原曲を知らなければ彼らのオリジナルだと言われても納得してしまいそうな出来映えだし、Andymori「 ロックンロール」もカッコイイ。曽我部恵一「さよならストレンジャー」の渋いフォーク・カヴァーも流石の味わい。あと、「言葉はさんかく こころは四角」での木村カエラの素朴な歌声が好きです。(佐々木 健治)
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才能のカタマリのようなデビュー・アルバム。まったく未整理でやけっぱちの感情をそのまま鳴らし、舌っ足らずで空回り気味に転がるANDYMORIのロックンロールは、なぜか聴いた者を圧倒的な勝利の感覚に酔いしれさせる。 まごうことなきTHE LIBERTINES直系のガレージ・パンク・サウンドは、凡百のフォロワー・バンドを蹴散らすに十分な天性のセンスで、目も眩むほどの輝きを放っている。手数の多いグルーヴィーなドラミング、軽やかなギター・リフ。何よりヴォーカル小山田の、一点の曇りもない歌声が、ANDYMORIを特別なものにしている。安いウィスキーを空けるだけで丸一日無駄にするような、どうしようもない日常を歌っているのに、それが小山田の声に乗るだけで負け犬気分は消え失せ、勝者の高揚感に満たされるのだ。新たなヒーローの誕生に、今はワクワクするばかりである。(榎山 朝彦)
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RADWIMPS、野田洋次郎のソロ・プロジェクトが3年ぶりに再始動。プログラミング・ソフトを取り入れた楽曲が大半を占め、リズムを主体にした実験的なアプローチは彼の知的好奇心の結晶のようだ。もともと彼はRADWIMPSでもillionでもジャンルにとらわれない楽曲作りやミクスチャー・センスを見せてきたが、このタイミングでさらにその方法論を広げている。水の中に潜っていくような心地で、それ以外にもはたまた眠りにつく瞬間のまどろみのような、現実が少しずつ歪んでいくような......と聴き手の感性を刺激し、様々なイメージを次々と立ち上らせる。自由に音楽と戯れる彼の思考や心情、人間性がそのまま音楽になっていると言ってもいいのでは。さらに勢いを増す天性の才能には恐れ入るばかり。(沖 さやこ)
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今回、オリジナル・メンバーで制作したのは90年代オルタナティヴ・ロックをひとつのモチーフとしていたからで、森 信行が戻った、というのはニュアンスが違うと本作を聴いて感じた。オルタナ、60年代英国のロックンロールやブギーからラテンまで、3人のセッションを起点に完成していった13曲には当時の焼き切れるような試行錯誤は感じない。でも当時よりカオスも一発鳴らせば吹き飛ぶようなエネルギーもある。特に「世界はこのまま変わらない」(のあとに"君が居なければ"と続くのだけれど)の多言は不要なパワー、「ばらの花」の構造とアレンジがモロに下敷きになっている「朝顔」など、単にいい曲以上の現在の迫力を自らの歴史を使って証明しているんじゃないか? 加えて先人への愛も随所に聴こえるのでぜひ耳を澄ませてみて。(石角 友香)
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コロナ禍以前から、生活者として怒り心頭なことも呆れてしまうこともある。しかし、ストレートにそれを表現するには、キャリアも居場所も(くるりと京都という土地はやはり分かち難い)違うんじゃないかと作用したのだろう。まるで老獪な噺家のそれのようなユーモアだ。音楽的にはこれまでの彼らの持ち味をベースにしながら、ゲーム・ミュージックのようなニュアンスのSEが、いわゆる名曲感溢れるナンバーにも登場するし、円谷プロが今、特撮モノを作ったらこんな劇伴になるかもしれない「大阪万博」など、インストが並ぶのも面白いし、楽器の音は本物らしさが溢れつつ、音の配置が新しいアートのようでもある「I Love You」など、一流食材と道具を使った名前のない料理を出された感じ。味わえるかは我々次第だ。(石角 友香)
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「益荒男さん」、「大阪万博」と仰天の実験作を配信リリースしてきたくるり。久々のCDは、"ことでん"の愛称で親しまれている、香川県の高松琴平電気鉄道をモチーフに制作した楽曲と、2005年リリースの「赤い電車」をリアレンジした別バージョン。Homecomingsの畳野彩加(Vo/Gt)をフィーチャーした歌あり「コトコトことでん」は、ミニマムな打ち込みボサノヴァといったニュアンスで、界隈の魅力を昇華。同曲のインストや、出発メロディに、遠くへ行けない今、普段以上に旅情をかき立てられる。またホーンやローズを加え、フューチャー・ファンク調にリアレンジされた「赤い電車」は細部の音の抜き差しに注目。鉄道も音楽もまだ見ぬ世界を見せてくれるが、岸田 繁の両者に込めた愛情、バンドの遊び心に唸らされる。(石角 友香)
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10,000枚限定リリースのシングルは、表題曲を異なるアレンジで2パターン収録。BPM100、譜面に起こせばそれほど変わった曲ではない。しかし今のくるりが演奏すると、"今、必要なマインドセットはこういうことなんじゃないだろうか"と心揺さぶられる音像になる。テンポやコード感は「HOW TO GO」(2003年)を思わせ、最初のバージョンでの生の歪みが印象的でベースも含め重心の低さは通底する部分も。こちらのドラムは初顔合わせの屋敷豪太。Ver.2はシューゲイザーに近い音像で、ドラムはCliff Almond。15年近い歳月の末にもたらされたものはと言えば、慟哭や焦燥のアンサンブルが澄み渡る前進のエネルギーに変換されたことなのではないか。なおCDには昨年の"京都音楽博覧会"ライヴ音源も収録。(石角 友香)
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何度リピートしても現実の情景とリンクすることのない世界観である。クラシカルなオーケストレーションをフィーチャーしながら、アジア、東欧、時に中東など国や宗教を越えて人々が自由に行き来するイメージの冒頭の「2034」から、すでにくるり版"スチーム・パンク"は始まっている。しかも「Liberty&Gravity」のように1曲の中で時空を飛び越える壮大な音楽絵巻も登場するダイナミズムは劇中劇のよう。が、"最初のリバティ それは あなたと暮らした その暮らしで"というヴァースには、例えば「東京」から確かに続く岸田繁の人生と、ここまでの過程で鍛えられた精神を垣間見ることもできる。音楽的引用や思わず記憶の扉が開くメロディに溢れているこのアルバムは、存在そのものが音楽の未来を議論できる玉手箱だ。(石角 友香)
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一介のチンケな物書きの極私的な心情を交えレビューする。想像を遥かに超えた事態に思考は追いつかない。3.11以降の音楽の在り方を考え続けても答えを見出せない。音楽の救いなんてただの美談じゃないかと諦観してしまう瞬間もある。なんだか悶々としてしまうし、空虚感を懐いてしまう。しかし、それでも僕は音楽を欲している。あなたもそうだろう。"3.11"が歴史的な転換点と位置づけられるのは間違いない。そして表現者には、それ以前以降では明確に違う切実な命題を突きつけられたはずだ。それぞれ、あらゆる葛藤が延々続いていくと思うが、くるりの本作はそれ以降にあるべきひとつの指標を、図らずも提示してしまったように感じる。3.11以前に作られた楽曲集だが、感動的な旋律は優しく寄り添ってくれるから。(伊藤 洋輔)
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今年6月にリリースされ初のオリコン1位 を獲得したカップリング・ベスト『僕の住んでいた街』は アバンギャルドなくるりの魅力はもちろん、カップリング曲にも関わらずこんなに素晴らしい曲がたくさんあるという、彼らの偉大さを改めて見せつけられた作品だった。今までのアルバムはそれぞれムードを決定づけるサウンド・コンセプトがあったが、今作にはそれがないシンプルなプロダクションと飾らないストレートな歌詞という形になっている。言うならば素顔のままのア ルバムだ。ストレートになった歌詞は今までよりもさらに人と向き合った言葉が並び、とても考えさせられる。彼らにしか表現出来ない感情が溢れた素晴らしい曲が詰まった作品に仕上がっている。(遠藤 孝行)
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あぁーっ、よいよい!いきなりの祭ばやし的合いの手にまずビックリ(笑)。そんな新曲「東京レレレのレ」で幕を開ける、くるり初のカップリング・コンプリート・ベストアルバム。アコギ、厳かなピアノ、ささやくような歌声が印象的な「りんご飴」などの初期曲から、名曲「ワンダーフォーゲル」のシンセ・ポップなアレンジとの好対照ぶりに驚いた、「サマースナイパー」のホームメイド感たっぷりなサウンド。さらに、「すけべな女の子」はビートが疾走したかと思えば「さよなら春の日」は空を舞う花びらのように音色が揺れ・・・。アコースティック、轟音、エレクトロニカからジャズチックまでアプローチのレンジの広さにあらためて驚きつつ、それに軸を通す"歌ごころ"はやっぱりくるりだなと、あらためて感服!(道明 利友)
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GAPの40周年記念シングルとして発表されたこのシングル。A4の雑誌サイズという形態でCDショップだけでなく、書店やコンビニにまで置いてあるという展開も凄いが、この二組でシンプルなロックンロールに取り組むという何とも贅沢な選択の結果産まれた楽曲がとにかく素晴らしい。リズミカルなマーチング・ソングのようなポップ・ソングは、GAPというブランド・イメージから喚起された瑞々しさを放っている。力強いベースとギター・リフが引っ張るミドル・テンポは、青空の下を歩く力強さそのもの。ただただ聴けば、また一日を始めるフレッシュな活力となる最高のポップ・ソング。どれほどの意味があるのか分からないけれど、松任谷由実ではなくユーミンというポップ・アイコンに降りてきているところも、やっぱりいい。(佐々木 健治)
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2019年7月20日をもって、12年にわたる活動に終止符を打つことを発表したねごとのベスト盤。メンバー選曲の35曲には、デビュー当初、雨の日限定で、ライヴで演奏していた未発表曲「雨」や、新曲「LAST SCENE」も収録された。マジカルで柔らかな風のようなサウンドの「雨」は、ねごとの美しい音楽はどんなときもそばにいると伝えるような、4人からのはなむけの言葉(歌)に聴こえてくる。また「LAST SCENE」はクールなエレクトロ・チューンで、ねごと目線で見るライヴの光景やリスナーとの関係性が窺える、明るくも切ない思いがよぎる曲だ。高校生のときに結成し、常に新たなサウンドや音楽的世界の広がりを追求し、先鋭的なポップ・ミュージックを生んできたねごとの歴史が詰まっている。(吉羽 さおり)
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約13ヶ月でフル・アルバム2枚、EP1枚、シングル2枚をリリースというバイタリティにも感心だが、注目すべきはその枚数ではなくすべての作品で音楽的な濃度を高めていることだ。タイプの異なるプロデューサー2名との制作や、趣向の異なるシングルを制作することで、自分たちの音楽性を見つめる機会が多かったことが影響しているのだろう。バンド・サウンドを主体にエレクトロ、シューゲイザー、ソウル・ミュージック、ダウン・ビートなどを感性の赴くままに取り込んだサウンドは洗練されているだけでなく非常にナチュラル。タイトルでもある"soak(=染み込む)"という言葉どおり、心の奥まで染みわたる繊細さと感傷性を孕んでいる。透明感のあるエモーショナルと静謐な色気はどこまでも美しい。(沖 さやこ)
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約2ヶ月ぶりの新作は、映画"トリガール!"の主題歌であるスピッツの「空も飛べるはず」のカバーと、同作の挿入歌として書き下ろされた新曲「ALL RIGHT」を収録。前3作で打ち立てたダンス・ミュージックから一転、彼女たちの原点となるバンド・サウンドを主体としたサウンドで、「空も飛べるはず」はグランジ感のあるギターなど、シックな演奏が蒼山幸子の歌声とメロディを引き立て、原曲へのリスペクトを感じさせるカバーになった。「ALL RIGHT」は爽やかな疾走感を持つ楽曲。初期の「カロン」や「sharp ♯」を彷彿とさせながらも当時以上に力強さやしなやかさが増しており、強気でパワフルな歌詞も軽やか且つ堂々と響く。ねごとは独自のロックのかたちを確立しつつあるのでは。(沖 さやこ)
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『アシンメトリ e.p.』、『ETERNALBEAT』で新境地へと歩み出したねごとが、その世界観をより磨いたシングルを完成させた。表題曲は前2作でもタッグを組んだBOOM BOOM SATELLITESの中野雅之がプロデューサーとして参加。エレクトロにストリングスも用いたサウンド・アプローチは艶やかで、なにより蒼山幸子(Vo/Key)のヴォーカルと歌詞、メロディが存在感を放つ。ウェットな歌声はタイトルどおり花びらのような刹那的な美しさで、その情感により言葉が映えているところも印象的だ。Track.2はバンドの生音をダンス・ミュージック的に表現。スロー・テンポで隙間のあるサウンドスケープには奥行きがあり、歌詞に込められた切実な想いや願いも強く響く。両曲とも余韻に漂う色香が心地よい。(沖 さやこ)
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ねごとというバンドを語るうえで欠かせない"ドリーミー"と"内に秘めた熱さ"という芯を崩さない、むしろこれまでで最もその核心に近づいたアルバムと言えるのではないだろうか。今作では昨年リリースされた『アシンメトリ e.p.』で彼女たちが提示した"自然体でいられる、踊れる空間"をさらにディープに追求。心地いい空間を求めて丁寧に音を紡ぎ、重ねることで、繊細な感情表現ができたと言っていい。メロディも大きなフックがあるというよりはナチュラルで、そのぶん伸びやかなヴォーカルが光る。ドラムレスやシンセ・ベースなど楽曲に合うアプローチは、バンドにとっても大胆で革新的な音作り。音はもちろん歌詞からも1曲1曲から彼女たちの音楽にかける情熱を感じることができる。(沖 さやこ)
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約1年5ヶ月ぶりの新作は4曲入りEP。Track.1はBOOM BOOM SATELLITESの中野雅之が、Track.2はROVOの益子 樹がサウンド・プロデュースを担当。Track.3と4は中野と益子との制作を経たうえでのセルフ・プロデュースで、全曲が"自由に音にノれて踊れる、空間を大事にした音楽"をコンセプトに制作されている。各楽器でもこれまで彼女たちが実行してこなかった手法を積極的に取り入れ、藤咲 佑はシンセ・ベースに初挑戦。生音とプログラミングの差し引きもより大胆になり、蒼山幸子(Vo/Key)も自分の内面を曝け出す歌詞を書くなど、ねごとの未来を切り拓くためのチャレンジが存分に詰め込まれている。彼女たちの凛とした空気が如実に反映された、エモーショナルでクールな作品だ。(沖 さやこ)
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今年3月に3rdフル・アルバム『VISION』をリリースしたばかりのねごとが、わずか3ヶ月でシングルを発表。TVアニメ"銀魂゜"のエンディング・テーマであるTrack.1はグルーヴィで踊れるリズムの上に、遊び心溢れるシンセが瞬く、華やかで軽やかな楽曲。サビの歌詞も単語そのものを強く印象付けるアプローチで、そのシンプルな潔さからもバンドが自信を持って音楽を鳴らし、純粋に楽しんでいることがうかがえる。音像で立体的にドラマを描き、キャッチーなメロディをより輝かせることができるのは、現在の彼女たちだからだろう。Track.2では自らの原点のひとつであるNUMBER GIRLをねごと流に解釈したサウンドで魅せる。全員からとめどなく溢れだす音楽欲、ねごとは今が最も面白い。(沖 さやこ)
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まずタイトルからも自信の度合いが窺える。フル・アルバムとしては約2年ぶりとなる、セルフ・プロデュースのこの3rdアルバムで、ねごとは自分たちが鳴らしたい音楽をしっかり掴み、それを吸収して外へ放出することができた。レコーディングも順調だったとのことで、過去最高に華やかなコーラス・ワークを組み込んだり、各楽器のサウンドにもひと工夫加えるなど、純粋な好奇心と音楽愛が隅々に感じられる。アッパーでキャッチーな楽曲から、ピアノを前面に出したソフトなミディアム・テンポ・ナンバー、シューゲイザー的に4人の音圧で引き付ける楽曲など、ねごと流バンド・サウンドの可能性を広げ、堂々と示す意欲作。彼女たちがこの先に描くヴィジョンに期待せずにはいられない。(沖 さやこ)
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ミニ・アルバム『"Z"OOM』でリスタートを切ったと語る彼女たちが約半年ぶりにリリースする新作は"恋"が前面に出た「アンモナイト!」と「黄昏のラプソディ」の両A面シングル。「アンモナイト!」は『"Z"OOM』の流れを汲んだゆったりとしたポップ・ナンバー。"愛したいきみだけを!"というストレートなメッセージに軽快なクラップが幸福感をさらに高めてゆく。対して「黄昏のラプソディ」はメンバーそれぞれの楽器でのアプローチが効果的な非常にクールなアンサンブルが印象的な楽曲。シンセとピアノの音色を巧みに扱い、ギターもユニゾンで魅せるなど、各楽器に趣向が盛り込まれており、ねごとのテリトリーの拡張を証明する楽曲だ。今年度24歳を迎える彼女たちだからこそ出せる、フレッシュな大人の表情を堪能できる。(沖 さやこ)
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ねごとの2014年第1弾リリースは現在のモードを詰め込んだ全6曲。作曲はNEGOTO名義のものが大半を占め、歌詞はメンバーそれぞれが書いているという、より"4人でひとつのねごと"という側面が強まったと同時に、4人それぞれのキャラクターも克明になるという、非常に理想的なバランスを帯びた作品になった。特に明確な新しさは、蒼山幸子(Vo/Key)の歌だ。表現力やニュアンスが増え、より情感豊かに弾ける歌声はとてもキュートで、とてもフェミニンに響く。キーボードを取り入れていないTrack.3、ストリングスにシューゲイザー的アプローチが壮大なTrack.6など、バンドとしての許容範囲も広がった。本人たちが"リスタート"と言うように、積み上げたキャリアを存分に生かした、鮮やかな音像に心が洗われる。(沖 さやこ)
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4人組ガールズ・バンド、ねごとの約10ヶ月ぶりとなるニュー・シングル。切ないながらも繋がりを求める、ときめきいっぱいの気持ちをキュートに歌ったタイトル・トラック「シンクロマニカ」は、アニメ"ガリレイドンナ"のタイアップが決定している。通常盤に収録されるくるりの名曲「ばらの花」のカバー、沙田瑞紀(Gt)が手掛けた「Lightdentity -Mizuki Masuda Remix-」も、蒼山幸子(Vo)の浮遊感溢れる透き通った歌声と、彼女たちらしい軽やかでリズミカルなキラキラのポップ・サウンドが詰まっている。初回盤には「シンクロマニカ」の他、バンド初挑戦のヴォイス・ドラマ等が収録。今春、全員大学を卒業した彼女たちの新たな試みに、ますますの活躍が期待される。(奥村 小雪)
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アジカン企画&主催の夏フェス"NANO-MUGEN FES."も今回で9回目(ツアー形式だった「NANO-MUGEN CIRCUIT2010」を含めると10回目)。WEEZERやMANIC STREET PREACHERSをヘッドライナーに、BOOM BOOM SATELLITES、the HIATUS、若手注目バンドねごと、モーモールルギャバンなど、洋邦共に相変わらずの豪華ラインナップ。出演バンドの楽曲が1曲ずつ収録されているコンピレーション・アルバムは、今作で5作目。そして、今回収録されているアジカンの新曲は2曲。チャットモンチーの橋本絵莉子(Vo&Gt)を迎えた「All right part2」は、後藤と橋本の気だるい歌い方と熱が迸る歌詞のコントラストが鮮やかで、高揚感に溢れたギター・リフとメロディも力強く鳴り響く。ユーモラスなあいうえお作文、男性の言葉で歌う橋本の艶とレア感も思わずニヤついてしまう。東日本大震災時の東京を描いた「ひかり」は、人間の醜い部分や絶望感にも目を逸らさず、物語が淡々と綴られている。言葉をなぞる後藤の歌に込められた優しさと強さは、当時の東京を克明に呼び起こしてゆく。生きることが困難な時もあるだろう。だが"オーライ"と口ずさめば、ほんの少し救われる気がする。音楽の持つ力を信じたい――改めて強くそう思った。(沖 さやこ)
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昨年リリースされたミニ・アルバム『Hello!"Z"』の記憶も新しい、話題沸騰中のガールズ・4ピース・バンド、ねごとのファースト・シングル。何気ない夜に夢のようなキラキラした魔法を掛けてしまう極上のポップ・センスと、素直な感情を詰め込み炸裂させたオルタナティヴな空気感。芯があってキュートな蒼山幸子のヴォーカルはどこまでも澄み、空に勢い良く飛び立つ鳥の翼のような力強さと美しさを宿している。二十歳の彼女達がリアルタイムで刻む煌びやかな青春に圧倒されてしまった。裸足でつんのめりながらも何かを掴もうと全速力で走り抜けるような葛藤を抱えたがむしゃらさも若者らしい。4人が奏でる等身大の可愛らしさと漲るパワーに、可能性を感じずにはいられない。この子達、只者じゃ御座いません!(沖 さやこ)
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サポート・ギターに為川裕也(folca)と竹内亮太郎(ex-the storefront)を迎えたアルカラの10thアルバム。リリース直前のツアーでこの会心の作をいち早く堪能できたが、ライヴで様々なシーンを生む曲が揃っている作品となった。言葉や語呂、サウンドでキャッチーに遊びながらアルカラの音楽はもちろん、音楽や芸術が生まれる心震わせる瞬間を封じ込めた「瞬間 瞬間 瞬間」、同様のテーマ性をよりパーソナルに内省的に描いた「未知数²」など、力のある曲に惹きつけられる。多くの曲の根底にあるのは生きる喜びであり、なんの変哲もない日常があることの喜び。それを"ロック界の奇行師"は、聴き手の耳を驚かせると同時に、その余韻に歌心と歌の真意とをそっと置いていく。何度も聴きたくなる作品。(吉羽 さおり)
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初のフル・アルバム『KAGEKI』を引っ提げて開催された全国ツアーのファイナル、Zepp DiverCity TOKYO公演の模様を収めた映像作品。"ツアー前に起こったKAGEKIな出来事"により、会場に集まった人の多くが不安を抱えていたであろうこのライヴだが、1曲目「3017」の1音目でその不安を払拭してのける様が痛快。サポート・メンバー 為川裕也(Gt/folca)のサウンドメイクが原曲に寄り添っているところには、アルカラへの愛とリスペクトが感じられる。事前に出演が告知されていた9mm Parabellum Bulletの滝 善充(Gt)に加え、菅原卓郎(Vo/Gt)とHEREの武田将幸(Gt)も乱入し、カオスなお祭り騒ぎとなったアンコールも必見。アルカラというバンドがなぜこんなにも愛されているのか、その答えがここに詰まっている。(大木 優美)
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長く親交を温めてきた cinema staffとアルカラによるスプリットEP。書き下ろしの新曲、それぞれのカバー、コラボ曲の全5曲が収録された。cinema staff新曲「first song(at the terminal)」は、ソリッドで高いテンションのドラミングと多展開のドラマチックなサウンドを、伸びやかな歌が包み込む。キャッチーで温かいメロディにただ行儀よく収まらない、アンサンブルのパッションが惹きつける。アルカラの新曲「サースティサースティサースティガール」は、爆発的なオープニングからサビでファンクに急展開するトランスフォームっぷり、先の読めなさ、オチのつけ方で唸らせる。この2バンドが互いをカバーし、コラボする曲は、もちろん技もネタも巧妙に仕掛けられていて、味わい、楽しみが尽きない。(吉羽 さおり)
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8枚のアルバムを発表してきたアルカラだが、全12曲というボリュームのフル・アルバムは、今回が初。バンドの脳内へと分け入っていく迷宮的なサウンドがたっぷり味わえるアルバムで、迫力がある、怒濤のアンサンブルがパッケージされた。アルカラは、予測不能なスリリングな展開とキャッチーさとを両立する稀有なバンドである。その両方の濃度と純度を上げ、音の腕力でねじ伏せるだけではない独自のポップでロックな形を作ってきた。繰り返し聴きたくなる音の隠し味、違和感を少しずつ織り交ぜてなお耳触りや発語の気持ちよさがある言葉、けれんみたっぷりなようでいて、心の急所を突く歌と、今回もその"節"がわかっちゃいるのだが、気づけば脳内の迷宮にとらわれてしまう。愉快で濃い1枚だ。(吉羽 さおり)
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銅羅の音と逆再生に始まり、子供のコーラスや掛け声が入ったりと、飛び道具的なアイテムのキャッチーさも曲を盛り上げているが、何よりも4人が"主題歌"というお題で存分に遊び倒しているのが「炒飯MUSIC」。Aメロからサビまでどこで切ってもクセの強いメロディと、そのメロディに負けていないワウ・ギターや印象的なリフ、また突如シンセ・ベースが間奏に飛び込んできて異次元にワープする。小さいころに観たアニメの内容や主人公の名を失念しても、"ほら、あの"と主題歌だけはソラで歌えたり、音やフレーズを覚えていたりする。そういう、異物感と気持ちいいほどの耳馴染みの良さとが同居している曲だ。そこまでやるかの悪ノリも、キャッチーに響かせてしまうのがアルカラらしい曲でもある。(吉羽 さおり)
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エキゾチックなギター・フレーズを肝にした、フォークロアなパンク・サウンド「消えたピエロと涙」でアルバムは幕を開ける。ピエロの哀しき性を、ほろ苦く、寓話的に仕立てた歌にまずKOされる。自己肯定と否定とを繰り返して、自分の居場所で必死に踏ん張る姿はとても不器用で、それだからこそ美しくもある。この曲を筆頭にして、今作は、批評的にシニカルに世の中や人を切っていくスタンスと、同時に泥臭くもチャーミングな、人の心の機微や性分が詰まっていて、とてもエモーショナルな内容だ。懐かしい歌謡曲の、物憂げで、湿度のあるメロディが冴えて、アルカラらしいトリッキーなサウンドと絡まっているのも面白い。毎作突き抜けたパワーがあるが、今作は抜群。キャッチーさにしれっと毒を盛り、たちまち中毒にさせていくドープな音楽がここにある。(吉羽 さおり)
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すべてがあった。アルカラの、今の、すべてがあった。2014年12月7日にZepp Tokyoにて行われた『CAO』リリース・ツアー"ガイコツアー2014"のファイナル・ワンマン公演。本作は当日のライヴ全編に加え、ツアー・ドキュメント映像も含めた大ボリュームのDVD作品である。突き刺すように駆け抜けたライヴ前半。ユーモアで会場を沸かせた中盤。あたたかさと感動で会場を包み込んだ終盤。アルカライダーまで登場したアンコール。そして、ツアー・ドキュメントで見られる、"バンド"と"ライヴ"への愛。シリアスな顔もおどけた顔も、必死で何かを伝えようとする顔も......12年のキャリアの中で彼らが見せてきたあらゆる"顔"が、この作品には刻まれている。この先、どれだけ先へ進もうと、きっとここに刻まれたすべての顔を、彼らは忘れない。(天野 史彬)
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アルバムの最後に、たまに"ボーナス・トラック"って入っているでしょ。CDを聴いていたら、最後の曲が終わったのに全然CDが止まらなくて、ほっといたら数分後に急に曲が始まってビクッとする、あれのことね。ああいうのって、僕はちょっと苦手なのです。だって、アルバムの余韻を損なうじゃん。でも、アルカラのアルバムのボートラは例外的に好きなのです。何故ならクオリティが高いし、音楽愛に満ちた引用が出てくるし、何より彼らは悪ふざけにもゴリゴリの本気だから。本作は、そんなアルカラの素敵なボートラたちをアルカライダーが集めて監修したもの。初期のボートラはシリアスな名曲多めだけど、キャリアを経るごとに段々と悪ふざけが悪化していくのがよーくわかる。尽きせぬ初期衝動とロック愛に乾杯。(天野 史彬)
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若い子は知っているかな。昔、"ダウンタウンのごっつええ感じ"というバラエティ番組があってね、そこに"エキセントリック少年ボウイ"というコントがあったんだよ。今はもう、あんな素晴らしい悪ふざけはテレビで見ることはできないね。このアルカライダーというバンド(肩書きは"ロック界の奇行師ヒーロー")には、あのコントに通じる悪ふざけを感じるよ。このシングルの2曲目の「ゆけ!アルカライダー ~アルカライダーのテーマ~」からは特にそれを感じるよ。アニメ"怪盗ジョーカー"の主題歌である表題曲は捻くれた展開の妙と疾走感のあるサビで聴かせるギター・ロックだよ。リミックスも入ってるよ。悪ふざけも、やるならこのぐらい全力でやらないとね。というか『CAO』からのギャップがすごいね。最高だよ。(天野 史彬)
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すべての音が切迫感と焦燥感に満ちている。かつてなく生々しい。ここには、ドラマティックな激情と奇抜な変態性を行き来するサウンド、あるいは人を食った言葉遊びで聴き手を煙に巻いてきた今までのアルカラの姿はない。ここにあるのは、時代を突き刺す鋭利な刃物としてのロックを一直線に鳴らす、素顔を剥き出しにしたアルカラの姿である。均一化されていく価値観に満たされ、正しさだけが求められるこの世界に対して怒りの表情を浮かべながら、そうした問題意識を突き詰めたが故に露になった、"すべてのものが終わりゆく"という儚い刹那と、少年の頃の自分自身に重ねられたパーソナルな心象。"どーでもいい"という言葉の切実さと説得力。12年のキャリアの果てに辿り着いた大傑作。この先の10年はアルカラの時代になるだろう。(天野 史彬)
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アルカラ、5枚目のアルバム。歌謡性の高いドラマチックなメロディと歌が、変拍子を多用したリズムを基盤とした、空気を切り裂くようなソリッドな演奏と共に繰り広げられる、まさにアルカラ節が炸裂した作品である。ロックがシリアスさだけを打ち出すことは容易いが、同時にユーモアを手なずけるのは、とても難しい。しかし、アルカラは見事にそれをやってのける。それができるのは、ある一定の音楽性だけに捉われない豊かな素養と、それを楽曲に昇華する技術、そして独特な言葉のセンスがあればこそだ。4曲目「YOKOHAMAから来た男」~6曲目「380」において自由に音楽で遊びまくった後、「防御線の果て」、「ビデオテープ」という名曲で締める後半の流れが実に素晴らしい。(天野 史彬)
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おいおい!どうなってんだ!?やはり"ロック界の奇行師"を自称するだけに、思いもよらない展開をしてくれるぜ!前作『フィクションを科学する』から約7ヶ月という驚異的なスピードでアルカラが新作『こっちを見ている』をリリースする。フロントマン稲村太佑の脳内だだ漏れ状態か?この猪突猛進がさらなる高みへの鮮やかなステップ・アップであり、激エモな楽曲の疾走感にも反映しているようだ。映画『アベックパンチ』の挿入歌にも決定した「半径30cmの中を知らない」を中心に繰り広げる大胆かつ繊細なアルカラ・ワールド。奔放すぎておかんの声からピー音(放送禁止に使うアレ)まで入るとは、ホント馬鹿だな~(褒め言葉!)。これはライヴ映えする力もハンパないから、借金してでも生を体感するべし!(伊藤 洋輔)
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嘘か真か、インタビューで語ったように"心で歌う"姿勢がそうさせたのか。アルバムとして3枚目の今作は、これまでの圧倒的なハイテンションで突っ走るような勢いを緩め、メロディアスな世界観を強調した作風となった。9mm Parabellum BulletとSyrup 16gの中間に位置付けられそうで、疾走感を期待するとやや肩透かしを食らうかも。だがしかし、この変化で露わとなったのは、聴けば聴くほど旨みが増すような、するめいか状態の味わい深い叙情性。「大久保のおばちゃん」や「はてない」に印象的だが、メロディアスなサウンドと日常のささやかな心情を掬う文学的な詩世界が絶妙に相まり、いつかの原風景を引き出すだろう。全体をみるとストレートなロックン・ロール「キャッチーを科学する」は軽いご挨拶って感じで、ニクイね!(伊藤 洋輔)
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神戸出身の四人組、アルカラの2ndアルバム。尚、同時に1stアルバム「そうきたか」も再プレス&リリースされている。"ロック界の奇行師"と呼ばれているだけあって、確かに変わったことしてるな~という印象。「マゾスティック檸檬爆弾」では、2ビートを久々に聴きました。そこからの展開もめちゃくちゃ面白いし。プログレッシブというんじゃないんだけど、複雑怪奇なバッキング。その割に、ヴォーカルラインは覚えやすくてフックが満載なところも、賢いというか、狡猾というか。王道的バラードもいい曲ではあるんだけど、やっぱり(いい意味で)"変"だな~っていう曲の方が輝いて聴こえてきます。普通のロックに飽きちゃったんだよねっていう気持ちがバシバシ伝わってくるだけに、今後の更なる飛躍に期待が出来そうです。(杉浦 薫)
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一度聴いたら忘れられないハイトーン・ヴォイスと歌詞で衝撃的な人間ドラマを表現する尾崎世界観(Vo&Gt)率いるクリープハイプ。彼らが満を持してメジャー・デビューを果たす。その1作目となる今作、いい意味で彼らは変わっていなかった。現実と妄想の狭間を突っ切る歌詞世界も勿論健在。だがそこにはしっかり進化の形もある。ポップでありつつも鋭さを持つ、空間を操るように飛び回る4人のサウンド・メイクはより強力に。そこにはギター・ロックへの敬愛心がとめどなく溢れており、その純粋さと初期衝動に焦燥感が激しく煽られた。今のメンバーでは初収録となるインディーズ時代の既発曲4曲も新たな息吹を手に入れて蘇る。ここからクリープハイプの何かが変わる――そんな予感と確信を抱かせる快作。(沖 さやこ)
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ひと度口に含めば体の芯まで温まり、心を解きほぐす。そして、甘い香りと共に上がる湯気のような安心感と温もり。まるで冬の日のココアのような声だ。メロディと演奏の中をたゆたう無垢なその声は、冒頭曲から、なんと53回も"キライ"と繰り返す。これには不意打ちを食らった。無防備な佇まいでありながら、胸にはナイフを忍ばせていたのだ。これが、クリープハイプ――。己を打ち砕くほどに、もがき、あがくような歌詞は、途方もなく強い自我の掃き溜めという孤独で溢れ返っている。その苛立ちを、怒りを、劣等を、そして悲しみを、画用紙がぐちゃぐちゃになるまで、クレヨンが潰れるまで、一心不乱に書き続ける......。そんな風に世界と対峙し、言葉を書き連ねるからこそ、その声は聴き手の中の深くまで突き刺さるのだろう。(島根 希実)
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耳に突き刺さるように飛び込んでくるハイトーン・ボイス。特異なまでに男女の視点が交錯し、息遣いが聴こえるほどにリアルな日常。ロックと呼ぶには余りに繊細で、フォークと呼ぶには余りに生々しい。尾崎世界観(Vo&Gt)の描く歌詞は、自分の身を守る術を知らない子供のように無防備だ。その無防備さゆえに、鋭利でやや暴力的に人間関係の核心にするりと迫っている。そして、平常のうちに一瞬ギラリと光る瞬間を切り取り、現在の時間軸とは別に独立させて捉える。だからこそ、特定の個人の時間軸・経験の延長上にあるのではなく切り離されたものとして、非常にリアルでありながらも一種の"物語" として、どの瞬間に対しても私たちは入り込むことが出来るのだろう。世の中を動かしたいだとか、世界を救いたいだとか、尾崎の言葉の中には大義名分はない。今そこにある人間関係を描いているからこそ、ヘッドフォンから流れる搾り出すようにギリギリの歌声は、確かに心を打ち震わせ、閉まっていた思いを直接的に揺さぶる。"人と人との繋がりを描きたい"という尾崎の言葉が、レコードを通して4人と私たちとを繋ぐのだ。(山田 美央)
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「SAKANAQUARIUM 2011"ZEPP ALIVE"」の最終公演、6月28日ZEPP TOKYOで、リリースに先がけていち早く披露されたこのナンバーの、圧巻としか言いようがない物凄い空間は未だに忘れることができない。バッハの旋律を夜に聴いたせいです――。メンバー全員の歌声を重ね、ハーモニーを構成するタイトル・フレーズから、恍惚的なビートのループに拡散/収縮を繰り返す多彩な音像。そして、その一瞬のインターバルに切れ込む流麗なピアノは、ダンサブルなサウンドの中に厳かなムードを加え、楽曲は再び雄大な広がりをもって聴き手を圧倒する。そこにあるものは、聴き手の身と心をただただ問答無用に踊らせる、音楽が本来持つべき根源的な魅力。サカナクション、本当に凄いバンドになった!(道明 利友)
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前シングル「アルクアラウンド」に続き、アルバム『kikUUiki』のヒットで世間の注目を集めたサカナクション。彼らは今、マニアックさとポップさの狭間にいる。でもどちらもサカナクションの姿で、どちらも良質な音楽であって、新たなポップミュージックの新基軸を作りあげるための挑戦と提案をしている。今作はラテンのリズムが、妙に日本の祭りのスピリッツを感じさせ、自分自身に問いかける歌詞の世界観と絡んで体になじむように入ってくる。このビート、日本人なら踊りださずにはいられないのではないだろうか。今後この曲を布石にどんな方法で、どんなアプローチを仕掛けてくるのか、気が早すぎるかもしれないが次のアルバムを期待せずにはいられない。(花塚 寿美礼)
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今もっとも注目を集める期待のアーティスト、サカナクション。セカンド・シングル「アルクアラウンド」がオリコン・ウィークリー・チャート3位を記録し、いよいよシーンの中心に浮上し始めた彼らから4枚目のフル・アルバムが届けられた。ポップな浮遊感と文学性の高い歌詞、そしてロマンティックなエレクトロ・サウンド。ここまで様々な要素を取り入れながら高いクオリティを保つバンドはそうそういないだろう。今作はロックとクラブ・ミュージックが混ざり合う場所を目指して作られた作品だという。今までの彼らもそうだったが今回はよりその二つが上手く調和されている。色とりどりなアイデアを詰め込んだ7 分を超す大作「目が明く藍色」がとっても素晴らしい。(遠藤 孝行)
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サカナクションのニュー・シングル「アルクアラウンド」。柔らかなエレクトロニカの手触りは保ちながらも、80'sテイストのシンセとアグレッシヴなバンド・サウンドが、独特の歌心を力強く推し進め、切なさとともに高揚感がこみ上げてくる。「スプーンと汗」は、アコースティック・サウンドと幽玄なバック・トラックが絡み合う不思議な感触の一曲。そして、Rei Harakamiによる「ネイティヴダンサー」のリミックスは、美しさと変態性が捩じれながらせめぎ合いながら、山口の言葉を包み込んでいく。分かりやすさとマニアックさとのバランスを高品位に保ちながら、軽やかに提示してみせるサカナクションのセンスがよく分かる3曲だ。新たなアルバムが楽しみになるシングルだ。(佐々木 健治)
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バンド・メンバーと共同で作り上げた古川本舗4枚目のアルバムは、彼が長年籠っていた自身の殻、その扉(=barn door)を叩き破り、リスナーと彼自身をまだ見ぬ世界へと連れ出すための雹(=Hail)となる作品。ヴォーカリストには3rdアルバムを共同制作したキクチリョウタ、ちびた、そして古川本人が起用されている。切々と染み込むミディアム・ナンバーには演者の息遣いを感じるほどの体温があり、それは心そのもののように揺らめきを持つ。彼は物語とパーソナルを巧みに操る表現者だが、そのふたつの境目がより淡くなり、よりフラットな彼の世界に触れているような感覚になる。浮遊と沈没。切なさと心地よさ。幸福と哀愁。彼は相反する感情や情景を混在させ、美しく描き、我々の感情を揺さぶる。(沖 さやこ)
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スカという枠組みをさらに押し広げながら独自のスタイルを確立して20年間君臨するスカパラ。多彩なスタイルと方法論で、大衆性と独自の音楽性を両立する彼らの面目躍如とも言えるポップなアルバムだ。洗練されていながら、ダイナミズムに満ちたその音楽性はもちろんだが、スカパラほどメジャー・フィールドに対して戦略的なバンドはそういない。それはスカパラのようなバンドが未だに現れないという事実が物語っている。例えば多様なコラボ(今作では奥田民生、Crystal Key、斉藤和義が参加)をとっても、とてつもなく意識的で戦略的だからこそ、その高い音楽性をキープできるのだろう。「Won't You Fight For Happy People?」スカパラはファイティング・ポーズをとり続けている。(佐々木 健治)
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このアルバムがバカ売れするかと思うとワクワクする。時を得た作品ならではの醍醐味! そもそも星野源の作品は"わかるわかる! 共感する!""感動した!"みたいなことから遠い。あるとしたら"この名状しがたい感情をよくぞ曲にしてくれた"ということだ。さて、4枚目のアルバムである今作。真似しようにもできないブラック・ミュージック。フェイクしようとしてもできないソウルの歌唱。しかし確実に自分の音楽体験として存在し、体内に取り込まれた"クロいグルーヴ"をこれまでのアシッド・フォークやエキゾ同様に、"星野源味"の出汁で仕込みそれが全体の基調に。同時にTrack.1「時よ」や弾き語りのTrack.6「口づけ」、細野晴臣とのインストTrack.8「Nerd Strut」といった"異彩"が一筋縄ではいかないツボを形成している。(石角 友香)
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跳ねたジャズ・ピアノではじまり軽快なビートで踊り続ける「Crazy Crazy」、70年代のダンサブルで煌びやかなソウル・ミュージックを下地に詩的な歌心をのせた「桜の森」、そしてブルースやジャズを都会的に、かつリラックスしたナイト・ソングへと仕立てた「Night Troop」。今回のシングルは、いずれの曲もタイプは異なれど心地好いグルーヴや、軽やかな空気感が流れていて、自然と手拍子が出たり、体を揺らしたり、リズムを刻んだりしてしまうようなサウンドが肝であり現在のモード。一方、スムーズに流れるメロディとスモーキーな歌声にのせて、想像を掻き立てるような言葉や意味深な言葉がフッと刺さる。アッパーなリズムやサウンドでも突飛でなく、どこかに憂いや湿度を含んでいて、すんなりと肌になじむ音楽が優しい。(吉羽 さおり)
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シングル「フィルム」「夢の外へ」「知らない」も含む、約2年ぶり、3枚目のアルバム。生き急ぐような膨大な言葉数とテンポ感に圧倒される「化物」で鮮やかに幕を開け、立て続けにアッパー・ナンバーが3曲続く驚き。そして彼流のソウル・ミュージックをシンプルな3人編成で構成した「季節」、誰かに伝えるでもない独白とサウンドでなんともいえないサイケデリアが立ち上る「レコードノイズ」など多彩な全12曲。だが、単にバラエティ豊かというよりは、星野の生きるスピード感や欲望が、ポップ・ミュージックとしてはカオティックなバランスで、ギリギリの切っ先に立っているような曲が目立つのが新しい。「知らない」の歌詞じゃないが、知らないことがあるからこそ生きるのは楽しいし、楽しいことを見つけたくなる。(石角 友香)
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椎名林檎デビュー15周年企画の一環として、ライヴ・ベスト・アルバム『蜜月抄』と同時リリースされるコラボレーション・ベスト・アルバム。客演した他アーティストの作品より椎名林檎自らが編纂し、更にCAPSULEの中田ヤスタカとの初コラボレーションによる新曲「熱愛発覚中」、Burt Bacharachが提供した「IT WAS YOU」を含む全16曲。やはり椎名本人が編纂しているだけあり、曲の繋ぎやアルバムとしての流れも鮮やか。そして個性豊かなアーティストとの共演で魅せる、シンガーとしての彼女が秀でているのは、己の個性を残しつつも相手の音楽に寄り添い、そのカラーに見事に染まるところだ。様々な衣装を着こなし変身する様は女優のようでもある。改めて彼女のエンターテイナーとしての器を再確認した。(沖 さやこ)
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椎名林檎デビュー15周年企画の一環として、コラボレーション・ベスト・アルバム『浮き名』と同時リリースされるライヴ・ベスト・アルバム。ヘヴィ・ユーザーに人気の高い楽曲を中心に選曲しており、デビュー以来のツアーより厳選した音源に加え、2009年に放送されたNHK「SONGS」でのスタジオ・ライヴ音源も初収録している。この15年をリアルタイムで知っている筆者は聴きながら"これはあの会場であの衣装を着ていたときのライヴだ"と記憶が鮮やかに蘇った。それだけ彼女が会場や衣装選び、演奏者の編成などにアイディアを盛り込み、個性的な実演を行い続けていたことを痛感する。ライヴでしか聴くことのできない彼女の息遣いや歌唱、楽曲アレンジを堪能できる、15周年記念に相応しいアイテムだ。(沖 さやこ)
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アルバムとしては実に2年9ヶ月ぶりとなる『STRAY SHEEP』。破格の大ヒットを記録した「Lemon」をはじめ、既発シングル「Flamingo」、「馬と鹿」や、楽曲提供でも話題になった「パプリカ」、「まちがいさがし」のセルフ・カバーを含む全15曲を収録。小中学生ユニット Foorinの天真爛漫な歌声が印象的な「パプリカ」だが、歌い手が変われば当然思い描く情景もガラリと変わり、そのことは楽曲の持つ多面的な魅力を何より表している。また、軽妙なサウンドとビートに刹那的で危うい雰囲気を同居させた新曲「感電」は彼の真骨頂。それらをひとつにパッケージした今作は、近年いかに米津玄師がポップ・カルチャーのど真ん中にいたかという事実と、その所以を改めて体験できる超大作だ。(岡部 瑞希)
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自分と相手を星座になぞらえ、切れない関係を願う「orion」は紛れもなく闘いの歌だ。落ち着いたテンポのなか決められた拍に鳴るピアノの和音やフィンガー・スナップ、その上に乗る伸びやかな歌声は、あたたかな場所を離れ戦地へ赴く人の凛とした意思そのもの。TVアニメ"3月のライオン"EDテーマの同曲は主人公のプロ棋士少年・桐山 零とリンクしているが、孤高のクリエイターである米津自身も零と似た闇を抱えているのでは。"痛みも孤独も全て お前になんかやるもんか"と敗北の女神へ吐き捨てる「ララバイさよなら」、険しい旅路をとことん軽やかに描く「翡翠の狼」も含む3曲を貫くのは、人は結局ひとりだが独りきりでは生きられない、だからこそ強くなることができる、という真理だ。(蜂須賀 ちなみ)
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人気ボカロP"ハチ"こと......なんて飾り言葉も不要なほど、米津玄師という名義も定着してきた。昨年、初のワンマン・ライヴを開催し、新境地へと踏み出した彼の3rdシングルは、壮大なサウンドスケープ広がる幻想的なナンバー。独特な言葉選びのセンスはそのままに、登場人物の感情がより鮮明に描き出され、"僕"と"君"が共に手を取り前へ進もうとする様子が目に浮かぶ。"フラワーウォール"="色とりどりの花でできた壁"―― 目の前に立ちふさがる壁がそう見えるのは"君"とふたりだからだろう。目の前にどんな困難があろうとも"君"と一緒なら笑いあえる、そんな希望に満ちた楽曲だ。フォーク・ロックの要素を含んだ「懺悔の街」、ダウン・ビートに乗せて虚無感を歌った「ペトリコール」と、カップリング2曲もそれぞれ米津ワールド全開。(奥村 小雪)
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正直に自分のスタンスを表すると、VOCALOIDは門外漢だ。そのコミュニティで盛り上がるニコニコもmixiもアカウントは持っていない。まぁ、頭の固いおっさんなわけで......。あ、オタク嫌悪はないので。それでも"初音ミク"なんて言葉は自然と聞こえてくる時代だし、動画の総再生回数が2000万回を超えるなんて、純粋にすごいことだなぁ、と。そこでこの人気ボカロP"ハチ"こと米津玄師のアルバム『diorama』だ。真新しさはないが、ロック・テイストで丹念に練られたメロディ・ラインに言葉遊び的語呂の良さはキャッチーで、多くの支持は納得できる。しかし現状のネット発という注目は挨拶として、彼のブログから引用すると"疑心と矜持を携えて何処かへ行きたい"という世界を見てみたい。願わくば、既存の価値観を壊した場所へ。(伊藤 洋輔)
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新体制初/レーベル移籍後初シングルの表題曲は、TVアニメ"空挺ドラゴンズ"エンディング・テーマに起用された「絶対零度」。歪んだギターを鳴らす4拍子のイントロから一転して、ピアノの旋律が印象的な3拍子の聴かせるAメロへ、さらにBメロを経て再び4拍子で縦ノリのサビへと予想外に展開し、ドラマチックに静と動が交錯していく。タイトル通りに"絶対零度"の世界の厳しさと美しさを描いたかのようなサウンドと、持ち前のキャッチーなサビメロも生かしたロック・ナンバーに仕上がった。カップリングは、コーラス・ワークと石野理子の歌唱で、深い海に沈み込んでいくような感覚を味わうR&B調の「sea」。ロック・バンドの枠にとらわれずに、彼女たちの世界はどこまで広がっていくのだろうか。(宮﨑 大樹)
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赤い公園が新体制初のEPをリリース。石野理子(Vo)加入後初音源となった「消えない」は、イントロからキャッチーなギター、変則的なドラム、骨太なベースと各楽器の巧妙なリズムが絶妙に混ざり合い、グッと心を掴まれる。そして、サビで予想を裏切ってくる曲展開が赤い公園らしい。そこに、"こんな所で消えない/消さない"とバンドの決意や覚悟を表したかのような歌詞を、まだ10代で元アイドルの石野が歌い上げる様はただただ気持ちがいい。本作のラストを飾る新曲「Yo-Ho」は、彼女たちにしては珍しいヒップホップ要素を前面に押し出しており、今回のツアー・タイトルにも入れているあたり、これこそが"新生"赤い公園の真骨頂なのでは? と、すでに次回作が楽しみで仕方がない。(新地 駿平)
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メンバー"4人の情熱"が存分に注ぎ込まれた、この夏にぴったりのニュー・アルバム『熱唱サマー』。佐藤千明がヴォーカルを務めるラスト作品は、聴き手の期待をグッと上回るほどのダイナミックさで心打たれるサウンドに。特に力強さを感じたのは、パワフルなバンド・サウンドで今にも踊りだしたくなる「カメレオン」や、疾走感抜群のダンス・ナンバー「闇夜に提灯」、過去、現在、未来の彼女たちを表現するかのように歌った「ほら」。個人的には、女の子の少し繊細な部分も表現している「AUN」や、心の内をストレートに伝えた「ジョーカー」もツボ。結成から7年を経た赤い公園が、今だから歌えることを直球で詰め込んだ4人でラストの記録――夏の終わりに聴くに相応しい1枚だ。(滝沢 真優)
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2、4、6月のシングル連続リリース第3弾。いかついアゲアゲナンバー、とびきりの胸キュンソングときて、今回の表題曲「journey」は青春を諦めきれない仲間たちに捧げる、魂のこもった情熱的な1曲だ。"間違いだらけの答えになれ"としゃがれ声で全身全霊かけて叫ぶ、佐藤千明(Vo)によるアカペラから始まり、"死ぬまでヤングでいようぜ"と童心を忘れないことや、不器用な生き方を肯定する歌を、強く歪ませたギターを筆頭に荒々しい演奏に乗せて放つ。青春とか、そういった類の熱さとは無縁のバンドだと思っていたから、正直かなり衝撃を受けた。対して、カップリングの「いっちょまえ」はこれまた意外な90年代J-POP風の超きらっきらなポップ・ナンバー。今回のシングル3部作で、赤い公園のイメージを次々と一新してみせた印象。次の一手が予測不能すぎる。(松井 恵梨菜)
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3rdアルバム『純情ランドセル』から11ヶ月ぶりのリリースとなるシングル。現在放送中のTBSテッペン!水ドラ!!"レンタルの恋"の主題歌でもある表題曲は、メンバー自ら"いろいろな意味でイカツイ、久しぶりのアゲアゲソング"と語る赤い公園流の高速ダンス・ナンバー。かなり攻めている演奏もさることながら、和風というか、時代劇を意識しながら(?)時代考証完全無視の歌詞もその光景を思い浮かべると、いかにぶっ飛んでいるかがわかるはず。もちろん、サビの"want you"はシンガロングよろしく。カップリングの「放蕩」のポスト・ロック/シューゲイザー・サウンドもクール。白装束から色つきになった衣装は、来るべき変化の前兆か!? 4月、6月にリリースするというシングルにも期待大。(山口 智男)
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ポップでカオティックな赤い公園ワールドがさらにスケール・アップしたことを思わせる2枚目のアルバム。リスナーをいきなりKOする超絶ポップな「NOW ON AIR」からアンビエントなシンセ・オーケストラル・バラード(!?)の「ドライフラワー」まで、全15曲の振り幅はかなり広い。その中でもファンキーな「108」、モータウン調の「誰かが言ってた」「楽しい」、そしてKREVAのラップをフィーチャーした人力ヒップホップの「TOKYO HARBOR」といったブラック・ミュージックのグルーヴが感じられる曲の数々が新境地とともにバンドの著しい成長を印象づける。複数のプロデューサーを起用しながら出音はあくまでも力強いバンド・サウンドというところが何とも頼もしい。その無敵感は2割増し!?(山口 智男)
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前作からわずか1ヶ月足らずでリリースする2014年第2弾リリース。今回も彼女たちはぶっ飛んでるぞ!哀愁の歌謡メロディを100秒の激烈ロック・サウンドとともに聴かせるTrack.1「絶対的な関係」、アンビエントなバラードが轟音シューゲに変貌を遂げるTrack.2「きっかけ」、アコギの弾き語りと思わせ、ローファイ風のサウンド・メイキングが楽しすぎる槇原敬之の「遠く遠く」のカヴァーに加え、Track.1と2のインストも収録。現代のサウンド・(マッド)サイエンティスト、津野米咲(Gt/Pf/Cho)による実験の成果と、それを形にするバンドの力量をこれでもかとアピールする。しかも、通常盤のみ収録の「赤い公園 KAITSUMAMIX」は彼女たちの代表曲を掻い摘んで聴ける奇っ怪なリミックスときた! 最高。笑いが止まらない。 (山口 智男)
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子どもの頃、"公園"という場所は常に遊びの中心だった。思うがまま駆けずり回っては息を切らす、それだけでただただ楽しかった。赤い公園の1stフル・アルバムは、そのときの感覚を蘇らせるような、聴けば聴くほど夢中になってしまう無限の面白さを孕んだファンタジックな1枚だ。胸の奥底に眠る童心にやさしく呼びかけるポップかつシンプルな音色、若者の等身大の心情が込められたリリックはどれも絶品。シングル曲「交信」を始め、ミニマルなサウンドの「つぶ」、ピアノ伴奏に熱を帯びたヴォーカルが重なるバラッド「体温計」など、個性豊かな楽曲が収められている。作品に出会えたことに喜びを感じるとともに"赤い公園よ、無邪気であれ!"と思ってやまない。(大島 あゆみ)
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シングル3部作企画"赤い公園がみっつ ~困惑のシングル 闇・姫・冠~"の第1弾。その規格外なサウンド展開やキャラクターで多くのリスナーを既に虜にしている彼女たちだが、全てがエンタテインメント性に富んでいるところが痛烈にポップで面白い。ロックなのかそうでないのか分からないほどに炸裂する4人の楽器と、様々な表情を目まぐるしく見せる佐藤千明のヴォーカルにジャンルやルールは存在しない。その自由度はあどけなくとても無防備で、聴き手としては見てはいけないものを見てしまうようなハラハラ感も。雑多に詰め込まれた音は瑞々しく輝き、その常識や定説を覆す珍妙な情景は噛めば噛むほど癖になる。c/w「娘」のコーラス・ワークとヴォーカルは、より深みを増した声のパワーを感じられる。(沖 さやこ)
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結成20周年記念となる今回のアルバム『20』は、Disc-1がオリジナル、Disc-2がカラオケ・ヴァージョンとリミックス、そしてPVが収録されたDVD付きと、豪華三枚組仕様となっている。Disc-1は歌モノが主体となっており、近年の歌モノエレクトロ隆盛を多少なりとも意識したのだろうか?と、思いきや、そもそも電気グルーヴは本格テクノと歌を融合させてお茶の間レベルに持ち込んだパイオニア的存在なのだから、そんなことあるはずもない。今まで電気グルーヴを聴いたことがない人にも聴きやすくなっているサービス精神を感じるが、だからと言って従来のファンを裏切るような内容では全くないのでご安心を!まだ電気グルーヴに触れたことがない人は、この機会に火傷必至で触れてみて。(杉浦 薫)
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