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DISC REVIEW

Japanese

World Ska Symphony

東京スカパラダイスオーケストラ

『World Ska Symphony』

Release Date : 2010-03-10
Label : カッティング・エッジ

スカという枠組みをさらに押し広げながら独自のスタイルを確立して20年間君臨するスカパラ。多彩なスタイルと方法論で、大衆性と独自の音楽性を両立する彼らの面目躍如とも言えるポップなアルバムだ。洗練されていながら、ダイナミズムに満ちたその音楽性はもちろんだが、スカパラほどメジャー・フィールドに対して戦略的なバンドはそういない。それはスカパラのようなバンドが未だに現れないという事実が物語っている。例えば多様なコラボ(今作では奥田民生、Crystal Key、斉藤和義が参加)をとっても、とてつもなく意識的で戦略的だからこそ、その高い音楽性をキープできるのだろう。「Won't You Fight For Happy People?」スカパラはファイティング・ポーズをとり続けている。(佐々木 健治)


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VXV

CDデビュー5周年を迎え、1月に5thアルバムをリリースしたばかりのOKAMOTO'Sによる"5.5th"アルバムは5組のアーティストとのコラボレーション作品。RIP SLYMEとはAEROSMITH & RUN-D.M.Cばりのオールド・スクールな王道ヒップホップとハード・ロック・サウンドの融合を聴かせ、スカパラとは大編成イケイケ音楽部隊と化し、Wilson PickettばりにシャウトするROYとはクロさ全開で渡り合う。タイトルと曲調から"民生愛"がビンビン感じられる「答えはMaybe」と、いずれもOKAMOTO'Sならではの、この企画を実現できる実力と各アーティストへの敬意を感じさせる内容。中でもラストの黒猫チェルシーとのデュエット「Family Song」が出色で、2組の友情を感じさせる感動的な楽曲となっている。(岡本 貴之)


World Ska Symphony

スカという枠組みをさらに押し広げながら独自のスタイルを確立して20年間君臨するスカパラ。多彩なスタイルと方法論で、大衆性と独自の音楽性を両立する彼らの面目躍如とも言えるポップなアルバムだ。洗練されていながら、ダイナミズムに満ちたその音楽性はもちろんだが、スカパラほどメジャー・フィールドに対して戦略的なバンドはそういない。それはスカパラのようなバンドが未だに現れないという事実が物語っている。例えば多様なコラボ(今作では奥田民生、Crystal Key、斉藤和義が参加)をとっても、とてつもなく意識的で戦略的だからこそ、その高い音楽性をキープできるのだろう。「Won't You Fight For Happy People?」スカパラはファイティング・ポーズをとり続けている。(佐々木 健治)


斉藤和義 弾き語りツアー「十二月~2022」Live at 日本武道館 2022.12.21

弾き語りもバンド・スタイルもどちらも真骨頂と言える完成度とすごみを湛える現在。デビュー30周年アニバーサリーのバンドでの一発録音アルバムに続いて全国25ヶ所27公演にわたる弾き語りツアーの日本武道館公演を完全収録した映像作品の発売は必然的だ。新旧広範囲なレパートリーからの選曲はその音楽性の幅の広さを歌とギターという最小編成に凝縮した原点且つ完成した表現で届けられる。今回の見どころはひとりっきりで歌と対峙する前半だけでなく、中盤には沖 祐市(Key/東京スカパラダイスオーケストラ)とふたりで「Over the Season」、「泣いてたまるか」の2曲、後半はバンドのギタリストでもある真壁陽平も参加して、2本のギターの豊潤な絡みも堪能できること。歌を生み出し続ける彼の根底にある魂の強さに打たれる。(石角 友香)


ROCK'N ROLL Recording Session at Victor Studio 301

デビュー30周年のアニバーサリーにバンド・メンバーとの一発レコーディング作品を制作するのがなんとも斉藤和義らしい。マメにライヴに足を運ぶファン以外はおそらく今の彼らの演奏がこれほどソリッドで、時にカオスなロックンロールであることを知る人は少ないのではないか。冒頭、斉藤と真壁陽平のゾクゾクするようなツイン・ギターにKO。真剣勝負の抜き差しの美学、時代を超えるバンド演奏のすごみ、ラテンやダンス・ビートも消化する貪欲さにハマるとあっという間にラストに辿り着く。まっすぐ放たれる斉藤の歌はいい意味で不変。やめたいのに自分と人を比べてしまう「ジレンマ」の歌詞が四半世紀を経ても刺さり、不安はあるけれど群れの中にいられない心情が「歩いて帰ろう」で肯定されるように受け止めてしまった。(石角 友香)


Toys Blood Music

斉藤和義はバンドを従えギターで弾き語る歌うたいの印象が強いが、時にひとりで多重録音で曲を作る。今作も藤原さくらがコーラスで参加するものなどもあるが、多くの楽曲で音源ならではの彼の演奏が味わえるのだ。新しい玩具としてドラム・マシンの名機で遊び、打ち込みのリズムにシンセを重ねるが、今風テクノではなく、表情豊かなギターや血の通った詞を乗せ、懐かしく彼らしいロックを演出。"文春"なんて言葉も入れ今の日本を皮肉った「オモチャの国」。ギターが滑らかに流れるインスト曲でラストを心地よくまとめる大人のニクさ。初回限定盤収録のパワフルに自らを鼓舞する「I'm a Dreamer」も必聴だ。「始まりのサンセット」で歌うように、彼が新鮮に感じ、やりたいことはデビュー25周年を迎えても尽きないのだろう。(稲垣 遥)


やさしくなりたい

15枚目となるアルバム『45 STONES』も素晴らしく、夏フェスにも積極的に参加し、幅広い層から支持を集める斉藤和義がニュー・シングルをリリース。躍動的なギターで幕を開けるこの曲は火曜ドラマ『家政婦のミタ』の主題歌。"やさしくなりたい""強くなりたい"と叫ぶ、そのメッセージには人を傷つけてしまったときに自分の未熟さに気付くように、やさしい人こそ強い心を持っているんだと感じる。佇まいはゆるく自然体。だが、ポーカーフェイスに隠されたアツい信念は揺るがない。斉藤和義のそんな姿がより心を揺すぶるのかもしれない。ドラマの世界観と曲がどうリンクしていくのかも注目したいところだ。c/wには8月31日に放送されたUSTREAMで披露された「ウサギとカメ」などを収録。(花塚 寿美礼)


ARE YOU READY?

斉藤和義14 枚目のオリジナル・アルバム。元BLANKEY JET CITY の中村達也、リリー・フランキー、妻夫木聡、ザ・クロマニヨンズの真島昌利などの豪華ゲストを招き、タイアップ曲も多数収録。全ての曲に美しい物語が凝縮され、過去最高にゴージャスでバラエティに富んだ内容になっている。優しいメロディと、照れ臭くてなかなか面と向かって言えないような素直でストレートな歌詞は、心の中に陽だまりのようなあたたかい光を点す。スチャダラパーのBose を招いた「いたいけな秋」では斉藤がラップのようなポエム・リーディングを披露。大人の男2 人がサシで交わすクールでスリリングなマイク・リレーは鳥肌ものだ。秋晴れの都会が舞台のトレンディ・ドラマを見ているような、ロマンチックな気分に浸る1 枚。(沖 さやこ)


ずっと好きだった

懐かしい女優やアイドルが勢ぞろいしている資生堂のCMソングとして書き下ろされたナンバー。タイアップといってしまうと、あまり聞こえは良くないが、これはものすごく良質なタイアップだ。CMと楽曲の世界観、さらにはミュージック・ビデオまでも、全てがリンクしているのだ。これは商業的なリンクではなく、大人の遊び心に溢れている。アラフォーとなったアイドルと、彼女たちに夢中になったかつての少年たち。CMと楽曲とが両者を結びつけることで、そこにドラマ性を生み出している。だから「ずっと好きだったんだぜ」というおっさんくさいセリフにも、爽やかな哀愁があり、胸をキュンとさせるのだ。そして、楽曲テーマをさらに広げる形で作られたミュージック・ビデオでは、元・少年たちの方が主役となっている。(島根 希実)


斉藤"弾き語り"和義 ライブツアー2009≫2010 「十二月 in 大阪城ホール ~月が昇れば弾き語る~」

2009年の年末に大阪城ホールで行われた弾き語りプレミアム・ライヴがCD&DVDとなって登場。"大阪?!!"と始まる今作は現時点の最新作である『月が昇れば』からの楽曲を中心にこの日のライヴがすべて収録されている。もちろん「歌うたいのバラッド」や「歩いて帰ろう」などの代表曲もありとてもお得な内容。5年振りとなる弾き語りライヴだが気負いや緊張感はなく、とてもリラックスしていて軽やかな感じが彼らしくカッコいい。今作のギター一本、ピアノ一つで演奏される楽曲もメロディの良さや歌詞の素晴らしさを感じられてとても感動的。最後に友人であり今回舞台演出を担当し、今注目を集める大宮エリーの特典映像も見逃せないところ。(遠藤 孝行)


ゴールデンスランバー~オリジナルサウンドトラック~

2009年は伊坂幸太郎の年だったと言えるくらい彼の本は売れた。数々の原作が映画化されてきたが、山本周五郎賞を受賞した今作「ゴールデンスランバー」もいよいよ公開。その伊坂幸太郎と斉藤和義の関係は深く、作家になる決心をつけたのも斉藤和義のある曲を聴いたからだと言う。斉藤和義が初となる全編に渡り映画音楽をプロデュースした今作は、主題歌でTHE BEATLES のカヴァーである「Golden Slumbers」と再録された「幸福な朝食 退屈な夕食」、「ランナウェイ」の三曲以外はすべてインストゥルメンタル。映像化力の高い彼の曲の数々は暖かく、そしてどことなく切なさを含んでいる。熱っぽい「Golden Slumbers」も素晴らしいが、全体を通しても二人がこの作品に傾ける情熱が伝わってくるようでグッと胸を打たれる。(遠藤 孝行)


月が昇れば

昨年デビュー15 周年を迎えた斉藤和義から前作『I Love Me』から2 年振りとなる13 枚目のニュー・アルバムが届けられた。フジファブリックの山内総一郎がギターで参加しているが、それ以外はほぼ一人でこなすマルチプレーヤーである彼の魅力が発揮されたアルバムである。パワフルなロック・ナンバーの「COME ON!」で始まる今作は、アリナミンのCM 曲でもお馴染みの「やぁ 無情」やブルージーで弾けた「ドント・ウォーリー・ビー・ハッピー」。初めてのピアノ弾き語りを披露している「アンコール」と曲ごとにガラッと雰囲気が変わり全く飽きさせず、すべての曲から斉藤和義が歌にかける情熱を感じる事が出来る。中途半端な志では到底たどり着けない高みを見せてくれる。ただそこに力みはない。だからかっこいい。 (遠藤 孝行)


欲望

EGO-WRAPPIN'の中納良恵とハナレグミが参加した東京スカパラダイスオーケストラ通算17枚目のアルバム。ヨーロッパ・ツアーの合間を縫って1週間という短期間でレコーディングされたというエピソードからも分かるとおり、衝動がそのまま切り取られてパッケージされている。Track.1の「黄昏を遊ぶ猫」を聴いた瞬間から、顔面に熱風を吹きかけられたような熱さと勢いに呑み込まれそうになる。もちろんそこには長くに渡って音楽シーンを牽引してきた彼らだからこその楽曲の深みと質の高さがしっかり存在しているのだが、それよりも音楽への歓喜の叫びが聴こえてきそうな作品に仕上がっているのが印象的だ。誰よりも音楽を楽しみ、音楽への欲を追求する、衰え知らずの攻めの姿勢は、最高にロックなのではないだろうか。(石井 理紗子)


Walkin'

約2年ぶり通算16枚目となるニュー・アルバム。ピアニストの上原ひろみ、サックス・プレイヤーの菊地成孔、Manu Chaoといった面々との豪華コラボ曲も収録し、中でも中納良恵(EGO-WRAPPIN')が参加した「縦書きの雨」はしっとりとしたミディアム・チューンでお互いの良さを最大限に生かした都会的な大人のスカに仕上がっている。スカパラ節が炸裂したアッパーな展開も痛快だが、こういった沁みるサウンドも素晴らしい。アルバム・タイトルが示すとおり、一歩一歩確実に踏みしめてきた今までの彼らの歩みと、これからも自分たちらしい速さで歩んで行く意思を感じる。デビュー23年目、また新たな想いのもとに鳴らされる音はとてつもなく新鮮で煌びやか。(花塚 寿美礼)


流星とバラード

東京スカパラダイスオーケストラが20周年を迎える今年、まず放つのがこのシングル。何と、「美しく燃える森」以来となる奥田民生との2度目のコラボレーションである。都会的で洗練されたスカパラの音に合わせて、奥田民生もこれまであまり見せたことのない大人っぽい歌声が印象的でグッと歌に引き込まれてしまう。少し切なさが滲むこのシングルは、奥田民生の新たな一面を垣間見させるとともに、スタイリッシュな雰囲気を生み出すスカパラのアレンジ、演奏能力の高さを示すシングルとなっている。スピード感はありながらも、それがこれまでの歌モノと違うのは、熱を抑えたスタイリッシュなナンバーであること。スカパラ20 周年がどういう一年になるのか、早速楽しみになる一曲だ。(佐々木 健治)


KinouKyouAshita

スカパラデビュー20周年!記念碑的な今回の4曲入りニュー・シングル。タイトル・ナンバー「KinouKyouAshita」ではFISHMANS の茂木欣一がリード・ヴォーカルを務め、作曲にも参加している。メジャーコードながらもどこか哀愁が漂うメロディと、ダブの手法に乗っ取って強調されているベースのグルーヴが印象的なナンバーだ。「Give Me Back Ball」はスカパラらしいアッパーなナンバーで、曲中盤ではキーボードのソロが炸裂している。そしてシャンソンの名曲、エディット・ピアフ「愛の讃歌」のカヴァーでは、スカパラならではの工夫を凝らしたアレンジがそこかしこに加えられており、正にお見事!な出来栄えだ。更にラストは、「トーキョースカメドレー」のライヴ音源が収録されている。(杉浦 薫)