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INTERVIEW

Overseas

2026年01月号掲載

KULA SHAKER

Member:Crispian Mills(Vo/Gt)

Interviewer:山本 真由 Translator:安江 幸子

KULA SHAKERが再び黄金期を迎えている。前作でオリジナル・メンバーのJay Darlingtonが復帰し、また名盤『K』30周年の節目を迎えるにあたり、バンドは今最高潮にクリエイティヴで活気に溢れている。新作『Wormslayer』はそんなKULA SHAKERの今を象徴するように華やかで力強く、高揚感に満ちたサイケデリック・ロックだ。今回は、そんな新作についてフロントマンのCrispian Millsに詳しく語ってもらった。


常にいい曲、エキサイティングなバンド。それまでとは違ったクリエイティヴなアイディアを模索している


-お久しぶりです。前作『Natural Magick』(2024年)リリース時以来のインタビュー(※2024年1月号掲載)になりますが、前作はオリジナル・メンバーのJay Darlington(Org/Key)が復帰したことで話題性もあり、また作品の内容的にもファンを喜ばせるものであったと思います。前作の反響はなかなかすごかったのではないでしょうか?

そう、あれは作っていてワクワクするアルバムだったね。ファミリーを元通りにして、曲を早く書いて、早く完成させて、オーディエンスに聴かせることでテストして。その一部始終を目の当たりにするという高揚感があった。今回できたばかりのアルバム『Wormslayer』は、そこからの自然な進化なんだ。『Natural Magick』を作ったときはJayが復帰したばかりだったから、ソングライティングを中心に組み立てたものになっていた。『Wormslayer』は、そこに僕たちがライヴでやっていることをブレンドしたものなんだ。今の僕たちのライヴのやり方や、クレイジーになれるチャンスをね(笑)。そういうのを曲に還元させているんだ。

-ライヴといえば前作のリリースに伴うジャパン・ツアー("KULA SHAKER JAPAN TOUR 2024")も大盛況でしたが、来日公演の感想や、日本で印象に残っている思い出等はありますか? また、そこから『Wormslayer』に活かされているものはありますか。

『Natural Majick』を引っ提げてプレイしたライヴや、最近OCEAN COLOUR SCENEと回ったツアーではずっと、バンドがどうすれば上手く機能するのか様子を見ていたんだ。Jayが戻ってきて、それまでとは全く違ったケミストリーが生まれていたからね。あのサウンドを掘り下げて進化させたものを新作に入れたいと思っていた。『Natural Magick』は3分台の曲を中心に構築されていたけど、『Wormslayer』はそこから幅が広がって、もっと壮大な領域に入っていくんだ。

-そうしてあなたがオリジナルのラインナップを改めて探索している間、2025年はOASISの再結成ツアーもあり、ここ日本でも90年代のUKロックに再び注目が集まっていますが、KULA SHAKERにも若いファンの注目が集まっているのではないでしょうか。そういった音楽シーンの盛り上がり等についてはどう考えていますか?

そうだねぇ......音楽はとても周期的なものだからね。ギター・ミュージックは特定のアティテュードがあって、それがリスナーだけでなく、ミュージシャンたちにもアピールするものになっている。(90年代当時のUKロックの盛り上がりは)"バンド"が不足していたことへの反動だったんじゃないかな。シンガー・ソングライターやポップ・アクトが中心で、バンドが蚊帳の外に置かれていた時期が長かったからね。ブリットポップはバンドが一緒にプレイするという意味で、そのムーヴメントの最後にあったんだと思う。
でも今は状況が全く違う気がするね。ブリットポップやギター・バンドは、スタイルというよりも、エネルギーをキャプチャするものとして捉えられている。OASISのギグも"出来事"みたいな、ビッグ・イベントとして捉えられていたよね。あのノスタルジアにはかなりパワフルなものがあるんじゃないかな。みんなが1つになれるからね。ただ、僕たちは、単にノスタルジアに応えるだけのアルバムを作るのは嫌だった。現時点で僕たち史上最高のアルバムを作りたかった。いつもそれを意図してスタジオ入りするんだ。"僕たち史上ベストな作品を作ろうぜ"みたいにね。そうやって自己水準を高く持っていれば、アルバムを作り続けることができるんだ。

-そうですね。新しいファンには、あなたがここしばらく、バンド史上最も多作だということを伝えなければいけませんね。活動の空白期間があったこともあり、2000年~2021年までは20年以上かけてアルバム3枚をリリースしたKULA SHAKERが、なんと2022年~2026年の4年の間にもう3枚ものアルバムをリリースしてしまうことに驚いています。この創作意欲は、いったいどこからくるのでしょうか。

そりゃ、今はKULA SHAKERをやるのにエキサイティングな時期だからさ。みんな燃えているしね。それに、音楽をプレイするのにもエキサイティングな時期だ。世界は今急激な過渡期にあるし、みんなカルチャーやものの考え方に関するこの大きな"シフト"に注目している。クリエイティヴな活動、自己表現活動をしている人にとっては、それが音楽であれなんであれ、エキサイティングな時期だよ。それは、僕たちが岐路に立っているからなんだ。僕たちの未来は想像し得る最悪のものになるのか、あるいはもっとハッピーで、自然体で、平和で、スピリチュアルなものになるのか。今僕たちにある選択肢はそういう感じだと思う。それは、誰もが"古いやり方は崩壊してしまった"と感じているからなんだ。新しいやり方が必要なのは明らかだけど、どんなものなのか、どんな法則に基づくことになるのか。それが今生まれようとしているわけだから、この時期にロックンロール・バンドにいるというのは素晴らしいことだよ。

-たしかに。

ほら、ロックンロールは不況の中で盛り上がるものだからね。それは人々がその状況を打破して脱出したいという必要性を感じるからなんだ。今の考え方を打破することによって、たくさんのクリエイティヴィティへのインスピレーションが生まれる。

-そうですね。そしてアルバムが出るたびに、私たちもエネルギーを貰っています。もちろん通算8作目となるニュー・アルバム『Wormslayer』も。このアルバムはどのような成り立ちで生まれたのでしょうか。最初からコンセプトや"こういう作品を作りたい"といった目標があったのでしょうか?

とにかくサイケデリックなアルバムを作りたかったんだ。というのも、僕たちのライヴの音がすごくサイケデリックになっていたからね。インプロヴィゼーションも増えていたし、......(苦笑)ちょっと待って。子供がピアノでクレイジーになっているんだ(※といってやおら立ち上がる)。......とても上手だよ。うん(※子供に向かって暗に止めさせるような感じの口調で)。......息子が"オペラ座の怪人"みたいな音を出していたんだ(笑)。

-そうだったんですね。何故かこちらには聞こえなくて。次はぜひ聴かせてください(笑)。

(笑)......ライヴでのプレイの流動性が以前よりずっと高くなっていたから、それをアルバムの曲で捉えたかったんだ。曲に呼吸する余地を与えて、バンドにプレイさせて。最初にレコーディングした曲は「Charge Of The Light Brigade」だった。とても新鮮で、それまでとは違った形でアプローチしたよ。ドラムスとアコースティック・ギターを1つのマイクで録ったんだ。ステレオ・マイク。その録音のサウンドが僕たちにとってはとても新鮮でね。彩りやテクスチャが豊かで、これならとてもライヴ感のあるアルバムができるって確信した。サイケなプロダクションやいいアイディアを詰め込んでね。そんな感じで、常にいい曲、エキサイティングなバンド、それまでとは違ったものを与えてくれるクリエイティヴなアイディアを模索しているんだ。

-前作は全体的に踊れるサウンドで、あちらもまたライヴを意識したサウンドのように感じられました。そして今作はより力強くてクラシックなロックが意識されているように感じましたが、サウンド面での方向性はどのように決められていったのでしょうか? 例えば個人的にはサイケデリック×インドというKULA SHAKERの強みがモリモリのTrack.2「Good Money」や、激しくて没入感のあるTrack.10「Wormslayer」が好みなんですが、ご自身のお気に入り曲や、アルバムで注目してほしい点はどのあたりですか?

そうだなぁ......「Wormslayer」はストーリーの自然な結末というかクライマックスなんだ。とてもシアトリカルな第3幕という感じ。7分以上あるし、僕たちにとってはいろいろやってみる背中を押してくれる曲だった。で、この曲でアルバムを締めくくろうかなとも思ったけど、エピローグ的なものがあるほうがしっくりくると考えてね。

-なるほど。

ちょっとした補足部みたいな感じ。1つの物語の終わりというのは、新しい物語の始まりでもあるものだからね。新しい旅に送り出してくれるものが必要ってわけだ(笑)。そういうストーリーテリングのアイディアが気に入っている。「Wormslayer」は間違いなく、ストーリーテリングの1つの形を成していて、テーマを持っていると思う。

-たしかに。壮大なストーリーが展開されている感がありますね。そのタイトルの"Wormslayer"についてですが、私たちにとってはとても目新しい単語でもあります。どんなメッセージが込められているのでしょうか。"worm"は純粋に気味の悪い虫のことなのか、比喩的に意地の悪い人間のことなのか......。

たしかwormという言葉は、もともとは竜を指していたんじゃなかったかな。イギリスがキリスト教化したとき、竜は"worm"に例えられたんだ。腹這いになってぜん動運動で進むからね、サタンみたいに。サタンは蛇の形をしていたから。竜を"worm"と呼ぶことによって貶めていたんだ。取るに足らない生き物みたいにね。で、イングランドの北東部に伝わるある物語では、騎士が竜を斬り倒すんだ。ニューカッスルあたりの話だよ。"The Lambton Worm(ラムトンのワーム)"っていうんだ。だから僕にとっては"worm"=竜で、このアルバムではその竜が自分自身を露わにすることについて歌っている。"戦いは始まった!"みたいなね。
そして、wormにはもう1つ意味があって、それはその反対なんだ。僕にはあまり理解できなかったんだけど、シェイクスピアから来ていてね。"wormがひっくり返る(the worm is turning)"という言葉があるんだ。とてつもなく惨めでちっぽけな生き物でも、どこかの時点で反撃に出ることがある。あまりに追い詰められると、この上なく哀れな生き物でも反撃に出る。そして"worm"はひっくり返ると"slayer(斬り倒す人)"になるんだ(笑)。