Japanese
YUKI
2019年02月号掲載
Writer 高橋 美穂
YUKIが9thアルバム『forme』(読み:フォルム)を2月6日にリリースする。今作について、彼女はこのようなコメントを寄せている――"『forme』は自分のための2回目のソロデビューのような、フレッシュなアルバムになりました"。1stアルバム『PRISMIC』がリリースされたのは、2002年のこと。彼女はソロ・デビュー以前から、JUDY AND MARYの紅一点ヴォーカリストを担って頭角を現し、音楽に留まらず、カルチャーをも牽引するようなポップ・アイコンとなって、90年代を駆け抜けてきた。そうやって世の中に印象づけてきた"YUKIらしさ"を、彼女は『PRISMIC』で自ら鮮やかに壊し、まさに多面体を見せつけた。
それから17年。冒頭のようなコメントを寄せるアルバムが完成した。"2回目のソロデビュー"とは言っても、YUKIのことだから"原点回帰"なんて簡単な言葉では片づけられない作品になっているはずだ。だとしたら、彼女自身が、シンガーとして、アーティストとして、"フレッシュ"な気持ちで取り組んだというところが、今作の肝となるのだろうか。
ミュージシャンたちの色とりどりな作曲とYUKIの親和性
『PRISMIC』を皮切りに様々なアーティストと制作を共にしてきた彼女。今作も"再びYUKIが自分自身のために、一緒に音楽を作りたいと敬愛するミュージシャン達に作曲をオファー"したという。聴いてみると、たくさんのアーティストが参加しているということで、それだけ色とりどりな楽曲になっている。せっかくなので、ここからは1曲ずつ紹介していきたい。
アルバムのオープニングを飾るのは「チャイム」。作曲はHALIFANIE、編曲は百田留衣(agehasprings)、南田健吾(onetrap)というこれまでの彼女の作品に関わったことのある鉄壁の布陣で固められている。爽やかさの中から"若くもなく老いてもいない/だけど ドキドキがうるさい"という彼女のリアルを歌ったような歌詞がキラッとこぼれてくるところが印象的だ。
Track.2は「トロイメライ」。作曲と編曲はCHI-MEYが担当した。NHK Eテレ"ノージーのひらめき工房"で、歌ったり工作したりおしゃべりしたりしているお兄さんとしてもお馴染みだ。それだけにポップで弾けた曲かと思いきや、しっとりとした、でも明るいバラード。どんなやりとりがあってここに至ったんだろう? と想像することも楽しい。また、この楽曲にある"初めての恋をした"という歌詞は、彼女に似合い続けるキラー・フレーズだと思う。
Track.3の「やたらとシンクロニシティ」は、曲名からYUKIにぴったりの言い回しだと思うが、曲調の軽やかさもたまらない。作曲は「STARMANN」(2013年リリースのシングル表題曲)などでも楽曲提供した小形 誠で、YUKIの世界観との阿吽の呼吸にも納得。ドラムの佐野康夫を筆頭に、極上の演奏も堪能できる。
Track.4は「魔法はまだ」。作曲は吉澤嘉代子で、かつて『魔女図鑑』という作品もリリースしていたが、今回の曲名もそこにまつわるものだったりするのだろうか。吉澤もYUKIもまったく違う個性を持つアーティストだが、"魔法"という言葉が似合うというところでは共通していると思う。歌詞に出てくる"VHS再生不可能"といった懐かしい言葉や、"湯の川神社"というYUKIの地元である函館の神社の"湯倉神社"を思わせる(湯倉神社は湯の川温泉にあるため)言葉を聞くと、この曲は彼女の回想がモチーフにあるのかもしれない。
Track.5は「しのびこみたい」。作曲、そしてバックグラウンド・ヴォーカルなどでも活躍しているのは西寺郷太(NONA REEVES/Vo)だ。YUKI自身もタンバリンやクラップなどで参加しており、スタイリッシュなバンドの演奏と、アウトロのソウルフルなシャウトからは、大人のバンド・サウンド、歌声の魅力が伝わってくる。
Track.6は「ただいま」。堀込泰行が作曲したこの曲は、"ただいま 峠の我が家"というフレーズが印象的なほっこりしたサウンドだ。YUKIは以前から郷愁を歌うことが似合うシンガーだと思っていたが、この楽曲は彼女の歌声そのものがふるさとのように聴こえるほど、柔らかな温かさを誇っている。
Track.7「口実にして」の作曲は前野健太が手掛けた。昭和の恋愛のような情景をウィット交じりに描きながら、"検索"、"ピンクのコンバース"といった鮮やかなキーワードを交えていくセンスが素晴らしい。石橋英子のピアノとフルートの切ない音色もハマっている。
Track.8は「風来坊」。作曲は津野米咲(赤い公園/Gt/Cho)、編曲はトオミヨウで、グッとサウンドがフレッシュに。でも、歌っている言葉は"風来坊"。その飄々としたバランス感覚はYUKIならではだと思う。
Track.9の「転校生になれたら」は、川本真琴が作曲。YUKIと同時代に頭角を現した女性シンガー・ソングライターが作曲というところと、"転校生"という歌詞は繋がっているのだろうか? なんて想像せずにはいられない。"海王星"、"転校星"と言葉が転じていく、ノスタルジックに留まらないミラクルを発揮している展開にも注目だ。
Track.10は「Sunday Girl」。作曲のみならず、サウンド・プロデュース、そしてバックグラウンド・ヴォーカルも担当しているのは細野晴臣だ。というわけで、たまらないほどに"細野節!"の楽曲だが、そこにぴったりとYUKIの歌声がハマっていることが新鮮。少なくともデビューのころは、彼女がこういった楽曲も似合うシンガーになるとは思わなかった。彼女の現在地のひとつを象徴する楽曲だと思う。
Track.11「百日紅」の作曲は尾崎世界観(クリープハイプ/Vo/Gt)。落ち着いた曲調の中で際立つ"流れる血が 私を女だと知らせる"という歌詞にドキリとさせられるが、尾崎世界観の泥臭さ、生々しさをYUKIも内包しているということなのだと思う。改めてYUKIは貴重な女性シンガーだと感じずにはいられない。
Track.12は「24hours」。作曲は盟友、Charaが手掛けた。Charaのライヴなどでも活躍する名越由貴夫がギターを弾いているということもあって、"Charaワールド全開!"なのだが、聴いているとYUKIの歌以外は絶対にハマらないような印象を受けるから不思議。YUKIとCharaの重なり合うところ、そして確固たる個性を思いながら聴き込みたい。
ラストの「美しいわ」は作詞作曲、編曲もYUKI。ギター1本をバックに裸の歌声を響かせるようなフォーキーなナンバーで、"穏やかな心を 優しい歌を/歌いながら 私は変わっていく"、"変わっていくわ/美しいわ"と彼女自身の気持ちが素直に映し出されたような歌詞が綴られている。
そう、彼女の歩み、そして今は、気高いと言えるまでに美しい。変化を恐れず、音楽と人を愛し、前を見て進んでいく。そんなYUKIの核が瑞々しく剥き出しになっているという意味で、今作はとても"フレッシュ"だ。3月からは、今作を引っ提げて4年ぶりのホール・ツアー[YUKI concert tour "trance/forme" 2019]も開催される。フレッシュな今のYUKIのパフォーマンスをぜひ生で体感してみてほしい。
▼リリース情報
9thアルバム
『forme』
[EPIC Records Japan]
2019.02.06 ON SALE
※封入:[YUKI concert tour "trance/forme" 2019]チケット先行抽選チラシ(応募締切:2月11日)
【初回生産限定盤】CD+DVD
ESCL 5180~1/¥3,800(税別)
※紙ジャケット仕様
amazon TOWER RECORDS HMV
【通常盤】CD
ESCL 5182/¥3,000(税別)
amazon TOWER RECORDS HMV
【完全生産限定盤】2LP
ESJL 3115~6/¥3,500(税別)
※2019年3月13日(水)リリース
※曲目は通常盤CDと同内容
amazon TOWER RECORDS HMV
[CD]
1. チャイム
2. トロイメライ
3. やたらとシンクロニシティ
4. 魔法はまだ
5. しのびこみたい
6. ただいま
7. 口実にして
8. 風来坊
9. 転校生になれたら
10. Sunday Girl
11. 百日紅
12. 24hours
13. 美しいわ
[DVD] ※初回生産限定盤のみ
1. チャイム(Lyric Video)
2. トロイメライ(Music Video)
▼ツアー情報
[YUKI concert tour "trance/forme" 2019]
3月9日(土)神奈川 厚木市文化会館 大ホール
3月10日(日)神奈川 厚木市文化会館 大ホール
3月19日(火)埼玉 大宮ソニックシティ 大ホール
3月20日(水)埼玉県 大宮ソニックシティ 大ホール
3月28日(木)大阪 フェスティバルホール
3月29日(金)大阪 フェスティバルホール
4月6日(土)福岡サンパレス ホテル&ホール
4月7日(日)福岡サンパレス ホテル&ホール
4月20日(土)石川 本多の森ホール
4月21日(日)石川 本多の森ホール
4月28日 (日) 神奈川県民ホール
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5月11日(土)仙台サンプラザホール
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5月18日(土)広島文化学園HBGホール
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5月31日(金)神戸国際会館こくさいホール
6月1日(土)神戸国際会館こくさいホール
6月8日(土)札幌文化芸術劇場 hitaru
6月9日(日)札幌文化芸術劇場 hitaru
6月15日(土)東京国際フォーラム ホールA
6月16日(日)東京国際フォーラム ホールA
7月6日(土)名古屋国際会議場 センチュリーホール
7月7日(日)名古屋国際会議場 センチュリーホール
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