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LIVE REPORT

Japanese

MAN WITH A MISSION

Skream! マガジン 2024年01月号掲載

2023.12.17 @さいたまスーパーアリーナ

Writer : 吉羽 さおり Photographer:Daisuke Sakai

2023年、約4年ぶりとなるワールド・ツアー"MAN WITH A MISSION World Tour 2023 ~WOLVES ON PARADE~"を開催したMAN WITH A MISSION。3月に"LIVE HOUSE MISSION"と題したジャパン・ツアーでツアーをキックオフし、5月には北米、イギリス&欧州のワールド・ツアーへ。再び日本へ戻って7月からは"HALL MISSION"と続き、9月にはアジアへ、11月よりアリーナ・ツアー"ARENA MISSION"と、1年を通し世界を股に掛けたツアーとなった今回。そのツアー・ファイナルが、12月17日にさいたまスーパーアリーナで行われた。

今回のワールド・ツアーのキー・ヴィジュアルは、"空飛ぶクルマ"SkyDriveとコラボし、宇宙服姿の狼たちが宇宙遊泳し、またSkyDriveに乗って各国へと飛来していくというイメージ。ライヴのオープニングでは、ステージの上からこのSkyDriveを模した巨大な機体が降りてきて、メンバーがそこからステージへと降り立ったような登場となった。アリーナらしいスケール感の大きな演出に、会場をみっちりと埋めた観客が沸き立ったのは言うまでもない。アグレッシヴなアンサンブルで観客の身体を揺さぶっていく「database」でスタートしたライヴは、ツアー集大成に相応しく映像、照明やレーザー、特効など盛りだくさんで、鍛え上げてきたバンド・アンサンブルをさらにダイナミックに轟かせた。アリーナでのMAN WITH A MISSIONは何度か観てきているが、改めて大きなステージが似合うロック・バンドだなと思う。コロナ禍を経て声出しなどライヴでの制限がなくなり、1曲目の「database」、続く「Seven Deadly Sins」と観客のシンガロングのボリュームは上がっていく一方で、会場内は早くも熱気に溢れている。

"楽シミニシテキタノカ、コノヤロー。ヤレンノカ、アリーナ!......ト、煽リニ煽リマクッテ、人様ノ曲ヲヤリマス"とJean-Ken Johnny(Gt/Vo/Raps)が盛り上げプレイしたのは、Dragon Ash「Fantasista」のカバー。さらに会場のボルテージが上がったところで、「Merry-Go-Round」から、Spear Rib(Dr)の強力なタテのビートでドライブするロックンロール「Take What U Want」へとなだれ込む。突き進んでいくビートに合わせて上がっていく興奮に、アリーナ、スタンド共に拳と頭とがガンガン振られ、観客が大きく波打つような光景が生まれている。どちらかと言えばライヴハウスが似合うダーティでパンキッシュな「Take What U Want」だがアリーナに響きわたるこの爆音もいい。

序盤からぶっ飛ばしてきたその息を整えるように、改めて集まった観客へ挨拶をしたJean-Ken Johnny。日中、この会場でポケモンのイベントがやっていたということで、"間違ッテ(MAN WITH A MISSIONのライヴに)来テナイデスカ?"と言う。フロアから上がってくる声に"誰ガポケモンダ!"とツッコむなど、曲間でいろんなところから声が飛び交うのもコロナ禍ではなかったもので、いつものライヴが帰って来たことを実感する。そしてこのライヴの数日前にロサンゼルス・ドジャースへの入団会見をした大谷翔平に触れ、(ロサンゼルス・)ドジャースのチーム・カラーにちなみ"次ノ曲ヲ大谷選手ニ捧ゲマス"とブルーの照明のなか「blue soul」をエモーショナルに描いていく。ドラマチックに景色が広がっていくアンサンブルとTokyo Tanaka(Vo)のパワフルなヴォーカルに、観客たちはスマホのライトで応え、静かな光が会場を包んでいく。アンセミックなこの曲から、ライヴではテッパンの「Emotions」では炎の特効も加わって会場を灼熱と化すと、AC/DCのカバー「Thunderstruck」でエレクトリックな雷を落としていった。

Spear RibとDJ Santa Monica(Djs/Sampling)によるセッション(Michael Jacksonをフィーチャーし、最後はふたりがムーンウォークを披露)、VTR(ミッション動画"スペア・リブ断食道場ミッション")、そしてJean-Ken Johnnyとサポート・ギタリスト E.D.ヴェダーとのアコースティック・セッションで「evergreen」を歌い上げ、ライヴは後半戦へと突入した。スクリーンには、コロナ禍の陰鬱で閉塞感のある世界から、人々がマスクを脱ぎ捨てていく映像が映し出される。この数年間の人々の経験を昇華するように、「yoake」で始まった後半は2023年を締めくくるようなパワフルなダンス・チューンを連投。"今年一番ノジャンプヲ見セテクレマスカ、サイタマスーパーアリーナ"というJean-Ken Johnnyの言葉で、大サビで一斉にジャンプをした「Hey Now」からTokyo Tanakaが大きくタオルを振り回して会場を盛り上げる「DANCE EVERYBODY」へと、アリーナとスタンドを埋める観客が波打っていく景色が最高だ。

人生はやり直しがきかないからいい。人間、唯一平等なのは時間で、前にしか進めないもの。だからこそ人生はもどかしく、儚く、美しい......Jean-Ken JohnnyのこんなMCに続いて、「Remember Me」がアンセミックに響き渡る。一体化した会場に投下した「INTO THE DEEP」では、Kamikaze Boy(Ba/Cho)がステージを大きく動きながらその低音でジャンプを起こした。演出や特効(炎やテープ、爆発まで)を山盛りにして盛大に放ったのは、この曲がなければ終われないだろう「FLY AGAIN -Hero's Anthem-」。観客が一斉に手を上げてダンスし、会場に興奮と多幸感が充満するなか、Jean-Ken Johnnyの"アリガトウゴザイマシタ!"の声が響き渡り本編を締めくくった。

またこの日のアンコールでは、サプライズでmiletが登場。"テレビアニメ「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編"のオープニング主題歌はMAN WITH A MISSION × miletで「絆ノ奇跡」、エンデイング主題歌はmilet × MAN WITH A MISSIONで「コイコガレ」を担当し、4月の配信開始から数ヶ月でストリーミング累計再生回数1億回を突破し、伸び続けている。これまで音楽番組では両者のコラボで披露されてきたが、ライヴでは初めて。まずは「コイコガレ」を、そして「絆ノ奇跡」を演奏したが、"やっと歌えましたね"というmiletの弾むような言葉に、観客の歓声も大きい。年末の"NHK紅白歌合戦"でもこの2曲を歌うことが発表されたが、そのステージにも期待したい。1年間、世界を駆け巡ると共に、この先へのいい高揚感を湛えて"WOLVES ON PARADE"は無事に、幕を下ろした。

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