Japanese
MAN WITH A MISSION
2017年11月号掲載
Writer 山本 真由
19XX年、戦乱の世に地球の最果てエレクトリックレディーランドの天才生物学者、ジミー・ヘンドリックス博士によって生み出された、究極の生命体――それがこの"MAN WITH A MISSION"というバンドである......なんていう、壮大でSFチックなストーリーを忘れそうになるくらい、近年当たり前のように、お茶の間にそのチャーミングな魅力を振りまいている"オオカミバンド"、MAN WITH A MISSION(通称:マンウィズ)。
ちなみにメンバーの見分け方は、舌が右に出ているのがTokyo Tanaka(Vo)、左に出ているのがDJ Santa Monica(Djs/Sampling)、顎がちょっとしゃくれてるのがJean-Ken Johnny(Gt/Vo/Raps)、目が上を向いてるのがKamikaze Boy(Ba/Cho)、笑っているように口を開けているのがSpear Rib(Dr)。
そんな見た目のキャッチーさからは意外なほど、実はそのルーツは硬派で、バンド名は"パンク・ロック・ゴッドファーザー"とも謳われる重鎮 BAD RELIGIONの楽曲「Man With A Mission」から付けられたものだし、頭がオオカミで身体が人間という彼らのルックスもBAD RELIGIONの名盤『Recipe For Hate』(1993年リリース)のジャケットに描かれている獣人そのものなのだ。そして、その音楽性も90年代のパンク・ロックやグランジ、オルタナティヴ・ロック、ミクスチャーなどにルーツを感じさせる骨太なロック・サウンドなのである。また、そんなヘヴィな楽曲にダンス・ミュージックやポップなメロディを掛け合わせることで、見た目のかわいらしさ(!?)同様、親しみやすくノリやすい音楽性に仕立てているというのもまた、彼らの魅力だ。
そんな彼らの本格的な音楽活動は、2010年に始まった。ミニ・アルバム『WELCOME TO THE NEWWORLD』で、センセーショナルに全国デビュー。ちなみにそのリリースの際は、Skream!でもファースト・コンタクトとして彼らにインタビューを敢行し、なぜかいきなり表紙まで飾っている(※2010年10月号)。当時は、"デビュー作はたしかにカッコいいけど、イロモノでしょ?"という印象を持ったリスナーが多かったのではないだろうか。しかし、そんな世間の目をよそに、彼らは2011年には東日本大震災の被災者に向けたチャリティー・シングルをリリースするなど、人間らしい(?)一面も見せ、ついにはメジャー・デビューも果たす。そして、その中毒性のあるダンサブルな楽曲と、確かな技術に裏打ちされたパフォーマンスで、どんどんと"ガウガウ"旋風をライヴ・シーンに巻き起こし、ファン・ベースを拡大していったのだ。
そして、TAKUMA(10-FEET/Vo/Gt)をフィーチャリングしたシングル表題曲「database feat.TAKUMA(10-FEET)」(2013年リリース)がアニメ"ログ・ホライズン"の主題歌にもなり、さらに活動の幅を広げていく。その後も数多くの音楽番組への出演や、シングル・リリースのたびに発表されるアニメや映画、CMタイアップなど、様々な話題を振りまき、もはやライヴ・シーンやロック・ファンにとどまらず、お茶の間の人気者としての地位も確立。"マンウィズは曲が洋楽嗜好で玄人好みだから聴いてます、あのルックスは関係ありません!"なんてカッコつけて聴いてた音楽マニアも、気づけば一緒に"ガウガウ"楽しんじゃってる......なんてことも(笑)。
また、今年1月にリリースされたシングル『Dead End in Tokyo』は、FALL OUT BOYのPatrick Stump(Vo/Gt)をプロデューサーに迎えた表題曲のほか、BOOM BOOM SATELLITESの中野雅之(Ba/Prog)をプロデューサーに迎えた楽曲「Hey Now」や、電気グルーヴの石野卓球によるリミックスも収録された、非常に豪華な内容。まさに、無国籍且つジャンル・ミックスなマンウィズならではの人脈というか、ロックとダンス・ミュージック双方の魅力を併せ持ったアーティストたちによる夢の合作といったところだろう。そして、この秋にはJIMMY EAT WORLDやSTONE SOURといった海外の大物バンドと北米ツアーを敢行し、日本を代表するロック・バンドとしての国際的認知も高めている。
細やかな表現で垣間見せる人間性(?)と、人間離れした器用さの両立で実現した多様なサウンド
そうした躍進を続け、"見た目はオオカミなのに、めちゃくちゃクールな音を鳴らすバンド"という、唯一無二の立ち位置をロック・シーンに確立してきたマンウィズ。そんな彼らが、今回またもやその音楽性の柔軟さを見せつける、ニュー・シングル『My Hero/Find You』を完成させた。Track.1は、オーケストレーションを用いつつ、モダン・ロック調のヘヴィなベースがうねる、壮大なラウドロック・ナンバー「My Hero」。そして続くTrack.2は、エモーショナルなメロディを軸にしっとりと聴かせるバラード「Find You」。マンウィズの2面性がよく表れたこの2曲を表題に掲げる、彼らにとって初の両A面となるシングルだ。
そんな今作のアッパー・サイドの楽曲「My Hero」は、あの"GANTZ"で有名な漫画家、奥 浩哉原作のアニメ"いぬやしき"のテーマ・ソングになっているのだが、冴えない初老の男性が主人公という、人間の哀愁や苦悩も描いた異色のSF作品にピッタリハマった、ドラマチックな楽曲となっている。葛藤を抱えたヒーローを描いた歌詞の世界観ももちろんだが、複雑に絡み合う心理が繊細なアレンジと各パートに盛り込まれた様々なエッセンスで表現された、バンド・サウンドでしか表せないストーリー表現が駆使されているのだ。パワフルでグルーヴィなロック・サウンドを全面に打ち出したナンバーだが、エモっぽいリフを混ぜたり、高揚感のあるストリングス、あたたかみのある管楽器のサウンドを効果的に使ったりすることで、一筋縄ではいかない心の機微をうまく表現している。
そして、続く今作のメロウ・サイドの楽曲「Find You」。こちらは、まもなく11月25日より全国公開の青春映画"覆面系ノイズ"のエンディング・テーマとなっているのだが、劇中に登場するバンド"in NO hurry to shout;"の作詞作曲をマンウィズが手掛けていることも話題になっている。そして、この「Find You」は全編日本語詞で、オオカミが書いたとは思えないほど、ピュアで清々しい内容だ。そして、その詞世界にマッチした、シンプルでハートフルなメロディを丁寧に紡いだ、彼らにとっては新機軸とも言える歌モノのロック・ナンバーとなっている。
それから、カップリング曲であるTrack.3「Mr. Bad Mouth」も、これがシングル曲でもおかしくないほどキャッチーでクールなデジタル・ロック・ナンバーとなっている。両A面のどちらの表題曲とも雰囲気の違う、こういう楽曲を入れてくるのもマンウィズならではというか、引き出しの多い彼ららしいニクい演出だ。さらに、Track.4には2016年にリリースしたシングル表題曲「Memories」のリミックス・バージョンを収録。海外でも評価の高いテクノ・ミュージシャン Ken Ishiiによる、ドリーミーでスタイリッシュなリミックスとなっている。
これだけ多彩で話題性の豊富な楽曲が詰まった今作。これまでの集大成的でもあり、新たな表現もあり、ますますオオカミたちの器用さというか、"究極生命体"としての実力を痛感させられる作品だ。今作のリリース後には、全国ツアー"Dog Days Tour 2017"を開催することが発表されており、12月にはさいたまスーパーアリーナでの2デイズという大規模公演も控えている。ということで、ちょっと乗り遅れてたそこのアナタも、そろそろ一緒に"ガウガウ"しちゃう!?
▼リリース情報
MAN WITH A MISSION
ニュー・シングル
『My Hero/Find You』
2017.11.01 ON SALE
[Sony Records]
![]()
【初回生産限定盤】CD+DVD
SRCL9551-52/¥1,700(税別)
amazon
TOWER RECORDS
HMV
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【通常盤】CD
SRCL-9553/¥1,200(税別)
amazon
TOWER RECORDS
HMV
【CD収録楽曲:初回生産限定盤&通常盤共通】
1. My Hero(フジテレビ[ノイタミナ] アニメ"いぬやしき"オープニング・テーマ)
2. Find You(映画"覆面系ノイズ"エンディング・テーマ)
3. Mr. Bad Mouth
4. Memories [Ken Ishii Remix]
【DVD収録内容:初回生産限定盤】
1. Dead End in Tokyo Extra Tour Documentary(2017.4.1 マリンメッセ福岡)
2. ジャン・ケン・ジョニー 日雇いバイトで 日銭を稼ぐ!! ディレクターズカット版
3. フジテレビ"ノイタミナ"アニメ「いぬやしき」ノンクレジットオープニング映像
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