THE BACK HORN 松田晋二の"宇宙のへその緒"【最終回】
2025年06月号掲載
【最終回】
長い間、宇宙のへその緒を愛読してくださった皆さん、どうもありがとうございました。最終回となります今回は、編集後記のような内容でお届けしたいと思います。このコラムのお話をいただいた10年ほど前、久しぶりにサッカーにハマり出し、プライベートでもサッカーをするようになっていたタイミングでしたので、小学校からのめり込んでいたサッカーを題材に、幼少時代を描きながら半自伝的な内容で書かせていただこうと思い、このコラムがスタートしました。
実際に幼少時代の記憶の蓋を開け出すと、決して懐かしいだけでは片付けられないドス黒いものが溢れ出してきました。当時の感情や映像に触れながら今だからこそ分かる自分の想いを書き綴っていくことで、あの時の自分自身ともう一度向き合えたのはとても貴重な経験でした。福島の片田舎で暮らしながら感じた息苦しさや、家族の温かさ、子供から大人の入り口に入っていく中での仲間との人間関係、きっと少なからず誰もが経験する世界と自分の距離感みたいなものを、あの頃の自分は必要以上に感じ過ぎていたのだと思います。(独りよがりな被害妄想めいたものに取り憑かれていたのかも知れません)総じて、だいぶ拗らせていた少年時代だったと言ってしまえばそれまでですが、今このような形で音楽の世界で生きて、作り上げる作品や表現にそれらが深く影響しているのは間違いないと思うと、全部が正解だったんじゃないかなと思います。人の性格や人格、価値観のようなものはいつでも変えることができるはずだし、はたまた大部分はもう変えられないものなのかもしれません。
戻ることはできない人生の中で、あの時の選択の全てが今に繋がっていると思えるようになったのは、恥ずかしながらこのコラムで沢山の記憶や思い出たちと向き合えたからなんじゃないかと思います。重い重い記憶の蓋を開けるのは、少し苦々しくもあり清々しいものではありませんでしたが、一回ずつ形になっていく過程で、あの頃の黒い影が少しずつ晴れていくような感覚もあり、このコラムを書かせていただいたことで、あの頃の自分も少し救われたように思います。
果てしない宇宙の中でこの星に生まれ、この時代を生きて今こうして沢山の人たちと繋がり合える自分でいれることに改めて深く感謝したいと思います。このコラムでは、自分が音楽を目指すきっかけにいたる所までは書ききれませんでしたが、またどこかでこの物語の続きを皆さんにお披露目できる日が来た時にはどうぞまた目を通してやってください。支えてくださった編集部の方々、スタッフの皆さん、ファンの皆さん、たまたまこのコラムに目を止めてくださった皆さん、長い間本当にありがとうございました。
引き続き、THE BACK HORNと松田晋二を応援よろしくお願いいたします。
それでは、またどこかでお会いする日まで......。
〈終わり〉
THE BACK HORN
1998年結成。"KYO-MEI"をテーマに、聴く人の心を震わせる音楽を届けていくという意志を掲げる4人組ロック・バンド。2001年、メジャー1stシングル『サニー』を発表。以降、そのオリジナリティ溢れる楽曲の世界観からクリエイターとのコラボレーションも行う。2024年3月には初のパシフィコ横浜公演を実施。2025年1月に最新アルバム『親愛なるあなたへ』をリリース。6月14日には改修前最後となる日比谷公園大音楽堂公演"THE BACK HORN「爆⾳夢花⽕2025」〜LAST 野⾳ NIGHT〜"を開催する。
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