Japanese
THE BACK HORN
Skream! マガジン 2016年07月号掲載
2016.06.12 @新木場STUDIO COAST
Writer 石角 友香
約4ヶ月に渡り、全国35公演をまるで踏破してきたかのような、そして各地の思いをすべて抱えて新木場STUDIO COASTに辿り着いたような旅の終わりの清々しさがそこにはあった。人間の内面の深く黒い部分に手を突っ込んだ、まさにTHE BACK HORNにしか鳴らせない世界観をバンドのキャリアを積んだうえで表現したニュー・アルバム『運命開花』のツアーである。2時間もの間、ただいるだけで汗が滴り落ちるサウナにいるような状態の会場を心地よいと思えたのは、ここにいるファンがTHE BACK HORNの本質を愛し、そしてメンバーも歌い、ファンも歌い返すような魂の交歓があったからこそだと思う。
菅波栄純(Gt)の手によるイマジネーションに富むエレクトロニックな入場SEに乗せ、何かに弾き出されるように勢いよくステージに登場した4人はすでに笑顔。演奏が始まる前からテンション・マックスなコーストに響いた第1音は、アルバムのオープニング同様「暗闇でダンスを」のジャジーなイントロ。楽器の音、そして山田将司(Vo)の歌が非常によく聴こえる。削ぎ落とし、磨き抜かれたアンサンブルに乗る山田の演者としてのしなやかな動きも美しい。一転、クランチなリフで一気にクラウドが前方に押し寄せる「ダストデビル」、「戦う君よ」と歌詞の持つ世界が新曲から繋がりを見せ、ラストのヴァース"あの空を目指してゆけ"の大合唱が起こる。松田晋二(Dr)がファイナルを迎えられた感謝の言葉を短く発し、バンドは『運命開花』の世界観をさらに色濃く表現していく。バンド・ストーリーの現在進行形とも取れる「その先へ」のヘヴィネス、ブレイク、山田の歌が際立つバンド・アンサンブルの抜き差しは過去最高なのではないか。続く岡峰光舟(Ba)のド級に重いフレーズからスタートし、タイトに刻まれる松田のビートが漆黒と血の色のグルーヴを作り出す。しかしそのグルーヴに贅肉はまったくない。モダンな音像のアルバムにライヴのダイナミズムが加わっているものの、やはり随所でブラッシュアップされたアンサンブルに胸のすく瞬間が何度も訪れる。そんな美しいシェイプで聴く「コワレモノ」は、山田のトーキング調のヴォーカルも、THE BACK HORN流儀のファンクと人力テクノ的な菅波のギター・ループもよりシャープ。もはやアンセムにすら聴こえるこの曲もどんどんファンが声を出し歌い、今ここで生きていることを全力で表していた。1曲1曲が描く情景と世界観を大事にしつつ、表出される熱量は凄まじい。当たり前といえば当たり前だが、ここにいるファンは『運命開花』の方向性に快哉を叫んだ筋金入りの"THE BACK HORNファン"だということを実感する。
そのことを確信したのが山田の語りから始まる映画的な「シュプレヒコールの片隅で」。歌詞が描く情景をフロア自体が各々の胸の内で投影している、そう思った。前半、小さなサークル・モッシュをしていた前方のファンですら立ち尽くして聴き入る。どれだけこのアルバムがすでに聴き手のものになっているのか。その真剣な眼差しに応えるように、エンディングに向かうフロント3人のコーラスがイノセントな美しさを放った。そのエンディングに重なるように菅波のフィードバック・ノイズとカオティックなリフが鳴り響き、『運命開花』の発端でもあり、今回のツアーの肝でもある「悪人」が演奏される。緊張感とともに、"あの悪人はきっと僕だ"という必殺のフレーズに感銘というと変だが、"こういう曲を作れるのはTHE BACK HORNだけだ"という、ファンの絶大な信頼が、このドラマチックに展開する曲に、ライヴでさらにギラッギラの生命力を送り込んでいるように見えた。演じているように見えるギリギリのところで成立する"有罪 有罪 有罪 有罪"と"わかってる"の独白。メンバーもファンも真剣にこの曲を楽しんでいるのが何より印象的だった。そんな信頼関係、他のバンドのライヴで見たことはない。
「悪人」のあとに、アイリッシュと日本の神話的世界をギター・リフで紡ぐ、リリカルな「君を守る」を配置したこと、「冬のミルク」の"白さ"を今もそのままに表現できる4人のある種の不器用さに感動した。さらに畳み掛けるように「美しい名前」を持ってきたあたりで、"ずるい!"と言いたくなるほど、THE BACK HORNの本質が新曲の中でも最も濃い「悪人」からのひとつの流れで、美しいも汚いも、強いも弱いもすべては"生きている実感"として、静かに収斂していった、個人的ハイライトでもあった。
そんな美しい流れに照れがあるのか、ツアー・タイトルに掛けて"運命イカイカ"というグッズを提案したけど却下されたと笑いを取る山田。生真面目担当(?)松田が制するように"全国各地を回ってきて、1ヶ所1ヶ所の思いを繋いできた35本目"と言い、菅波が"聖火リレーみたいなもんだ"とこぼすとフロアからは惜しみない拍手と歓声が上がった。ステージをブルーのライトが照らす中、瑞々しいサウンドがこれからも続く道を照らすような「tonight」が。もう完璧すぎるぐらいの流れじゃないか。終盤は必殺のキラー・チューン「魂のアリバイ」、「シンフォニア」、「刃」で再びフロアが沸騰していく。誰もが今ここで生きていることを全身全霊で表している。松田が本編ラスト前に"またどこかで生きていることを実感したいと思います。また生きて会いましょう!"と言い終わると同時に、デビューしたばかりのバンドと見まごうフレッシュさな高速2ビートの「カナリア」で、物語性を肉体化したこのツアー・ファイナルの本編は幕を閉じた。ダブル・アンコールにも応え、最後は「無限の荒野」で締めくくった4人。全力でツアーを完遂したTHE BACK HORNは、バンドとしてさらに包容力を増していた。
ステージ上もフロアも滝のような汗を流しながら笑顔に満ちている。くどいようだが"あの悪人はきっと僕だ"と思える感性を持った人たちが集まらなければ、この笑顔や信頼関係は生まれない。人間の本質を曝け出しながら強く、そして洗練されていくこのバンドの貴重さを知った夜だった。次回はストリングスとの共演を11月より開催するツアー"KYO-MEIホールツアー"で行うTHE BACK HORN。生きている喜びが色や温度を変えて、また感じられることだろう。
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