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INTERVIEW

Japanese

THE BACK HORN

2016年10月号掲載

THE BACK HORN

Member:山田 将司(Vo) 菅波 栄純(Gt)

Interviewer:石角 友香

THE BACK HORN24枚目のシングル『With You』亀田誠治をプロデューサーに迎え、ピアノやストリングスも加わったバラード......という字面だけでは到底伝わりきらない作品が完成した。バンドとオーディエンスが心の限り叫び歌い、共振し合った『運命開花』のツアーを経たからこその自信と、昨年から今年にかけてのバンドのモードが、アルバムとは違うサウンドやテーマでありながら、地続きで刻まれた今回のシングル。このシングルとライヴDVDが同日リリースされることは大きな意味がある。今回は、嬉しい驚きに満ちたシングル『With You』について菅波と山田にじっくり話を訊いた。

-今作は、THE BACK HORNのキャリア史上最も驚いたシングルです。

菅波:おっしゃー! 嬉しいね。

-そもそもどういう経路でできたのか、もしくはこういうシングルを作ろうとしていたのか。非常に興味深いのですが。

菅波:今思えばですけど、予兆というか――この「With You」(Track.1)って、タイトルだけ前回の『運命開花』(2015年リリースの11thアルバム)のアイディア出しのときに(山田)将司が思いついて言っていた言葉なんです。"With You"って言葉が出た時点で、"なんかいいな"と思って携帯電話にメモしてたんですね。『運命開花』はリリース前にアルバムができていくストーリーみたいなものをSNSに投稿してて、そのときに"『運命開花』はTHE BACK HORNなりのラヴ・レターだ"って書いたんですよ。曲調は決して明るいものではないし、むしろ孤独感も浮き彫りになってくるような作品だったりするし。特に「悪人」(『運命開花』収録曲)とかそうなんですけど、THE BACK HORNなりに愛の形を描いた自負はあるんです。それで、アルバムを携えたツアー(※2016年2~6月に開催した"THE BACK HORN「KYO-MEIワンマンツアー」~運命開歌~")は自分たちとお客さんとの結びつきがどんどん強くなってるなって、人と人との繫がりを実感できたツアーでもありました。ツアー中に今回のシングルをリリースすることは決まってて、スタッフ的にも"そろそろバラードでも出しませんか"みたいな提案もあったりして。それはスタッフ的な思惑なだけであって俺らは基本的に無視してたんですけど。

-(笑)

菅波:でも頭の中に引っかかってたその"バラード"と、『運命開花』のある種、自分たちなりの激烈なラヴ・レターを演奏しながら回っていたことと、ツアーを回りながら曲を書いているうちに思い出した、"With You"って言葉がだんだん結びついてきて。変な自意識みたいなものを超えてほんとにグッとくるバラードを書いてみたいなってところまで思ったんです。何曲も書いてるうちに、"この「With You」って言葉に見合う音はなんだ?"って。最後の方は自分の中で追求していった感じではあるんですけど。そうしているうちに締め切りが近づいてきて、"俺、これもうダメかも"って一瞬思ったほんとにギリギリのところで、ポロンってピアノを弾きながら作ったメロディが"あ、これ「With You」かもしんねぇ"って。それがきっかけになってできた曲ですね。


"サウンドは違うけど、初期って素直で素朴だったかもしれない"


東京のファイナル公演(※6月12日に新木場STUDIO COASTにて開催)を拝見しましたが、全員で歌ってるようなライヴでしたよね。歌ってるし叫んでるし、相当ハードな"With You"で。

菅波:相当ハードな"With You感"があって(笑)。ある意味、『運命開花』と共に生まれた曲でもあるかもしれないですね。『運命開花』のストーリーの一部でもあるし、新しいTHE BACK HORNの一面でもあるし。

-なるほど。他のメンバーはどれぐらいの形で菅波さんのデモを聴いたんですか?

山田:9割方できてましたね。鍵盤から始まってリズムも打ち込んであって、ベースも弾いてあって、サビにはなんとなくのストリングスも入っていて。だいたいの展開は完成形に近いデモを作ってきてましたね。

-どう思いました?

山田:「With You」の前も3曲ぐらい持ってきていて、その中で最後の最後に出してきた曲が――(菅波)栄純が持ってくる曲っていいんだけど、なんとなくTHE BACK HORNがやる曲じゃない雰囲気があって(笑)、でもこの曲はみんな"いいね、ちょっとやってみよう"ってなったんですよね。THE BACK HORNっぽさを意識してなくても同じ人間が作ってるからなのか、俺たちがやっても問題ない曲というか。そういうのは他のメンバーも感じていたみたいです。