Japanese
THE BACK HORN
Skream! マガジン 2025年08月号掲載
2025.06.14 @日比谷公園大音楽堂
Writer : 石角 友香 Photographer:Rui Hashimoto[Sound Shooter]
豪雨、ビル街を染める夕焼け、蝉時雨。野音(日比谷公園大音楽堂)のTHE BACK HORNには人の数だけライヴと重なる思い出があるだろう。改修前最後の日比谷公園大音楽堂でのライヴは、初回2004年の映像作品と同じタイトル("爆⾳夢花⽕")を冠し、バンドとファンにとって欠かせないこの場所を最新の記憶と共に刻み付ける一夜となった。
今年は早くも"マニアックヘブン vol.16"3都市ツアー、ニュー・アルバム『親愛なるあなたへ』に伴う"「KYO-MEIワンマンツアー」〜Dear Moment〜"20都市ツアーを駆け抜けてきたTHE BACK HORN。アルバム・ツアーを6月8日のZepp Shinjuku (TOKYO)で終えたばかりの彼等が、今日は何を見せてくれるのか? 今にも雨が降り出しそうな天気にもかかわらず、立ち見も含めて完売御礼の野音はむしろ沸き立っている。2004年のライヴDVD『爆音夢花火』と同じ背景画がバックドロップに掲げられ、さらに期待感をかき立てるようだ。
ちなみにこの日の演奏曲をSNSで募った結果、上位5曲を演奏。ライヴ後にセットリストが発表されたのでネタ明かしすると1位から「世界樹の下で」、「キズナソング」、「奇跡」、「蛍」、「導火線」と、ファンも一筋縄じゃない。さらに2004年の『爆音夢花火』と重なったのは「レクイエム」、「ひょうひょうと」、「冬のミルク」だった。ファンの想いと自身のオマージュ、そして11年経過した2025年夏のTHE BACK HORNの表現の幅を体感させる野音公演になったのだ。
馴染みのSEが轟き、4人がステージに姿を見せる。間髪入れずに菅波栄純(Gt)が刻むリフ。「レクイエム」でライヴはスタートした。タイトで重いアンサンブルが、戦うことでしか救われない魂をあぶり出す。菅波のギターがブリティッシュ・ハード・ロックのような王道感で届いたその続きに、最新アルバムのタイトル・チューン「親愛なるあなたへ」の、ドライブするリフが響き渡った。Aメロで起こるOiコールが、早くもこの曲が現在のアンセムに育っていることを証明するかのようだ。さらに「希望を鳴らせ」と、まさに近年のアンセム連投。何度絶望しても、未来が見えなくても叫ぶ"希望を鳴らせ"は連帯というより、一人一人に力を漲らせる。
"今日はなんとか豪雨は回避できて......"という松田晋二(Dr)のMCに、まだ分からんよ? というニュアンスの笑いも起こる。初回でも演奏した「ひょうひょうと」はパンク/レゲエを想起させるビートとどこかクラシカルなメロディの融合が唯一無二。序盤から今日は普段より存分に菅波がギター・ソロを弾いている印象も。生身の血が沸騰するような興奮はシーケンスのイントロで違う位相に飛び乗る感じで、新作からディスコ・ファンクな「Mayday」に繋がっていく。岡峰光舟(Ba)の腰を揺らすフレーズ、菅波の乾いたカッティング、松田の確かな16ビートの上で山田将司(Vo)のフロウも冴える。オルタナの素地にボカロ要素も飲み込める菅波の曲作りと、それを昇華できるメンバーにしかアウトプットできないユニークさだ。その並びでラップ・パートのある「疾風怒濤」が聴けるのも2025年ならでは。
サイケデリックなイントロで景色を変えた「幻日」、地面を揺らすような岡峰のベースが拍車を掛けるように始まった「情景泥棒」。強くなる雨足をものともせずステージ前面に出てプレイする菅波と岡峰。ダブ・セクションでは菅波がオーディエンスにクラップを促す。続けて「情景泥棒~時空オデッセイ~」へという、アルバム『情景泥棒』の曲順通りの組曲展開がなんと今日聴けるとは! 後半の縦横無尽のインスト・セクションは強烈な赤いライティングも相まって、映画的な世界観を作り出す。アンダーグラウンドなダンス・ホールめいた空気感は続く「カラビンカ」に繋がり、轟音と禍々しい山田のヴォーカルも相まって儀式的な印象すら覚えた。まさに今ここの状況を"雨の中舞い踊れ"という歌詞がさらに煽り、ギターを置いて踊る菅波は岡峰の名前を叫ぶ謎の行動に出る程ハイテンションに。雨に都会の土が掘り起こされ、木々が強烈に匂い立つ。これ以上この曲に相応しい演出はないんじゃないか? と思えた。
菅波の謎の叫びは岡峰のベース・プレイが良すぎたからだと判明し、各々"最初はダークな音楽性の自分たちが野音に合うのか? と思っていた"(松田)、"ここからの時間は雨に照明も合う"(岡峰)、"ここからの景色は最後になっちゃうんだな"(山田)、"一瞬いいですか? 心のスクショ・タイム"(菅波)と、感慨深そうだ。
新曲、レア選曲に続いて、中盤以降はリクエスト曲が披露されていく。イントロで溢れ出るような歓声が上がった「世界樹の下で」は、アルペジオ一つ、リム・ショット一つの精度の高さが、バンド初期から人間の矛盾を綴ってきた彼等の不撓の意思を映す。続いても初期のナンバーから「幸福な亡骸」をセット。ここは雨だが、めまいがするような夏の終わりの情景が、文学的な歌詞とジャズやブラジル音楽を想起させるコード・ワークで立ち上がる。リリカルな世界は「キズナソング」での不変の少年性に辿り着いた。もはや顔が濡れるのは、雨か汗か涙か分からないオーディエンスも多かったんじゃないだろうか。この曲で見えた光が、続く「蛍」をより印象に残し、地面を揺らすプリミティヴなドラムのイントロが、再び爆走モードのスイッチになった「導火線」では、振られる拳がさらに増え、"オーオオオー"のシンガロングも広がっていく。さらにライヴの鉄板「コバルトブルー」での重くて速いアンサンブルは、この会場では不可能だが、モッシュが起こりそうな爆発的な興奮がヒシヒシ迫る。虚しさも怒りも叫びに昇華して放つ表現はTHE BACK HORNが続けてきたことだが、それが光に繋がる力強さが芽生えた近年のナンバーを代表して、「太陽の花」が終盤に演奏された流れもいい。合唱風の"重ねた声が我ら繋いでいく"のパート等で自然にシンガロングが起きていた。
"最高の時間ですね。ツアー中に結成27周年を迎えました。気が付いたら人生の半分以上、バックホーン(THE BACK HORN)をやっていて。30周年も35周年も分かりませんが、変わらないバックホーンでいるかと思います。励まし合ったり、寄り添い合ったり、これからもよろしくお願いします"と話す松田。不器用な誠実さと自由な音楽性が、ここまで代替不可能なバンドを連れてきたことに感謝したい。本編ラストはイントロでこの日一番の大歓声が上がった「奇跡」。青春のナイーヴさがシンプルなアンサンブルで届けられ、2時間にわたる物語を経たここにいる人同士に、確かな繋がりを発生させていた。
アンコールでは珍しく金テープ噴射があったり、逆に予定していた曲数で終わらなかったりするのは野音あるあるで、誰も立ち去らずダブル・アンコールを求める声に応えた「刃」のシンガロングで、バンドもファンも野音の記憶を刻み付けた。都会の夜に潜む命の気配も含め、THE BACK HORNの野音は感覚を開かせてくれる体験だ。同じシチュエーションはなくなるが、遠くない未来、再びこの場所に集まりたいと思った。
[Setlist]
1. レクイエム
2. 親愛なるあなたへ
3. 希望を鳴らせ
4. ひょうひょうと
5. Mayday
6. 疾風怒濤
7. 幻日
8. 情景泥棒
9. 情景泥棒~時空オデッセイ~
10. カラビンカ
11. 世界樹の下で
12. 幸福な亡骸
13. キズナソング
14. 蛍
15. 導火線
16. コバルトブルー
17. 太陽の花
18. 奇跡
En1. 冬のミルク
En2. 明日世界が終わるとしても
En3. 無限の荒野
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