Japanese
MIYAVI
2022年04月号掲載
Writer 石角 友香
アニメやゲーム、それらを包摂するメタバース――キャラクターとの親和性が高い分野に続々アプローチ
ギターを、ピックを使わず指を使ったスラップ奏法で演奏し、卓越したフィジカルと相まって、"サムライ・ギタリスト"の名に相応しい国内外での活躍を続けるMIYAVI。コロナ禍の渦中でも2021年9月にアルバム『Imaginary』をリリースし、北米19都市を巡るツアーと東名阪札福のジャパン・ツアーを成功させている。コロナ禍以前と比較すると海外での活動は制限を受けてはいるが、柔軟に新たなアプローチに挑むスタンスは不変。そのひとつが、1月10日からオンエアされているアニメ"トライブナイン"のオープニング・テーマ「Strike It Out」の書き下ろしだろう。
"トライブナイン"とは、"アカツキ"と、"ダンガンロンパ"シリーズなどを手掛けた小高和剛率いるクリエイター集団"トゥーキョーゲームス"が、タッグを組んだ初の共同新規プロジェクト。この"トゥーキョーゲームス"原作による、架空の東京を舞台にした個性的なアウトローたちの抗争劇とバトル・アクションストーリーを、スマホ・ゲーム・ベンチャー"アカツキ"が総合プロデュースしたという、異なるジャンルのクリエイターがコラボした、現在のティーンエイジャーを軸にしたユースにジャストなプロジェクトであり作品なのだ。どこか生身の人間としては超越的で、音楽性もロック、エレクトロ・ダンス・ミュージック、R&Bなどを縦横無尽に駆け抜けるMIYAVIの存在は、完成度の高いジャパニーズ・アニメやゲームの世界観に、ジャスト・フィットしたのではないだろうか。
すでにアニメのOA日の翌日から先行配信されている「Strike It Out」。ヴァースのラップに始まり、サビで突き抜けるヴォーカルがMIYAVIのペンによる、どこまでも自分の心の叫びを信じて、あらゆる不安やボーダーを突破しようと駆け上がるリリックと見事に符丁が合う。作曲は前作のアルバム『Imaginary』から、共同プロデューサーとしてコロナ禍以降のMIYAVIワールドを支えるJeff Miyaharaだ。2013年に、自ら発掘したクリス・ハートのトータル・プロデュースを行いヒットに導いたことを発端に、少女時代やEXO、安室奈美恵、西野カナ、ONE OK ROCK、三代目J SOUL BROTHERSなど国内外260以上のアーティストをグローバルにプロデュースし、携わった作品はフィジカル、デジタル含めて4,000万枚以上のセールスを記録している、いわゆるポップ・シーンのキーマンである。そのJeffがMIYAVIのヴォーカリストとしてのポテンシャルを開花させたのが、『Imaginary』だったわけで、今回の「Strike It Out」でも、ティーンエイジャーにも伝わる平易な日本語詞とフックになる英語詞をシームレス且つ、緩急をつけて表現することに成功している。さらに言えば、アニソンの世界に、現行の海外シーンにも通用するスケール感と音像をもった楽曲が投入された醍醐味と意味も、この「Strike It Out」にはあるのではないだろうか。
CDリリースのタイミングで公開されたMVも端的に同曲のメッセージを届ける内容だ。高層ビルの立ち並ぶ東京某所のビルの屋上で、ブルーのリーゼント・ヘア、タイトなエナメルのジャンプスーツに身を固めたMIYAVI。彼が、ダンスに熱中する少女やスケボー少年、シャドーボクシングする少年といったひとりの存在が内側で悶々と燃やす炎を、最低限のアクションで受け止め、それを前向きで強烈な光に転化するようなストーリーと映像は、シンプルながら共感を呼びそうな仕上がりになっている。個々に存在しながら、まるで彼らの意志のように空へ垂直に伸びる光はまさに叫びだ。ライヴ・パフォーマンス映像ともまた違う、強い意志のアイコンとしての演技が光る。
CDのカップリングに収録される「Dumb」は、エレクトロニックなシークエンスを背景にした近年のMIYAVIの楽曲志向と地続きのもので、こちらはより彼のギタリストとしての多彩なアプローチを楽しむことができるアレンジだ。ハードなリフやエフェクティヴなサウンドが生み出すギリギリの感情。ヴォーカルはダークで吐き捨てるようなトーンの中に、いつ訪れるかわからない別れや終わりを示唆しながら、この曲もエンディングで"Strike it, strike it out"と、「Strike It Out」と同じテーマに帰着しているのも興味深い。様々な意味に訳すことができる言葉だが、アニメや楽曲の流れからすればおそらく"危ない橋を渡る"というのが最もしっくりくる。何も危険を侵すという意味ではなく、超えなければ自分の心が満たされないであろう、境界線というニュアンスだ。
コロナ禍で以前のようにLAを拠点に年間、ほぼ世界をツアーで駆け巡ることが困難になった時勢にあって、MIYAVIはポップ・フィールドで活躍するJeff Miyaharaとの共作で、作品をリリースし続けることでオーディエンスと繋がり、2020年4月からは新プロジェクト"MIYAVI Virtual LIVE"をスタートさせ、配信というかたちで表現の場を自ら拡張してきた。様々な趣向を凝らし、第6弾では京都 清水寺で、拡大するコロナ禍や紛争や戦争で日常が脅かされる世界に向けて、平和の祈りを込めた奉納ライヴを開催。彼の思いに賛同した親交の深い三味線奏者 上妻宏光、歌舞伎俳優の尾上右近、伝統芸能チーム 太鼓芸能集団 鼓童らが集結した。これだけ文化的に多岐にわたるアーティストと共演できるのは、彼のアーティスト性や人間性はもちろん、日本人として初めてUNHCR親善大使としてその足で難民問題や課題解決に向けて、様々な国の若者や子供、大使たちと直に話してきた姿勢も裏打ちしているはずだ。ひとりの人間が持つ能力にリミットを設けず、専門的なことは学習し、自らのポピュラリティと突出した存在感を生かして世界に発信する。ロック・スターの在り方としてこれほど今日的なアーティストはなかなかいない。
また、ストリーミングが主流となったリスニング志向の中でも、熱烈なファンやフィジカルを所有する文化が残る日本ではCDのカルチャーはもちろん、NFTにてアーティストがサブスク上には発表しない作品をローンチしたり、NFTならではのサービスを受け取れたりする仕組みも徐々に浸透しつつある。活動を持続可能にするうえでも、アニメやゲームとの親和性という意味でも興味を示し、実現し始めたアーティストも存在している。MIYAVIはまさにうってつけの存在であり、3月9日にメタバース×NFTのコミュニティ拠点である"Oasis TOKYO"とのコラボを発表したこともおおいに腑に落ちた。"2035年の近未来都市"をテーマにしたメタバース空間には美術館やステージなど、様々な施設を設置し、今後、アーティストとファンの交流の場を構築していくという。これまでも国内外のアーティストがゲームのヴァーチャル空間でライヴを開催するなど、ファン参加型の新たなコミュニケーションの場、アート表現の場として浸透させてきたが、コインチェックとThe Sandboxがタッグを組んだ"Oasis TOKYO"は、日本のユーザーへの浸透が加速しそうな気配だ。
人間ひとりの活動範囲は限定的なものだという固定観念を、木っ端微塵にしてくれるアーティスト、それがMIYAVI最大の魅力だと思う。日本のアニメが海外でいかに愛されているかを肌で知るアーティストであり、自身が容易に世界ツアーをできないのであれば、どんな入り口を使えばさらに世界のファンにリーチし、新しい表現を共有できるか。フィジカルの強さと直感力を総動員して、しかもスマートに動く。今回のアニメ"トライブナイン"オープニング・テーマのリリースをきっかけに2022年後半の動向からも目が離せない。いや、グッとユース世代にフォーカスしてきた今のMIYAVIの勘の鋭さからして、インパクト大なニュースが続きそうだ。
▼リリース情報
MIYAVI
ニュー・シングル
『Strike It Out』
NOW ON SALE
LAPS-4009/¥1,430(税込)
amazon
TOWER RECORDS
HMV
[バンダイナムコアーツ]
1. Strike It Out ※アニメ『トライブナイン』オープニングテーマ
2. Dumb
3. Strike It Out (Instrumental)
4. Dumb (Instrumental)
配信はこちら
- 1
LIVE INFO
- 2025.01.22
-
ASIAN DUB FOUNDATION
WurtS
ずっと真夜中でいいのに。
シノダ(ヒトリエ)
SVEN(fox capture plan)
go!go!vanillas × NEE
RAY
アイナ・ジ・エンド
BRADIO
米津玄師
- 2025.01.23
-
終活クラブ
ずっと真夜中でいいのに。
a flood of circle
小山田壮平 / kanekoayano
ヤバイTシャツ屋さん
ASIAN DUB FOUNDATION
米津玄師
暴動クラブ / 板歯目 / M.J.Q(山本久土+クハラカズユキ)
- 2025.01.24
-
片平里菜
東京初期衝動
ザ・シスターズハイ
終活クラブ
Homecomings
夜の本気ダンス
ego apartment
LEGO BIG MORL
神聖かまってちゃん
かりんちょ落書き
ハシリコミーズ
MONO NO AWARE
くるり
Ivy to Fraudulent Game
THE YELLOW MONKEY
RAY
Wez Atlas
- 2025.01.25
-
片平里菜
ブランデー戦記
女王蜂
BLUE ENCOUNT / UNISON SQUARE GARDEN / ヤバイTシャツ屋さん / フレデリック ほか
Helsinki Lambda Club
SpecialThanks
ストレイテナー
上白石萌音
the paddles
bokula.
HY
SCOOBIE DO
Umisaya
ぜんぶ君のせいだ。× TOKYOてふてふ
Dear Chambers
sajou no hana
Aimer
あいみょん
め組
IDLES
かすみん(おこさまぷれ〜と。)
神聖かまってちゃん
Czecho No Republic
GOOD BYE APRIL
フラワーカンパニーズ
パピプペポは難しい
Rhythmic Toy World
眉村ちあき
Mega Shinnosuke
サカナクション
Hedigan's
kobore
tacica
9mm Parabellum Bullet
Cloudy
- 2025.01.26
-
マリンブルーデージー
ASP × ExWHYZ
[Alexandros] / キタニタツヤ / マカロニえんぴつ / Creepy Nuts / ヤングスキニー ほか
Helsinki Lambda Club
THE BACK HORN
SpecialThanks
ぜんぶ君のせいだ。× TOKYOてふてふ
the paddles
ストレイテナー
HY
上白石萌音
SCOOBIE DO
SILENT SIREN
夜の本気ダンス
東京初期衝動
Homecomings
アイナ・ジ・エンド
Dear Chambers
Mega Shinnosuke
崎山蒼志
Bye-Bye-Handの方程式
CYNHN
Aimer
あいみょん
I Don't Like Mondays.
フラワーカンパニーズ
tacica
琴音
Lucky Kilimanjaro
ADAM at
LEGO BIG MORL
篠塚将行(それでも世界が続くなら)
サカナクション
阿部真央
Bubble Baby
- 2025.01.28
-
マリンブルーデージー / かたこと
the HIATUS
WurtS
米津玄師
SUPER BEAVER
ぜんぶ君のせいだ。× TOKYOてふてふ
the quiet room / Maki
安藤裕子
- 2025.01.29
-
THE ORAL CIGARETTES
the HIATUS
Saucy Dog
米津玄師
Hakubi
君島大空
Appare!
Helsinki Lambda Club
ポルカドットスティングレイ
ネクライトーキー
- 2025.01.31
-
ビレッジマンズストア
神聖かまってちゃん
LEGO BIG MORL
UNISON SQUARE GARDEN
KNOCK OUT MONKEY
Wez Atlas
くるり
ザ・ダービーズ
インナージャーニー / 板歯目 / Apes ほか
ヤユヨ
WANIMA × MONGOL800
TYCHO
Aooo
AYANE
9mm Parabellum Bullet
小林私 / Redhair Rosy / INF ほか
Halujio
the telephones
Bye-Bye-Handの方程式
- 2025.02.01
-
あいみょん
Hedigan's
ストレイテナー
ASP × GANG PARADE
夜の本気ダンス
I Don't Like Mondays.
ブランデー戦記
女王蜂
WONK
WurtS
the telephones
bokula.
GOOD BYE APRIL
SILENT SIREN
"でらロックフェスティバル 2025"
ADAM at
片平里菜
wacci
kobore
sajou no hana
CYNHN
OKAMOTO'S
Kroi
Aimer
"BAYCAMP 202502"
清 竜人 / 清 竜人25
9mm Parabellum Bullet
- 2025.02.02
-
あいみょん
四星球
bokula.
ExWHYZ × KiSS KiSS
LEGO BIG MORL
Laura day romance / XIIX / レトロリロン
I Don't Like Mondays.
Keishi Tanaka
ブランデー戦記
Panorama Panama Town
ラックライフ
"でらロックフェスティバル 2025"
CYNHN
ひめかのん(おこさまぷれ~と。)
片平里菜
ANABANTFULLS
DIALOGUE+
怒髪天
崎山蒼志
上白石萌音
浪漫革命
- 2025.02.03
-
マカロニえんぴつ
- 2025.02.05
-
マルシィ
ザ・シスターズハイ
the HIATUS
サカナクション
くるり
WurtS
"Road To 革命ロジック2025"
RELEASE INFO
- 2025.01.22
- 2025.01.24
- 2025.01.25
- 2025.01.28
- 2025.01.29
- 2025.01.31
- 2025.02.01
- 2025.02.05
- 2025.02.07
- 2025.02.10
- 2025.02.12
- 2025.02.15
- 2025.02.19
- 2025.02.26
- 2025.02.28
- 2025.03.01
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
ヒトリエ
Skream! 2025年01月号