Japanese
MIYAVI
Skream! マガジン 2022年06月号掲載
2022.05.07 @Billboard Live TOKYO
Writer 石角 友香 Photo by Toru Shiozaki , Miho Seki
好奇心と正義感とケレン味と実行力が服を着て歩いているような、"人類の先行事例"と言ってもいいMIYAVIという存在。2021年にはコロナ禍の中、日本人アーティストとしていち早く北米ツアーを完遂。オリジナル・アルバムは2021年9月リリースの13thアルバム『Imaginary』が最新作だが、様々な海外アーティストとのコラボはこの時世でも可能であることを証明し、韓国の注目男性シンガー、Kang Danielをフィーチャーした「Hush Hush」のMVが4月に公開された。このMVは、NFTを通してアーティストとファンを結びつける、グローバルなプラットフォーム"Kollektion(読み:コレクション)"を提供する"KLKTN Limited"が制作し、ネットの監視社会をテーマにしつつ、NFTを購入したファンの名前が映し出され、実在する人間の支えが可視化されるというユニークな構造も話題になっている。
強力なファンダムを形成しているMIYAVIだが、やはりというか、だからこそ現在進行形の彼を目撃すること以上の喜びはない。今回はこれまでも幾度かライヴを行ったことのあるBillboard Live TOKYO、OSAKA、YOKOHAMAのちょっとしたツアーと呼べそうなプレミアムなライヴから、GWも終盤の5月7日、東京公演の2ndステージをレポートする。アルバム・リリースを伴わないライヴ、しかもビルボード(Billboard Live)というシチュエーションで、どんなセットリストやアレンジで見せるのかに主に注目した。
無音状態でフロアからアーティストが入場してくるのが醍醐味のこの会場。以前もサポートを務めた櫻田泰啓(Key/星野源のライヴ・サポートなどでもおなじみ)、Hanah Spring(Cho)とLyn Inaizumi(Cho)に加え、今回はDALLJUB STEP CLUBのドラマーで、最近は川谷絵音(indigo la End/ゲスの極み乙女。 etc.)らと"礼賛"というユニットの活動や、崎山蒼志のライヴ・メンバーなどでも活躍するGOTOが新たに参加している。鮮やかな柄のローブ状の衣装を纏ってステージに駆け上がったMIYAVIは早速スラップ奏法を駆使したカッティングから新曲「Strike it Out」をプレイ。すでに浸透してる様子で、サビの"1-2-3 My shout"でハンド・サインがそこここで挙がる。コーラスがふたりいることで、MIYAVI自身も声を重ねることに楽しさを見いだしているようにも見えた。歌うことが楽しそうだ。続くGOTOの人力ブレイク・ビーツも小気味いい「Need for Speed」。まるで後ろにも目があるようにステージを縦横無尽に舞うMIYAVIは、冒頭からトップ・スピードである。
MCではGOTOといういじれるキャラが参加したことを喜びつつ、彼のプレイもフィーチャーできたらと、フックアップする姿勢も見せる。演奏とのギャップも最近の彼の魅力だと思った。櫻田のロックンロールなピアノから、アルバム『Holy Nights』にも収録された沢田研二のカバー「TOKIO」でグッとエンターテナーぶりを見せる。六本木の夜になんとも似合う選曲だ。一転、現在の世情とシンクロするような、祈るだけでは救えないと歌う「Tears On Fire」が刺さる。彼のシグネチャー的なエフェクティヴなギター・ソロは悲鳴や叫びのようだった。悲しみや無力感が続く「Long Nights」のヘヴィな重低音にもマインド的に繋がっていく。USのトップ・チャートの音楽性を彼なりに昇華してきた結果としての、エレクトロニックなR&Bとモダン・ロックの混交だが、やはりこのギター・サウンドは無二だろう。加えて、エフェクト・ペダルを踏む全身の動きすらパフォーマンスのひとつにしてしまう在り方も、他のR&Bやロック・ギタリストにはないものだ。「Holy Nights」ではアコギを用い、櫻田のオルガンと相まって音源とはまた違うニュアンスを醸し出していた。
MCでは「Tears On Fire」は彼自身、思い入れの深い曲で、セルビアを訪れた際の記憶が蘇ると話す。現実に地上戦が行われている今、見ていないふりはできないと話す彼は、実際に手足を使い国連難民高等弁務官事務所親善大使として活動している。音楽も何もかもが1本の線で繋がっていることが理解できるブロックだった。
続く「Guard You」ではアコギが散りゆく桜を表現しているよう。GOTOのジャズ~ネオ・ソウル的なリズムの刻みが新鮮さを添え、エンディングのコードから繋げるようにイノセントな歌詞が心を揺さぶる「Super Hero」へ。次第にラウドなサウンドが際立ち、タイトル通り、新しい重力を体感させるローGの重低音が身体にのしかかってくる「New Gravity」。ヘッドセットでもマイクでも歌う自由度の高さはコーラスがふたりいることでも担保され、ステージの端から端まで自在に動き歌う際に確かな下支えになっていた。
着席スタイルのライヴでありつつ、クラップや腕振りで一体感が高まる会場は、およそ普段のビルボードで見られる光景とはかけ離れている。そのピークを迎えたのが「No Sleep Till Tokyo」で、MIYAVIがフロアへ降り階上の客席まで演奏しながら駆け巡ったシーンだろう。規模こそクラブだが、高さのある構造の最上階のオーディエンスにもエナジーを送るパフォーマンスに、誰もが大きなリアクションを見せる。立て続けにアップ・チューン「Bang!」で盛り上がる様子は小ぶりな武道館といったところ。かすかな希望を掴み取ろうとするブレイヴなこの曲で完全に解放された会場に、本編ラストはスペイシーでエレクトロニックなダンス・チューン「DAY 1」だ。踊れるこの曲のパーカッシヴなビートをスラップ奏法が、より立体的に引き立てる。人力でシュアな四つ打ちをキープし、シンプルでタイトなビートを叩き出し続けたGOTOにも目を奪われた。登場同様、風のようにステージから飛び降り去っていったMIYAVI。どう考えても日常でこんな人物にお目にかかることはない。
盛大なアンコールに迎えられて、まずMIYAVIがステージに上がり、セルフィーで動画を撮ると、メンバーも登場。"歌ってギター弾いて、動くだけじゃなく、笑いもとらなあかんし"と、GOTOの出で立ちが照明さんっぽいなど、おのおのをいじりながら紹介した。再デビューを果たした頃の殺気立った真剣勝負には度肝を抜かれたが、この日のような緩急の効いた展開もまた、彼の素なのだと思う。アンコールの1曲目は和なピアノとコーラスが前面に出たこの日のためのアレンジで「Imaginary」。想像することの大切さを届けた。シリアスなムードは続く「The Others」に繋がり、夜明けを想起させるギターからスタートしたこの曲でステージ奥のカーテンが開き、東京という人と人がすれ違う街にあって、ここでは見知らぬ者同士も音楽で共鳴している、そんな演出に感じられる。この会場でのこのシーンは都会のきらびやかさに心酔することが多いが、この日はMIYAVIというストレンジャーであり、地球人であるアーティストの軸が、演出とあいまった印象を受けた。
大団円はピアノが加わったことでグッとファンキーになった「STRONG」。間奏ではカッティングしながら10回転以上回り、そのままブリッジの態勢でリフをかき鳴らす。GOTOのスネアとシンバルを交互に叩く、通常の16ビートの奏法とは異なるアイディアもグルーヴを強靭なものにしていた。ラストはサムライ・ギタリストの代名詞的ナンバー「WHAT'S MY NAME?」だ。グルーヴと疾走感を兼ね備えたこの奏法はたったひとりでも音楽を成立させ得る発明。サポート・メンバーも隙間を埋めるのではなく、抜き差しのスリルを共有する。キャリアを一望し、現在のマインドにフィットするセットリストを新旧問わずセレクトした全16曲。コア・ファンが多かったと想像するが、初見でも必ず痕跡を残してくれるMIYAVIのヒューマン・パワーは今も更新され続けていた。2022年後半もまた驚くような展開を期待せずにいられない。
[Setlist]
1. Strike It Out
2. Need for Speed
3. TOKIO
4. Tears On Fire
5. Long Nights
6. Holy Nights
7. Guard You
8. Super Hero9. New Gravity
10. No Sleep Till Tokyo
11. Bang!
12. Day 1
En1. Imaginary
En2. The Others
En3. STRONG
En4. WHAT'S MY NAME?
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