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LIVE REPORT

Japanese

"DAIENKAI 2025" -DAY1-

Skream! マガジン 2025年09月号掲載

2025.07.19 @東京ガーデンシアター

Writer : 山口哲生
©DAIENKAI 2025

7月19、20日に東京ガーデンシアターにて開催された"DAIENKAI 2025"。2023年から始まった"音楽×笑い"のフェスも今回で3年目。昨年に引き続き、今年も各日6ブロックのプログラムが組まれ、アーティストと芸人の豪華な共演が繰り広げられた。歓声と笑い声が鳴り止まなかった10時間の宴について、このレポートでは1日目の模様をお届けする。

サンタモニカの前説の後、"KAMPAI ACT"として田邊駿一(BLUE ENCOUNT/Vo/Gt)とニューヨークが登場すると、シークレット・ゲストとして呼び込まれたのはダンビラムーチョ。"キングオブコント2024"で披露した"冨安四発太鼓"で盛り上げると、田邊も挑戦することに。早めに4発打つことなく、最後の1発をちゃんと残してバッチリ決めると、場内全員による"乾杯!"の声で3年目の"DAIENKAI"がスタートした。

1ブロック目の"現地集合の回"は、ナイチンゲールダンスと金属バットの漫才の後、ジュースごくごく倶楽部が登場。昨年は"KAMPAI ACT"としてのパフォーマンスだったが、今年は1アーティストとして1つのブロックを任されての出演となった。入場SEなしで各々が静かにセッティングするなか、ジンジャエール阪本(阪本/マユリカ)が丁寧な口調で観客に話し掛け、サングラスを掛けたところで「がっちんこ」からライヴ・スタート。キャッチーでありながらも、迫力のあるロックンロール・サウンドを高鳴らせていくその姿は、芸人であることを一瞬忘れてしまうぐらいにバンド然としている。そんななかでも、「インフィールドスパゲッティフライ」では、愛コーラ(山崎おしるこ)が伸びやかな声で歌い上げ、ポイズン反町(山本プロ野球/シカゴ実業)が躍動感たっぷりのドラムを叩き始めると、あたし(さすけ/滝音)が持ち場を離れ、メンバーみんなで踊り始めて曲に入らなかったり、再び演奏に戻ると、リズムに誘われて舞台袖からナイチンゲールダンスのヤスと金属バットの小林圭輔が出てきたり、曲のアウトロで堂前タオル(堂前 透/ロングコートダディ)がベースを弾き続け、辻クラシック(辻 晧平/ニッポンの社長)が締めのギターをなかなか鳴らさなかったりと、観客を楽しませることも忘れない。ジンジャエール阪本の"間奏でエッチなお店を予約するので応援してください!"という要望から始まった「ジリリリラララ」では、電話の受付役を金属バットの友保隼平が務め、曲を終えると"アスカちゃん"こと女装した中野なかるてぃん(ナイチンゲールダンス)が登場。「入玉したいよ」では、ジンジャエール阪本に合わせて、将棋の駒の被り物をした金属バットとナイチンゲールダンスも歌に加わり、観客を巻き込んでの大合唱で締めくくった。この日は"DAIENKAI"ということもあり、芸人とのコラボが印象に残る場面も多かったが、バンドとしての実力もしっかりと仕上がっていて、笑いはもちろん、音楽でオーディエンスの心をがっちりと掴んでいたことは記しておきたい。

幕間では、ENKAI BUCHOのレイザーラモンHGの進行で、彼が描いた出演アーティストのイラストを紹介。そこから始まった"とりあえず生の回"は、バイク川崎バイクの漫談の後、グッドモーニングアメリカのステージに。オープニングでは、"BKB"のTシャツを着たたなしん(Ba/Cho)がフロアを走り回ってステージに上がると、バイク川崎バイクとコラボ。たなしんが"ベーシスト、金髪、バンドマン"と"BKB"で自己紹介をすると、バイク川崎バイクは"ベースが、急に盛り上げ出す珍しめの、バンド"とグドモ(グッドモーニングアメリカ)を紹介。お馴染みの"ファイヤー!"の掛け声を2人で発し、「コピペ」でライヴをスタートさせた。ヒリヒリとしつつもキャッチーなアップテンポ・ナンバーを凄まじい勢いで繰り出すと、その熱を「キャッチアンドリリース」のダンサブルなビートがさらに高めていく。MCでは、たなしんがノーマイクで客席に訴え掛けて、オーディエンス全員で恒例の"ファイヤー"コールを巻き起こした。そこからも代表曲を連発していく構成になっていて、「拝啓、ツラツストラ」では金廣真悟も観客のシンガロングを求めながら歌う。ひたすらアッパーな曲で客席の大合唱を巻き起こしながら駆け抜けていくなか、最後には、一際エモーショナルな「そして今宵は語り合おう」を会場に響き渡らせて締めるという、彼等の魅力を存分に味わえるステージだった。そこへニューヨークの屋敷裕政が登場し、"もう1曲聴きたくないですか?"とグドモとのコラボへ。"一緒に歌いたいやつがいる"ということで呼び込まれたのは、GREEN DAYのBillie Joe Armstrong(Vo)のコスプレをした嶋佐和也。ニューヨークは毎年"DAIENKAI"でアーティストとカバー楽曲を演奏しており、今年は"ニューヨーク"と"グッドモーニングアメリカ"="アメリカ繋がり"ということで、GREEN DAYの「American Idiot」を披露した。屋敷がギターをかき鳴らして曲に入ると、爆音で突っ込んでいく。事前に当メディアで座談会を行っていたこともあってか、6人共とにかく楽しそうに演奏している。嶋佐の本家を意識した歌い方もかなりハマっており、屋敷はギター・ソロもきっちりと演奏。客席とのコール&レスポンスも巻き起こる大興奮のコラボレーションとなった。今年も演奏で盛り上げたニューヨークの漫才の後、コットンのコントにはグッドモーニングアメリカの金廣とたなしんが参加。2人の演技にも客席から笑い声が上がっていたのだが、事前に打ち合わせはしたものの実はぶっつけ本番だったと明かし、観客を驚かせていた。

"温玉シーザーサラダの回"は、まずコロコロチキチキペッパーズが登場して客席を盛り上げると、西野創人が"ミキの亜生がやっているバンド"と勘違いをしながらBLUE ENCOUNTを呼び込む。"2年ぶりに帰ってきました!"と田邊が叫び、「BLADE」で勢い良くライヴをスタートさせると、"ナダルさんが好きって言ってた曲やります!"と「バッドパラドックス」へ。フロアを激しく揺らしていく。MCではコロチキ(コロコロチキチキペッパーズ)の2人が再び登場。西野が"亜生やろ?"と振ると、"亜生です"と乗っかった田邊が、ナダルの暴露話を次々と披露し、客席から笑い声が上がり続けていた。そこからなだれ込んだ「LIVER」では、コロチキの2人もオーディエンスと共にタオルを振り回し、曲に花を添える。そこからも熱い音の塊を怒濤の勢いで走らせていったのだが、ラスト・ナンバーに入る前に田邊が客席に語り掛けた。"お笑いと音楽を交ぜるのって超大変なのね。どこに面白さを持っていくか、どこにかっこ良さを持っていくか。実はあったようでなかったイベントなんです、「DAIENKAI」って。裏ではあなたを楽しませるためにいろんな知恵を絞った戦いが繰り広げられていて、ここで、あなたの前でアーティストと芸人の皆さんは誇りを持ってやってます。偉そうなこと言ってすみません。でも俺、このイベント大好きだから。今日は全力で楽しんで帰ってね"。そんな彼の思いが迸ったMCの後、「もっと光を」を披露。凄まじい熱量で音を届けてライヴを締めくくった。田邊はこの後もステージに登場。コロチキの次に登場したマユリカの漫才では、阪本と一緒にダッシュで舞台に登場したり、フースーヤの"ナッシングトゥーマッチ!"、"オーマイゴッドファーザー降臨! よいしょー!"の持ちギャグを、同ブロックに出演した芸人が呼び出されて披露していくところに、交じってしっかりと笑いを取っていたりと、冒頭の"KAMPAI ACT"での出演も含めて、"仕事しすぎ!"と言われる程の活躍ぶりを見せていた。

"カラッと!天麩羅盛合せの回"には、3年連続出場となった四星球が登場。毎年芸人と濃すぎる程のコラボをしている彼等だが、今年は"四星球 guest artist 島田珠代"としてステージに立った。エバース、紅しょうが、囲碁将棋の漫才の後シークレット・ゲストとしてななまがりの初瀬悠太が登場。客席が驚くなか、"本番直前で四星球がいなくなった"と話しているところに、パラレル・ワールドのタモリ(ななまがり森下直人)が姿を現し、"パラレル・ワールドの「ミュージックステーション」"のゲストとして、パラレル・ワールドの四星球を呼び込む。北島康雄(シンガー/脚本/演出)が、"パラレル・ワールドの四星球にはもう1人メンバーがいる"と島田珠代を呼び、「珠代ベスト~パンティーテックス~」へ。全力で歌い踊る島田を、北島が合いの手を入れて盛り上げていた。「鋼鉄の段ボーラーまさゆき」では四星球作の特大サイズの島田珠代パネルが登場。続く「ちょんまげマン」では島田が"ちょんまげウーマン"として踊り倒すと、"ちょっと疲れた......"と北島がステージで横になり、生まれたての馬を応援する「UMA WITH A MISSION」へ。客席から"頑張れー!"と声援が飛ぶ。その後、北島と島田が吉本新喜劇のお約束を繰り広げ、お仕置きとして島田珠代を特大パネルにぶつけ、倒れる島田。すると、再び"あれ? 生まれたての馬じゃない?"と話し、客席から笑い声と声援が送られていた。そんな島田に向けて"日本を代表するコメディエンヌにバラードを送りたい"と、「君はオバさんにならない」を熱唱。そこから"ちょっとだけ地元の話をさせてください"と北島が話し始めた。彼が小学校高学年のとき、隣町の体育館に町おこしで吉本新喜劇が来て、そのときに見た島田が忘れられなかったとのこと。しかし、"その街の小学生"は一緒に舞台に上がることができて演者と絡むことができたのだが、隣町に住んでいた自分は悔しい思いをして家に帰り、その夜に聴いたのがウルフルズだったそう。"30年経って、今日一緒にライヴやってます! バンドやってて良かったです! 今日ここに来たのは別に歌を聴いてもらいたいからじゃありません。皆さんの笑い声が聞きたくてやってきました!"と叫んで突入した「クラーク博士と僕」は、多くの観客の心を震わせていた。ラスト・ナンバーの「なんでもかんでもランキング」では、"夏に聴きたい曲"をテーマにブロック出演芸人が上位3曲をメドレーで披露。囲碁将棋が「勝手にシンドバッド」(サザンオールスターズ/ランキング1位)、紅しょうがが「夏祭り」(ジッタリン・ジン/2位)を歌うと、エバースによる「夏色」(ゆず/3位)のサビでは、パラレル・ワールドから来たゆず(ななまがり)が自転車に乗って登場して盛り上げる。さらに、北島が"僕もデュエットしていいですか!?"と島田と「ふたりの愛ランド」(石川優子とチャゲ)を歌い、大盛り上がりでブロックを締めた。

バッテリィズ、金属バット、ギャロップの漫才から始まったのは"永遠に続けばいいのにの回"。金属バットの漫才には、この後に登場するTHE BAWDIESのROY(Vo/Ba)が参加する。アカペラで歌を歌ったり、犬の鳴き真似をしたりと、ネタにしっかりと加わって笑いを起こしていた。THE BAWDIESのライヴは「IT'S TOO LATE」でスタート。ド派手でグルーヴィなロックンロール・サウンドを轟かせると、"曲を知らない人もいるかもしれませんが、1番を聴いたら自然と2番が歌えるシステムになってます!"と「LET'S GO BACK」、「GIMME GIMME」でシンガロングを誘発する。ロックンロール・シーンのお祭り番長として観客をブチ上げまくっていた。昨年に引き続き、"DAIENKAI"には2回目の出演となった彼等だが、去年はくっきー!(野性爆弾)、今年は金属バットとの共演ということで、"なぜ吉本の人たちは、我々に"狂犬"と呼ばれる人を当てるのか(苦笑)"と話すROY。そんなMCから「SUNNY SIDE UP」へ。4人の美しいコーラスで幕を開け、エネルギッシュに突っ走っていく爽やかなサウンドがなんとも痛快だった。ライヴでお馴染みの「HOT DOG」に入る前の寸劇では、バッテリィズがレストランを舞台にしたコントを披露。来店客の見た目や口調から、恐らく好きであろうものを提供するというレストランにやってきたエース。ウェイター役の寺家が、高級食材を使った手の込んだ料理を他のテーブルへ提供していくなか、エースの前に出てきたのは「ホットドッグ」。"やったー!"とエースが声を上げたところにメンバー4人が駆け込んできて曲に突入し、オーディエンスを熱く踊らせていた。「POPCORN」でライヴを締めくくった後、ステージにはターンテーブルとDJ KELLY(ギャロップ毛利大亮)が登場。時にラップも交えながらバキバキのハード・テクノで会場を踊らせると、THE BAWDIESが再び姿を現し、コラボレーションとして「JUST BE COOL feat. DJ KELLY」を披露する。4人が高鳴らす豪快なロックンロールにDJ KELLYがDJプレイで色を添える、ハッピーなエンディングとなった。

ウルフルズがトリを務める初日のラスト・ブロック"中締めの回"は、ジャルジャルからスタート。ウルフルズが大好きでめちゃくちゃ影響を受けているのに、しらを切り続けるバンド、ウルトラズ(トースター松林(Vo/ジャルジャル 福徳秀介)、ジッパー・ジャンパー(金持ち/クロスバー直撃 渡邊センス)、ホンコンチュニジア(Gt/Vo/アイロンヘッド 辻井亮平))のコントを披露したのだが、途中ではトータス松本(Vo)が登場! 客席を大いに沸かせていた。そこからウルフルズのライヴへ。サンコンJr.(Dr)が強烈なまでに低音の効いたビートを刻むなか、トータス(松本)がステージイン。1曲目は「バカサバイバー」だ。サポート・ギターに桜井秀俊(真心ブラザーズ)、キーボードに小杉泰斗を迎え、爆発力のあるアンサンブルと共にトータスがソウルフルに叫び歌うと、続く「大阪ストラット」では客席からクラップが巻き起こるなか、"今日は「DAIENKAI」!"とブロックに出演する芸人の名前を入れ込むアドリブも飛び出した。MCでは"コントに絡んでから歌うのって、なんか変な感じですね(笑)。いろんなことが経験できて嬉しいです"と、トータスがアコースティック・ギターを爪弾きながら話すと、「笑えれば」を披露。エモーショナルな歌が客席の涙を誘うと、「暴れだす」へ。ミラーボールが煌めくなか、壮大且つ躍動感に満ちたエネルギッシュなサウンドで観客の魂を震わせて、前半戦が終了。ここまで振り返ってみると、彼等の数ある代表曲の中でも、バラエティ番組と関連のあるものをチョイスした流れになっていた。強烈な余韻が場内に漂うなか、さや香、ロングコートダディ、銀シャリが漫才でしっかりと客席から爆笑を巻き起こし、ウルフルズが再び姿を現した......のだが、ジョンB(Ba)と顔が激似のジッパー・ジャンパーがそっと入れ替わっているという展開に、客席から大きな笑い声が上がる。ライヴ後半戦は「ガッツだぜ!!」からスタート。場内の熱気を再び強烈な勢いで高めると、"金の切れ目が"、"縁の切れ目!"という掛け合いから「借金大王」へ。そこから続けた「バンザイ〜好きでよかった〜」では、歌い出しの第一声から大歓声が上がる。感動的な空気が広がっていくなか、"最後の曲はみんなで一緒に"とブロックの出演芸人が全組登場して「ええねん」へ。トータスから始まり、さや香、ロングコートダディ、銀シャリ、ジャルジャル+ウルトラズとマイクを繋いでいくと、トータスが観客にも歌を促し、客席から"ええねん!"の大合唱が巻き起こるという美しすぎるエンディングで初日が終了。宴会のバトンは2日目に渡されたのだった。

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