Japanese
BLUE ENCOUNT
Skream! マガジン 2021年05月号掲載
2021.04.17 @横浜アリーナ
Writer 石角 友香 Photo by 浜野カズシ
今日1日、いかに悔いなく生きるかというシンプルな命題に、コロナ禍以前よりシフトしてきたBLUE ENCOUNTが今、その思いを確信に変えて、この時代を焦らず生きるために完成したのがベスト的な最新アルバム『Q.E.D』だ。有観客ライヴも徐々に再開していた彼ら。予定していた自身初の横浜アリーナ単独公演の意味は、去年からいい意味で変化してきたと感じた。キャパシティの大きさは目指すものというより、定員に規制のある今となっては必要な広さでもある。4月18日の規定枚数が完売したことで、2日公演となるなど、チームはその都度、決断を続けてこの日を迎えたと思う。
そんな書き方をすると思わず身をこわばらせてしまいそうだが、結論としてライヴを実現することが容易ではない今、BLUE ENCOUNTは以前よりタフで、且つ変わらないユーモアもありのままの弱さも、アリーナのステージで曝け出していた。
会場に入り、ステージに目をやると"Q.E.D"の巨大ロゴと4面スクリーンが目に飛び込んでくるが、ステージそのものはコンパクトに設営されている。ただ左右に伸びた花道は長い。
BGMのボリュームがマックスになり、場内が暗転すると『Q.E.D』にちなんだ様々な数式のオープニング映像がヴィジョンに映し出され、メンバーが位置につき、今やバンドのテーマ・ソングとも取れる「STAY HOPE」の怒濤のイントロが鳴り響く。高村佳秀(Dr)の咆哮する姿、ここまで大きな笑顔は見たことがないかも? と思える江口雄也(Gt)の姿が目に飛び込んできた。田邊駿一(Vo/Gt)の"ジャンプする?"のひと言から「VS」へ突入。ブルーのレーザーがアリーナ最後尾まで突き刺していく。歌始まりを丁寧に表現し、ファンの耳を集中させた「FREEDOM」。序盤から心身ともに沸騰する選曲だが、メンバーの生音をしっかり聴かせることに主眼を置いたライヴだと直感した。
シリアス且つハードな側面は続く「ポラリス」、「棘」、「幻聴」という選曲で明解に。「ポラリス」では、花道の先端に置いたミラーボールが広い会場に星を投影するような演出を見せ、「棘」では、ムービング・ライトがリアルタイムのミュージック・ビデオのようなドラマ性を作り出す。メンバーが激しく動くというより、ひとつひとつのフレージングやヴォーカルを明確に聴かせている。変な例えだが、モビルスーツがセットそのもので、メンバーとスタッフがそれを動かしているような印象だ。心臓は人間のそれで、総体がモビルスーツのような。そんな印象を持っていたら、田邊が"一曲一曲大事に歌っています"と発言。これまでもそうだったのだが、改めて言う必要があったのだろう。そして万が一体調の悪い人は遠慮せずに申し出てほしいと、この日ライヴに参加することを選んだオーディエンスをおもんぱかった。その態度も彼らが積み重ねてきた試行錯誤と、そこで得たタフさを思わせる。
ハードでソリッド、もしくは影を表現したブロックから一転、今あるルールの中で可能な限り弾けようと、「HAPPY ENDING STORY」と「NEVER ENDING STORY」を続けて演奏したことにも、大きな意義を感じた。ブラストビートに全身で反応するファンは、決められた場所でも自分の思いを爆発させうることに彼ら自身も気づかないうちに、自然と自由に身体を動かしていた。メンバーもファンも新しい形の強さを身につけていたのだ。そのことが実はこの日最も美しい光景だったように思う。
田邊がハンドマイクでファンを煽り、壮観のタオル回しを久々に巻き起こした「SUMMER DIVE」、江口、辻村勇太(Ba)が左右の高い位置でスタンドやアリーナ全体を煽った「ANSWER」など、序盤とは打って変わったアクティヴな見せ方も効果的だ。それはあくまでも曲が持っている性格に沿った見せ方ゆえに、違和感がない。よく練られたセットリストという他ない。
"楽しい~! いきなりゲスト呼んでもいいですか?"という田邊の発言に沸くフロア。見るとヴィジョンに"ONAKAMA 2021"のロゴが。なんとこの日の1曲のためだけに、THE ORAL CIGARETTESの山中拓也(Vo/Gt)と04 Limited SazabysのGEN(Ba/Vo)が登場したのだ。3マン・ツアー以来の再会にいきなりステージ上がわちゃわちゃし始めるのもご愛嬌。バンドがいて、それを楽しみにやってくるオーディエンスがいて、加えて仲間がいる。ふたりを加えた「灯せ」は歌詞の通り"僕らここにいる"という証明だった。
そのあと、イラストを繋いだ映像が映し出されたのだが、そこでも誰だって不安を抱え一歩踏み出すことに躊躇しているという前提を、とことん優しく提示。ここまでファンの怖れを取り除こうとするバンドも珍しいと思うが、理由はそれだけじゃなかった。続いて演奏したのが柔らかで、だからこそ切ない「ユメミグサ」だったから。日本の風物詩的ポップスでありつつ、田邊のヴォーカルにR&Bシンガーのような表現力が備わってきたのも頼もしい。
それから上京後、田邊、江口、高村は横浜で共同生活していたことや横アリ(横浜アリーナ)のすぐ近くにあるスタジオで練習していたことなど思い出を話していたが、地元である辻村は3人が共同生活であるがゆえに仲が険悪になっていたくだりに納得顔。10数年以上の時をともにしてきた4人の新たな一歩が横浜であることに縁を感じた。
後半は厚いアンサンブルでありつつ、急かすようなBPMではなくしっかり演奏を聴かせる「バッドパラドックス」、火柱の数に驚いた「VOLCANO DANCE」と、いずれも辻村のスラップやバネのあるプレイが冴える。劇画的な歌詞の投影の方法も見応えがあった「#YOLO」、江口のおなじみのリフがアリーナいっぱいに響きわたる「DAY×DAY」は、さらに無敵のアンセム感を醸し出していた。しかもフロント3人が並んで演奏する佇まいに説得力すら漂う。
そして"歌だから言ってるんじゃない、歌いたいから歌ってんだよ!"という田邊の本音とともに放たれた「もっと光を」は、もはやステージとフロアがともに照らし合う光に成長していた。この日のファンは完全に主役に見えた。何度も何度も演奏してきた代表曲がイメージを固定することなく、この時代のこの日ならではの届き方をするという事実を見た。本編ラスト前に再び田邊が長めのMCで今日を迎えられたことに対する感謝と、相変わらずBLUE ENCOUNTはファンと同じ目線で楽しみ、笑い、泣くこともできるこの場所にいることを話す。"俺たちはあなたの味方です"と言い切り、田邊のライフ・ストーリーとリンクする試行錯誤の日々と、今ここにいること、さらに未来に続いてく思いが詰め込まれた「ハミングバード」が披露された。4つのヴィジョンに映る4人それぞれの表情が何よりも雄弁だったのは言うまでもない。
アンコールの前には、"情熱大陸"風の映像を交えての物販隊長 高村のトゥーマッチなグッズ紹介で笑わせたが、2日公演のペース配分を考えずに、この日の全力を本気で注ぐ姿はドラマーという名実ともに屋台骨の気骨を伝えていた。
アコギを携えた田邊のルーツである森山直太朗のDNAも想起させる「あなたへ」。江口の繊細なオブリも明確に聴こえた。そしてハチロクの名曲「喝采」。人との比較やシーンの動向よりこのバンドに付された役割があるんじゃないか――そこに気づいたのはキャリアも、このコロナの時代も作用していると思う。"心で作る音楽"を再認識し、横アリ2デイズを迎えたことはバンド、ファンともに重要なメルクマールになったはずだ。
[Setlist]
1. STAY HOPE
2. VS
3. FREEDOM
4. ポラリス
5. 棘
6. 幻聴
7. HAPPY ENDING STORY
8. NEVER ENDING STORY
9. SUMMER DIVE
10. ANSWER11. 灯せ
12. ユメミグサ
13. バッドパラドックス
14. VOLCANO DANCE
15. #YOLO
16. DAY×DAY
17. もっと光を
18. ハミングバード
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En2. 喝采
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