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INTERVIEW

Japanese

BLUE ENCOUNT

2019年11月号掲載

BLUE ENCOUNT

メンバー:田邊 駿一(Vo/Gt) 江口 雄也(Gt) 辻村 勇太(Ba) 高村 佳秀(Dr)

インタビュアー:石角 友香

2019年はバンド結成15周年、メジャー・デビュー5周年イヤーでもあり、初のホール・ツアーに続き、現在は全22公演にわたるライヴハウス・ワンマン・ツアー中の4人。ツアーと並行した楽曲制作は半ば常態化していて、9月リリースのシングル『バッドパラドックス』から間髪入れず、11月20日には早くもニュー・シングル『ポラリス』をリリースする。前作でも見せたアレンジやヴォーカルのプロダクションの新鮮味にさらに磨きをかけ、"光"を想起させる、ブルエン(BLUE ENCOUNT)にとってのひとつのキーワードが、ここまでの足跡を踏まえたうえで具体物として更新された強い楽曲になっている。ツアー真っ最中の4人の今のマインドを訊く。

-千葉 LOOKからツアー(11月21日にかけて開催中の"BLUE ENCOUNT TOUR2019「B.E. with YOU」")が始まったばかりのタイミング(※取材は9月下旬)ですね。

田邊:初日の千葉は初ワンマンで気合が入りました。(9月中旬に台風15号の被害を受けていた)千葉駅周辺は普通にどのお店も機能していて、僕らのマインドとしてはそういうことを掘り返す日にはしたくなかったんで、改めてその日来たみんなに何ができるかで勝負しようと思ってたんです。で、千葉 LOOKって、来てくれるみなさんと会話できるのが良くて。今までツーマンとか、人のツアーに、ゲストで出てたんですけど、自分たちのツアーだとみんなが安心して喋ってくれるというか。"それはZeppの後ろで出す声や"ってぐらいの大声を出してくれたりするんです(笑)。

江口:"そんなデカい声で言わんでも聞こえるから"って(笑)。

田邊:でも音で勢いがついたというより、熱気ですね。熱気をしっかりみんなで分かち合えたので。ただ1日目にしてしくじったなと思ったのが、セットリストを少なくしすぎちゃったという。で、途中で2曲増やしまして、そこからは怒濤の後半戦みたいな。かなり灼熱だったよね?

高村:最終的にはかなり濃厚な時間になりましたね。でも、それだけお客さんが求めてくれてたことが初日で理解できて、これからの弾みになったなと。

田邊:終わったあと、マジですぐに次回以降のセットリストの話し合いを始めて。で、全然決まんなくて、最終的にもう千葉 LOOK出なきゃいけない時間になっちゃったんです。それで、そのままメンバーと車で東京まで戻りまして、俺ん家の近くのすき家で話し合って。こんなん久々だったよね(笑)?

辻村:久々どころか、すき家でミーティングは初めて(笑)。

田邊:(笑)1日目にして、いろんなことが濃かったですね。インディーズの頃の感じというか、ちゃんと会場の雰囲気を自分たちが察知してやれてたというか。ライヴのときも言ったんですけど、2曲足さなかったとしてもライヴは成立するけど、その日に限っては違う気がしてたので。それがちゃんとお客さんにも伝わってましたし、いい日でしたね。

辻村:セットリスト決めてて結構今後が楽しみになりましたね。これから回る場所も今までやったことのないセットリストでのライヴなので、そういう意味でも未知なる挑戦というか、"このあとにこの曲ってどうなるの?"って、正直ライヴでやってみないとわからない部分でもあるし、やってる側としても楽しみではありますね。

-それが5年の時間の中で柔軟性として育った部分を生かせるということかもしれないですね。そしてそういう最中にリリースされるシングルが『ポラリス』です。

田邊:もうライヴでもやってるんですけど、今までわんぱくだった子たちが急に拳を上げて、ずっと耳を傾けてくれてたっていうのが印象的でした。今回、アニメの楽曲("僕のヒーローアカデミア"オープニング・テーマ)ですし、そういう意味では注目度が高い楽曲なのは自分たちでも感じてるんですけど、何より今回、BLUE ENCOUNTの新章に相応しいシンボリックな楽曲ができたかなと思ってるんですよ。ブルエンなんだけど、音の構築の仕方がちょっとブルエンじゃないっていうところが、「バッドパラドックス」を経たからできたことなのかなというのもすごくあるので。

-ブルエンにとって"光"ってモチーフがずっとあるとしたら、新たな光についての曲だなと思ったんですよ。

田邊:そうですね。今回、"僕のヒーローアカデミア"第4期のオープニング・テーマなわけですけど、そのディテールを聞く前に、僕は最初の2行、"あの日「守る」と決めた/約束はこの胸に"が浮かんだんです。僕の中ではこの2行からこの楽曲もだし、アニメに向けての思いもだし、ブルエンを支えてくれるみんなに向けての何かが始まったかなと思いますね。この曲はすごい安産でした。歌詞が一発目でOKをいただいたというのももちろんですし、僕の中ですぐ言葉をアウトプットできたって意味でも。前回の「バッドパラドックス」のとき、"あんまドラマ、ドラマしなくていいですよ。ブルエンらしく書いていただければいいです"って言われて、"あれ? なんだったっけ、ブルエンらしさって?"って迷ってしまって。そのときに、ちょうどツアー("BLUE ENCOUNT HALL TOUR 2019 apartment of SICK(S)")が始まり、その合間でこの歌詞を書いていたんです。

-ツアーの中で見えたことがあると?

田邊:お客さんが指定席からひとりひとり見てくれてて、僕らの場所からも、お客さんの顔とか反応がよく見えるんですよ。そのとき、改めてホールっていうのはただ演奏を見せる場所ではなく、アーティストがお客さんの気持ちをダイレクトに受け止められる場所なんだなってふうに思えたツアーだったんです。その結果感じたことは、この人たちはこんなに自分たちの曲を大切にしてくれてるんだとか、例えばあの曲をやらなかっただけで"終わった"と思うような人もいるかもしれないし。"今日聴けなかった。もう無理だ"とか、"あの曲聴けたから頑張っていける"とか思ってくれる人たちに改めて出会えて。今までは"そういう人もいるだろうな"とか、Twitter上でたまに見る感想でしかなかったんですけど、まじまじとこの目でそういう景色を見て、この歌詞を書けたっていうのはありますね。"尊いな。だからこそ、これをしっかりと守るにはどうしたらいいんだろうな?"と。なかなか"守る"とか言えはしないけれども、どうやったら守れるんだろうな? っていう解釈です。

-その守りたいものってお客さんや聴いてくれる人のなんだと思いますか?

田邊:僕の中では何かから守るというよりかは、その人にもともとあるきれいな何かを大切にしたいっていうことなのかもしれないですね。BLUE ENCOUNTっていうのは、もちろんこれまでもこれからもですけど、できるだけひとりひとりが持ってる暗闇に光を射したいとか、背中を押したいっていうマインドではあるんです。でも、人間ってその暗がりだけで生きてるわけじゃないよなと思って。俺らとお客さんが意思疎通したときに、途轍もないきれいな笑顔を見せてくれるんですよね。ほんとに"生きてて良かった"って思ってるでしょ? っていう。で、それによって俺らも"生きてて良かった"と思えるんですよね。この人がこんなに笑ってくれて嬉しいなっていうふうになれるんだったら、その人はもともと、たぶん人を喜ばせることができるような、その人が笑うだけで周りが安心できるような光を持ってるんだろうなと感じたんですよ。だから、"この人を守んなきゃいけない"と思うより、"この人を守りたい"と思うほうがいいと思うんですよね。BLUE ENCOUNTって"守んなきゃいけないんだ"とか、"支えなきゃいけないんだ"っていう思いが強すぎた時期があって、そういう時期ってどうもこうも、ちょっと嘘っぽい言葉を言ってしまったり。

-嘘じゃないんだけどもってとこですよね。

田邊:嘘じゃないんだけど、もうちょっと言い方あったでしょ? ってことがありました。そういうときって言わなきゃいけないとか、締めなきゃいけないって考えてるときなんですよね。でも、そうじゃなくて単純に、今この俺のボロボロの姿で、お互いに汗まみれの状態で、幸せって思ってくれるんだったら、もうこれでいいんだろうなって考えるほうが、いいMCできますし、いい歌が歌えるんです。使命感というよりかは、"俺、こうやって歌い続けるのが運命なんだ。ここからの人生なんだ"っていうマインドに変わったときに、曲がすごく書けるようになりましたし。

-そういう感覚を表現するためなのか、田邊さんのヴォーカルも丁寧だなと感じて。

田邊:そうですね。最初、自分のプランニングで歌ってたらただのアップテンポな曲になってたんですよ。結構簡単なメロディ・ラインなんだけど、語尾が難しいっていうか。久々に歌を録り終わって声枯れましたね。相当使ったんで。それぐらい自分の中で納得いくテイクが録れなかったので、この曲は歌が一番難産でした。

-加えて印象的なのが江口さんのアルペジオで。

江口:最初に田邊がデモを持ってきた段階であれが入ってて。印象的なフレーズだったのでつぶさに使いながら、効果的に聴こえるようにアレンジの面でも意識して作りましたね。ただのポップ・ソングにしたくなかったので、ブルエンっぽい感じというか、自分の色というか、そこらへんもうまく出しつつ、バンド感も無理矢理って感じではなく、今までの系譜をちゃんと辿りながら出せたらいいなと思ってアレンジしていきました。