Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

BLUE ENCOUNT

2016年11月号掲載

BLUE ENCOUNT

Member:田邊 駿一(Vo/Gt) 江口 雄也(Gt) 辻村 勇太(Ba) 高村 佳秀(Dr)

Interviewer:石角 友香

笑いと涙のエモーション120%の武道館公演を成功させ、すでに公演の中でも披露された新曲「LAST HERO」をシングル・リリースするBLUE ENCOUNT。あたたかな光で照らすというより、貪欲な生命力と飢餓感をステップに臆面もなく誰かのためのラスト・ヒーローになりたいと歌う。曲調もシングルとしては久々にラウドでハード・エッジなナンバーだ。日本テレビ系ドラマ"THE LAST COP/ラストコップ"の主題歌としてはかなりエッジーだが、ロック・ファン以外にも、今必要な生きる力を生々しく感じさせるある種の普遍性も。武道館公演2日後(!)の4人に、早速インタビューを敢行!

-10月9日に行われた武道館公演"LIVER'S 武道館"後、2日しか経っていないなかでのインタビューなんですが(笑)。

江口:いやー、逆に1日しか休めなくてよかったですよ(笑)。武道館って場所がすごいパワーを持っていて、下手に1週間くらい休みがあったら、もうほんとに怠けすぎちゃうだろうなって思います。1日だけ休みで、次の日からハード・スケジュールでよかったです。

-改めて武道館の感想を聞かせてください。

高村:武道館に立つ前と立ったあとのイメージの違いもそうですけど、自分の感じたことが考えていたこととまったく違ってびっくりしたっていうのが一番大きいです。もっと緊張でガチガチに固まっちゃって、全然らしくないライヴになっちゃうんじゃないか? って不安もあったんですけど、実際にステージに上がった瞬間、"あ、今日楽しめるな"っていう雰囲気で1曲目が始まり、自分もそうなんですけど、メンバーも楽しんでるのがすごく伝わってきて。お客さんも最初は緊張していたと思うんですけど、徐々にそれも解けてきて、緊張とは無縁のライヴになりましたね。気持ちを作らなきゃと思って、自分の中でいろいろ想像して臨んだんですけど、その行程があったからこそ緊張しなかったのかもしれないです。ピシッとしてなかった部分も少しあったかもしれないですけど、そこも僕ららしいっちゃ僕ららしいので、そういったところも含めてすべてBLUE ENCOUNT(以下:ブルエン)らしいライヴだったと思います。

江口:今回、武道館ライヴをやるにあたって、体調管理や食生活を細かく調整してきたんですよ。ステージにはベスト・コンディションで上がりたいと思って。なのに、まさかの前日にまったく眠れなくて、そのまま武道館にインすることになっちゃったんです。だからずっと身体が重くて。"今日の武道館どうなっちゃうんだろう?"って、楽しむとかそういうことよりも、"なんとかして完走するためにはどうしたらいいのか?"っていうことを考えてたから"このままじゃ嫌だな"と。リハをやっててもずっと重い感じだったんですけど、ELLEGARDENの「風の日」(2002年リリースの1stアルバム『DON'T TRUST ANYONE BUT US』収録曲)がBGMで流れて、そのあとアタック映像が入ったら急に身体が軽くなって。アドレナリンが出たっていうのはもちろんあると思うんですけど、その瞬間、緊張が一気にゼロになったんです。なので、ステージに立ってライヴが始まってからは......緊張なしの自然体の自分で臨めたというか。いい高揚感もあって、ほんとにいつもどおりのブルエンでいられたんです。ま、それは僕だけじゃなくて周りのメンバーを見てもそう思ったし、改めて、高校生のときからこの場所を目指してきてよかったなって思いを1曲1曲やりながら噛み締めてました。

田邊:経験しないとわからないことだらけで、リハーサルのときから緊張感がありましたね。リハが終わって、他のメンバーが楽屋に戻ったときに、僕はステージに残ってちょっと花道の動線をチェックしたりしてて。で、最後、ステージの真ん中で横になって真上を見たんですよ、"贅沢だなぁ"と思いながら。もう、そのときから覚悟はできてましたね。それは何かっていうと、"今回の武道館を終わりにしたくない"っていう、あの日の最後のMCで言った言葉なんです。"あ、今日のMC、これ言わなきゃ"っていうのが浮かんできた瞬間にふとスイッチが入って、そのためにはどんなライヴをしなきゃいけないんだ? と考えたら、楽しいだけじゃなく、緩急をつけつつも全編僕らがしっかりしてなきゃいけないって。そういう思いも含めてステージに立ちましたね。

-リハで何を言いたいか見えたんですね。

田邊:ライヴハウスでやるより力が入ってたっていうのはもちろんですけど、その"力が入ってた"っていうのは武道館では当たり前のことだったのかなとすら思いましたね。力を抜きすぎても良くない、でも入れすぎたら今度は痛くなっちゃう。そういういい抜き差しの仕方っていうのが今回の武道館での勝負だったかな? と思って。二重に気を張り続けたので、終わってからの疲労感がすごかったです。江口も言ってましたが、僕もトレーニングして、以前に比べるとしっかり痩せて臨んだつもりなんですけど、終わったあとに普段痛くならない筋肉が痛くなって。でもここまで筋肉を使わないと武道館は楽しめないんだと。ここを鍛えてたらもっと楽しめただろうなっていう、自分の反省点みたいなものが如実に見えてきましたね。でもまぁ、"このままじゃ終わらせねぇぞ"って言葉を発せたので、良かったかなと思います。

辻村:自分は江口と逆で、直前までまったく緊張せず、前日も爆睡でした。もちろん体調とか飯とか調整してちゃんと仕上げてきたからこそだとは思うんですけど。武道館までライヴを1ヶ月やってなかったので、早くライヴがしたくて音が出したくて、みんなに会いたくてって思いがあって。だから、リハーサルでやっと自分の機材でフルセットで音を出したら"気持ちいい~"みたいな感じで満たされてしまいました(笑)。で、アタック映像が流れ始めたら急に心拍数が上がってきて、自分が最初にステージに出るからちゃんと冷静に1段1段、ステージに上がる前の階段を上ろうと思ってたら途中でつまずいたりして。でもお客さんの顔を見たらいつもどおりに演奏できたんです。なんかホント、良い意味でも悪い意味でもブルエンらしくできたっていうのが一番、後悔のないことだなと思って。そこでちょっとカッコつけちゃったり、自分らがテンション上がりすぎて周りがついてこれないとかでもなく、お客さんにちゃんと目を配りながらライヴができたので。それは今までたくさんやってきたフェスとかツアーのひとつひとつが経験になったからだと思います。そういう自信があるからこそ緊張しないんだなって、終わってから改めて確信しましたね。