Japanese
BLUE ENCOUNT
Skream! マガジン 2016年11月号掲載
2016.10.09 @日本武道館
Writer 石角 友香
BLUE ENCOUNT(以下:ブルエン)らしさを120パーセント体現したような、そんなライヴだった。心の中では実現できるのかという不安や葛藤だらけでも、"実現する"と口に出して、それを背負って前進する。オープニング映像で、2013年の渋谷TSUTAYA O-WESTのライヴで田邊駿一(Vo/Gt)が"武道館でライヴをやります!"と宣言した場面からカウントアップしていく流れには、目標は持たなければそもそも向かうことができないものだなとつくづく再認識してしまった。そして言霊というものもあるのだと思った。
左右に伸びた花道といくつかの照明機材がステージ上にある以外はわりとシンプルなセットの中、笑顔で登場した4人。オープニングは意外にも田邊のアカペラ。武道館全体に彼の意志が響き渡る。"準備はいいですか? 武道館でBLUE ENCOUNT始めます!"のひと声に楽器の音が重なった瞬間、そのバランスの良さに半ば成功を確信した。1音1音がクリアに聞こえ、ホール・ライヴでも曲そのものを堪能できるような音作りがなされている。オープニングの「DAY×DAY」はまさにここまでの日々を手に取って感じられるような演奏だったのだ。なんでもオープニング映像の内容はメンバーにも知らされていなかったようで、ライヴ中もきっと感情がブン回されているに違いない。しかしその思いも瞬時にファンと共有し、消化していく様子が窺える。そういう部分が初めての武道館公演の醍醐味だし、バンドのメンタルの強さが見える部分でもある。
「MEMENTO」、「Survivor」では江口雄也(Gt)のライトハンド、辻村勇太(Ba)のスラップ、怒濤のように押し寄せつつソリッドでもある高村佳秀(Dr)のドラミング、各々の曲にとってそれがどう必要なアレンジなのかがこれまで観てきたライヴ以上にわかる。今のブルエンのライヴは、モッシュやダイブができることだけが魅力ではなく、曲そのものと演奏の良さでこの武道館にいるオーディエンスの感情をひとつに束ねられる性質のものだということをこの日、全編で感じた。
先日行われたMr.Childrenの武道館公演を観たものの、ステージから見る景色は全然違うと語る田邊は、"アリーナ元気? とかそういうベタなやつ、全部やりたい!"と言う。そして場内が照らされ、"嬉しい! みんなの笑顔も毛穴さえも見えますから! 安心したわ~"と笑いを誘い、ファンがあちこちから口々に言いたいことを言う光景もいつもと変わらない。選曲も今日初めてブルエンのライヴを体験するファンを決して置いていかない、メジャー・デビュー以降の楽曲を中心に、キラー・チューン"しかない"展開に。巨大なパーティー感を作り出す「JUMP」、2ビートの狂騒のなか、田邊がスタンド近くまで花道を走って場内をさらに沸かせた「HEEEY!」、間奏の"Oh! Oh!"のシンガロングの大きさにオーディエンス自身が鼓舞されていくのがわかる「ONE」と、これまで以上に曲の個性が際立つ。
"楽しいことも嬉しいこともいっぱいあったろ? でもそれ以上に悲しいこともつらいこともあったろ? でもこの景色見て安心しろ。仲間しかいないから。今日ぐらい俺らの音楽で抱きしめるから安心して"という田邊のMCが「ANSWER」に繋がっていくリアリティ。でもこの空間が外と隔絶されているとは思えない。つらいことの方が多い仲間は外にも大勢いるはずで、もはや武道館のキャパシティでも全然足りない共感の広がりを逆説的に感じた瞬間だった。
だが、どこか照れがあるのか突っ込みどころを用意するのもブルエンらしく、いつもならアンコールの物販タイムに登場するはずの"DJ高村"がアリーナの中央に......。"メンバーについて"などのお題をルーレットで決定し、その場でラップするという無茶振り且つほとんどリリックとは言えないシロモノだったりするのだが、"DJ高村"のアイアン・ハート(?)はなぜか憎めない。イキ切ったキャラでもないし、このコーナー自体グダグダなのだが、それでも愛すべきキャラクターに着地するのは......人柄か。
爆(失)笑を挟んで、ステージを見ると弦楽カルテットが小品を奏で始める。いったんハケていたメンバーがそこに再び登場。田邊は「YOU」の歌い出しをアカペラで、R&Bシンガー顔負けの表現力でたっぷり聴かせ、バンドの演奏が入ってきてからの日本語詞がまた沁みる。さらに言葉がひとつひとつ内面に響き渡る「はじまり」もバンド・アンサンブルを活かしたストリングスのアレンジが繊細で、演奏を終えたステージに対して一瞬、武道館全体が息を呑むような静寂に包み込まれ、一気に万雷の拍手が起こったシーンは明らかにこの日のハイライト。それこそ田邊がMr.Childrenに感じているような普遍性を、このブロックでは今の10代の原風景として刻み込んだのではないだろうか。
ストリングス隊を迎えた演奏のあと、"武道館の中でもひとつひとつ、夢を叶えてる"と田邊が噛み締めるように話し始め、なんと過去に江口といさかいを起こした際に彼のギターを壊してしまったことに触れ、お詫びとして江口に新しいギターをステージ上で渡すというサプライズも。そこでハグし合うふたりに"気持ちわり~"と辻村が突っ込むことも含めて微笑ましかった。そこから新曲「LAST HERO」ではTVドラマ、しかも土曜夜9時台のドラマ主題歌を担当できる喜びをファンとテレビ局担当者に猛烈にアピール。ファンが見守る中でドラマへの出演を交渉し、なんとかOKを取りつけるという場面も。しかし曲そのものはスリリングでソリッドに、高速で展開していく。ドラマのテーマともリンクしているとはいえ、"このままじゃ死ねない"というヴァースは武道館のステージにいながら、ここで終わりじゃないことを何より雄弁に示していたのだ。
そこから終盤の速度と濃度は凄まじく、火柱が上がる中での「JUST AWAKE」、ダイブやモッシュと同じ熱量でジャンプやハンドクラップをし、共に歌う「THANKS」、中にはブルエン以外のタオルもあることを指摘する田邊の"らしさ"にまた笑いが起こる、1万人のタオル回しが壮観な「LIVER」。低音も圧もグルーヴもしっかり体感できる出音の良さでさらに盛り上がる「ロストジンクス」と、次々に楽曲がプレイされた。
"1年前だったら嘘みたいな景色が目の前に広がってんだよ。でも武道館立っても不安なんだよ、力貸してくれ!"という想いのこもった田邊のMCを受けての「だいじょうぶ」は、もはやバンドがファンにとか、ファンがバンドにという境界をなくして互いに"あなたを待ってた"ことを全身で表す喜びで溢れていた。そして、すでにブルエンが次の段階に足を掛けて飛び立とうとしていることが、この日のもうひとつのハイライトとして本編ラスト前のMCで明らかになった。まだまだここで終われないんだという想いと共に、幕張メッセを含む過去最大規模の全国ツアーを来年3月より開催することを発表。歓喜に沸く武道館のラストに鳴らされた「もっと光を」のスケールの大きさと、同時に感じられるまっすぐな切実さ。この曲の持つ意味はバンドが大きくなるに従ってどんどん大きくなる。曲中"これからだ!"と叫ぶ田邊もメンバー3人も当然同じ気持ちだろう。最後まで徹底して聴かせ、見せる演奏を貫いた4人に心から感謝の拍手と歓声が送られた。
1曲1曲の存在意義をじっくりと見せながらの本編19曲。改めて曲数よりどれだけ印象に残るライヴをやるのか、に全身全霊を注ぐブルエンのスタイルは武道館でもなんら変わることはなかった。アンコールでは、来春リリースするアルバムに収録されるのかどうかはわからないが、"これまでにないタイプの曲がどんどんできている"と、おおらかであり斬新なサウンドの試みもある新曲を披露。そして披露された祝祭的な「NEVER ENDING STORY」。ここに集まったファンの手がスタンド最上階まで確かに見えるのだろう。各々の手が掴む未来に想いを馳せて、「HANDS」がこれまで以上のあたたかさで空間いっぱいに広がっていった。
すでに先の未来も背負いながらの初の武道館公演。しかしブルエンはそんな大仕事をやってのけた。天才やカリスマはいないバンドだけれど、努力と二言のなさにかけては天才なんじゃないかと思う。BLUE ENCOUNT、その存在自体が希望だ。
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