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INTERVIEW

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ガガガSP × 四星球

ガガガSP × 四星球

神戸の"日本最古の青春パンク・バンド"と、徳島の"日本一泣けるコミック・バンド"による、メンバー座談会が実現! 今年、結成25周年を迎えるガガガSPと結成20周年を迎える四星球。四星球の結成直後に初めて対バンをしてから、約17年。先輩後輩という間柄ながら互いにリスペクトし合い、深~い親交を結んできた両組。長い付き合いながら初となる貴重なメンバー全員参加のカオス座談会で、出会った頃の思い出、互いの印象や学んだこと、アニバーサリー・イヤーに思うことなど、面白可笑しく赤裸々に語ってくれました!

ガガガSP:コザック前田(唄い手) 山本 聡(ギター弾き手) 桑原 康伸(ベース弾き手) 田嶋 悟士(ドラム叩き手)
四星球:北島 康雄(シンガー) U太(Ba) まさやん(Gt) モリス(Dr)
インタビュアー:フジジュン

-ガガガSPと四星球の最初の出会いは、何年前になるんですか?

北島:僕らはもちろん四星球の結成前から、ガガガSPの存在を知ってて。バンドでコピーさせてもらうくらい、大好きだったんですけど。バンドとして初めて会ったのは、徳島の大学卒業イベントに来ていただいたときやから、2005年とかですかね? 先にセックスマシーン(現セックスマシーン!!)と仲良くなって、サンボマスターと一緒に神戸に呼ばれたとき、楽屋に銀杏BOYZのTシャツを着た前さん(コザック前田)がおって。"うわ、神戸におるんや!"って思ったのを覚えてます(笑)。それが2004年くらいの話ですが、そのときは挨拶もできていなくて。

前田:なんか人を介して、康雄ちゃんに電話したことあったよね? そこで"今度、一緒にやろうよ"って言うたんですけど、僕はまだ一度も四星球を見たことがなかった(笑)。

山本:そこから、『草枕』(2004年リリースの四星球のデモCD)が神戸に大漁に出回ることになるんや(笑)。

前田:ウチにもまだ30枚くらいあるよ。

北島:あ、なくなったらまた送るんで言ってください(笑)。で、そのあとにツアーに呼んでいただいて、めちゃくちゃ嬉しかったです。

前田:『青春狂時代』(2006年リリースの5thアルバム)のツアーやね。

山本:あのときやっけ、めっちゃCD売れたのは? すごかったよね?

北島:すごかったです。最初の名古屋で持っていったぶん、全部売れて。札幌でも持っていったぶん売れちゃったから、売りながらノートPCで焼いてたんですよ。で、そのあとが北見でライヴやったから、移動日に電気屋さん回ってCD-Rを買い足して。僕らのノートPCだけじゃ間に合わないからって、たぁじん(田嶋)さんもPCにデータ入れて、一緒に焼いてくれたんです。

田嶋:そう。だから俺、ジャケ写だけ貰えたら、すぐに『草枕』作って売れるよ。

山本:テキヤできるやん(笑)。でもあとにも先にも対バンやって、あんなにCD売ってたのは四星球くらいでしたね。

北島:この前、ダイスケはん(マキシマム ザ ホルモン/キャーキャーうるさい方)と話してて、"オラぁいちぬけたツアー"(2003年)のときに一緒に回ってた話をいろいろ聞いて。ホルモン(マキシマム ザ ホルモン)もそうですけど、僕らの世代から見たら、"ガガガSPと一緒にツアーを回ったら一人前で、もう売れる!"と思うくらい、フックアップ感がすごかったんです。

前田:いや、一人前というか、そのバンドに実力があっただけですよ。サンボマスターもそうやったし、たまたまですよね。

田嶋:ウチは完全に踏み台バンドやからな。ロイター板みたいなもんや(笑)。

北島:あはは(笑)。だから、呼んでもらったときはすごく嬉しかったんです。

U太:しかし、田嶋さんは丸くなりましたよね(笑)。最初、めっちゃ悪かったですもんね?

山本:徳島で打ち上げしたとき、U太はハイヒールで頭どつかれてたもんな。で、"痛い! 血ぃ出てきましたわ~"言うたら、田嶋さんが"きゃははは!"って笑って(笑)。

田嶋:あれは徳島の町に、ハイヒールが落ちてるのが悪い(笑)!

北島:あはは(笑)。初めて一緒にツアーを回らせてもらったとき、北海道までフェリーで行って。そこですごく仲良くさせてもらった気がします。

前田:枕投げしたよな、みんなで(笑)。あの旅は楽しかったね。

-前田君は、最初は見たことないまま誘った、四星球のライヴを観ての感想はいかがでしたか?

前田:コミック・バンドやって言うてましたけど、曲が好みでしたね。なんやかんや言うて音楽を見るから、音楽が好みやったっていうのは大きかったです。あと、"この人ら出てくるやろな"っていうのは、その頃からなんとなく思ってました。

北島:え~、ホンマですか? 嬉しいなぁ!

前田:あと当時はですけど、"自分より歌が下手なヴォーカルが現れた"と思って、安堵してました(笑)。

山本:コミック・バンド要素も、今から見たら薄かったですよね? 僕はちょっとフザけたパンクのノリの延長線上みたいな、そんな感じがしてました。『草枕』は機材車で死ぬほど聴いてましたもんね? ずっと流れてたのが、『草枕』かB-DASHか、Hi-STANDARDかTheピーズ。

前田:BEAT CRUSADERSも聴いてたね。あと後半は延々とビートたけし(笑)。

桑原:僕はちょっと真面目に言うたら、四星球ってアホなことをド真剣に考えてライヴやってるのがカッコええなと思います。それがカッコいいにも、面白いにも繋がってると思うし。最初の頃はもうちょっと青春パンクに笑いがあるような感じやったけど、どこかで化けたみたいな感じがありましたね。あと、いい年になってきてるのに、パンツ一丁であの清潔感があるのがすごい!

北島:ありがとうございます(笑)。見た目で言うとガガガSPの体型とかのばらつきは、バンドとしてめちゃくちゃカッコいいと思ってます。4人が並んだときやライヴやってるときのアンバランス感のバランスの取り方は、最強やと思います。あとひとり入れるなら、デブのトランペット。それと女性キーボードがいたら、完璧です(笑)!

山本:そう言われたら、完璧目指したいなぁ(笑)。

-四星球はガガガSPとツアーを回って、学んだことや感じたことはありました?

北島:モリスさん、どうですか?

モリス:僕は当時まだ加入していなくて、枕投げをしたフェリーにも乗ってないんで。一緒にツアーも回ってないし、まだ、ガガガ(ガガガSP)と溝があると思ってます(笑)。

北島:あ、すみません(笑)。僕は"ツアーって、こんなに楽しいんや!"と思いました。僕らのツアーは機材車で寝て、炊飯器でご飯炊いて食べるみたいなのが当たり前で。地方に行ったらイベンターさんがいて、オフの日にバーベキューしてもらってとか、そんなの初めてだったんで驚いたし。"こうなりたいな、夢あるな!"と思って、より強い憧れになったし。"後輩にもこんなフレンドリーに接してくれるんや!"というのはすごく思いました。あとは単純にライヴを観られて嬉しかったというのがありますね。"こんなローカルなところに来ると、こんな熱量が生まれるんだ!"とか、ひとつひとつのライヴが刺激的でした。

U太:そうですね。ライヴに関しては僕らも結構、好き勝手にやらせてもらってたつもりだったんですけど。ガガガSPのライヴを観て、ホンマに何が起きるかわからん感みたいなものにいつもドキドキしてました。札幌のライヴでは前田さんが登ってるスピーカーを、僕が押さえたり(笑)。ガガガSPのライヴにはウチらに絶対出されへんものがあるから、そこに対する憧れは今もなおずっとありますね。

-そこからは、イベントやフェスでも一緒になる機会も増えて。

前田:そうですね。"長田大行進曲"の1回目(2010年)に、オープニング・アクトで出てもらったじゃないですか? あの日は勢い良くライヴやってたけど、そのあとくらいからライヴのやり方が変わったような気がするんですよね。

北島:"長田大行進曲"は僕らにとってめちゃくちゃデカかったし、すごく勉強させてもらいました。あの日、いいバンドしか出てなくて、いろんなタイプのバンドが出てる中で自分らには何ができるんだろう? って、すごく悩んで探して臨んだ感じはありましたね。

前田:あの日を境にとは言わないけど、あの前後くらいから、四星球の"青春パンクに笑いがあるバンド"ってイメージが僕の中でだんだんなくなって。エンターテイメント性が増してきた感じがあるんですよね。ガガガSPと四星球の決定的な違いって、四星球はきっちりドリフ(ザ・ドリフターズ)をやるんですよ。でも僕がガガガSPでやりたかったことは、"オレたちひょうきん族"やったんです。もっとごった煮のぐっちゃぐちゃがやりたかった。でも、今考えると"ひょうきん族(オレたちひょうきん族)"の面白さって、時代性もあって。当時観てたとか、思い出フィルターがかかってない、今の人にはそんなに面白いものじゃないかもしれない。でも、ドリフって時代や世代を越えて、ずっと面白いじゃないですか? だから、四星球に世代を越えたファンがついているっていうのは、普遍をやっているからやと思うんです。

山本:ガガガSPはキッチリやらないどころか、ほとんど何も決まってないですからね(笑)。

前田:そうやな。決まってないところからしか狂気って生まれないから、それはそれでええんやけど。だんだん年取ってきたら、狂気ってなくなるんですよ。

北島:昔、激しいときはワンマンでセットリスト出してるけど、全然違う曲やってたことありましたよね? タイトルの前のMCで、メンバーがどの曲をやるか察するみたいな。

山本:あ~、そうそう。

北島:あのやり方は、他では見たことなかったですね。あれが30分とかの持ち時間やったら、バンドの阿吽の呼吸でやれるかも知れないですけど。2時間半とかをあれでやってるのは、やっぱりすごいなと思いましたね。

前田:若さとか勢いとか、そういうもので保たせてた部分は大きいよね。それを50~60歳でできたら、技能やから(笑)。今僕らはその境目にいるんじゃないですか?

北島:ホンマにヤバいなと思ったのが、前田さんがアコギ背負って、MCで喋って。曲名言うたら、アコギを後ろに置いて弾かなかったんですよ! これは前田さんもすごいけど、騙されなかったメンバーもすごいなって(笑)。

前田:わはは(笑)。昔、なんかのフェスで夏の思い出話とかして。みんな絶対、「線香花火」(2001年8月リリースのシングル表題曲)が来ると思ってるところに、"次の曲! せ、せ、せ、「青春時代」(2001年1月リリースの1stアルバム『ガガガSP登場』収録曲)!"って言って。やまもっちゃん(山本)がガチャガチャガチャってずっこけたこともあったよな(笑)。俺は壁によじ登ったまま、それをニヤニヤ見てましたけど。

山本:島根かなんかのライヴで、前田さんがアンコールで出てきてバーッて喋ってたんやけど。僕は暑くて湿気がすごくてあんまり耳が聞こえてなくて、やっと曲名を言ったと思ったら"スーパーヒーロー!"って聞こえて、"なんやそれ、そんな曲ないやろ!"となったこともありました(笑)。ホンマは「世界は二人のために」(2002年リリースの5thシングル『晩秋』収録曲)って言ったらしくて、田嶋さんと桑原さんは普通に曲に入っていくんですけど、僕だけ"え、「スーパーヒーロー」って曲あるの!?"って必死に考えてて。頭もボーッとしてるから夢かと思って、目覚めた瞬間に"夢で良かった!"ってなるやつかと考えてましたね(笑)。

北島:僕らは、それはないですからね(笑)。ライヴの途中で曲を変えたりってことはあって、"アンコールは3曲あるうちのどれか"とかはあるんですけど。それをOKにしてるのは、ガガガSPを見てるからなんです。

まさやん:あと単純に曲順を間違えたけど、パッとその曲に対応できたときは、"あ、僕らバンドとしてやれてるな"って安心するし、充実感ありますね。

U太:それと僕らの場合、ネタもあるんで。ネタの大枠は決まってるけど、何が出てくるか? っていう、細かいことは知らないんですよ、教えてくれない。だから楽屋に知らない小道具が置いてあって、"これ、何に使うんやろ?"って思うこともあります(笑)。

前田:四星球って毎回、ネタが違うやんか? あれ、どこまで打ち合わせしてるの?

北島:まったく新しいフォーマットを作ったときは、細かく説明することもあるんですけど。基本的にはネタの方向だけは伝えておいて、細かい中身は伝えないです。まさやんに小道具を発注するときも、"これくらいのサイズのこういうもの"とかは伝えますけど、用途までは詳しく説明しないことが多いですね(笑)。

山本:じゃあ、メンバーはステージで純粋なリアクションを取ってるんや!

モリス:そうなんです。自分が演る側のときも"最後に発狂して"とかだけ言われて、細かい説明は何もないんです。"今回は股間を押さえて発狂して"とか言われるんですけど、何があるのかは聞かされてなくて。

北島:そうですね。"あとにデカい股間が袖から出てくるから、発狂するときに股間触っといて"くらいは言いますけど、あとはおまかせです(笑)。

田嶋:そう言えば、去年の"長田大行進曲"で、フラフープに張ってある俺の顔を蹴破ったやん? あれは決まってたん?

北島:あれは......フラフープを回そうとしたら、たぁじんさんの顔があって回せなかったから蹴破っただけで、深い意味はないです!

山本:袖から見とったら、"田嶋さんのこと嫌いやん!"って思ったけどな。

北島:違います! でも関係性知らなかったら、"復讐劇が始まった"と思いますよね(笑)。