Japanese
四星球
Skream! マガジン 2015年08月号掲載
2015.07.06 @TSUTAYA O-WEST
Writer 荒金 良介
"日本一泣けるコミックバンド"をキャッチフレーズに掲げた四星球(スーシンチュウ)が、不定期で開催してきた2マン・ツアー"四星球方向性会議"を開催。この日は彼らにとって縁もゆかりも深いTHE イナズマ戦隊がトップバッターを務める。が、その前にわざわざ四星球の北島康雄(Vo)が前説で登場し、"もう12年の付き合いで、19歳で初めて出会った。1番付き合いが長い先輩バンドになります。THE イナズマ戦隊、頑張ってください!"と最大級のエールを送り、本番に入る。"やっちゃっていいですか、オイ!"と上中丈弥(Vo)が煽ると、THE イナズマ戦隊は「バカ者よ大志を抱け」で火蓋を切った。それから上中が作詞を手がけた関ジャニ∞のカバー「ズッコケ男道」を披露。ノリがいいキャッチーな曲調だけに、観客も手拍子しながら踊り出す。中盤の「喜びの歌」では曲中に"一緒に歌おうぜ!"と親密に語りかけ、観客が合唱する光景も美しかった。熱情的な歌と演奏は曲ごとにどんどん高まり、ラストは名曲「応援歌」で堂々と締め括る。吹き零れんばかりの感情で高らかに歌い上げるド直球なメッセージが胸に突き刺さった。
20時23分、"TSUTAYA大好き、四星球ー!"の掛け声と共におそらくTSUTAYAに引っかけ、メンバーそれぞれ映画のキャラクター(ベースのU太はターミネーター、ギターのまさやんはスターウォーズ、ドラムのモリスはベイマックス)で登場。北島は某アイドルのイメージ・ビデオにちなんだビキニ姿で現れ、「Mr.Cosmo」でライヴはスタート。途中で北島はETのコスプレに着替え、フロアに突入して観客とモッシュするハチャメチャな展開で掻き回す。"O-WESTにコミック・バンドがやって来ましたー!"と高らかに宣言すると、続いて「HEY! HEY! HEY!に出たかった」に繋ぐ。それから"MONSTER baSHの景色を書いた曲です"と説明すると、8月19日に発売される6thシングル表題曲「MOONSTAR daSH」をここで披露。バンド側に指導により、観客は両手を上下に振りながら身体を一回転させ、フロアの一体感は異様に高まっていた。久しぶりにやるという「BOY蜜GIRL」を挟み、「潮騒ぎ」で北島は会場の前柵に足をかけ、熱く歌い上げる様も印象的だった。ここで9月にTOWER RECORDS主催のライヴイベント"Bowline"で幕張メッセに立つことを告げ、"最後の可能性あるな。お金ない人、僕出すわ!"と言うと、観客からドッと笑いが零れた。
中盤に入ると、「鍋奉行パエリアに挑戦」を関東で初披露! 出だしからマイクの代わりにお玉杓子、味ぽんを手に持ち、さんざんボケ倒したあと、演奏が始まれば観客は鍋の具を取る仕草(※手を出したり引っ込めたり)で曲に全力で応えていく。しかし、ファニーのひと言で片付けられない魅力がちゃんと備わっている。北島とまさやんのふたりで歌を掛け合い、歌詞と相反するオシャレなダンス・ミュージック的要素も取り入れ、大いに盛り上がった。最後は北島がフライパンを手に持って横に振り、また翌日の七夕(7月7日)に引っ掛け、観客に短冊を配ってペンライトのごとく振ってもらい、エンタメ感炸裂のアプローチで会場を揺さぶる。後半はお祭り感のある「妖怪泣き笑い」、パンク・ビートで突っ走る「クラーク博士と僕」と畳み掛け、カオスな熱狂を生み出す。そして、本編ラストに入る前、"イナズマ戦隊に「いいな、お前ら」と言われて、(バンドを)続けられたところもある"と北島はしみじみと語り、「LAUGH LAUGH LAUGH」をプレイ。
アンコールではちょんまげのカツラを被り、白パンツ姿で「Teen」を熱演し、最後は「明日までkm」 で大団円を迎えた。徹頭徹尾、吉本新喜劇のようなドタバタ感で観客を和ませ、笑わせる手腕はさすがだった。自分たちを思いっきり笑い飛ばし、その先にポジティヴな明るさやペーソス漂う人間味をたっぷり感じさせてくれる四星球のパフォーマンスに、腹の底から楽しませてもらった。
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