Japanese
ZOCX
2025年12月号掲載
Member:大森 靖子 荼緒 あいみ
Interviewer:宮﨑 大樹
"前よりもチーム感がある"――メンバー兼プロデューサーであり、所属事務所"TOKYO PINK"の代表も務める"超歌手"大森靖子がそう語るZOCXは、かつての苦難を乗り越え最強の"六姫"として覚醒した。そんな彼女たちが完成させた新体制初のアルバム"『六姫無双』が12月21日にリリースされる。Skream!では本作に迫るべく、大森靖子と、高校時代から彼女の音楽に救われてきたという荼緒あいみの2人に話を訊いた。
-ZOCに"X"が付いてから初のインタビューなのですが、大森さんは現体制の今をどう見ていますか?
大森:楽しくやってますね。今までは自分がシャカリキに頑張って、誰よりも働いて成り立たせなきゃいけなかったんです。だけど今回のメンバーは、みんなが"この音楽をやりたい"と集まってくれたので、そこへの尊重とかフォローが多くて。前よりもチーム感があるなと思います。荼緒とは活動休止期間中の約1年間をほぼ2人で活動してたんですけど、メンバーが増えて嬉しかったよね。7人が2人になって、そこから6人になったんですよ。
荼緒:3倍! 自分にとってはAKB48みたいになった感覚(笑)。
-(笑)荼緒さんは、もともと大森さんの音楽が好きだったんですよね。
荼緒:はい。私が靖子ちゃんの歌に救われたように、自分の歌声とか表現で、もっといろんな層に広めたいと思ってオーディションを受けたんです。
-加入して、大森さんへのイメージは変わりましたか?
荼緒:前は"大森靖子様"、"神様"みたいな存在で。今でもそう思うんですけど、結構人間。
大森:(笑)
荼緒:すごく近い感じで喋ってくれたりして、もっと好きになりました。
大森:私、学校にいたらしいんです。
-ん?
大森:あいみちゃんの学校に、私がいたらしいんですよ(笑)。
-んんん?
荼緒:高校生のときに学校が嫌すぎて、いつも靖子ちゃんの曲を聴いてなんとか行ってたんです。そうしたら靖子ちゃんの曲に救われすぎて、授業中に靖子ちゃんが教室にトコトコ入ってきて、私の机にやって来るのが見えるようになって。
-イマジナリー・フレンドみたいな?
荼緒:そうなんですよ! だから、靖子ちゃんは高校生のときからずっと一緒にいてくれてる。
大森:ZOCに入って最初の頃は"あぁ、いたよ~"みたいな感じで話を合わせてたけど、1年経ったら"え、マジ怖いんだけど。本当にやめて"とか言ってます(笑)。
荼緒:(笑)でも、メンバーはみんなそんな感じ。みんな"靖子ちゃんが大好き"って感じがする。だから幸せです。
-いいムードでやれているんですね。表記は変わったとはいえZOCから地続きとしてやっていると思うんですけど、音楽制作においては今の体制になったことで、表現したい内容とかテーマが少し変わったとか、そういうことってあるんですか?
大森:テーマというよりは音域の幅が変わりました。私は音域があるほうなんですけど、ライヴの本番ですごい音域を一緒に出せるようになりましたね。うちのグループにしかないユニゾンがあります。そのなかでも大森靖子の世界を大切にして、乙女心を歌ってくれていて、そんな声がこの厚みで表現できるというのがすごく楽しい。新しいものを提供できている感じがします。
-うん。今のZOCXって、高音と低音の厚みにすごいものがありますよね。
大森:それを狙ってメンバーを集めました。最初に(戦慄)かなのが決まっていて、"メンバー探し手伝うけど、どんな人を探したい?"と言われたから"声が面白い人。この音域が今いないからここが欲しい"って答えたんですよ。欲しい声の子を探すのは、顔がかわいい子を探すのよりも難しかったんですけど、そこはすごくこだわりました。
-"乙女心"というテーマは、大森さんが作曲家としてずっと扱っていることだと思います。それを受け止めた一部の女の子への共感性が大森さんの楽曲の魅力だと思うんですけど、曲を制作するときは、音楽のターゲットのことをどのぐらい考えているんですか?
大森:曲とか仕事によっては考えることはあるんですけど、そこまでは考えていなくて。世の中にないものをクリエイターは作らなきゃいけないと思っているので。"なんで分かってくれないんだろう"が一番の創作意欲です。"こういう子に共感されたいから、こういう子の気持ちを歌いたい"だと、もうすでに歌われていることだったり、誰かが言語化できていることだったりする。でもそうじゃなくて、音楽だから誰も言語化できていないものが作れるんです。言語として伝えちゃうと尖って聴こえたり、重く聴こえたりするものも、かわいさとかがフィルターみたいになることによって、本当の意味で届けられるなって。ひどいことを言っても"これがかわいいだもん"って言い訳にできるというか。
-はい。
大森:それが100パーセント素晴らしいこととは言い切れなくても、切羽詰まった気持ち、こんなに孤独だから人生やめちゃいたい、みたいな気持ちに唯一寄り添えるのって、そういう曲だと思うんです。だから、みんなに共感される部分は他の人がやればいい。誰にも理解されない気持ちを、徹底的に、しらみ潰しに曲にして歌っていきたい、みたいなことを考えてます。"売れたい"とか"有名になりたい"とかだけだと、そういう私の目標に向かって一緒にやってもらうのが難しいなと今まで感じてきたから、今はそれを楽しいと思ってくれる人と一緒に活動できるのがありがたいです。
-もともとファンだったという荼緒さんが思う、大森さん楽曲の魅力は?
荼緒:私は日本語を知らなくて、もう普通のことですら言語化できないくらいの表現力だけど、靖子ちゃんの曲を聴いているだけで自分が表現している気持ちになれるんです。そういうところですね。
大森:本当にバカで(笑)。なので歌詞で漢字が出てくると"本当に練習してきたの?"というくらい、レコーディングが下手なんです。一番練習してくる子なんですよ。ありえない量を練習してくれる子なのに、漢字が多い曲は"え? 聴いてきた?"ぐらい。
荼緒:漢字は難しくてパッと読めない。
大森:"どうやって練習したの?"と思って見てみたら、全部ひらがなに書き起こしてあって。ひらがなで読むお経みたいになっていたので、"こんなの歌えるわけないじゃん"って(笑)。
荼緒:歌いたい気持ちは絶対にあるんです。しかも靖子ちゃんの歌詞って、文字が漢字だったりカタカナだったり数字だったりするので、そういうところも大切に歌いたいのに......読めない。
-本当は、漢字やカタカナで書き分けたニュアンスも汲み取りたい。
荼緒:が、しかし。ゆっくり読むことはできても、歌うときにパッと読むことが難しかったです。
大森:さっきのターゲットの話で言ったら、日本の文化的教養のレベルをちょっと高めたい気持ちでやってるんですよ。美術館に行く機会も、ライヴハウスに行く機会もない。"大森さんの曲、聴いたことあるよ"という人でも、ライヴハウスには来ない人が多いなと感じるんです。"ライヴってもっとライトに触れられるものだよ"ってSNSで発信してライヴに来てもらって、音楽体験をしてもらうことで文化的教養を上げられるかなと思ってるんですけど......隣に居る人(荼緒)は基礎教養がない(笑)。私には"学校やめたい"とか"もう行きたくない"っていうDMがよく届くんですけど、"行け!"って思います(笑)。
荼緒:靖子ちゃんの「大森神社」という曲に"学校は行きなさい"という歌詞があるんです。それを聴きながら"靖子ちゃんが言っているから行こう"って思ってました。私は靖子ちゃんの歌詞に出てくる言葉は全部調べるので読めるし、意味が分かるんです。だから、今までの曲でちょっと頭が良くなりました。新曲だと難しいですけど。
-大森さんの楽曲が、日本の学力向上に寄与していますね。
大森:局地的には(笑)。
-ちなみに、大森さんが歌う女の子の気持ちってどうインプットしているんですか?
大森:女の性格の女でも、女の性格の男でも、一概に乙女心ってあるじゃないですか。私はそれが強めだと思っていて。なので、逆に"めっちゃ男だな"と思う人と話すと、"あぁ~!!"と思って曲が書ける(笑)。そういうエピソードをメンバーとかに愚痴ったりしてインプットしているのかもしれないです。"ここは共有できるところなんだな"とか、"面白がってもらえるんだ"みたいなものを楽屋で確認するような感じで。
-今回のアルバム『六姫無双』にはまさにそんな新曲がありますもんね。アルバムという形態のリリースだとだいぶ久しぶりですし、もちろんこの体制としても初めてのアルバムです。
大森:新しい体制になったらアルバムを作らないと"この体制です"という名刺にならないと思っちゃう世代なので。まずは、完成して嬉しいなぁという気持ちです。
荼緒:自分も含めてZOCXのメンバーの声がめっちゃ大好きだから、これからいつでも聴けると思うと嬉しいです。
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