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LIVE REPORT

Japanese

ZOC

Skream! マガジン 2021年02月号掲載

2021.01.18 @Zepp Tokyo

Writer 宮﨑 大樹 Photo by Masayo

"超歌手"大森靖子が率いるアイドル・グループ ZOCが、メジャー・デビュー直前の1月18日に"NEVER TRUST ZOC"ツアー初日公演をZepp Tokyoで開催した。

SEを合図に一斉にメンバー・カラーのペンライトが点灯。会場の空気がライヴ・モードに一変すると、ZOCにとって始まりの1曲「ZOC実験室」でツアー開幕の狼煙を上げた。

赤の照明を基調にしたステージ上で、大森靖子が魂の叫びを響かせる。感情をありのままに放つ生々しさと熱量で鬼気迫るものを感じさせると、メジャー・デビュー・シングルから「AGE OF ZOC」に繋げた。メンバーとオーディエンスは"ぷっちゃへんざ"の声に合わせて手を挙げ、"ZOCちゃんたいそー"で身体を動かし、会場の熱量はいっそう上がっていく。「GIRL'S GIRL」、「断捨離彼氏」と続けてからの最初のMCでは、自己紹介を経て、ライヴ後の写真はドロドロだから、という理由で写真撮影を敢行。たいていはアンコール後に行うものだが、そんな常識にとらわれず、思い思いの行動を取る彼女たちに、個人的にはとても好感が持てた。

ここから、巫まろのかわいらしいソロ歌唱で始まる「IDOL SONG」を皮切りに、ガーリーな曲が続くパートへ。「イミテーションガール」、「ヒアルロンリーガール」、「チュープリ」を続けて披露した。ZOCと大森靖子の曲には、女の子のかわいさ、魅力を引き出す魔法がかかっているのかもしれない。いい歳をした男性ライターにそう思わせるのだから、大森靖子の才能はなんとも恐ろしい。

「チュープリ」終わりにメンバーがステージから去ると、今度はソロのコーナーに突入。「絶対彼女」では大森靖子が歌唱、巫まろと雅雀り子がダンサーを務め、西井万理那は「それな!人生PARTY」で彼女らしく明るい素直な歌を届けた。一転して、藍染カレンは、シリアスな「紅のクオリア」で妖艶なダンスと艶のある歌声で魅了し、巫まろは80年代ポップスが香る「まろまろ浄土」でアイドルらしいキュートな歌声を届ける。パイプ椅子を持ち込んだ香椎かてぃは、"帰る家があることに感謝してください"(※香椎かてぃは路上生活の経験がある)と観客に声を掛け、哀愁漂うロック・サウンドに乗せてリアルな言葉を吐き出した。そうして「きもいかわ」では、大森靖子が独唱し、振付師でもある雅雀り子がソロで舞踊を披露。大森靖子の繊細で鋭い歌の迫力と、雅雀り子のしなやかで美しい舞踊が合わさったパフォーマンスは、まさに圧巻のひと言だった。

再びメンバー全員がステージに集まり、ヘヴィでダークな新曲「FLY IN A DEEP RIVER」を歌いこなし、幅と深みを見せつけるZOC。後半戦もロック・ナンバーの「draw (A) drow」や、ダンス・ミュージックの「SHINEMAGIC」など様々な表情で魅せた彼女たちが最後に披露したのは「family name」だ。残る力のすべてを出し切るような歌とダンスで本編を締めくくった6人は、アンコールでは「DON'T TRUST TEENAGER」で合唱系のサビを高らかに歌い上げ、ライヴは閉幕。最後に、長い長い礼をしたあとに爽やかな表情を見せるメンバーが印象的だった。

本ツアーのファイナルは2月8日の日本武道館。この公演をもって、香椎かてぃはZOCを卒業することになる。現体制では最初で最後の日本武道館公演が、もうすぐやってくる。夢の大舞台でも、彼女たちは命を燃やし尽くすようなパフォーマンスをしてくれるはずだ。いつだってZOCはそうしてきたのだから。


[Setlist]
1. ZOC実験室
2. AGE OF ZOC
3. GIRL'S GIRL
4. 断捨離彼氏
5. IDOL SONG
6. イミテーションガール
7. ヒアルロンリーガール
8. チュープリ
9. 絶対彼女(大森靖子ソロ)
10. それな!人生PARTY(西井万理那ソロ)
11. 紅のクオリア(藍染カレンソロ)
12. まろまろ浄土(巫まろソロ)
13. 仮定少女(香椎かてぃソロ)
14. きもいかわ
15. FLY IN A DEEP RIVER
16. ピンクメトセラ
17. draw (A) drow
18. SHINEMAGIC
19. A INNOCENCE
20. family name
En. DON'T TRUST TEENAGER

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