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LIVE REPORT

Japanese

NICO Touches the Walls

Skream! マガジン 2018年01月号掲載

2017.11.25 @幕張メッセ国際展示場

Writer 山口 智男

"前座のACO Touches the Wallsです。一番の後輩として、ここでガツンと盛り上げたいと思います(笑)!"(光村龍哉/Vo/Gt)

ライヴはNICO Touches the Walls(以下:NICO)の変名プロジェクトによる「手をたたけ」でスタート。長丁場のフェスティバルにもかかわらず、オープニングから客席を埋めた観客は、自ら主催するフェスで自らオープニング・アクトを務め、会場を盛り上げようとアコースティック・バージョンにアレンジしたお馴染みの曲を披露するメンバーたちの心意気と心憎い演出に、早速手拍子で応えた。"幕張飛び跳ねろ!"とメンバー全員でドラムを打ち鳴らすジャム・セッションで繋げた「THE BUNGY」と「マシ・マシ」の2曲で、いきなりライヴ・バンドとしての底力を見せつけると、会場内の気温はぐんぐんと上がっていった。

NICOが毎年11月25日、"イイニコの日"に、普段とは違うライヴをテーマに開催しているイベント"1125"が、2017年はメジャー・デビュー10周年を記念して、初のフェス形式での開催となった。出演は順にBLUE ENCOUNT、パスピエ、TK from 凛として時雨、クリープハイプ、東京スカパラダイスオーケストラ、そしてNICOの計6バンド。古村大介(Gt)のケガのため、2015年の"COUNTDOWN JAPAN 15/16"の出演をキャンセルしたNICOのピンチヒッターを務めたBLUE ENCOUNTは、「Survivor」で江口雄也(Gt)とゲストに迎えた古村がタッピングのフレーズをユニゾンして観客を沸かせた。そんなふうに各バンドがNICOのメンバーと披露したコラボも大きな見どころだった。2017年5月にドラマーが脱退したパスピエは、全曲、NICOの対馬祥太郎(Dr)がドラムをプレイ。10年前、NICOとツアーを回ったときの思い出を語ったTK from 凛として時雨は、ピアノを弾きながら光村とNICOのバラード「Aurora(Prelude)」をデュエットした。クリープハイプは尾崎世界観(Vo/Gt)が"こんな俺と友達でいてくれた"と感謝を込め、光村と「5%」を一緒に歌い、スカパラ(東京スカパラダイスオーケストラ)は偶然、自分たちとNICOがそれぞれにカバーしているブギの女王、笠置シヅ子の「ラッパと娘」を光村と共に披露。NARGOのトランペットと光村のスキャットのダイナミックな掛け合いがスカパラの熱演に盛り上がった客席をさらに沸かせた(※ちなみにそのころ、ベースの坂倉心悟はTwitterでフェスの舞台裏を精力的にレポート)。

そして、「1125のテーマ」からパンクな新曲「mujina」になだれ込んだこの日の主役、NICOは、バンドの地元である千葉の名産品にちなんだバラードの「梨の花」といった、普段めったにやらない曲も含む全11曲を披露。ファンキーなロックンロールの「Funny Side Up!」から繋げた「天地ガエシ」では、"踊ろうぜ!"という光村に応え、観客が飛び跳ね、幕張メッセの床が揺れた! 新曲の「Ginger lily」でエモく本編を締めくくると、これまで活動を続けるなかで感じることもあった不安や迷いが"今日1日過ごしてたら何ひとつなくなりました"と語った光村は、続けて"大事な記念日になりました"とその感謝の気持ちを観客に伝えた。豪華な出演者の顔ぶれと、ここでしか見られない共演を、メンバーたちは観客と同じくらい、いや、ひょっとしたら観客以上に楽しんだのかもしれない。この日、光村は"いろいろな曲があるヘンテコなバンドだと悩んだこともあったけど、とことんヘンテコなバンドになろうと思います"とも言ったが、遊び心いっぱいの主催フェスと、それぞれに違う魅力を持った新曲を織り交ぜたこの日のセットが歓迎されたことで、バンドの意識はこれまで以上に解放されたに違いない。

"(これからも)いっぱい音楽で遊びましょう!"と観客に呼び掛けたNICOのこれからがますます楽しみになった。アンコールの「手をたたけ」で迎えたスカパラホーンズが奏でた音は、まるでそんな彼らの未来を祝福するファンファーレのようにも聴こえたのだった。

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