Japanese
ハルカトミユキ
Skream! マガジン 2015年06月号掲載
2015.04.25 @LIQUIDROOM ebisu
Writer 天野 史彬
今のハルカトミユキは、揺らいでいる。
ただ、この揺らぎは、決してネガティヴなものではない。彼女たちは何故、自分たちの新たな名刺代わりとなるであろう1曲に、「世界」と名づけたのか?――それは、今の彼女たちにとって世界が、"わからない"ものだからだ。目の前に広がる、未知なるもの。自分たちの立っている場所に確信なんてないだろう。正義も悪も、ウソもホントも、簡単に反転する。理不尽な暴力も、あたたかな慈愛も、どちらも存在する。そんな複雑怪奇で整理のつかない世界を目の前に、彼女たちは今、揺らいでいる。もしかしたら、この世界を前に自分が恐怖に震えているのか、武者震いをしているのか......それすらも、わからないかもしれない。きっと、どちらでもあるのだろう。ただ何度も書くが、これはネガティヴなことではない。この"わからない世界"で、それでも生きなければいけない――それが今のハルカトミユキのモードだ。わからないなら、わからないと言えばいい。わかるまで、その中で生きればいい。だから、この曲のタイトルは"世界"なのだ。否応なく自分たちを傷つけてくる世界を目の前に呆然と立ち尽くし、そんな世界と自分の姿を悲しみの目で見つめ続けていたか弱い少女の姿はもはやない。この世界の中で生きること。そんな覚悟を決めた強き心を持ったふたりの女性が、今目の前にいる。
だからこの日、恵比寿LIQUIDROOMで行われたミニ・アルバム『世界』のリリース・パーティの対バンに呼ばれたのがPeople In The Boxだったことは、必然的なことだったのかもしれない。この日、先手としてステージに登場したPeople In The Box。"ギター・ロック"という概念を、"3ピース・バンド"という概念を平気で逸脱しながら、しかしその実、"ギター・ロック"でしかありえない、"3ピース・バンド"でしかありえない彼らの美しくも歪なギター・サウンドは、今、ハルカトミユキが向き合う複雑怪奇な世界の在り様、そのもののようだった。おそらくはヒップホップやR&Bなどのブラック・ミュージックも咀嚼しているのであろうが、そうした影響源からどんどんと脱構築されていったのだと思わせるボトムの太いリズムが会場を震わせ、メロディとハーモニーは、そんなリズムに震える大地を天上から見守る天使のような優雅さと不穏さをたたえながら流れていく。中でも圧巻だったのはラスト前に演奏された「聖者たち」。破壊/再生、秩序/無秩序――1曲の中で立ち昇っては消えていくそれらを目の前に、畏怖と癒しを同時にもたらすような、そんな素晴らしき異物感を聴き手に与える圧倒的な演奏だった。
そして、ハルカトミユキ。1曲目は「世界」。筆者はこの曲をライヴで聴くのはこの日が初めてだったのだが、やはり名曲だ。初期のRIDE、MY BLOODY VALENTINE、TEENAGE FANCLUB、VELVET CRUSH......そんな90年代初頭のCreation Records系のバンド群を思い起こさせる、眩く流麗なノイズとメロディが疾走感のあるビートと共に走り出すシューゲイズ・ギター・ポップ・サウンド。まさに、不協和音に満ちたこの世界を生き抜くべくための光。喪失感と終末感が作り上げた長い長いトンネルを潜り抜けたあとに見出した"再生"と"始まり"を感じさせるこの曲は、今のハルカトミユキにとって、何かに決着をつけるものではないだろう。むしろ、この曲が放つ光は、冒頭に書いた"揺らぎ"を象徴するかのように、未だ満たされない想いを、消えることのない悲しみをも照らし出す。だが、この曲は"それでも、生きる"という今の彼女たちの宣誓であり、決意表明なのだ。ここには力強く掛け替えのない1歩がある。そんな「世界」の強い輝きに導かれるように、続く「バッドエンドの続きを」と「tonight」は、ふたりが本来的に持つ獰猛な野性を浮き彫りにするような荒々しさで、そして「マゼンタ」と「君はまだ知らない」は孤独な傷跡を曝け出すような生々しさで奏でられた。そしてこの日のハイライトは、今年リリースされた新曲群の中でも、現時点でもっともリスナーを驚かせているであろう、マッシヴなダンス・チューン「嘘ツキ」。ダンサブルなビートに乗せて、ハンドマイクのハルカがステージから身を乗り出しながら、自らの胸の内に隠されていた本音を紡いでいく。そのビートに身体は揺さぶられるのに、ハルカの赤裸々な独白が耳から心へと染み込むように入ってくる。屈強なビートに乗せてしなやかに肢体を動かすハルカ、そして開放感のあるサビではミユキが拳を突き上げ、それに呼応するように、オーディエンスも次々に拳を突き上げていく――この光景を見て、この数年間、そうそう口にしてこなかった"アンセム"という言葉が頭をよぎった。ただ身体を揺らすためだけの音楽でも、ただ胸の内を伝えるだけの音楽でもない。今のハルカトミユキは、その繊細で孤独な魂を抱えながら、決死のダンスを踊っている。孤独と踊れ。悲しみと踊れ。君と踊れ。自分と踊れ。闇と踊れ。光と踊れ。踊れ踊れ踊れ。わからなくても、見えなくても、今、ここで踊れ!――そんなメッセージが伝わってくる。これをアンセムと呼ばずに、何がアンセムなのか。これは慰めるための音楽ではない。鼓舞するための音楽だ。
そんな「嘘ツキ」のあとを継ぐように、アッパーなニュー・ウェイヴ・ポップ「振り出しに戻る」、さらにバーストするギター・ロック「ニュートンの林檎」が熱狂を加速させる。そして本編のラストに演奏されたのは、「青い夜更け」。"みんなの声を聞かせてください"というハルカの言葉に続いて始まったこの曲で、ハルカトミユキは自分たちの中にある変わらぬ芯を見せた。そう、髪形や音楽性が変わったからといって、何かが急激に変わったわけではない。ただ、認めた。あるがままの自分の姿を。醜さも弱さも。そして変わりたいと願い、変わらないものを抱きしめた。その誠実さが、この「青い夜更け」の緊張感と柔らかさを内包した演奏に、そして彼女たちを信頼し、共に歌うオーディエンスの姿に鏡のように映し出されていた。アンコールは「マネキン」と「Vanilla」。なぜかDavid Bowieのお面を被って登場し、80's音楽、特にCULTURE CLUBへの愛を語り始めたミユキには面食らったが(彼女は本当に音楽が好きだ!)、とにかく、今の彼女たちは自分たちのやるべきことを正確に見据え、無邪気に音楽に戯れているのだ。マニフェストによれば今年中にフル・アルバムも聴けるはず。本当に楽しみだ。
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