Japanese
ハルカトミユキ
Skream! マガジン 2014年01月号掲載
2013.12.10 @新代田FEVER
Writer 天野 史彬
本当のことを人に言うには、勇気がいる。本当の気持ちを伝えるのは、恐ろしい。もしそれが否定された時、自分の存在そのものを否定されかねないからだ。現に今、僕はこうして音楽ライターとして原稿を書いているが、実名を晒して原稿を書き、それを不特定多数の人の目にとまるメディア上に上げることは、恐ろしい。もし原稿の内容を否定された時、大いに傷つくことはわかっている。しかし、そうでなければ原稿など書く意味がないことも、わかっている。傷つく覚悟もなく、否定されても何も思わないくらい思い入れのないものしか書けないのなら、辞めたほうがいい。
僕がハルカトミユキを尊敬しているのは、彼女たちが傷つくことを恐れないからだ。いや、心の底では恐れているのかもしれない。しかし、彼女たちは本当のことを言うことをやめない。何故なら、互いの孤独をぶつけ合い、傷つけ合うことでしか、真の意味でのコミュニケーションなど得られないことを彼女たちは知っているからだ。1stフル・アルバム『シアノタイプ』は、そんなハルカトミユキの表現の根っこにあるものが生々しく刻まれたアルバムだった。このアルバムの中でハルカトミユキのふたりは苛立ち、嫌悪し、怒り、その研ぎ澄まされた鋭い視線を聴き手へと向ける。そこに一切のためらいはない。だが、それだけじゃない。このアルバムで彼女たちは、自分たちの弱さ、脆さ、そして、人が何よりも隠したがる"他者に対する期待"すらも剥き出している。期待すればするほど、裏切られた時の傷は深く、大きい。しかしハルカトミユキのふたりは、他者に期待することをやめなかった。たとえそれが傷つき、傷つけることになろうとも――。『シアノタイプ』とは、2013年、何よりも鋭く、しかし愛しく優しいラブレターだった。
そのレコ発ライヴとなる新代田FEVERワンマン、チケットはソールド・アウト。今の彼女たちに対する期待値、注目度から考えれば当然だろう。ライヴはアルバムと同じく、純潔な魂の独白「消しゴム」で幕を開けた。ステージ上のふたりのピリッと緊張感の含んだ佇まい、そして繊細なギターの音色と共に響くハルカの芯の通った、どこか中性的な魅力のある歌声によって、すぐに会場はハルカトミユキの世界へと引き込まれていく。アーティストと聴き手の一人ひとりが小さな部屋の中で向かい合い、見つめあうような、そんな密室的な空気感が会場を包む。そして続く「マネキン」で、ハルカトミユキが聴き手へと投げかける視線は一気に激しく、鋭利なものとなる。ドラムに中畑大樹、ギターに佐藤亮、ベースに梨本恒平を迎えた5人編成のバンドの奏でる屈強なノイズ。ノイズとは、大きく別けて2通りあると思っている。それは"遮断"するためのノイズと、"突き刺す"ためのノイズだ。ハルカトミユキの描き出すノイズには両方の意味があると思うのだが、『シアノタイプ』を経た今、そのノイズには"突き刺す"意味合いが大きくなっているのではないだろうか。それは、彼女たちが聴き手と真っ向から対峙しようとしている意識の現われなのだと思う。この日、彼女たちの描き出すノイズには、まるで体当たりでぶつかってくるようなダイレクトな質感と重みがあった。
前半のハイライトは「Hate you」。この曲では、「マネキン」以降、飛び跳ねながらシンセを操っていたミユキがMVで踊っていたダンスを披露。これがまた可笑しくて、キュートで。途中でステージ上からはけてどこかへ行ってしまうし、そのミユキらしい自由すぎる感じが最高だった。元々「Hate you」は、小気味よく跳ねるビートに乗せて"君が嫌い"と歌う殺傷能力の高い曲で、"君が好き"とか"会いたい"とか"I LOVE YOU"とかを表面的に繰り返す音楽よりも、よっぽど切実さと優しさに満ちたラヴ・ソングである(今、"君が嫌い"と言えるくらいの優しさに満ちたラヴ・ソングが、この他にどれほどあるだろうか?)。この曲終わりのMCでミユキが"みなさんもこの踊りを覚えて、次は一緒に踊ってください"と冗談交じりに言っていたが、本当に"君が嫌い"という言葉に乗せて振り付けを躍らせてしまいそうなほど、殺気とポップネス、そしてそこにふたりの人間性から滲み出る無邪気さ、人懐っこさが混ざり合うこの感覚は、ハルカトミユキにしか表現できない特別なものだと思う。
その後は、「マゼンタ」、そして「グッドモーニング、グッドナイト」をふたりのアコースティック編成で披露。そして再び5人でアルバムのタイトル・トラックである「シアノタイプ」。人を愛することの苦しみと悲しみが、鋭くもあたたかい轟音の中で紡がれていく。ミユキのマッドな世界観が表出するインスト・トラック「7nonsense」をはさみ、「伝言ゲーム」。この曲の冒頭では、ミユキが曲の拍子とはまったく関係のないテンポでハンドクラップを始め、笑いと戸惑いの空気がオーディエンスを包む。"君が嫌い"で躍らせてしまう「Hate you」のダンスもそうだが、この、安易な共有、上っ面の共感を求めないところがとてもハルカトミユキらしい。なんとなくの連帯感などいらない。たとえ傷つけ合うことになろうと、聴き手との本当のコミュニケーションを求める。そんな彼女たちの思いが、そのポップネスの中にも歪さを孕んだパフォーマンスには表出しているのだ。続いて演奏された「長い待ち合わせ」や「ナイフ」といった、儚さと無力感を漂わせる曲の切実な響きは、彼女たちの中にある、たとえ巨大な怒りや絶望が目の前に横たわっていたとしても、他者に期待し、この世界を愛さずにはいられない繊細な心、そのもののようだった。この日の最後を飾ったのは「Vanilla」。1stEPにも収録されていた、あまりに無垢で赤裸々な歌。この狂った世界において"狂えない"と歌う彼女たちの真摯な歌がこの先どこに行き着くのか、本当に楽しみだ。
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