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INTERVIEW

Japanese

KANA-BOON

2019年06月号掲載

KANA-BOON

メンバー:谷口 鮪(Vo/Gt) 古賀 隼斗(Gt/Cho) 飯田 祐馬(Ba/Cho) 小泉 貴裕(Dr)

インタビュアー:石角 友香

メジャー・デビュー5周年を迎え、5シーズンにわたり5リリース、5イベントを進行中のKANA-BOONが、前作『ハグルマ』からなんと3ヶ月という短いスパンでニュー・シングル『まっさら』をリリース。5周年の企画の"リリース"の締めくくりであるこの曲は、全都道府県ツアー中に書かれた歌詞だけに、そのリアルな体感が反映された印象だ。今とこれからのバンドとオーディエンスの関係性を見つめた頼もしい新曲の背景、そして現在のバンドの近況や、彼らがレコメンドするアーティストを迎えての主催イベント"KANA-BOONのOSHI-MEEN!!"についても話を訊いた。

-少し時間は経ちましたが、47都道府県ツアー("KANA-BOONのGO!GO!5周年!シーズン4 ワンマンツアー「Let's go 55 ONE-MAAN!!」")はいかがでしたか?

谷口:すごく実りあるいいツアーでした。ライヴ力の手がかりみたいなものはしっかり見つけられたかなというのはありますね。ことに大きく変わったのは、そのライヴのイニシアチブを取るのが古賀になったので、ライヴを取り仕切る人に就任しました(笑)。

古賀:僕が一番客観的にライヴを観れてるなって意見があって、それで"いったんライヴの指針をとってみたらどう?"って言われて、"じゃあ一回やってみようか"っていうので、ライヴ前にミーティングしたりして、"今日のライヴ、これしてみようか"みたいな感じで僕が仕切ってますね。

-古賀さんのライヴのディレクションはいつからどう反映されていったんですか?

古賀:ツアーの中盤ぐらいからそういうふうに言われて、主にはパフォーマンスの部分とかを話してますね。

谷口:見え方っていうか、入りやすさをどう作っていこう? みたいな。

古賀:他の人のライヴを観に行ったり、映像を観ることが多くなったりして、音が出たときにハッとする瞬間って結構あるなって思ったんですよ。で、その瞬間が一番頭の音だったりして。それで実際自分たちがトライしてみて感触はどうやったとか話して、そういうのを参考にしながら、すごくプラスやったものとかをみんなに提示していきました。55公演もあったんで、"次のライヴで試してみよう"と思ったことをトライしていくっていう形ですね。

-その間も制作があったり、春先はイベントがあったり忙しかったと思うんですが。

谷口:はい。なんだかんだずーっと作ってましたね。こんな長い期間作り続けてるって、まぁなかったと思うんです。もちろんライヴとツアーと制作は重なることはあるけど、こんなにシーズン通してずーっとっていうのはなかったから、大変やなって感覚もありますけど、"生きてる!"って感じっていうか、すごく充実してて。音楽人冥利に尽きるというか、とてもいい経験でした。嫌なしんどさっていうのは一切なく。

-そして「まっさら」は、アニメ"さらざんまい"への書き下ろしという以前に5周年の締めとして、今のKANA-BOONが鳴らすアンセムという感じがすごくしました。

谷口:もともとこの最終のシングルをめがけていたので。去年の段階で曲の土台自体は作っていて、アニメの話があって、そこに向けてリアレンジをして、歌詞もそこからスタートさせたんです。タイアップにもかかわらずものすごくバンドの歌になったっていうのは、すごく良かったと思います。ツアー中に歌詞を書いてたんで、どんどん"バンドと観る人"というか、"この音楽を聴く人との関係"みたいなのを描けましたね。しかもアニメのテーマに"繋がる"っていうワードがひとつあって、それはツアーを回ってる自分たちにとってもすごく重要なテーマやし、音楽やってる人間としても音楽で繋がる希望については改めて見直したところやったんで、いろんなタイミングが重なって完成した作品です。

-生の演奏が肝になっている曲じゃないのかなと感じました。

谷口:うん。ライヴでは現状2回やって、難しいけど、ほんとにライヴでやりがいがあるというか、ライヴでこそさらに良くなる曲というか。やっぱり僕ら4人がその場で鳴らしてる状態が、この曲の一番いい状態だと思います。

-前進する感じはあるけど、ベースとかは体感的には重いです。

飯田:デビュー当時にコンプレックスやった軽いサウンドを避けるのは、『Origin』(2016年リリースの3rdアルバム)らへんから意識しました。鳴らしたい音があるんだったらちゃんとそれを自分の手で鳴らすべきという考えがあったので、エフェクターに頼らない録り方とか、演奏の仕方をエンジニアさんともよく喋ってて。ドラムの叩き方とかリズムによってフレーズを変えたり、弾き方を変えたりとかもします。レコーディングの音、こいちゃん(小泉)が出す音によって、ベースもとてもいい聴こえ方になることもあるんです。そういう発見が最近すっごく楽しいですね。

-ロー・ギアだけど速く動こうとしてる乗り物みたいな重量感、そういう印象がありました。『Origin』の頃に若干背伸びして表現しようとしていたことが、今はもうしっくりくるというか。

谷口:そうですね。やっと堂々とした感じ。だから自分たちとしても誇らしいというか、かっこいいバンドの音が録れたなというのは思ってました。

-効果音的なものに頼らず、骨組みが印象的な曲だなと。2000年代のFOO FIGHTERSを思い起こさせるような。

古賀:あぁ。あのへんの質感は目指してるとこではあるので。骨太で、でも聴かすとこはちゃんとしてる。ただ重たいだけじゃないっていうのはやっぱかっこいいですね。

-このロー・ギアで進んでいく感じを牽引してるのは小泉さんのビートだと思うんですけど。

小泉:そうですね。音数だけで言うとシンプルな曲ですけど、サビとか始まりとかも、パーン! って1個の音にかかってる。そういう部分が、僕が表現したいところでもあって。始まった瞬間の音が一発鳴っただけでもワクワク感とかを感じてほしいなと思って、ドラムだけでも曲のスケール感が大きく見えるようにしたいっていう気持ちで叩きました。ちゃんとイメージを持って曲を叩くっていうことの大切さを、この「まっさら」で確信したっていうか。今までは鮪の打ち込みをその通りにしっかり叩くっていうとこから脱せれてなかったなっていうのも、この「まっさら」を作って感じたことでもあって。だからこれからはもっとKANA-BOONっていう音楽を自分なりに表現できるようになりたいなって思います。

-シングルの表題曲になると、その変化がすごく明快な感じがしました。それにしてもスケール感って難しいですよね。今出してるスケール感と過去に出してたスケール感って違うと思うんですよ。

谷口:うん。最近はもっとスケールを小さくしていかないといけないなって考えてます。特に「まっさら」は、サウンドのスケール感は今までの中でもすげぇデカい。例えばドラムにかけてるリバーブも深いし。でも歌ってる内容は、さっきも言ったツアー中っていうのもあったから"僕たちとあなた"っていうところなんです。デビューして5年とか6年とかやっていくなかで、やっぱ規模とかは大きくなっていくけど、それを歌っていることがKANA-BOONにとっては正しいことなんかな? っていうのは、最近ちょっと気になってるところで。僕自体はそんなに壮大な人間ではないから(笑)。

-壮大な人間ってどういう人なんだろう(笑)。

谷口:僕は逆に普通の人というか。曲を作ってる人たちは、どっかが尖ってたり、人とは違う思考回路があったり、人それぞれやから。僕もそうなんですけど、それでもやっぱ自分的には圧倒的に普通の人やなって思う瞬間は多くて。だからそういう奴が背伸びして頑張って大きく歌うことも、そういう人間やからこそ歌える、すごく狭い世界の歌を歌うことも、ひとつの武器になっていくし。どんどん大きなものに対して憧れていってたけど、それが絶対正義っていうわけではなくなってきましたね。