Japanese
アルカラ
2014.12.07 @Zepp Tokyo
Writer 天野 史彬
ロックとかロックンロールとか呼ばれる音楽と付き合い続けて、いつの間にか10年以上経っていた。信じたり裏切られたり、愛したり無視されたり、この10年間、ロックとかロックンロールとか呼ばれる音楽と共に、なんだかんだで手取り足取り生きてきたけど、果たしてこの音楽は、僕自身に何を与えてくれたのだろうかと考えてみる。
与えられたもの、と考えると、何も与えられていないように思える。だって10年以上ロックを聴き続けても、未だ僕は満たされず、空っぽだからだ。しかし思えば、自分は空っぽだと言える、この自由を与えられたのかもしれない。
表現の自由という言葉があるけれど、ロックにとっての自由とは何かと考えると、きっとそれは、目の前に広がる世界をありのままに描写すること、あるいは、自分という存在を、ありのままの自分として描写することなのだろう。世界はこういうふうに成り立っていて、自分はこういうふうに感じている。それを余計に脚色したり偽ったりすることなく描くこと、それがきっと、ロックの自由だ。だとすると、自分がロックとかロックンロールとか呼ばれる音楽から与えられたものは結局、この世界そのものであり、自分自身そのもの、ということになる。世界はこうで、自分はこう。そこにある真実を偽ることなく見据える力。ロックが人に与えるものとは、夢や希望より先に、ただそこにある真実なのだ。
アルカラのアルバム『CAO』リリース・ツアー"ガイコツアー"のZepp Tokyoワンマン公演。この大舞台でアルカラが描いたロックはまさにそういうものだった。世界はこんなふうに成り立っていて、自分はこんなふうに感じている。世界と心象風景の描写としてのロックが、とても自由に鳴っているライヴだった。
ライヴは『CAO』と同じく「カラ騒ぎの彼女」~「アブノーマルが足りない」でスタートし、そこから前半はほぼノンストップで駆け抜けた。「嘘つきライアー」、「愚痴ばっかりのローレロレロ」、「む・つ・ご・と」などの『CAO』収録曲はやはり、ダイレクトに突き刺さってくる。『CAO』というアルバムは、アルカラがキャリア史上最もストレートに世界と自分自身の内面に向き合ったアルバムで、これまでの奇抜な世界観とは一線を画す変化作、且つキャリア最高傑作だった。この位置づけに間違いはないと思うのだが、この日、「キャッチーを科学する」や「癇癪玉のお宮ちゃん」といった過去の代表曲たちと『CAO』収録曲たちが並べて演奏されるのを聴いて、アルカラがこれまでやってきたことの本質は、結局のところずっと変わっていないのだと気づかされた。アルカラはずっと、世界を描いていたのだ。
なぜ、下上と疋田によって生み出されるリズムは壮絶に重たく強く、それでいて、つんのめるような焦燥と夜道をさまよう足音のような不穏さを持っているのか。なぜ、田原のギター・ソロは獰猛な野獣のように猛々しく、それでいて時に頬を伝う一筋の涙のように悲しく孤独なのか。なぜ、稲村の言葉は、意味と無意味を、リアルとフィクションを横断しながら、ただひとつの大切なものに手を伸ばすような、そんな切実さに満ちているのか――その理由とはすべて、それが世界であり、それが自分自身だから、である。この世界はこんなにも滑稽で馬鹿馬鹿しく、それでいて複雑且つ奇妙で、そしてドラマチックで、悲しくて楽しい。その中で生きる僕らは、こんなにも醜くずるく、嘘つきで孤独で、しかし気高く尊い。アルカラはずっと世界を、そして人を描き続けてきた。アルカラはずっとロックの自由を体現し続けてきたのだ。
ライヴは大勢のガイコツがステージに登場した「ガイコツマン」でアルカラらしい素敵な悪ふざけを展開し後半へ。実は「ガイコツマン」で登場したガイコツ衣装の人たちの中のひとりには稲村の盟友であるシンガー・ソングライター 高木誠司が混じっていて、高木をステージに残したまま「どうでもいいウタ」へ(「どうでもいいウタ」の歌詞には高木が出てくる)。その後も「半径30cmの中を知らない」や「+.-」など流麗なメロディをほとばしらせながら駆け抜け、もっとも感動的だったのは、「ドナドナドーナツ」~「ミ・ラ・イ・ノ・オ・ト」への流れ。過去と未来の歌。その後アンコールのMCで語られたのだが、今回の"ガイコツアー"というツアー・タイトルには"たとえ骨になっても後世のバンドに受け継がれるような普遍的なバンドでありたい"という願いが込められていたという(後付らしいけど)。後輩バンドからの信望も厚く、くだけねこレコーズの活動も本格化させたアルカラ。彼らの活動の裏には常に、連綿と続いてきたロックの、ひいては音楽の歴史に対する敬意と、そして自分たちの手で、その歴史をこの先の未来へと繫げたいという強い意志がある。伝えられてきたものと、伝えていくもの。時代の流れという巨大なうねりの一部であることの喜び。今のアルカラを突き動かすのは、きっとそんな気高い想いなのだ。
アンコールは「くだけねこのうた」で、演奏前にツアー各地の対バンをすべて紹介するという稲村らしい熱くて優しいMCもあった。最後の最後にはアルカライダーも登場して、なんだかもう楽しいんだか切ないんだか感動したんだかよくわからない気持ちになったが、これがアルカラのロックであり、これがロックの自由なのだ。世界はこんなにも奇妙に、悲しく、そしてゲラゲラと笑いながら回っている。
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