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INTERVIEW

Japanese

the cibo × アルカラ

2020年03月号掲載

the cibo × アルカラ

アルカラ

Official Site

神戸発の3ピース、the ciboがニュー・ミニ・アルバム『Midnight Habit』をリリースする。様々な夜のストーリーを紡いだコンセプチュアルな作品であり、音楽的な探究心を持って、シーケンスを導入したり、多彩なジャンルを消化したりと、バンドとして新たな試みで作り上げた意欲作だ。このリリースを機に、今回はthe ciboのフロントマン 前川翔吾とゆかりの深い、地元神戸の大先輩であるアルカラ 稲村太佑を迎えての対談を敢行。稲村とは、前川が音楽をはじめた頃から10年来の付き合いとなるが、こうして1対1で、ガッツリと話をすることはあまりなかったということで、喜びと緊張とで終始、バンドを始めたてのキッズのような表情だったのが印象的だ。

the cibo:前川 翔吾(Vo/Gt)
アルカラ:稲村 太佑(Vo/Gt)
インタビュアー:吉羽 さおり Photo by 新倉 映見


当時の太佑さんからの強烈なひと言で、まだ音楽を頑張れてる(前川)


-ともに神戸出身のバンドで先輩、後輩となるふたりですが、出会いはいつ頃だったんですか。

前川:もう出会って11年くらいですね。僕が2009年に神戸のART HOUSEというライヴハウスに出て。

稲村:なんてバンドやったっけな。

前川:当時は、seekというバンドでした。それで、太佑さんが上京するまで面倒を見てもらっていましたね。ただ最初の頃、僕、太佑さんがアルカラだというのがリンクしていなくて。

稲村:言うてたな。アルカラの人は別に神戸にいて、ART HOUSEに稲村っていう人が店員で働いてるみたいな。

前川:そうです(笑)。半年くらい経って、太佑さんがアルカラの人やってリンクしたときに、いろいろひっくり返ってしまって。急に緊張に変わったんですよ。そうなってから今でも緊張しっぱなしです。

-何がそこまでの緊張に。

前川:やっぱり強烈な憧れの人なので。例えば芸人の世界だったら、松本人志っていう人がいて──

稲村:でかいなぁー。

-稲村さんは前川さんのことはどのように思っていましたか。

稲村:初めて見たときは、まだ19とか20歳くらいだったのかな。そのときは、この子だけなんか持ってるなって思いましたね。僕はブッキングマネージャーとして、ART HOUSEに来てくれるバンドの窓口をやっていたので、いろんなバンドの初ライヴを観てきて。僕的には、音楽って1回やったらクリアじゃなくて、ずっと積み重ねていくものだと思うんですけど。1回ライヴをやったら、大きな目標が終わっちゃったみたいになってしまうことがほとんどなんですよ。そこからまたライヴをしていこうぜっていう次の目標というか、"こういう面白い人らがおって、すごく合うと思うし一緒にやるのはどう?"みたいな話をしていくんですけど。そういうなかで、ぜん君(前川)は一番手っ取り早かったんですよね。

前川:はははは(笑)。

稲村:"はい、やります!"みたいな感じで、自分が音楽をやることに対して、何も疑問がないというか。純粋でしたね、音楽に対して。当時も3ピースやったけど、メンバーがふたりは半年とかでやめちゃったよな。

前川:そうなんです。

稲村:そのあと、ひとりでもやっていたんですけど、扱いやすかったですね(笑)。"こんな面白いことあんで"って言ったら、"やります!"って言うてくれるので。

-前向きに活動をしていたんですね。

稲村:ありがたいですね。みんな不安やし、音楽をやり続けるって覚悟がないとできへんとか、重く考えたりしちゃう時期ってくるじゃないですか。21、22とかって特にそうだと思うんですけど。そういうもんじゃないなっていうのは、僕は今でも思うんですけどね。ただやるからには深いところにいかないととか、目的はそれぞれあると思うんですが。ぜん君は──ぜん君って言ってるけど、今何にしてるの?

前川:僕は太佑さんには、翔吾って呼ばれたいです。

稲村:呼んだことないわ、翔吾って。で、ぜん君は──

前川:早速(笑)。

稲村:そういうところがありましたね。それは覚えてます。

前川:当時、強烈なひと言があって。ライヴ後の清算のときに太佑さんに言葉をもらうんですけど、ずっと心に残ってるのが"お前らLUNA SEAみたいやな。めっちゃかっこええわ"っていうもので。まだ自分らに自信が持てないときに、"LUNA SEAみたいでかっこいい"って言われて。僕、正直LUNA SEAは全然聴いてなかったんですけど。俺らってかっこいいところあるんやってなって。そのひと言で、まだ頑張れてるのはあるんです。そのあと、太佑さんの2世代後くらいのブッキングマネージャーを僕もやることになるんですけど。

稲村:そうやな。

前川:ブッキングマネージャーって、僕が言われたようなああいうひと言で、もしかしたら誰かの人生が変えられる職業なんやなと思って。僕もああいうひと言を残せるようになるなら、やってみようかなって。まだちゃんとLUNA SEAは聴けてないですけど(笑)。

稲村:たぶんそう言ったらこの子ら伝わるかなって思って言ったけど、本人らは知らなかったというね(笑)。でも、それでこうして人生変わるって言うてくれるから、言うた通り簡単でしょ(笑)?

-純粋ですね(笑)。

稲村:本当に音楽に素直やし、音楽に素直であるイコール、めっちゃ単純やからこそ、なんでも受け入れてくれるっていう良さはあるし。逆にそこで、悪の道もめっちゃ染めやすいタイプやから。それが僕は気になってますね(笑)。でも、今回最新の音源を聴かせてもらって、当時の彼もすごく腕はありましたけど、より現代的に洗練されている感じがあって。アルバムでしかできないことをやったりしてて、一線を画してるアーティストやなっていうのは思いましたね。僕らもこれだけ長くやっていると、いろんなバンドに出会ってきたんですけど、どうみんなに染まるかというよりも、いかにそれ以外のことをやるか、我が店の味を出すみたいなところに若いthe ciboがいこうとしてるところは、面白いし。あのときの純粋さでいろんなもんを吸収しながら、自分たちの良さ、自分たちにしかないものを追求してるのは、いろんなところから学んでいるんだろうなと思いましたけどね。

前川:めちゃくちゃ嬉しいです、そう言ってもらえるのは。