Japanese
ねごと
Skream! マガジン 2013年12月号掲載
2013.11.16 @渋谷CLUB QUATTRO
Writer 吉羽 さおり
ニュー・シングル『シンクロマニカ』のリリースを記念して行なわれた、ねごとの東名阪ツアー"お口ポカーン!!~SYNCHRONIGHT TOUR~"ファイナル。今回のツアーは各地、彼女たちと同世代のバンドとのツーマン形式になった。名古屋ではOKAMOTO'S、大阪ではThe SALOVERS、そして東京はBLUE ENCOUNT。いずれも熱い、というか暑苦しいほどのパフォーマンスで魅せるバンドたちだ。同世代のライヴ猛者に声をかけたことからも、ねごとの今のモードや心境がわかるし、実際にむちゃくちゃエネルギッシュに会場をかきまわして、観客から大歓声を浴びたBLUE ENCOUNTからバトンを受けた彼女たちのライヴはいつになく前のめりでパワフルで、熱いものだった。
「サイダーの海」ではじまり、"し、ぶ、やー!!"と蒼山幸子(Vo/Key)が声をはりあげ、アッパーな「Re:myend!」へ。沙田瑞紀(Gt)と藤咲佑(Ba)はステージの先端で煽るようにプレイすると、会場は"オイ!オイ!オイ!"とパンク・バンドのライヴのようなコールが湧き起こって、一気にヒート・アップしていく。予想以上の観客のパワーにテンションがあがったのか、"こんなの言ったことないけど――盛り上がってるかーい!"なんて言ってみせる蒼山。久しぶりの曲をと披露された「彗星シロップ」では大きな歓声が、また「七夕」「ワンダーワールド」では会場が一体となってハンドクラップをし、澤村小夜子(Dr)の力強いビートに体を揺らす。ステージとフロアががっちりと手を組んで、密度の高い興奮を生む。そんなライヴだ。
後半は、シングル「シンクロマニカ」もプレイされた。スピード感のあるビートとスペイシーできらびやかなサウンドに、切ないメロディがのるこの曲。ドラマティックに展開する曲とまぶしいストロボのなか、観客は大きくハンドクラップし、ジャンプする。リリース間もない状態だったが、すでにライヴの定番曲、それもクライマックスにもってこいな存在感となっていた。この曲がこれからどう育っていくのか、さらに楽しみだ。
"昨年は、自分たちの音楽を見失いそうになった"。MCで蒼山はそう語った。楽しくてはじめた音楽だけれど、いろんなことを考えすぎてなんのためにやっているのか、誰のためなのか、そんなクエスチョンに押しつぶされそうだったのかもしれない。目いっぱい悩んで、考えて、今は"音楽でみんなにいろんな世界を見せたいと思います"と高らかに宣言できるようになった。今回のツアーにあったのは、バンドとしてもう一度音楽を楽しむことに立ち返り、そこから見える世界を音で、バンドで描くことだ。その第1歩として相応しいライヴだったのは、何よりもそこにいた観客の興奮が物語っていた。この日は、ずっと封印していたアンコールも行なった。4人にとっても、短いながらも充実した、納得のいくツアーだったのだろう。
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