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INTERVIEW

Japanese

ねごと

2015年02月号掲載

ねごと

Member:蒼山 幸子 (Vo/Key) 沙田 瑞紀 (Gt) 藤咲 佑 (Ba) 澤村 小夜子 (Dr)

Interviewer:沖 さやこ

ねごとの約2年振りとなるフル・アルバム『VISION』。2013年のシングル『シンクロマニカ』から2014年のミニ・アルバム『"Z"OOM』、シングル『アンモナイト!/黄昏のラプソディ』も全部このアルバムのための伏線だったんじゃないかと思うほどだ。彼女たちはこの3作品でアウトプットをしながら常にインプットを欠かさなかった。制作に悩み、ライヴに悩んだ時期を経て、自分たちの音楽を作り出すことに真剣に向き合った4人は、本当にリスタートを切ることができたのだ。安定感のあるサウンドは肉体的になり、そして"未来"を含んでいる。4人もアルバムに大きな手応えを感じているようで、とても明るく、自信に満ちた表情でインタビューに答えてくれた。

-『VISION』は、ねごとが2013~2014年で挑戦してきたことを踏まえた、とても素直で正直なアルバムだと思いました。まず、みなさんにとって2014年はどんな年でしたか?

澤村:ライヴもいっぱい入ってたし、制作もずっとしてたので、挑戦もいっぱいしてたな。常にしてた気がする。

沙田:ライヴの本数、ものすごかったもんね(笑)。2ndアルバムの『5』を出したあとに、自分たちを見つめ直して立ち返る期間を設けて。そのときにインプットしたものがあったので、それをどんどん放出していくというか。まずそれで地盤を固めたい、自分たちの自信をもっとつけたいな......と思いながらの挑戦をたくさんしてきた年ですね。

藤咲:特に自分たちのライヴが変わったかな、というのが大きくて。自分たちのアイディアからワンマンを作り上げたりして、自信に溢れるライヴができるようになった1年だったと思います。

蒼山:ねごと革新の年、革命の年だったと思いますね。それまでずっと"変わる""きっと変わる"と言い続けてきたけど、去年1年で"ああ、本当にこのバンドでいくんだ"という決意や確信、自分たちの音楽のやり方――時代に乗っていくんじゃなくて、これを通すんだ!という意志みたいなものが、やっとくっきり芽生えたと思います。

-時代に乗らないと、と思った時期も?

蒼山:うん、一時期は......。

藤咲:いろんなバンドと対バンしていくなかで、今のライヴの流れ......ノリのいいものとか、お客さん的にもノリたいと思っているとか......ライヴだけじゃなくて音楽の流れなのかな。1回実際やってみないとわからない、見てみないとわからないと思って、ねごともそういうところに挑戦した面もあったし。お客さんの目線になって"ライヴはどういう瞬間が楽しいのかな?"というのを曲に放り込んでみたりして。

沙田:時代によって盛り上げかたとか、曲の流行はありますよね。そういうものを意識するタイミングはもちろんあったんですけど、それによって自分たちの形を変えていくのは、なんかおかしいなって気づけたし。自分たちの持っている力、やりたいこと、音楽に対する愛を、もっとちゃんと素直に形にするのが、自分たちにとっても1番ナチュラルだし。ねごとはそれで進んでいけるんじゃないかなと気づくことができたんです。時代を読んでみたり、こういうバンドがいてああいうバンドもいて、と並べてみるのも面白いけど......そういう部分じゃなくて、"ねごとは今どんな音を鳴らしたいんだろう?"というのを考える時間を、自分たちでもたっぷりと設けることができて。だからこそ今、胸を張って歩き出せるアルバムができたなと思っています。

-『VISION』は特に、自分たちの好きな音、いいと思う音をちゃんと鳴らせてると思います。『5』からの約2年間と、ミニ・アルバム『"Z"OOM』とシングル2枚でちゃんと地盤を固めたからこそ辿り着いた場所ですね。

澤村:そうですね。『"Z"OOM』から来てそうな曲もあれば、新しい側面を見せる曲もあったり。

藤咲:『"Z"OOM』がなかったら今に至れなかったなって。『"Z"OOM』を作っていたときにちゃんとまた"音楽は本当に楽しいんだな"と思うことができたから、それが自信になってもう1回バンドを作り直すことができたかなあって。

-『VISION』を聴いて、『"Z"OOM』はねごとにとってとても大事な作品だったんだなと再確認したんですよね。『"Z"OOM』であれだけ楽しんで挑戦できたから、『VISION』というさらに大きな作品を作ることができたと思います。

澤村:確かに。落ち着いているところもありつつ、攻めている感じはします。

沙田:私たちはデビューしたときは学生で、それと並行しながらバンドを続けていて......ほんっとうに常にアウトプット、アウトプットで。"これだけ出しちゃって何が残るんだろう、これからどうしよう!?"とすごく不安だったんです。でも音楽はすごく好きだし、信じたいものだったから進んでいって、2枚アルバムを出すことができて。"さあ、これから何をしよう? どういう自分たちを見せていこう?"と振り返ることができたからこそ"やりたいことを詰めていこうよ"と試行錯誤することができて。その踏み台があったからこそ、今の"ヴィジョン"が見えた。