JapaneseOverseas
【今週の注目のリリース】KEYTALK、cinema staff、Czecho No Republic、ART-SCHOOL、phatmans after schoolら8タイトル
2016.05.17 19:45
今週、注目の8タイトルがリリースとなります。
★KEYTALK『MATSURI BAYASHI』
KEYTALKが、寺中友将(Vo/Gt)作の"お祭り系の最高峰"を表題曲に、前作同様メンバー各々の作詞作曲ナンバーが揃った、2ヶ月連続シングル第2弾となる8thシングル『MATSURI BAYASHI』をリリース。なおSkream!では、今作に迫ったKEYTALK最新インタビューを公開中。
さらに、首藤義勝(Vo/Ba)による連載コラム「ジョニー義勝のニッポン留学記!」が好評連載中。第14回は以下より。Skream!マガジン5月号掲載の第15回も近日公開予定なので乞うご期待。
また、ゲキクロことGEKIROCK CLOTHINGでは、KEYTALKとのスペシャル・コラボTシャツを販売中。こちらも要チェック。
https://shop.gekirock.com/artist/keytalk/
KEYTALK - 「MATSURI BAYASHI」 MUSIC VIDEO
★cinema staff『eve』
cinema staffが、今までにない感触やビートを持つ曲から、4人のアンサンブルの妙味をより立体的に、または味わい深く織りなしたサウンドまで、丹念に磨き上げた全13曲を収録した5thフル・アルバム『eve』をリリース。なおSkream!では、今作に迫ったcinema staff最新インタビューを公開中。
さらに、cinema staffが表紙を飾るSkream!マガジン5月号が好評配布中。今回も内容盛りだくさんで、読み応え抜群な内容となっていますので、ゲットはお早めに。
店舗、地域によって店着日が異なる場合がありますので、ご了承下さい。配布店舗が近くにない方や、毎号確実に手に入れたい方の為に定期購読も承っております。
詳しくはこちらから。
さらに、cinema staffの辻友貴(Gt)によるコラム「萌えもemo」も好評連載中。第24回は以下より。
cinema staff 「萌えもemo」【第24回】
★Czecho No Republic『Forever Dreaming』
Czecho No Republicが、フジテレビ系TVアニメ"ドラゴンボール超"のエンディング・テーマを表題曲に据えた、彼らのさらなる可能性を拡張するようなボリュームのあるメジャー3rdシングル『Forever Dreaming』をリリース。なおSkream!では、今作に迫ったCzecho No Republic最新インタビューを公開中。
Czecho No Republic | Skream! インタビュー
Czecho No Republic / サードシングル「Forever Dreaming」スペシャルトレイラー
★ART-SCHOOL『Hello darkness, my dear friend』
今年2月に本格的な活動再開を果たしたART-SCHOOLが、孤独に寄り添う木下理樹(Vo/Gt)の真骨頂を、現メンバーのスキルでアップデートした音像に定着させた8thフル・アルバム『Hello darkness, my dear friend』をリリース。なおSkream!では、今作について木下理樹に訊いた、ART-SCHOOLの最新インタビューを公開中。
ART-SCHOOL「brokeneyes」MUSIC VIDEO
★phatmans after school『アンクロニクル』
活動の拠点を札幌から東京に移したphatmans after school。彼らが、"原点回帰"をテーマに、住んでいる場所や年齢が違ってもみんな同じように抱える、同世代を生きる人々の葛藤や孤独など複雑で様々な思いにフォーカスを向けた2ndアルバム『アンクロニクル』をリリース。
phatmans after school『シリアル』(from 2nd Album『アンクロニクル』)Music Video
★odol『YEARS』
バンドを結成したその年に"FUJI ROCK FESTIVAL"の新人アーティストの登竜門的ステージ"ROOKIE A GO-GO"への出演を果たしたodol。彼らが、モラトリアムの期間のことを作品にした2ndアルバム『YEARS』をリリース。なおSkream!では、今作に迫ったodol最新インタビューを公開中。
odol | Skream! インタビュー
odol - years(MV)
★TEDDY『DETECT』
2013年に大学の仲間同士で結成した神奈川発の4人組ギター・ロック・バンド、TEDDY。彼らが、これまでの爽やかなバンドのイメージを打破する攻撃的なロック・ナンバーを表題曲に据えた、2ndシングル『DETECT』をTOWER RECORDS6店舗限定でリリース。なおSkream!では、今作に迫ったTEDDY最新インタビューを公開中。
★Richard Ashcroft『These People』
THE VERVEのフロントマンとして知られるRichard Ashcroftが、クラシカルなアプローチと新たなサウンドへの冒険が見事に融合した、10年ぶり4枚目となるソロ・アルバム『These People』をリリース。
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2000年のデビュー以来全キャリアの中からシングル表題以外の曲(アルバム曲含む)で、ファン投票を参考にメンバーの思い入れとともに選曲。いや、これはむしろART-SCHOOLの本質を表したベスト盤と言えるのではないだろうか。今改めて2001年の「ニーナの為に」のグランジーで青く研ぎ澄まされたテイクの鋭さに驚愕し、廃盤になった2枚組ミニ・アルバム『SWAN SONG』収録曲が今回、所収されたことの意義も大きい。それはその時代、RADIOHEADかART-SCHOOLか? と思うほど、感情任せではない透徹した絶望を表現していた曲群だからだ。他にもピアノが印象的で彼らの曲の中では素朴な美しさがある「LUCY」や、16ビートとファンク・テイストでセンシュアルな「その指で」など、改めて曲の良さと個性が味わえる。(石角 友香)
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初期のギター・ポップやネオアコの匂い、純化されたグランジなどガラスのように繊細なART-SCHOOLが好きだった人にとって、現メンバーのスキルでそのセンスが表現された本作は、居心地のいい場所のように感じられるはずだ。アルペジオや空間系のギター・サウンドが織りなす透明な空気感をもった音像がいい。愛情に包まれていた幼い日の記憶と刹那的な感情が交差するリリックはいつもどおりなのだが、木下の丁寧なヴォーカルが、穏やかに見守る視点すら感じさせるのが新しい。「R.I.P」では"笑われた分だけ強くなるなんて嘘だ"という珍しく直截な表現をとっていることは快哉を上げたい。そして何より、音楽として美しく高い純度を誇るメロディ、それを活かすメンバーの音楽家としての誠意にも心が満たされる。(石角 友香)
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木下理樹は"このアルバムに今までの音楽キャリアの全てを詰め込んだ"と言う。それゆえだろうか、この11曲の新曲たちの随所で、ありとあらゆる時代のART-SCHOOLの姿や表情、熱量を思い起こさせた。オリジナル・メンバーは木下理樹だけだが、ART-SCHOOLというバンドは、バンドの歴史を全て背負い、今もこうして音を鳴らしている。その時その時でいちばん美しいと思うものを妥協することなく追求し、自分たちの鳴らす音を信じてきたバンドだからこそ、この歪で、清く柔らかなぬくもりのある音色を手に入れたのだ。サウンドで魅せた『BABY ACID BABY』『The Alchemist』と比較して、今作は歌を映えさせるアレンジやコーラス・ワークも特徴的。繊細なヴォーカルとシンプルで耽美なメロディを堪能する。(沖 さやこ)
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中尾憲太郎(Ba)、藤田勇(Dr/MO'SOME TONRBENDER)という最強のサポートを得、Steve Albiniのスタジオで録音したCLOUD NOTHINGSへの日本からの回答(いや、それ以上だったかも)とも取れた前作『BABY ACID BABY』から約7ヶ月。今回は益子樹とのタッグで、轟音よりむしろ透明感のあるギター・アンサンブルや各楽器のクリアな粒立ちに耳を奪われる。特にTrack.1「Helpless」でのエロティックな16ビートのグルーヴは完全な新境地。が、木下理樹のもう1つのバンド、killing Boyで表現されるファンクネスともまた違う。加えて喉のトラブルを乗り越えた木下のタフで自由になったヴォーカリゼーション、THE SMITHSやTHE CUREの上澄みではなく深い部分での共通項など、さらなる進化を実感できるミニ・アルバム。 (石角 友香)
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Ki/oon Musicへの移籍第1弾であり新体制後初のリリース、NIRVANAなどを手掛けたSteve Albini主宰のシカゴにあるスタジオでGreg Normanを迎えレコーディング、サポート・メンバーとして中尾憲太郎 (Ba)と藤田 勇 (Dr)が参加......と様々なトピックが目白押しの今作は、これまでのART-SCHOOLの作品の中でも抜群の鮮度と生々しさを孕んだ作品だ。4人が生み出す音はひとつひとつが立体的で、その透明感はガラス細工さながら。その音の良さがバンドの空気を更に大きく、強くする。特に木下理樹と戸高賢史の奏でるギターは鋭く美しく溶け合い、聴き手の心に飛び込み心地良く広がる。優しさと激しさ、緊張感と快楽。ART-SCHOOLが表現し続けてきた世界の究極と言っても過言ではない。(沖 さやこ)
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<悲しいくらい抱き合って 朝が来たらまた僕ら一人になってしまったんだ――>。ラストナンバー「Loved」は、そんな一節でエンディングを迎える。抱き合う瞬間は甘美、それが過ぎればまた孤独に……。至福と絶望が交差するその場面は、ARTSCHOOLの音楽の真髄をまさに物語る。オープニングナンバー「ecole」は、ループするビートが陶酔感を誘うかと思えば、その空気を切り裂くように轟音ギターが切れ込む。「Anesthesia」は、その疾走感でライヴのオーディエンスを大揺れさせそう。かつ、“麻酔” や“無感覚” という意味を持つタイトルフレーズを始めとする歌詞は、一語一語がたまらなく切ない。音像の恍惚感と、歌詞の痛み――。二律背反な要素の共存が、聴き手の心をこれ以上ないほど激しく揺さぶる!(道明 利友)
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チェコとSKY-HIのコライトには驚いたと同時に、チェコの武井優心(Vo/Ba)も日高光啓(SKY-HI)も根っこに常識をひっくり返すパンク魂を持ち、ワールド・ピースを願う部分で、出会うべくして出会った印象を持った。そして肝心の楽曲は駆け出したくなるような日常のアンセムに。異種混交感というより、エバーグリーンなポップ・チューンなのが頼もしい。カップリングはメロディの良さ、メッセージの普遍性を再認識させるセルフ・カバー。ピアノとアコギのシンプルなアレンジがタカハシマイ(Cho/Syn/Gt/Per)の歌を際立たせる「For You(AcousticArrangement)」、盟友が参加した「MUSIC(チェコと12人の仲間たち)」も曲と存在の愛され度合いに心が震える。(石角 友香)
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躍動するパーカッション、選び抜かれたシンセやシーケンス。圧倒的な抜けの良さと同時にチェコらしい不敵感漂う「Dream Beach Sunset」、近いサウンド・プロダクションの「BB」、武井のトーキング風ヴォーカルが聴ける「Dreamer」。いつもどおりロックのヒストリカルな部分をベースに真新しいアンサンブルを聴かせる八木類作品「ゴッホとジョン」、待望の初収録となるタカハシマイ作詞作曲の「Shiny Girl」は、彼女が内在させている牧歌的な部分とスペイシーな部分が融合したメロディ・ラインがユニーク。波の音から始まる青い恋をイメージさせるチェコらしい甘酸っぱい「Blue Holiday」もパーカッションがこれまでにない聴感を生んでいて新鮮。白飛びするような夏感の眩しさ、生命力、儚さが詰まっている。(石角 友香)
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躍動感のあるシンセのメロディとアコースティック・ギターのカッティング、そして"これぞチェコ!"なシンガロングがイントロから上昇感たっぷりなタイトル・チューン「Forever Dreaming」。サウンド的にはこれまでの延長線上にありつつ、"まだ終わりたくない やり遂げたいよ"、"手に入れたいんだ あの日見た夢を"という、武井優心にしては珍しく熱い歌詞にも注目。カップリングには八木類らしいスラップスティックな「24 Factory」と、タイトル・チューンの英語詞バージョンを収録。そして2種類あるうちの"チェコVer."盤には名曲「ダイナソー」のエレクトロニックなバージョンを、"ドラゴンボール超Ver."には懐かしい「ロマンティックあげるよ」のカバーをそれぞれ収録している。(石角 友香)
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武井優心という人は美メロ・メーカーでありサウンド・プロダクションを見通せるセンスとを持つとともに、世界に対する諦念とそれでも何かに美を見出そうとする心意気がおしゃれなサウンドからこぼれ落ちるところがあると思う。それをアンビバレンツで歪なものじゃなく鳴らすことに最も成功したのがこの『Santa Fe』なんじゃないだろうか。選りすぐりのシンセ・サウンドだからこそ感じることのできる切なさと上昇感の同居はTrack.1の「Firework」で冒頭からダイレクトに刺さり、神聖さとニッチさが相まった鍵盤のサウンドと匿名的なヴォーカル処理が印象的なTrack.4「Beautiful Days」、おとぎ話とサイケデリアが大展開するTrack.7「クワーキーワールド」など、稀有な体験ができる逸品。(石角 友香)
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チェンバー・ポップとゲーム・ミュージック風のシンセが融合したイントロからウキウキさせて、跳ねるビートとホーンがミュージカルを思わせるアレンジでさらに開放的な気持ちを誘う「For You」。透明で突き抜けるタカハシマイのヴォーカルのいいところも満載されている。が、よくよく聴くと"美しい日々は過去のもの"......と最後の最後で分かる歌詞の構造は、武井優心の作家性か。カップリングはかのSEX PISTOLSの「ANARCHY IN THE U.K.」をチェコらしいエッジの効いたシンセ・ポップに大幅アレンジ。八木もタカハシも相当、好き放題のシンセを乗せているのが痛快だ。原曲を知らない人は、この曲そのもののかっこよさを知るのにもいい機会かも。彼らのセンスが凝縮されたシングルに仕上がっている。(石角 友香)
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イントロのシンセ・ベースに一瞬、ドラゴンボールの登場感とのシンクロを聴きとるのは聴き手の勝手な想像か。そこから一気に上昇するような歌メロ、シンセ、リズムが一体になるカタルシス、お得意のリズム・チェンジ、"Yeah!"の掛け声がこれまで以上にインディー・ロック感を漂わせる痛快なタイトル・チューン。リヴィングのキッズ(文字通りの子どもという意味)のドラゴンボール原体験になるかと思うと、ますます痛快だ。カップリングの「Come On」は軽快で隙間も多い音像に笑いながらエゲつない一言を投入。八木類作詞作曲の「Sunday Juggler」は彼らしい諧謔性を牧歌的な曲調に乗せたスパイシーな1曲。ラストの「Yeah Oh!!!!!!!」はライヴの入場SEとしてファンにはおなじみの小品。短いが切なくも美しい。(石角 友香)
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ファストなビートにキラキラしたメロディやコーラス、だけどパレードの中にいて虚無を感じてるようなオープニングの「Amazing Parade」からして、音楽的にもメッセージ的にも今のチェコはポップでエクストリーム。打ち込みの気だるいダンス・チューン「Clap Your Hands」はUSインディーと昨今のディスコ・ファンクを彼ら流に消化した印象だし、コラージュ的に配置されるタカハシマイの声も魅力的。また、THE STROKES meets MGMTなセンス溢れる「Hello, My Friend Sophie」、アルバム全体のテーマというか、武井優心の本音が窺える「Changing My Life」など、どこを切っても新しい音楽の海に勇敢に漕ぎ出すこのバンドの心意気が鳴っている。楽しさの中に彼らの切実な思いを見出した時、このアルバムは身近なものになる。(石角 友香)
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昨年10月にリリースされた1stフル・アルバムも好評なCzecho No Republicから早くも届いた2ndミニ・アルバム。The Mirrazのオープニング・アクトに抜擢されたことで注目を集めた彼らだが、遊び心たっぷりなポップなサウンドと同世代のUSインディとも共振するポジティヴなヴァイブに溢れた音楽性で人気を集めている。今作も勢いそのままにエネルギッシュでキュートな作品だ。シンセが印象的でパワフルなタイトル・トラック「ダイナソー」から楽曲も粒揃い。多彩なリズムの変化もさることながら、巧みなコーラス・ワーク、そしてソングライティングもさらに磨きがかかった印象。より多くの音楽ファンに聴いてもらいたい作品だ。(遠藤 孝行)
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"ダンス"を追求し続けてきたKEYTALKが、改めて"ダンス"と向き合ったアルバム。1曲目の「ハコワレサマー」が八木優樹(Dr/Cho)の書いた曲であるように、誰がメインで誰がオルタナティヴではなく、ソングライターとしてもプレイヤーとしても4人揃ってド真ん中を狙う姿勢。そしてKEYTALKがKEYTALKであるために4人が身につけた"王道"は、外から見ると"異様"であり、とんでもないスゴ技であることが今作を聴くとよくわかる。山場だらけのメロディ。突然の転調。それを見事に乗りこなすツイン・ヴォーカル。不思議な軌道を描くギター。様々なリズム・パターンを繰り出すドラム。これだけいろいろやっているのにどこかケロッとしているのは、重ねた歳月によるところが大きいのだろう。(蜂須賀 ちなみ)
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思えばコロナ禍以前にリリースした「サンライズ」が、彼らには珍しいファストなポップ・パンクだったのも、バンドが初期衝動に満ちていた予兆だったのかも。何度も更新されてきたKEYTALK流カーニバル・ソングは、「宴はヨイヨイ恋しぐれ」でゴリゴリした感触さえ残すし、前作以降、冴えを見せる首藤義勝のファルセットは奇妙なメロの「大脱走」で映えているし、EDM路線でありつつドラムは生音がタフな「ラグエモーション」、16ビートの中にハード・ロック・テイストが否応なしに滲む「不死鳥」は、小野武正のギターあってこそ。終盤は首藤のソロ・ヴォーカル曲「あなたは十六夜」、「愛文」、寺中友将の「照れ隠し」が並ぶことで、自然体の歌詞の強さも伝わる。結成12年にしてこの飽くなき好奇心と振り幅が彼ららしい。(石角 友香)
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2013年にメジャー・デビューしてからの、14枚のシングル表題曲+タイアップやライヴ人気曲からなる20曲に、怒濤の5年間の進化を感じるベスト・セレクション。首藤義勝、寺中友将のツイン・ヴォーカル、四つ打ち、目まぐるしい転調とどこかメランコリックなメロディは今でも独特だ。「MONSTER DANCE」、「桜花爛漫」など和テイストの振り切れっぷり、祭りというテーマを太いファンクに昇華した「MATSURI BAYASHI」あたりから、全体の屈強さもアップ。ストリングスとプリミティヴなビートと、EDM風味を融合させた「Summer Venus」に至っては、楽しいことを120パーセント体現するKEYTALKの真骨頂だ。完全生産盤にはライヴ映像も。フィジカルならではのお楽しみは見逃せない。(石角 友香)
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ビクター時代のc/w集。人気曲「OSAKA SUNTAN」、寺中友将(Vo/Gt)の美メロ・メーカーぶりが発揮された「エンドロール」、ルーツであるthe band apart的なアレンジにニヤリとする「O型」、怒濤のブラストビートの「ナンバーブレイン」、小野武正(Gt/MC/Cho)、八木優樹(Dr/Cho)の共作で、めくるめく展開や早口のトーキングVoがユニークな「鏡花水月」、テクニックの高さを笑えるスクリーモ(!?)に昇華した「One side grilled meat」、レア・グルーヴ~ニュージャズ風の「wasted」、タフさが増した「SAMURAI REVOLUTION」、モンドなメロディが癖になる「誓い」など、高い作編曲能力と斜め上のセンスを満喫できる。(石角 友香)
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移籍第1弾アルバムを幕開けるのは「DE'DEVIL DANCER」。この曲で思い起こすのは、最強のライヴ・チューンとしてバンドのスケールを大きくした「MONSTER DANCE」。あの曲のリリースから5年を経て、タフに進化をした今のKEYTALKが爆裂なダンス・チューンを描いたらどうなるかというのが冒頭の曲だ。同曲を筆頭にスマートなアレンジ力に磨きをかけて、EDMからロカビリー、彼らならではの躁的でカオスなサウンドからグッド・メロディのキャッチーさまで、多彩なエッセンスをKEYTALK節として昇華した12曲。4人のキャラクターを生かして曲を書き、曲の物語や力を最大限にするアイディアを重ね、テクニカルな面でも緻密なこだわりを感じる。ライヴでどう化けていくか楽しみ。(吉羽 さおり)
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結成10周年にしてレーベルを移籍。新たな一歩を印象づけるのに十分なシングルが到着した。表題曲は、首藤義勝(Vo/Ba)のソングライターとしての新生面が発揮された、早めのポップ・ファンク・チューン。ソウルのフレーズを散りばめながら、サビではEDM以降のポップスのニュアンスを汲むメロディやコーラス、さらに間奏では小野武正(Gt/MC/Cho)のソロが炸裂するという情報量の多さ。しかも4人の音で構築するダンス・ミュージックであることに彼ららしいバンドの意地と矜持も。一方の「海」は寺中友将(Vo/Gt)お得意のスケール感のある爽快なバラード。ピアノとアコギを映えさせ、以前より隙間の多いアレンジが歌を際立たせている。聴き応えと浸透力の高さ、新しい音像を両立させた快作。(石角 友香)
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清涼飲料水、しかも盛夏のリリースというと、ポップ・ソングの王道感がひとつの系譜としてあるが、今の時代の"それ"をKEYTALKが体現してくれた。アレンジとプロデュースにJ-POPのヒット・メーカーである蔦谷好位置を迎えた「Cheers!」は、ポップ・パンクな曲調がシングル表題では新鮮な印象で、ごくさりげないアレンジで効果的に配置されたストリングスとの相性もいい。首藤義勝(Vo/Ba)の新鮮な曲作り、蔦谷の客観的な視点が功を奏した。c/wは寺中友将(Vo/Gt)の作詞作曲による赤十字運動月間ショートムービーのタイアップ曲「東京シネマ」。寺中十八番の美メロに一歩踏み込んだ歌詞の表現も加わって、ニュートラルに前を向かせてくれるロック・ナンバーに。2曲ともストレートなテーマを昇華していて力強い。(石角 友香)
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アゲアゲのパーティー・ナンバーに替わる、KEYTALKの新しい武器が満載の5thアルバム。グッと生感やソリッドさが増した『ロトカ・ヴォルテラ』以降の質感を感じながらも、小野武正(Gt/MC/Cho)のジャズ、フュージョンという背景を感じる「nayuta」や、これまで以上にAOR路線に振り切った首藤義勝(Vo/Ba)作の「雨宿り」、ロー・ギアなのに速い体感が新鮮な寺中友将(Vo/Gt)作の「ミッドナイトハイウェイ」、ライヴで活躍しそうな八木優樹(Dr/Cho)作の「テキーラキラー」など、1曲1曲の存在感や濃度が高い。その中で、異なる音像だからこそ既発シングルの良さも改めてわかるという、なかなか練られた構成だ。全12曲を通して聴いてこそわかる、虹のようなKEYTALKの多様性を味わってほしい。(石角 友香)
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KEYTALK、2018年一発目のシングル。アッパーで攻める彼らの常道でありながら、恋愛における、食うか食われるか? 的なスリリングな瞬間をほのめかした歌詞や、それを引き立てるダークで速い曲調が新鮮。ストレートにかっこいいだけで済まないのがKEYTALKならではの危うい曲自体のアップデートに繋がっていて、度重なるリズム・チェンジ、エクストリームなギター・アレンジ、そして歌謡としての強度を誇るメロディという過積載っぷりにニヤついてしまう。もう1曲の「アオイウタ」は"音楽と旅が大好きだ #KEYTALKとANA旅キャンペーン"CFソング。まさに今すぐ旅したくなる開放感溢れる1曲。さりげない転調や寺中友将(Vo/Gt)のR&Bシンガー顔負けのスムーズなヴォーカルも心地よさを増幅する。(石角 友香)
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前作「黄昏シンフォニー」に続き、今のKEYTALKが考える"普遍性"が、お馴染みの和なメロディやギター・リフ、親しみやすい歌メロに集約されている感があるタイトル・チューン「セツナユメミシ」は首藤義勝(Vo/Ba)作の楽曲。ただもちろん聴きやすさの中にもアウトロ前の転調や、歌メロの裏で情景を描く小野武正(Gt/MC/Cho)のフレージングの細かさは過去最強かも。そしてこのシングル、メンバー全員の曲が収録されているのもアルバム以降のモードを知る絶好の手がかりで、ニュー・レイヴを再解釈したような小野作の楽曲、最もぶっ飛んだアート・ロック且つ真っ青で複雑なメロディを持つ八木優樹(Dr/Cho)作の楽曲の底知れない白昼夢感と不気味さには唖然。最後は素直でフォーキーな巨匠ナンバーで安定の締めくくりという、ボリューミーな1枚。(石角 友香)
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KEYTALKにとって、初のドラマ主題歌の書き下ろしとなった「黄昏シンフォニー」。彼らとも共通する愛や生(性)へ関心の薄い、いわゆる"ゆとり/さとり世代"がいきなり赤ん坊と対峙し、自分の中にある未知の感情や行動に出会うというストーリーを今回のソングライターである寺中友将(Vo/Gt)はかなり汲んでいる。無垢な命と向き合い原点に戻る感覚、同時に自分はもう子供ではないという若干の寂しさや覚悟を"黄昏"に託しているように聞こえるからだ。ドラマと切り離しても彼らには珍しい速すぎない8ビートや歌い上げすぎないツイン・ヴォーカルですんなり歌詞が入る。首藤義勝(Vo/Ba)作の「F.A.T」はおしゃれ16ビートに陥ることなく必殺のフックと小野武正(Gt/MC/Cho)のリフで意表を突く。2曲とも曲作り功者KEYTALKが考える"いい曲"の新次元。(石角 友香)
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「スターリングスター」から「ASTRO」に至るシングルでKEYTALKらしさを前面に出しつつ、同時に4人全員が作詞作曲した楽曲を収録するようになった現在のKEYTALKの楽曲のポテンシャルと、それをほぼ人力で演奏してしまうスキルの高さに驚嘆と笑いが自然に起こってしまう、会心の4thフル・アルバム。EDMが一瞬表れる首藤作のオープニング・ナンバー「Summer Venus」、小野のジャズ、フュージョン寄りの知識がジェットコースター級の展開を見せる「森羅万象」、一瞬で通り過ぎる八木作のデスメタル風「HOROBIRO」、寺中が洋楽シーンと符合するメロディで新生面を見せる「story」など、4人4様のアルバム曲が痛快。ポップだが、未知のアレンジ、アンサンブルで新境地を切り拓く姿勢に拍手したい。(石角 友香)
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少々の懐かしさも漂う歌謡としての強さのある歌始まりからして意表を突く、KEYTALKの10枚目のシングル。何より、不安の最中にある過去の自分に対して、強く思うことで未知の可能性を掴める、もっと言えば自分は自分を裏切らないだろうという未来からの手紙のような力強いメッセージが新鮮だ。前作の表題曲「Love me」から徐々にストレートになってきた首藤楽曲のさらなる変化でもあり、これまで彼らのシャイネスゆえか前面に出してこなかった意思表明とも取れる。2分台のショート・チューンに8ビートも四つ打ちもスカも盛り込んで疾走する、とにかく熱い1曲。カップリングはインディーズ時代からの人気曲「amy」のライヴ音源を収録。従来のスタジオ・テイクとは異なるライヴならではの首藤、寺中のヴォーカルが聴きどころ。(石角 友香)
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KEYTALKのシングル表題曲としては珍しい、ちょっとアップ気味のミディアム・テンポが新鮮な「Love me」。16ビートながら、さらっとポップに聴かせる音像が首藤義勝(Vo/Ba)作曲ナンバーらしい。そんな中でもゴリッとした感触の、小野武正(Gt/MC/Cho)のカッティングがロック・バンドのダンス・チューンとして個性を際立たせている。カップリングの寺中友将(Vo/Gt)作曲、歌詞は寺中と八木優樹(Dr/Cho)の共作である「SAMURAI REVOLUTION」は、"バンド戦国時代"など一瞬シリアスなバンド・シーンからの現状報告に思えて、語り口調やアレンジによって少々時代劇風のニュアンスも醸し、飛び道具っぽいユニークな1曲に仕上がっている印象も。「金木犀」は、アッパーな四つ打ちにハードなコード感、歌メロの裏を行く小野のギター・フレーズ、そしてエンディングの唐突ささえも小野らしい。(石角 友香)
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KEYTALKのインディーズ時代の限定盤4作品、いわゆる"KTEPシリーズ"には、現在のライヴでもピーク・ポイントにくるキラー・チューンが満載。だが、今は入手困難で高値がついている状況に朗報! というわけで全曲をコンプリートしたアルバムをリリース。そりゃ「MABOROSHI SUMMER」も「祭りやろう」も「太陽系リフレイン」もCDで持っときたいでしょ! しかもお蔵入りになっていた「MABOROSHI SUMMER」の別バージョン、DVDにもこれまた廃盤になった"SUGAR TITLE TOUR DVD"、"オムスターの逆襲DVD"を収録。メジャー・デビュー以降や最近ファンになった人へのプレゼント的な企画でもあるが、KEYTALKの楽曲構造のオリジナリティ、レコーディングの工夫の跡が聴こえてくる大事な記録でもある。(石角 友香)
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2ヶ月連続リリースのシングルはKEYTALKの音楽的なレンジと演奏者としての攻めの姿勢を感じる、メンバー各々が作詞作曲した4曲を収録。寺中作の表題曲は彼お得意の"お祭り系"の中でも突出した太いファンクネスとスピード感が融合。爽快感の中に洋楽インディーなコーラスが映える首藤作の「boys & girls」、驚きのジャズ/フュージョン・テイストをものにした八木作の「wasted」は、KEYTALK史上最も大人なナンバーかも。そして前作収録の「KARAKURI夢ドキュメント」と連作めいた小野作「赤いサイコロのMAYAKASHI」。ぜひその繋がりも意識して聴いてみてほしい。それにしてもゲームのステージをクリアするような軽快さで、その実、曲のハードルを上げていく4人は逞しいのか、ドMなのか?(褒めてます)(石角 友香)
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四者四様の"KEYTALKのロック感"はいい意味で見事なまでにバラバラで、それだけにこのバンドの武器の多さも再認識させられる。首藤作のタイトル・チューンは80年代のサザンオールスターズばりの歌謡感と相対する演奏のタフさがキャッチーであるし、ファストなスカ調の小野作品は最も今のバンドの状態を示唆する歌詞が、彼のナイーヴな感受性の発見にも。作詞にもチャレンジした八木作品は、珍しく"ロックな二枚目"タイプの疾走する8ビートが激しく新鮮。一部リズム・チェンジする部分がむしろスタンダードに聴こえるのがKEYTALK節が定着した証か。ラストは寺中作の2ビート・メインのラウド/ミクスチャー系。エフェクト・ヴォイスで歌われる歌詞に意味を求めない怪作。クアトロAサイド・シングルと受け止めたい濃厚さ。(石角 友香)
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フロント3人が曲を作れる強みはもちろん、『HOT!』から、フックありまくりでメロも残る首藤、美メロの巨匠(寺中)、シュールでエッジ立ちまくりの小野という役割分担が、この1年の経験を経て変化したことを感じるシングルだ。お互いの得意分野がよりKEYTALKとしての個性になって堂々と鳴らされる。それを最も象徴しているのが、大人になって自分のいる場所も自覚し、だからこそそこから見る夢について歌う「スターリングスター」の説得力。輝度の高いサウンドと上昇するサビが美しくも切ない。また、KEYTALKの作曲マナーも何気に綴られている「鏡花水月」のめくるめく展開、ピアノのアレンジが印象的な「summer end」。3曲とも曲ごとの色と言葉が鮮烈だ。(石角 友香)
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退屈なロックもあれば、思いっきり尖ったJ-POPもある。呼び方なんてどうでもいい、とにかくまだ世の中に存在しないポップ・ミュージックを作るのだ。というKEYTALKのオリジナリティがグッと進化したメジャー2ndアルバム。いきなり1曲目から首藤(作詞作曲も)の脱力ラップで始まり怒涛の展開を見せる「YURAMEKI SUMMER」、歌を聴かせつつ低音の迫力も増した寺中作の「グローブ」、アブストラクトなビート感を人力で昇華した小野作の「Human Feedback」、最もこれまでのKEYTALKっぽいリズムを持つ八木作曲「キュビズム」には、小野のちょっとシニカルで歌詞的なものを超越する言葉が乗っているのも痛快だ。ハードな曲でもバラード寄りでも全体的に音像が豊かになったことも新鮮な聴感をもたらす。(石角 友香)
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ぶっとい16ビートのイントロからガラリと景色が変わるサビ始まりと、どこか90年代以前の歌謡曲を思わせるメロディ。年齢を問わず甘酸っぱい思いが胸をよぎりそうな、KEYTALKが放つより広いフィールドを目指すタイトル・チューン「FLAVOR FLAVOR」。本格的な春の声もまだ聴こえないが、早くも夏が待ち遠しくなるほど季節感や温度のある楽曲だ。新たな王道を目指した首藤の同曲を始め、小野が幾何学的なフレーズを封印し、 ひたすらリフとコードで押しまくる(作詞・作曲も小野)「ナンバーブレイン」、寺中の美メロ体質が全面的に表出した「Stand By Me」では、同時にシンセやオルガンのアレンジが曲の輝度を上げ、彼ら流のシンセJ-POPワールドを表現。ジャンルが細分化された時代の中で普遍性に挑戦した1枚。(石角 友香)
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トライバルかつお囃子を思わせるビートから、往年のアイドル歌謡的なアレンジ、UKインディーぽい3連のソリッドなギター・リフ、サンバのリズムとエキゾチックなシタールの音......とおよそ世界のダンス、お祭り騒ぎが4分半にめくるめく速度で展開するタイトル曲の強烈さ。首藤のサザン好きが垣間見られる歌詞もニヤリとさせられる。一転、キラキラのキーボード・サウンドがJ-POPという呼称以前の日本のポップスを思い出させる「エンドロール」では寺中のセンスが炸裂。KEYTALKの作曲能力、エクストリームなアレンジ・センスが堪能できる前半2曲に続き、これまでを踏襲した「FREEDOM」、血液型シリーズ(?)第3弾「O型」の4曲を収録。さらに遠くまでKEYTALKの存在が届きそうなシングルだ。(石角 友香)
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変拍子、転調、美メロ、そしてマスロック、メタル、ジャズ、フュージョン、ポップスという物理とジャンルが交錯しつつギリギリのバランスで成立するKEYTALKの男の子チックな世界観はそのままに、1曲ごとの強度が増したモンスター的な2ndアルバム。特に首藤義勝のソングライターとしての覚醒は凄まじく、「バミューダアンドロメダ」や「MURASAKI」に登場する一歩間違えると気持ち悪ささえある転調やマイナー・メロディと、妖しさ満載な歌詞は物理的なスリルのネクスト・レヴェルを見せる。また、エディットのセンスが冴えまくる小野武正の「BEAM」のテクノ的な痛快さ、美メロの王道を行く寺中友将の「メロディ」、初めて曲が収録された八木優樹の「YGB」も聴きどころ。脳と肉体を直撃する13曲。(石角 友香)
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2ndシングルとなる本作は、プロデューサーにNARASAKI(COALTAR OF THE DEEPERS、特撮。ももいろクローバーZやBABYMETAL、上坂すみれらの作品の作曲編曲も手がける)を迎え、彼の提案により一発録りに挑んだ新曲2曲を収録。ギター・サウンドの太さやリズムの臨場感は表題曲の「パラレル」「サイクル」ともにグッと増した印象。「パラレル」は4つ打ちから8ビート、レゲエ・ビートへとめまぐるしく変化するリズムも通して演奏していることで、流れの良さと勢いが加速。「サイクル」は寺中のラップ調の早口ヴォーカルが新鮮だ。また、通常盤には昨年11月17日のLIQUIDROOMのライヴから「UNITY」を収録。初回限定盤にはなんと7曲を収録! 現場感に胸躍る。(石角 友香)
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攻めのキャッチーでリスナーをフック・アップするKEYTALKが放つメジャーからの第1弾シングル。タイトルになっている「コースター」は四つ打ちとトリッキーなギターはもちろん、寺中と首藤の異なる声質かつどちらも伸びやかなヴォーカルが交互に登場するスピード感も聴きどころ。小野のギターが暴れまくる「スポットライト」、90年代のロック寄りの、J-POPにも似た王道感のあるメロディ・ラインが、同世代、同系列、いや、他の世代にもなかなかないスケール感の「Winter March」はライヴキッズ以外にもぜひ聴いてもらいたい逸品。一転、幾何学的なギター・リフと踊れるビートに時折挟まれるシンコペーションや、歌とベースのユニゾンなど、アレンジも演奏も痛快な「OSAKA SUNTAN」の新曲4曲を大盤振舞い。(石角 友香)
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the cabsにも在籍の首藤義勝(Vo/Ba)と寺中友将(Vo/Gt)のツイン・ヴォーカルとALASKA JAMなど様々なバンドでギターを弾く小野武正(Gt)、そして八木優樹(Dr)からなる4人組バンドKEYTALKが待望の1stフル・アルバムがリリース。彼らの武器である超絶キャッチーなギター・ロック・サウンド、先を読めない展開は更に進化をしている。Track.3「fiction escape」の疾走感溢れる軽快で陽気なポップ・チューンからTrack.7「茜色」のホロリとさせるバラード、そしてまさにJ-POPの真骨頂とも言えるキャッチーなメロディを料理したTrack.11「summer tail」。2009年に結成してからKEYTALKファンが首を長くして待ちわびた1stフル・アルバムは期待を裏切らない超絶キャッチーな作品だ。(伊藤 啓太)
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CDを再生した瞬間から“これは……!”と唸らずにはいられないキラー・チューンが詰め込まれた攻めの2000枚限定マキシ・シングル! 凝ったマニアック性と大衆の心もグッと掴みそうなキャッチーなメロディの絶妙なところをついてくるバランス感覚はさすが。かゆいところに手が届くような“こんな曲たちを待ってた!”と声高らかに叫びたくなる快作。Track.1「MABOROSHI SUMMER」はアッと驚くような予想もつかない展開がクセになり、気になるワードが詰め込まれた初っ端からぶちかましている1曲。ポップにもロックにも全速力で駆け抜けていくジェット・コースターのような全4曲にKEYTALKというバンドの多面性と底力を見た。(高橋 香奈)
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ライヴを主軸に音楽活動という名の航海を続けてきた彼らは、突如猛威を振るった新型コロナウイルスにより、その船から大海へと投げ出された。そんな彼らが"海底"から放つ、暗闇の中に光を見いだす本アルバム。先の見えない深海でもがく1曲目「海底」から始まり、"想像力で地上へ"というテーマのもと愛という明かりを頼りに進んでいく。荒波のように激しく緊張感漂うナンバーから穏やかに広がる大海原のように雄大な曲まで、様々に表情を変え展開する挑戦的な楽曲群。そして夜明け前の丘の上で始まりを歌う「はじまりの場所」にたどり着く。コロナ禍をともに彷徨い苦しみながらも乗り越えてきたすべての人々を、素直な感情を吐露した歌詞と深みを増したサウンドで抱きしめる、愛に満ちた12曲。(中尾 佳奈)
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"極夜"とは太陽が昇ることのない状態。逆に"白夜"は太陽が沈んでも暗くならない状態を指す。真逆の現象をタイトルに冠し、陰と陽の心境をメタファーで表現したcinema staffの2021年初となるスタジオ音源。緩急を行き来する緻密なアレンジで激しくも悲しいワルツを描く「極夜」と、新しい一歩を踏み出す意志をエネルギッシュな歌に託した「白夜」は、サウンド面でもバンドの魅力を両軸から浮き彫りにする。バンド初期に演奏していた「DAWN」をソリッドにリアレンジした「NEWDAWN」も含めて、太陽をテーマにしたような統一感のある収録曲が印象的だ。さらに、CD盤には学生時代に、飯田瑞規(Vo/Gt)が作曲を手掛けた初々しい楽曲を収録。バンドの過去と現在が詰まった1枚。(秦 理絵)
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2008年全国デビュー、2012年メジャー・デビューという経歴の中での初のオール・タイム・ベスト。収録されている新曲「新世界」は伸びやかなメロディとソフトなヴォーカルの相性を最大限に生かしつつ、バンドの地に足のついた音像を聴かせる晴れやかな楽曲。冷静に未来を見据え邁進する4人のモードを実感できる。もう一方の新曲「斜陽」は盟友、高橋國光(ex-the cabs/österreich)との共同制作。両者の尊厳と個性が美しく混ざり合った、繊細で慈愛と情熱に満ちた楽曲が生まれた。彼らの音楽人生を描いたであろう高橋の綴る歌詞も、ひとつひとつがパンチラインとして響く。様々な痛みと喜びと迷いに翻弄されながらも、自分の音楽を磨き続けることをやめなかった人間たちの、情操の結晶だ。(沖 さやこ)
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「great escape」以来約6年ぶりにTVアニメ"進撃の巨人"のEDテーマを手掛けるcinema staff。嵐のようなギター・リフが生むカオスの中で、手探りで道を見つけていくような前回のダークなサウンドに対して、「Name of Love」は静謐なピアノと歌で始まる。今回描いたのは"絆"。強くも脆くもある目に見えないものを手にして進んでいく、美しくドラマチックな曲だ。構築的に細部を積み上げながらスケールの大きな曲を描いていく4人の手腕が生きた曲で、アニメの世界観や根底に流れるものを掬い取った内容となった。今作では「great escape」のニュー・ミックスの他、「OCEAN」、「さらば楽園よ」とアニメを思わせる曲を収録。重厚で充実感のあるシングルだ。(吉羽 さおり)
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長く親交を温めてきた cinema staffとアルカラによるスプリットEP。書き下ろしの新曲、それぞれのカバー、コラボ曲の全5曲が収録された。cinema staff新曲「first song(at the terminal)」は、ソリッドで高いテンションのドラミングと多展開のドラマチックなサウンドを、伸びやかな歌が包み込む。キャッチーで温かいメロディにただ行儀よく収まらない、アンサンブルのパッションが惹きつける。アルカラの新曲「サースティサースティサースティガール」は、爆発的なオープニングからサビでファンクに急展開するトランスフォームっぷり、先の読めなさ、オチのつけ方で唸らせる。この2バンドが互いをカバーし、コラボする曲は、もちろん技もネタも巧妙に仕掛けられていて、味わい、楽しみが尽きない。(吉羽 さおり)
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前作『eve』は初めてプロデューサーを立て、cinema staffの武器である歌、鋭さ、キャッチーさを洗練させた作品を生んだ。今回の6thフル・アルバムは再び自分たちの手で完結した作品だが、そこではこれまでの経験値を駆使したより鋭利な曲と、馬力のあるサウンド、構築的で変化に富んだアンサンブルへの知性が光る。グッド・メロディと幾何学的なサウンドが、ギリギリのところで接着している初期のスリルに引き込まれた人も、歌心や寓話的な物語性の高さに心揺さぶられた人も、爆発的なロック・バンドとしてのスケール感にやれらた人も、満足する作品。その、それぞれのポイントの高いハードルを超えたアルバムだ。"熱源"という果てることのない、マグマのように煮え立ったバンドのクリエイティヴィティを見せつける。(吉羽 さおり)
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「エゴ」、「返して」、「ビハインド」の3曲からなる最新EPは、cinema staffのアンサンブルの妙味と歌とのハーモニーをより洗練し、大きく響かせたアルバム『eve』とはまた違った4人の味を引き出している。勢いの面では、初期のころの、互いに一歩も引かずに音のバトルを繰り広げ、せめぎ合う音が刹那な火花を散らすエネルギーがある。それが沸々としたカオス的な暴発感でなく、メロディを際立たせ、微妙な言葉の温度感を伝える繊細な火力を持ったサウンドとなっているのがとても美しい。「エゴ」ではサビのメロディ、肝のフレーズが猛烈な切迫感で耳に飛び込み、「返して」ではもう二度とないかもしれない甘い景色を、その音で痛切に心に刻み込む。叙情的な風景が、閃きのように脳内に広がる1枚だ。(吉羽 さおり)
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前身バンドから数えれば、10数年に渡る年月をこのバンドで過ごし、ミニ・アルバムは5作、フル・アルバムとしても4作リリースしてきたcinema staff。5枚目のアルバムは、彼らのキャリアの中でも、より意識的に変化を求め、実践していった作品だ。それぞれが主張の強いフレーズをぶつけ合うアンサンブルと、展開の多い曲構成、泣きの要素で心を掴む叙情的なメロディ、これを絶妙の絡みで聴かせるのがシネマ節。アルバムに繋がるEP『WAYPOINT E.P.』収録の「YOUR SONG」では、シネマ節を超王道のバラードへ昇華した。その過程で培った曲を洗練させる手法が、アルバムの端々に活きている。各曲のチャーム・ポイントたる場所を、最大限引き出して響かせていくアレンジが、バンドのポップ性とヒリヒリとした尖りを露わにした。(吉羽 さおり)
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リード曲「YOUR SONG」が大きな反響を得た前作『WAYPOINT E.P.』と対をなす今作。彼らのメロウな歌心を最大限強く、且つシンプルに引き出した前作、そして今作のバンド・アンサンブルの妙が織りなす"動"のドラマ、この両極がcinema staffの面白さだ。今作のリード曲「切り札」では、飯田瑞規(Vo/Gt)の上昇していく鮮やかなメロディ・ラインと並走し、デッドヒートを繰り広げる辻友貴(Gt)のメロディアスなギター・フレーズが肝。メロディの両輪がサウンドのスピードを上げ、風を生んでいく爽快さがある。サウンドはラウドでアグレッシヴだけれど、ビートもフレーズもデコラティヴになりすぎず、鋭く磨き洗練されている。プロデューサーを迎え、1曲を徹底してブラッシュアップし、4人の個の音を明快に編み上げたアンサンブルとなっている。(吉羽 さおり)
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自分たちの表現を護り、育み、磨き続けてきたcinema staffが、大きな一歩を踏み出した。アレンジをプロデューサーの江口亮へ一任し、それを自分たちなりに消化して作り上げた表題曲「YOUR SONG」。NHK岐阜放送局開局75周年を記念して制作されたドラマ"ガッタン ガッタン それでもゴー"のために書き下ろした主題歌だ。ドラマの世界観に自身の現況や心情を重ねたミディアム・テンポのバラードは、彼らが持っている誠実さ真摯な姿勢を混じり気なくこちらに届けてくれる。様々な人の力を借りて手に入れた方法論を、彼らは今後自分たちのものにするだろう。そのとき彼らはどんな音を鳴らすのか――。それは今はまだ曖昧なヴィジョンかもしれないが、未来は見えないからこそ面白く、自らの手で開拓してこそ喜びがあるのだ。(沖 さやこ)
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過去最高に歪んだギター、より地に足の着いたベースとドラム、そしてその4つの音の上で強く響くヴォーカル。"自分たちにしか鳴らせない音楽"を大事にしてきた4人の、活動と年齢を重ねたうえでの変化の結晶がこの『blueprint』、彼らの"未来予想図"である。"今の自分たちが何をするべきなのか"という冷静な視点と、"大好きな音楽/バンドを長く続けていきたい"という純粋な気持ちが作り上げた音と言葉は、ひとつひとつに高い熱量が宿り、4人の気迫が絶え間なく突き刺さる。しっかりと未来を見据えることができた、現在のcinema staffのモードがそのまま結実したアルバムだ。実に清々しく、実に夢とロマンに溢れたダイナミックなリアリズム。そんな勇敢な音色に、心が突き動かされるのは必然なのだ。(沖 さやこ)
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全15バンドが新曲を録りおろした残響recordレーベル10周年記念コンピレーション。好きなバンドだけ聴ければいい、なんて思ってるかたはその考えを改めることをお勧めする。なぜなら、もしこの15バンドにあなたが好きなアーティストがいるならば、間違いなくそれ以外の楽曲もあなたのアンテナに触れるはずだから。それこそが残響recordが10年間でリスナー、そしてアーティストと積み上げた"信頼"だ。ポスト・ロックやエレクトロニカの音楽性を持ち、どこか人を寄せ付けない孤高の輝きを放つ危険性、神聖さを持つアーティストが集うという、事件とも言うべきロマンチシズム。残響recordの看板でもあるcinema staff、People In The Boxをはじめ、全アーティストが独自の色を研ぎ澄ました攻めの新曲を投下している。(沖 さやこ)
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バンドが始動して10年の歳月が流れた。その間には数々の喜怒哀楽があり、挫けることも少なくなかったかもしれない。だが彼らはどんな時代でも自分たちに嘘をつかず、抱いている想いをそのまま音と歌にし、そのときの最高水準の音源を作り続けてきた。前作『望郷』はそのモニュメント的作品とも言える。そんな大作を作り上げたバンドが手に入れたのは確固たる自信。今作『Drums,Bass,2(to) Guitars』にはそれが満ち満ちた音しか鳴っていないのだ。美しく高らかに鳴り響く4人の音色と、情感豊かな飯田瑞規のヴォーカルは、聴き手を大きく巻き込むポジティヴで晴れやかなパワーがある。サンバ風のリズムや、エレクトリック・シタールを用いたりなど、随所に挟まれる人懐こい遊び心も痛快。大きなバンドになった。本当に。(沖 さやこ)
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4月2日にリリースされるメジャー2ndフル・アルバム『Drums,Bass,2(to) Guitars』に先駆けて、リード曲を先行配信。同曲は「great escape」をプロデュースした亀田誠治と再びタッグを組んで制作された。ものすごい手数で果敢に攻め込むダイナミックなドラミングに、瑞々しく響く2本のギター、ソフトなコーラスが一足早い春の訪れを告げるようだ。亀田誠治のプロデュースにより、いままでcinema staffが積み上げてきたものを更に大きくこじ開ける、洗練された音色になった。いつ帰ってくるかわからない"あなた"を待ち続ける主人公のボルカ。だが4人の音と飯田瑞規の包容力と説得力のある歌声は、そんな悲しみや不安を吹き飛ばすように鳴り響く。ここに存在するのは笑顔と強い希望だけだ。(沖 さやこ)
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バンド初の書き下ろしタイアップ曲であり、初のプロデューサー起用曲はテレビアニメ版"進撃の巨人"の後期エンディング・テーマ。インタビューで三島想平(Ba)が"ヒーローがたくさんいるような曲にしたかった"と語ってくれたように、速く鋭く感情的に突き進むギター、メロディアスなベース、音全体を引き締めるドラム――全てが各々の輝きを発っており、攻勢的でハードでありつつも非常に開けた楽曲になっている。主人公エレン・イェーガーの心情や物語の持つ勢いや団結力を反映させつつ、実にcinema staffらしいサウンド・メイクだ。上京してからの2年間で感じた思い全てを込めたフル・アルバム『望郷』という、ひとつの到達点を迎えた今だからこそ作り上げることが出来た、実験的かつ挑戦的なナンバー。(沖 さやこ)
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楽曲の中核を担う三島想平(Ba)は、ライヴで観客に向かい"岐阜県からやってきましたcinema staffです"と挨拶をする。それは彼らが上京してからも変わらない。『望郷』に収録されている楽曲は全てバンドが上京後に考えたこと、作り出したもので構成されているとのことだ。この作品はcinema staff史上、最も不安定な音像かもしれない。だが最も4人の生々しい心情が音と言葉に溢れた、非常にダイナミックな作品である。故郷への特別な想い、故郷を離れてでも追いたい理想、そして葛藤――。ここには環境と心境の変化がもたらした"進化"が現在形で集約されている。何より、感情的な4人の音色がとにかく包み込むようにあたたかいのだ。泣きながら人の涙を拭うような不器用な優しさに、何度も涙腺が緩んだ。(沖 さやこ)
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cinema staffのダブル・シングルのうちの1枚である『西南西の虹』は4曲入り。タイトル・トラックは昨年からライヴでも演奏されているが、音源で聴くと鋭利な部分だけではなくそこから生まれる優美さがより浮き彫りに。両極端なものが自然と地続きになるのも彼らの魅力のひとつだ。特にリード・ギターの切れ味と速度は目を見張るものがあり、何度も突き刺されるような感覚。スケールのあるメロディも楽曲の持つ力強さを引き出している。つんのめるような疾走感が光るシネマ節とも言える「A.R.D」、ギターの弦を押さえる指の音も優しく響くアコースティック・ナンバー「発端」、バンドの新章を予感させる言葉が耳に残る「いらないもの」。着実に歩んできた彼らの現在位置を示すシングルと言えよう。 (沖 さやこ)
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cinema staffがシングルを2枚を2222枚完全限定で2月20日に同時リリース。そのうちの1枚である『小さな食卓』はCDに同曲を収録。タイトルとLOSTAGEの五味岳久が描くジャケットにもあるように、"食卓"をテーマに歌った同曲。何度もリフレインするギターは流線型を描くように広がり、躍動感のあるドラムはダイナミックに炸裂。緩急のあるベースは包容力を生み出す。4人の阿吽の呼吸が生み出す絶妙なアンサンブルは、家族の風景そのものにも思える。飯田瑞規のヴォーカルも、よくある日常風景をあたたかく優しく、何より明るく響く。身近にいる掛け替えのない人々への愛情と感謝の気持ちに満ちた曲。(沖 さやこ)
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メジャー・デビュー作である前作『into the green』から3ヶ月弱で届けられたミニ・アルバムは"救い"がテーマ。聴き手を意識するようになった4人の音はより柔らかく、ダイナミックなスケール感を帯びており、バンドがネクスト・ステージに上がったことを如実に表している。明確な意思を発するポップな「奇跡」から、鋭さと激しさとミステリアスが交錯する「her method」、フィクションとノンフィクションの狭間を描く抽象画のような「warszawa」「小説家」へと、どんどん心の奥底へと4人の音が浸透していく。その鮮やかでドラマティックなストーリー展開は、夢なのか現実なのか分からなくなるほどに我々を音の中へと取り込んでしまうのだ。更に振り幅を増し成熟してゆくcinema staffの音像に息を呑む。(沖 さやこ)
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新曲2曲と過去の代表曲4曲によって構成されたメジャー・デビュー作にして、音楽的にもcinema staffに新たな季節が到来したことを告げるEP。表題曲「into the green」はまさに、ここ数年の彼らが緩やかに、しかし確実に描いてきた音楽的な進化が昇華された改心の1曲だ。バンド最大の特徴であった飯田の透明感のあるヴォーカルに導かれるように流麗な旋律を描くギターは、時にシューゲイザーのような感傷的なサイケデリアを宿しながら、じわじわと聴き手を包み込む。怒りとも悲しみとも喜びともつかない、この独特なエモーションを表現するサウンドは、彼らがスピッツやsyrup 16gに連なる、この国の偉大なるオルタナティヴ・ロックの系譜にあるバンドであることを告げている。(天野 史彬)
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03年結成の4ピースバンドcinema staffの1stフル・アルバム。セルフ・タイトルを冠した本作は、まさにデビュー作というに相応しく、"海"という生命の源、始まりの場所を目指す希望に満ちた旅を描いている。そのジャケットの通り、冒頭曲「白い砂漠のマーチ」で夜の砂漠から旅は始まり、目指す"始まりの場所"は"海"。そう――これは、始まりへの旅路なのだ。未だ見ぬ生命の源、船出の場所へと近付くにつれて、光と潤いの色が徐々に加わっていく本作の流れ。と同時に、曲が進むにつれ、その足どりがより強くなっていくかのように、より強く、凛と響いていくヴォーカルもじつに勇ましい。そして、ラスト・ナンバー「海について」で約7分にわたり描かれる希望と歓びは、これ以上ない最高の"始まり"を描いている。(島根 希実)
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ここ2年間の彼らの活躍には目を見張るものがある。リリースを重ねるごとに、音が一回りも二回りも膨らみを増し、洗練されていくのだ。前作から半年振りのリリースになる今作は"線"をテーマにした4曲入りのコンセプト・シングル。彼らが切り取る4つの情景はどれも一貫として、張り詰めた早朝の真冬の空気に零れる吐息のように柔らかであたたかく、闇の中で深々と降り注ぐ粉雪のように繊細で凛としている。白と黒のコントラストを感じさせる静寂と轟音で彩られた彼らの音は独特なリズムを刻み、どこまでも切なく、どこまでも美しく響き渡る。慢性的な不満を抱えた現実世界に"夢"という魔法を掛けるようなドラマティックな空気感に、完全に飲み込まれ抜け出せなくなった。目を閉じて聴き入りたい、そんな音。(沖 さやこ)
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社会へと足を踏み出したcinema staffの溢れる衝動は、ひどい熱量を放ちつつも冷静さを内包している。彼らがいわゆる"激情系"を逸脱したのは、その凄然とした冷静さ故だと思う。『Blue, under the imagination』では、深層心理をを丸裸にし、非常に叙情的で完結された形で世界を切り取っている。3枚目にして、触れれば血が噴出しそうな鋭利さは磨きがかかり、より一層の純度が増した。内でうねる心の震えが激情へと高ぶりを見せ、石を投げ込まれた水面の波紋のように破壊力が広がりを見せるのだ。そこには衝動だけで語ることのできない、彼らのドラスティックなまでの確かな意思がある。彼らは知っているのだ。「想像力」こそが、未来へ向かう原動力であり、現実を作りだしていることを。そして、現実に対峙する唯一の手段であることを。"想像力"はやがて"創造力"へと変貌を遂げる。世界はまだ始まったばかりだ。(山田 美央)
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前作で感じた普遍性だとかポップ・ミュージックだとか、そんな言葉だけではとても形容しがたい音楽に進化していて、彼らのポテンシャルの高さをまざまざと見せつけられた気分だ。まず、オープナーの「GREEN」から穏やかじゃない。流麗な鍵盤と耳をつんざくようなノイズ、緊迫感のあるドラムに憂いを帯びたストリングスと、一見相容れないようなサウンドが、絶妙なバランスでアンサンブルとして成立している。何より、時折トゲのある言葉を突きつけてくる歌詞も含め、彼らがこんなヒリついた音楽を鳴らすようになったことに驚いた。対して、ラストの「虹の端」はどこか民族音楽的な趣のあるギターと歌(サビの童謡を思わせる合唱がいい!)のみで紡がれる異色のナンバー。トレンドに見向きもしない独自性と、もはやアートな音の配置にため息が出る。(松井 恵梨菜)
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20代前半という、大人の年齢でありながらまだ大人になりきれないモラトリアムな年頃の主人公。その何気ない日常における君と僕の日々を丁寧に切り取り、詩的に紡いだ8つの物語からなる短編集――odolが1年ぶりに完成させたアルバムは、前作以上に多くの人に向け開けた、より聴き手に寄り添う1枚に仕上がっていた。幕開けで、これから届ける"あの日からのこと"を"話させてよ"と歌う、普遍性を湛えたバラード「years」に、歪んだギター・サウンドと美しいピアノが瑞々しく協奏する「綺麗な人」、精巧なバンド・アンサンブルによって豊潤で立体感のあるメロディを作り上げた「退屈」など、多彩なアレンジが全編を通して光る。そのうえで彼らが鳴らしたいのは、あくまでポピュラー・ミュージックなのだ。(松井 恵梨菜)
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odol(読み:オドル)は2014年に結成され、同年7月には"FUJI ROCK FESTIVAL'14 ROOKIE A GO-GO"のステージに立ったという5人組オルタナティヴ・ロック・バンド。美しいピアノの旋律が印象的なポスト・ロック・テイストのTrack.4「君は、笑う」や轟音シューゲイザー的アプローチのTrack.6「愛している」など、たしかにこの振れ幅はオルタナティヴだなと思わず頷く。とはいえ、この1stアルバム『odol』は青い衝動に満ちていて、且つどこまでもポップだ。深く歪んだギターは周囲のノイズをかき消すように、柔らかく傷つきやすい心を守るように響き、そしてそこにミゾベリョウ(Vo/Gt)のあまりに無垢な透き通った歌声がのる。まだまだ底の知れないポテンシャルを秘めた1枚。(山元 翔一)
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phatmans after schoolというバンド名をsajiに改めて、再び歩き始めた彼らの改名後、初の音源。表題曲の「ツバサ」は、TVアニメ"あひるの空"のエンディング・テーマに起用されているが、ヴォーカルでありメイン・コンポーザーのヨシダがかねてより愛読していた作品なこともあり、原作の世界観をしっかりと楽曲に落とし込んでいる。それだけでなく、澄み切った青空が目に浮かぶ爽快感溢れるバンド・サウンドであり、そこに綴られている言葉は、新たな名前で走り出した今の彼らの姿を彷彿とさせるものに。また、甘酸っぱさのある「猫と花火」も、ビッグ・バンドな「まだ何者でもない君へ」も"夢"をテーマに掲げていて、心機一転の第一声に相応しい内容に仕上がっている。(山口 哲生)
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直近の2枚のミニ・アルバムではアグレッシヴな作品を立て続けにリリースしてきたphatmans after schoolだったが、この最新アルバム『キミノバアイハ』はバンドの中核にある"歌"の魅力をフィーチャーした原点回帰の1枚となった。タイトルには2011年にリリースされたメジャー・デビュー作『ボクノバアイハ』のアンサーとしての意味合いを持たせているとおり、出会いや別れを繰り返す活動のなかで、変わってゆくこと、変わらないことのすべてを肯定するような曲たちが力強く鳴らされている。中でも、8曲目に収録された温かいミディアム・テンポ「kakemeguru」の"怖がらないで 一歩ずつ/君らしくいけばいいさ"というメッセージは、いまの彼らだからこそ歌える優しいエール・ソングだ。(秦 理絵)
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陽気なブラスがハピネスを運んでくる、ファンファーレのような「シリアル」で幕開ける2ndアルバム。"生命(僕たち)の年代記"を意味する造語をタイトルに掲げた今作のテーマは"原点回帰"で、住んでいる場所や年齢が違ってもみんな同じように抱える、同時代を生きる人々の葛藤や孤独など複雑な思いを繋ぐべく描かれた架空の物語が並ぶ。くよくよ悩む人を鼓舞するように、モヤモヤを蹴散らしていくパーティー・ナンバー「party holic」、ユーロビートを取り入れながら"倫理と本能の葛藤"というリアルな視点を綴った「FR/DAY NIGHT」、強力なフックを持った歌メロで主人公の心の声を叫ぶ「正常性バイアス」など、濃い味つけの楽曲が出し惜しみなく収められている。全13曲をキャッチーに仕上げるメロディ・センスもさすが。(松井 恵梨菜)
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2015年第1弾リリースとなる両A面シングル。「FR/DANIGHT」はユーロビートを軸にしたアップテンポのダンス・チューン。対して「7日間.」はアコースティック・ギターの音が効いたあたたかなミディアム・ナンバーだ。ライヴで観客が盛り上がる姿が目に浮かぶ前者と、聴き手ひとりひとりに寄り添うような後者。どちらも誰かに受け取られることを考えて作られた、表現のベクトルが外側を向いているからこそ生まれたであろう楽曲。にも関わらず、共通して人間の内側の葛藤――理性と本能、理想と現実の狭間で揺れる姿――を描いているのが面白い。秋には全国ツアー、さらに多くの人と対面することとなる日々のあとにはどんな曲が生まれるのだろうか。気が早いがそれも気になるところ。(蜂須賀 ちなみ)
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2014年春、拠点を北海道から東京へ移し本格的にライヴを始動させた4ピース、phatmans after school。ミニ・アルバムやシングルで、キャッチーでキラキラとしたギター・サウンドを披露してきた彼らの1stアルバムは、四つ打ちチューン、ギターとシンセの音のシャワーが歌に降り注ぐフレッシュな曲から、打ち込み、じっくりと歌を聴かせる曲などやりたいことを詰め込んだエネルギッシュな1枚。そんな1stアルバムらしい天真爛漫なパワーがあるが、1曲1曲を紐解くと、細やかなディテールが積み重ねられたアレンジの妙がある。各々好みの音楽が幅広く、またJ-POPを聴きながら育ってきたゆえの、心地よい歌心とつい癖になって繰り返してしまうフックが織り込まれている。確信犯的なのか、天然なのか、これからが楽しみになる。(吉羽 さおり)
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札幌在住、平均21歳の4人組バンドphatmans after school。2011年秋にメジャー・デビュー。メジャー1stミニ・アルバム『ボクノバアイハ』以来約1年5ヶ月振りのリリースとなる。若者特有の衝動と物憂げな空気が交錯するギター・ロック・ナンバー「メディアリテラシー」と、ティーンのモラトリアムな心情を綴ったキャッチーな「1○歳」、どちらも共通して歌われているのは"夢"だ。何が正しいかもわからなくなる現代。"それでも夢を追いたい"という彼らの純粋な思いはリスナーの心にまっすぐ飛び込んでくるだろう。インターネットを拠点に活動するy0c1eによる「無重力少年」のリミックスは、楽曲のサイバー感と憂いを抽出したソリッドなアレンジになっているのでこちらも必聴だ。 (沖 さやこ)
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