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LIVE REPORT

Japanese

totos / 飯田瑞規(cinema staff)

Skream! マガジン 2021年10月号掲載

2021.09.16 @下北沢LIVEHOLIC

Reported by 稲垣 遥 Photo by 清水舞

この日の"LIVEHOLIC 6th Anniversary series"は、Skream!で連載しているcinema staff辻 友貴(Gt)のコラム"萌えもemo"とのコラボ・イベントとして、辻による企画ライヴが行われた。

ということで、ステージ・セット中、まずはマイクを持って辻が登場。続いて出演者としてアナウンスされていた飯田瑞規(cinema staff/Vo/Gt)もステージに上がると、辻が"コラム、僕が一番長いんすよ。2ヶ月に1回連載してるんですけど、2ヶ月に1回って簡単そうって思うじゃないですか? でも、めっちゃ大変で"と執筆の裏側を話し始めた。そして、途中からコツを掴んできたけど最初は酷かったと執筆開始時を振り返ると、飯田がその記念すべき1回目(※2012年6月号掲載)を突如朗読し始め、"やめてやめて!"と辻が声を上げて赤面するなど、和気あいあいとした空気で場が温まったところで、準備も整い飯田の弾き語りステージがスタートした。

柔らかなアコースティック・ギターから「落日」、そこから初のソロ作品「眩暈」と繋いだが、高音も力むことなく、透き通った声で聴かせられるヴォーカルの安定感で冒頭からぐっと観客の心を掴んでいく。続いてエレキ・ギターを持った辻を再び舞台上へ呼び込むと、"コラム、最初辻が書けんのかなって思ったけど、ちゃんとやる男なんで。お店(レコード・レーベル"LIKE A FOOL RECORDS "店舗と居酒屋"飲み屋 えるえふる")も6年くらいやってるもんね?"(飯田)、"(コラムを)続けてる理由は、俺ART-SCHOOLの戸高(賢史/Gt)さんが書いてたブログを見て、そこで戸高さんが聴いてた音楽を読んで学び出したから、そうなったらいいなって"(辻)と自らの経験から、次の世代にいいものを伝えていきたい意識が潜在していると口にする。そんな話から、バンドでもカバーしたことがあるbloodthirsty butchers「僕達の疾走」カバーへ。ふたりの形態でありながらバンドへのリスペクトが滲む研ぎ澄まされた演奏。この日はふたりでサビをハモり、飯田のアコギと辻のエレキでギターのアルペジオを重ねていくシーンも見どころだった。さらにLOSTAGE「Routine」をキレ味は残したまま深みのある音像で聴かせ、RADIOHEAD「Lift」とカバーを連続投下。各曲前後に曲への思い入れも語りつつ魅せてくれたが、最近飯田は星野源にハマっているらしく、"俺の「Pop Virus」聴いてくれる?"と生音でワンコーラス、セットリストにない「Pop Virus」を聴かせてくれたのも特別感のあるシーンだったし、何より、辻も一緒になって星野源のラジオでのエピソードを話し、飯田が"そうなんだ、聴いてみる!"と、学生時代の同級生でバンド活動も15年以上におよぶ彼らが、まるで音楽に出会ったばかりの頃のように、キラキラした感想を語り合う会話も微笑ましかった。最後は"シネマ(cinema staff)でいつも夏の終わりにやってる曲を"と「夏の終わりとカクテル光線」を披露。流麗なメロディの後ろから残響音が迫ることで儚さが際立ち、ノスタルジーをかき立てる。"今日で夏が終わるなんて誰が決めたというのだろう?"という詞が私たちの胸にじわりと余韻を残していった。

"世田谷区から来ました。ギター・ポップ・バンド、totosです"そう深水(Gt/Vo)が挨拶し、男女混声ポップ・ロック・バンド totosがライヴを始めた。この日はギターに辻を迎え、深水とギターふたり、ベース、ドラム、そしてシンセサイザーの5人がステージに所狭しと並び、その光景だけで迫力がある。女性ヴォーカル、平塚がシンセサイザーを操りながら透明感のあるキュートな声で歌い出した「Sparkle」。後半では大地を踏み鳴らすようなドラムのリズムがあり、どこかカントリーチックで牧歌的な感覚も。かと思えばパワー・ポップ的なムードのあるナンバー「everything」、そして激しくノイジーなアウトロからインストの「Evil」を挟んで、ミドル・チューン「Rikkenbacker」、「LUCKY」またテンポアップし「GIRLFRIEND」と登場から6曲連続でカラフルな楽曲を畳み掛けた。「GIRLFRIEND」では平塚がタンバリン片手にチャーミングにパフォーマンスし、深水と辻が向かい合って笑顔も浮かべながらギターをかき鳴らしていたのも印象的だった。決して単調ではないし、ひとつのジャンルにくくることは難しい音楽でありながら、とにかく聴き手を選ばない、人懐っこい不思議な魅力があるバンドに、オーディエンスも徐々に身体を揺らしていく。
MCでは深水が、実はライヴは1年ぶりであることを明かす。深水は、現在はcinema staffのマネージャーでもあるらしく、辻と同居していたこともあるそうだが、出会いはAPOLLO THEATER(現APOLLO BASE)でライヴをしたときに、辻が観に来たことだったとも話した。そんなエピソードから、ゲストに飯田を招き深水、平塚とスペシャルな3声で「DOCUMENTS」を届け、"今日呼んでくれてありがとうございました。辻ちゃん、またいつか一緒に住もうね"(深水)と挨拶し笑いも起こすと、ラスト・スパートではリバーブが掛かったどこか懐かしさのある「CURIOSITY」から、温かみのあるオルタナ・ロック「Greenock」へ。ラストは明滅するストロボライトの中で全員がステージ中央を向き、笑顔も見せながらボルテージを上げて各楽器を重ね、深水が大きくジャンプして大きな音を鳴らし、ハッピーにこの夜を締めくくったのだった。


[Setlist]
■飯田瑞規(cinema staff)
1. 落日
2. 眩暈
3. 僕達の疾走
4. Routine
5. Lift
6. 夏の終わりとカクテル光線

■totos
1. Sparkle
2. everything
3. Evil
4. Rikkenbacker
5. LUCKY
6. GIRLFRIEND
7. DOCUMENTS
8. Ageless Beauty
9. CURIOSITY
10. Greenock

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