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INTERVIEW

Japanese

cinema staff

2019年06月号掲載

cinema staff

Member:飯田 瑞規(Vo/Gt) 辻 友貴(Gt) 三島 想平(Ba) 久野 洋平(Dr)

Interviewer:沖 さやこ

「great escape」から約6年。cinema staffが再び"進撃の巨人"とタッグを組んだ。4曲入りシングル『Name of Love』の表題曲は、TVアニメ"進撃の巨人"Season 3 Part.2のエンディング・テーマ。それ以外の「OCEAN」と「さらば楽園よ」も同エンディング・テーマを書き下ろすなかで生まれた楽曲だという。「great escape」のニュー・ミックスも加え、"進撃の巨人"リスペクト盤とも言えるクリエイティヴな仕上がりになったことだけでなく、バンドとしても新たな領域に挑戦した作品となった。飯田瑞規の喉の不調による3ヶ月のライヴ休止期間と『Name of Love』を経て、4人は今何を思う?

-新曲「Name of Love」、最初に聴いて感じたことは、"らしくない"とか"どうしちゃったの?"とかそういう意味ではなく、純粋に"cinema staffじゃないみたい"ということで。

久野:あははは(笑)。

三島:たしかに。そうですね。

-クレジットを見たら、プロデューサーの野村陽一郎さんが作曲にも携わっていたので、仕上がりにも納得でした。cinema staffは2018年12月から3ヶ月間、飯田さんの喉の不調で表立った活動をお休みしていましたが、『Name of Love』の制作はいつごろに?

三島:去年の10月にライヴと並行させながら制作してましたね。今回はデモの段階から野村さんに入ってもらって、それをバンドに下ろしていくという流れだったんです。「Name of Love」は去年の11月、飯田が喉を壊して休止する前のタイミングでデモまではほぼほぼ終わってましたね。カップリングの「OCEAN」と「さらば楽園よ」は2月に完パケしました。

-では楽曲についてうかがう前に、少し去年のことを振り返りましょうか。2018年はワンマンを打たず、あれだけ自主企画でライヴを行って、アルカラともスプリット・ツアー(2018年8月から2019年5月にかけて開催した"cinema staff×アルカラ Split EP『undivided E.P.』RELEASE TOUR ~A.S.O.B.i~")を回って、イベントにもたくさん出演して......とライヴを詰め込んだのはなぜだったのでしょう?

三島:"全国デビュー10周年だし、制作をどっしりやるよりはライヴをいっぱいやってみよう"という案をスタッフから貰って、ライヴのチャレンジをする1年にしようというのが始まりで。

辻:1年に1回アルバムをリリースするというペースを6年続けてきて、これをこのまま続けるのもどうなんだろう? という気持ちもあったんですよね。そういうサイクルを崩したいというのもありました。

久野:これだけの本数を入れると、単純にライヴがすごく良くなりましたね。アルカラとツーマンであれだけの本数を回って、ほかにもいろんなバンドと対バンをしたので、ほかのバンドの良さが見えてくることで自然と"自分たちの良さや強みってなんだろう?"と考えるようになって。

三島:いろんなやり方やいろんなフォーマットを試したことで、自分たちに向いているもの、向いていないものが見えてきた。でも、一番の学びは"なんでもやりゃあいいってもんじゃない"ってことですかね(笑)。

-あははは(笑)。飯田さんが治ったから笑い話にもなりますが。

飯田:そうですね......。自分らでこれだけのライヴをやることを決めたものの、すっごくしんどかった。

久野:あれだけいろんなバンドとライヴをしたうえで飯田が喉を壊して、3ヶ月ライヴを休止した――というなかで気づくことはたくさんありましたね。知らず知らずのうちに"こういう流れでライヴを盛り上げないといけないんじゃないか"という考えに縛られていたところがあったな、もっと自由でいいのかな、と気づいたんです。だからこれからいろんな幅を出していけるんじゃないかなと思っていますね。

飯田:自分たちにはこれだけ手札があるんだから、明るくも見せられるし、暗いものも表現できるし、世界観に引き込むこともできる。最近はそれを実行できるようになってきてる気がします。

-実際に喉を壊してしまった飯田さんには申し訳ない言い方ですが、"ちょっと止まって冷静に自分たちのことを考えなさい"といういいお達しだったのかもしれないですね。

三島:と、信じてますけどね。俺にとってバンドとはなんぞや? ということも考えたし、このままcinema staffがなくなったら......と考えたら、それは嫌だった。それを考える時間を神に授けていただいた。そのおかげで趣味も増えたし(笑)。

-新しい趣味って、プロレスですか(笑)?

三島:そうそう、あとは資産運用の勉強とか(笑)。保険にもめっちゃ詳しくなった。

-バンド活動を続けていくうえで、これから力になってくれる知識でしょうね。

飯田:3ヶ月もライヴをしないことも、これだけメンバーと会わないこともなかったくらい、俺らは本当にバンドしかやってきてなくて。バンドがないと気持ちが明るくなれるときがないし、バンドが動かせない悔しさでイライラして、どんどん塞ぎ込んでた。バンドで活動してたからこそ生活できてたんだなと思いました。辻もかなりギリッギリでヤバかったよね? 休止期間がもう1ヶ月長かったら、辻は死んでましたね(笑)。

辻:(笑)12月はキャンセルしてしまったライヴに全部行ったので、やることが多かったんですけど、1月から急にライヴがなくなって毎日"何すればいいんやろ?"っていう不安はありました。

久野:だから活動再開してから、ライヴが前よりも楽しくなったんです。失って気づくものはやっぱりありますよね。

三島:31になって、これからどうやって音楽を続けていくのか――それが個人的にも、バンドとしても見えてきた感覚はありますね。"こういう休止の仕方はもうしたくないから、それを防ぐためにはどうすればいいんだろう?"みたいに、続けていくうえでのバランス感が得られたのは大きかったです。

-自分を守ることは、周りを守ることにもなりますからね。無事治って本当に良かったです。では新作の話に戻りますが、「Name of Love」は"進撃の巨人"のエンディング・テーマとして10曲ほど書き下ろしたデモの中の、最後にできた曲だそうで。

飯田:最初にできたデモが「OCEAN」だったんです。だからこの3曲は全部三島が"進撃の巨人"をイメージして制作したんですよね。どの曲がエンディングになってもおかしくなかった。だから全曲A面だし、"進撃の巨人"ありきで生まれた作品ですね。

-"進撃の巨人"とコラボするような感覚?

久野:というよりは、"捧げてる"かな。

飯田:あっ、"捧げてる"! その言い方いいね! 「great escape」(2013年リリースのシングル表題曲)から6年ぶりに2回目のエンディング・テーマを担当させてもらえるのは、認めてもらえてるということだと思うし、"進撃の巨人"のファンの方々からのリアクションも良かったから、めちゃくちゃ嬉しいんです。

三島:「great escape」は主人公のエレン・イェーガーになりきって書いた曲だったんですけど、今回は"進撃の巨人"の世界観そのものに合わせた曲というか。だから"捧げる"や"リスペクト"ですね。今回は書き下ろすうえで"冷たくてシリアスな感じで入って、最後に絆が見えるようなイメージ"、と細かく指示を貰ったんです。

久野:"104期生(※"進撃の巨人"においてエレン・イェーガーが所属する訓練兵団の同期の団員のこと)の思い出を映していくエンディングにしたいから、それに合う音楽をお願いしたい"って、映像のイメージも伝えてもらってたしね。

三島:それでまずできたのが「OCEAN」ですね。僕的には最高にいいものが書けたと思ったんですけど。

久野:俺ら的にも満場一致で"これエンディングっしょ!"って感じでしたね。

三島:でも、"オーダーの内容に対して明るすぎる"と。

久野:そこから三島が"まだまだ!"とケツを叩かれ続けるという(笑)。

三島:2週間で計10曲ちょいデモを上げたのかな。1日に2曲作った日もあったくらい(笑)。"ゾーン"に入ってましたね。

久野:曲ができるたびに全員がすぐ"お、これいけるっしょ!"って思うくらい、いい曲ばっかりできてたんですよ。

三島:スタッフに"もっといけるでしょ"と言われるたびに"何がだめなんだよ、コノヤロー!"って思ってました(笑)。その熱量があったからどんどん書けたのかもしれないですね。その繰り返しの中で「Name of Love」ができたときに、野村さんから"先方のイメージにもこれが近いんじゃない?"、"これにピアノを入れてみたらどう?"と提案してもらったんです。