Japanese
チェコノーリパブリック
2016年05月号掲載
Member:武井 優心(Vo/Ba/Syn)
Interviewer:石角 友香
ポップ・フィールドのイベントでも、その場にいる人を笑顔にし、楽曲のパワーを見せつけている最近のCzecho No Republic。狭義のシーンに属さない彼らのさらなる可能性を拡張するような今年一発目のシングル『Forever Dreaming』は、シンセ・サウンドと生楽器の融合が心地いい。フジテレビ系TVアニメ"ドラゴンボール超"のエンディング・テーマを表題曲に据えたボリュームのある内容に仕上がっている。今回は活動の幅を広げている状況やバンドの評価に対する、フロントマン 武井優心の心情を取っ掛かりに、このニュー・シングルに対するスタンス、Czecho No Republicの今について訊いてみた。
-Czecho No Republic(以下:チェコ)の去年から今年にかけての活動ってJ-POP寄りの人たちが出るイベントも多かったと思うんですけど、どうでした?
呼ばれたからイベントに出た、ぐらいの感じだったんです(笑)。なのでライヴをやったらチェコを知らない人も、楽しんでくれる感じはありましたね。"こいつら誰やねん"っていう人も終わったら"楽しかった!"っていう感じ。
-そういうことってあとから力になったり?
いや、"もっと頑張んないといけないな"ぐらいにしか思わないですね。ついでに観て楽しいだけだとやっぱダメだと思うので。俺らをメインで観に来る人をもっと増やしたいし。でも、落ち込むことも多々ありますが、あとから力になることもあるんで、半々ですね。
-チェコって独特な道を行きつつあると思って。
はい。勝手になっちゃいましたね(笑)。
-自分たちで、こうしようってことを言わなくてもここに来ちゃった?
狙ってここにきてるというよりも、これしかできないんじゃないかって感じです。
-特定のシーンにいるわけじゃないので、むしろ可能性を感じるんですよ。東名阪でやった2マン・ライヴ(※TRICERATOPS、Mrs. GREEN APPLE、Shiggy Jr.を迎え、今年2月より開催した"1 ON 1 TOUR")は意志的な感じがしたんですけど。
特に渋谷CLUB QUATTRO公演では大先輩のTRICERATOPSとやって、自分たち的にも最初から最後まで結構、楽しませる感じのライヴをやりました。
-そう実感したんですね。
昨年末に出演した"COUNTDOWN JAPAN 15/16"ぐらいから気持ちが前向きな方に動いたなと。やっぱり、チェコはハッピーな感じに1番特化していて、そこが滲み出るというか。前まではそういうのが嫌で、"そこだけじゃないんだけど"って違う面を見せようとしてた時期もあったと思うんですけど、今ではそれはおこがましかったような気がしてます。結局、そういうところが自然にできてるんだったら、そこを伸ばすことにしようかなって。そんな感じのモード変換が年明け以降にあったので、今年はそういう気持ちでやってます。ひねくれないで(笑)。
-チェコって不特定多数の人がいるイベントなどに出ると強いし。そういうことも実感したり?
そういうことから逃げてたんですよ、たぶんずっと。ハッピーな感じとか、"楽しい感じだね"って言われることに対して、ずっと違和感を持ってたんですけど。"根暗なのになんでだ?"というつもりでやってたわけではないけど――"キラキラして楽しい"を、ストレートに打ち出してもそうは見えないバンドがいる中で、そういうつもりじゃないのにそう捉えられるんだったら、結局ハッピーな感じが武器なんだなと自覚したんで。だからといって、めっちゃ楽しい曲を作り続けるってわけではないんですけど。
-音楽だもんね。聴いた人が感じたことを限定できないし。
"そんなことないのに"って否定しても結局そうなんだろうっていう。
-なるほど、今回のシングルの謎が解けてきました。サウンドに関してはこれまでの延長線上かなと思うけど、なんたって"あの日みた夢"とか。"夢"ですからね、ちょっとびっくりするよね、今回(笑)。すごく素直な歌詞で。
(笑)今、夢寄りの曲をいっぱい作ってるところなんです。幻想的な方の夢とか、寝てるときの夢とかいろんな方向で。まぁ、新曲がたくさんあるってことですね。
-Track.1「Forever Dreaming」っていつまでも夢を見てる、モラトリアムっぽいイメージもあるけど。夢についての曲がいっぱい出てきてる中でもこの曲は......。
結構、リアル。気持ち的には若いですね。青春パンクみたい......そんなことはないか(笑)。
-歌詞だけ見たらね(笑)。でもこういう曲だからっていうのもあるかもしれないですね。
本音と言えば本音だけど、そこまでポジティヴに俺はなれてるか?って言うと、なれてはいないんです。でも、そういうときもありますね。
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チェコとSKY-HIのコライトには驚いたと同時に、チェコの武井優心(Vo/Ba)も日高光啓(SKY-HI)も根っこに常識をひっくり返すパンク魂を持ち、ワールド・ピースを願う部分で、出会うべくして出会った印象を持った。そして肝心の楽曲は駆け出したくなるような日常のアンセムに。異種混交感というより、エバーグリーンなポップ・チューンなのが頼もしい。カップリングはメロディの良さ、メッセージの普遍性を再認識させるセルフ・カバー。ピアノとアコギのシンプルなアレンジがタカハシマイ(Cho/Syn/Gt/Per)の歌を際立たせる「For You(AcousticArrangement)」、盟友が参加した「MUSIC(チェコと12人の仲間たち)」も曲と存在の愛され度合いに心が震える。(石角 友香)
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躍動するパーカッション、選び抜かれたシンセやシーケンス。圧倒的な抜けの良さと同時にチェコらしい不敵感漂う「Dream Beach Sunset」、近いサウンド・プロダクションの「BB」、武井のトーキング風ヴォーカルが聴ける「Dreamer」。いつもどおりロックのヒストリカルな部分をベースに真新しいアンサンブルを聴かせる八木類作品「ゴッホとジョン」、待望の初収録となるタカハシマイ作詞作曲の「Shiny Girl」は、彼女が内在させている牧歌的な部分とスペイシーな部分が融合したメロディ・ラインがユニーク。波の音から始まる青い恋をイメージさせるチェコらしい甘酸っぱい「Blue Holiday」もパーカッションがこれまでにない聴感を生んでいて新鮮。白飛びするような夏感の眩しさ、生命力、儚さが詰まっている。(石角 友香)
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躍動感のあるシンセのメロディとアコースティック・ギターのカッティング、そして"これぞチェコ!"なシンガロングがイントロから上昇感たっぷりなタイトル・チューン「Forever Dreaming」。サウンド的にはこれまでの延長線上にありつつ、"まだ終わりたくない やり遂げたいよ"、"手に入れたいんだ あの日見た夢を"という、武井優心にしては珍しく熱い歌詞にも注目。カップリングには八木類らしいスラップスティックな「24 Factory」と、タイトル・チューンの英語詞バージョンを収録。そして2種類あるうちの"チェコVer."盤には名曲「ダイナソー」のエレクトロニックなバージョンを、"ドラゴンボール超Ver."には懐かしい「ロマンティックあげるよ」のカバーをそれぞれ収録している。(石角 友香)
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武井優心という人は美メロ・メーカーでありサウンド・プロダクションを見通せるセンスとを持つとともに、世界に対する諦念とそれでも何かに美を見出そうとする心意気がおしゃれなサウンドからこぼれ落ちるところがあると思う。それをアンビバレンツで歪なものじゃなく鳴らすことに最も成功したのがこの『Santa Fe』なんじゃないだろうか。選りすぐりのシンセ・サウンドだからこそ感じることのできる切なさと上昇感の同居はTrack.1の「Firework」で冒頭からダイレクトに刺さり、神聖さとニッチさが相まった鍵盤のサウンドと匿名的なヴォーカル処理が印象的なTrack.4「Beautiful Days」、おとぎ話とサイケデリアが大展開するTrack.7「クワーキーワールド」など、稀有な体験ができる逸品。(石角 友香)
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チェンバー・ポップとゲーム・ミュージック風のシンセが融合したイントロからウキウキさせて、跳ねるビートとホーンがミュージカルを思わせるアレンジでさらに開放的な気持ちを誘う「For You」。透明で突き抜けるタカハシマイのヴォーカルのいいところも満載されている。が、よくよく聴くと"美しい日々は過去のもの"......と最後の最後で分かる歌詞の構造は、武井優心の作家性か。カップリングはかのSEX PISTOLSの「ANARCHY IN THE U.K.」をチェコらしいエッジの効いたシンセ・ポップに大幅アレンジ。八木もタカハシも相当、好き放題のシンセを乗せているのが痛快だ。原曲を知らない人は、この曲そのもののかっこよさを知るのにもいい機会かも。彼らのセンスが凝縮されたシングルに仕上がっている。(石角 友香)
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イントロのシンセ・ベースに一瞬、ドラゴンボールの登場感とのシンクロを聴きとるのは聴き手の勝手な想像か。そこから一気に上昇するような歌メロ、シンセ、リズムが一体になるカタルシス、お得意のリズム・チェンジ、"Yeah!"の掛け声がこれまで以上にインディー・ロック感を漂わせる痛快なタイトル・チューン。リヴィングのキッズ(文字通りの子どもという意味)のドラゴンボール原体験になるかと思うと、ますます痛快だ。カップリングの「Come On」は軽快で隙間も多い音像に笑いながらエゲつない一言を投入。八木類作詞作曲の「Sunday Juggler」は彼らしい諧謔性を牧歌的な曲調に乗せたスパイシーな1曲。ラストの「Yeah Oh!!!!!!!」はライヴの入場SEとしてファンにはおなじみの小品。短いが切なくも美しい。(石角 友香)
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ファストなビートにキラキラしたメロディやコーラス、だけどパレードの中にいて虚無を感じてるようなオープニングの「Amazing Parade」からして、音楽的にもメッセージ的にも今のチェコはポップでエクストリーム。打ち込みの気だるいダンス・チューン「Clap Your Hands」はUSインディーと昨今のディスコ・ファンクを彼ら流に消化した印象だし、コラージュ的に配置されるタカハシマイの声も魅力的。また、THE STROKES meets MGMTなセンス溢れる「Hello, My Friend Sophie」、アルバム全体のテーマというか、武井優心の本音が窺える「Changing My Life」など、どこを切っても新しい音楽の海に勇敢に漕ぎ出すこのバンドの心意気が鳴っている。楽しさの中に彼らの切実な思いを見出した時、このアルバムは身近なものになる。(石角 友香)
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昨年10月にリリースされた1stフル・アルバムも好評なCzecho No Republicから早くも届いた2ndミニ・アルバム。The Mirrazのオープニング・アクトに抜擢されたことで注目を集めた彼らだが、遊び心たっぷりなポップなサウンドと同世代のUSインディとも共振するポジティヴなヴァイブに溢れた音楽性で人気を集めている。今作も勢いそのままにエネルギッシュでキュートな作品だ。シンセが印象的でパワフルなタイトル・トラック「ダイナソー」から楽曲も粒揃い。多彩なリズムの変化もさることながら、巧みなコーラス・ワーク、そしてソングライティングもさらに磨きがかかった印象。より多くの音楽ファンに聴いてもらいたい作品だ。(遠藤 孝行)
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