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INTERVIEW

Japanese

チェコノーリパブリック

2015年09月号掲載

チェコノーリパブリック

Member:武井優心(Vo/Ba) タカハシマイ(Cho/Syn/Per) 砂川一黄(Gt) 八木類(Gt/Cho/Syn) 山崎正太郎(Dr)

Interviewer:石角 友香

色づけとしてのシンセではなく、バンドで奏でるシンセ・ポップの必然を作品として結晶させたニュー・アルバム『Santa Fe』。シンセやシーケンス、そして何よりヴォーカルやコーラス・ワークが醸し出す高揚感や上昇感に、研ぎ澄ましたセンスが溢れる振り切った仕上がりの今作にバンドの潔癖さすら感じる。それでいてお茶の間にもじわじわ侵食、狭義のシーンに収まりきらない存在になりつつある彼らは、間違いなく2015年的なエッジの立ち方をしていると言えるだろう。

-振り切ってるというか、中途半端な曲がないアルバムって印象でした。

武井:おお。ありがとうございます(笑)。

-この『Santa Fe』ってアルバムに繋がる、ギアが入った出来事をみなさんそれぞれお聞きしていいですか?

武井:いつぐらいだろうな?Track.3「Oh Yeah!!!!!!!」(2014年11月リリースのメジャー1stシングル表題曲)を作ってるとき、Track.4「Beautiful Days」も一緒にでき始めてて。ごっつい曲ができたなと思って、今後、この曲にちょっと誘導されて展開していきたいなと思ってたんですよね。これぐらい吹っ切れてやっても楽しい、認められそうだなぁみたいな気持ちがあって。『MANTLE』(2014年7月リリースのメジャー2ndアルバム)ぐらいまでは、日本人にわかりやすくみたいな意識でやってたんです。その意識をちょっと取っ払ってみた、みたいなところですかね。"やっていいんだな"みたいな。かっこいい若手も結構出てきてたので。

-「Beautiful Days」に導かれていってもいいんじゃないかなというのは?

武井:この曲は結構シンセで構築して、しかも今までのシンセの使い方と違って、シンセでコード感を作っているんです。今まで、ほとんどシンセは飛び道具的な扱いで、メロを弾くとかそういう使い方だったんですけど、シンセで全体の層を作り上げるみたいなところを意識して。ベースもシンセなんですよ。そういうのが、いけるんじゃないか?って見え始めてたっていうことですね。

タカハシ:ふたり(武井、八木)が作ってくる曲が、すごくいいというか、進化してると感じて。例えば最初に「Beautiful Days」が送られてきたときは、"こんな壮大な曲書けるんだ? すごい!"って心から感動しちゃって。これをチェコでやると考えたときに、大きな一歩だなと思ったし、次々送られてくる曲もそういう曲だったんです。そこで私もこういうかっこいい曲作ってくれたからには、バンドでもかっこよくして届けなきゃ、みたいに思って。そこがわりとギアじゃないですけど、全部揃ったときにすごくいいアルバムになると思いましたね。

-『For You』(2015年2月リリースのメジャー2ndシングル)の取材のときにタカハシさんが作ってる曲でもかっこいいのがあるって言ってたけど、入らなかったんですか?

武井:曲をいっぱい持ち寄って試聴会みたいなのをやったときには、入ってもおかしくなかったんです。そもそもやりたかったことがもっとサイケデリックだったんで。でもそこで、キャッチーさがあまりにないんじゃない?っていうブレーキがかかったというか。本当にやりたいんだったら別にやってもいいけど、ちょっとマニアックな感じがするけどどうなん?って空気になって。それで、半分ぐらいまた曲を作り直したりしました。だから入るとしたら次じゃないですかね(笑)?

-(笑)チェコの場合、毎回、もう次にやりたいことが出てるんですよね。じゃあ八木さんにも同じことをおうかがいします。

八木:はい。『MANTLE』やその前の『NEVERLAND』(2013年10月リリースのメジャー1stアルバム)ではオリジナルの再録もあって自分たちでやって消化して。だからそっからだいぶ自由になれて曲も作れてただろうし、そのあいだにライヴに来る人も増えてきて。ライヴの重要性も結構みんなで意識して、話し合いとかもするようになったんで、そういうところも、曲にも影響は出てるんじゃないかなとは思いますね。ライヴでやりたいような曲ばっかりですし。そういう意味で、バンドのまとまりみたいなものは出たんじゃないのかなと思います。次に繋がる一歩的なイメージのアルバムだと思います。

-砂川さんはいかがですか?

砂川:そうですね、全員が曲を完成させるということに対してとか、自分がどうとかより、その曲をあるべき姿に持っていくっていうことに対して、ひとつだったなと思います。だからあまりぶつかったり、対立することもなかったですし、そこに向かってみんな目標がしっかりあったっていうのは成長したなと思います。『MANTLE』のときは、"みんなで作ろう"っていう感じだったんですね、それはそれですごく良かったと思うんですけど、その分いろいろ意見言ったり、ぶつかったこともあって。まあ、それは『NEVERLAND』のときもあったんですけど。今回のアルバムは、曲を完成させるっていうことに対してすごくスムーズにいったのかな、と。

-具体的にどの曲がきっかけで、とかありますか?

砂川:まず、やっぱり武井さん然り八木くん然りですけど、曲を作るスキルというかクオリティがすごく上がったなと思って。Track.1「Firework」とかは特にそうで。武井さんが家で音源を作ってきて、"こういう曲できたんだけど"って、僕らに聴かせてくれたんですけど、もうその時点で完成してるというか。ほぼ変わってないんですよ、そのデモと実際このアルバムに入ってるものが。だからそういう音のバランス、組み合わせ、引き算/足し算というところがすごくうまくなったなと思ってます。

山崎:『MANTLE』に比べて、『Santa Fe』のほうがよりシンセ・ポップというか、エレクトロ要素が強くなったと思うんです。今回、全部生ドラムで叩いてるんですけど、いかにシンセ・ポップに合うような生ドラムの音が作れるか?っていうのを結構早い段階から考えて、チューニングの仕方だったりミュートの仕方だったりを考えてました。前作よりもドラムの音を研究しました。僕は曲を作らないから、作ってきた人の曲をいかに良くするか、というのをずっと考えてやってるので、特にこの曲がきっかけでスイッチが入ったとかはないですけど。