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LIVE REPORT

Japanese

phatmans after school

saji(ex-phatmans after school)

Official Site

2015.04.26 @LIQUIDROOM ebisu

Writer 吉羽 さおり

昨年12月にリリースした1stアルバム『セカイノコトハ』を携えたphatmans after schoolの"ワンマンツアー2015~コトノハジマリ~"が、4月26日の恵比寿LIQUIDROOMでファイナルを迎えた。ライヴは、バンドのクマのキャラクター"pasくん"によるカウントダウン映像でスタートし、4人がステージに登場すると満員の会場に大きな歓声が響きわたった。1曲目は「さよならスペースシャトル」。疾走感あふれるバンド・アンサンブルと、キャッチーで抜けのあるメロディ、ヨシダタクミ(Vo/Gt)の伸びやかなヴォーカルに、オーディエンスが腕を上げ、歌う。頭から派手なレーザーの演出もあって、会場の熱気はぐんぐんと上昇していく。そして、爽やかな四つ打ちチューン「サイコロジック」から、「人類への過程」ではユタニシンヤ(Gt)がステージ前でフロアを煽り、さらにアグレッシヴにオーディエンスをジャンプさせる。バンドも勢いにのって、曲の終盤にはヨシダが背面でギターをかき鳴らしたりと、序盤から飛ばしに飛ばしていった。

そして、MCの勢いも止まらない。"お待たせしました、phatmans after schoolです。めっちゃ気持ちいいな。今日1,000人近くいるんでしょ? じゃあ、我こそは1番遠くから来ましたって人!"とユタニが言うと、オーディエンスは手を上げ口々に応える。するとヨシダがユタニに向かって、"あなた、このワンマンの6公演で声が大きくなりましたねえ。6公演隣で見てきたけど、今日が1番男前"と茶化す。なんでも福岡ではMCだけで20分以上喋っていたということだが、"僕ら、普段は(メディア等に)顔出ししていないので、実在するバンドなのか?って思われていると思うけど、ライヴではこんなふうに闇の部分も見せていこうかなと"ヨシダも笑いを誘う。たしかに、鮮やかなメロディとエネルギッシュなギター・ロックもpasくんというアイコンもフレンドリーであるけれど、アルバムを聴くと実にひねくれた曲やサウンドの遊びも多く、よくよく見ればpasくんは何か企んでいるようなニヤリとした表情であったり、ちょっとミステリアスだ。このあとのMCも会場を笑わせたり、ツアーよもやま話やオーディエンスとのやりとりがあったり、みんなで楽しめるものにしたかったという今回のセットリストについての熱い思いを語ったりと、ステージとフロアの垣根を越えて、一緒に過ごす時間を特別なものにしようという距離の近さがある。おそらく初めてライヴを観た人も、メンバーのキャラクターや人となりが掴めるようなライヴだろう。

中盤は、さらにスピーディで爆裂な曲を連打し会場を揺らしていく。「あいまいみー」では、ユタニとともに映像でpasくんがダンス、振りつけをレクチャーし、オーディエンスは入口で配られたpasくんのお面を掲げシンガロングしながら、一斉に踊る。また、「棗」や「おとぎの国のニコ」といった、聴かせる曲で緩急をつける。アッパーな四つ打ちビートから、メロディやサウンド・スケープを大きく広げるエンジンになるグルーヴまで、ホンマアツシ(Dr)とヤマザキヨシミツ(Ba)のタッグが力強くバンド・サウンドの土台を支えているので、オーディエンスは無心で音に身を委ねることができる。

また後半には、ツアーの合間を縫って作ったという新曲が披露された。ユタニが"「無重力少年」や「あいまいみー」のような、イケイケな曲"と紹介したダンサブルなシーケンス・サウンドで、ヨシダはギターを置きハンドマイクでステージを闊歩しながら歌い、フロアを沸騰させていく。"かっこいい!"というオーディエンスからの声に、"このあと、もっと磨きあげて完成度の高い曲としてみんなに届けるので待っていて欲しい"とユタニが応え、アルバム『セカイノコトハ』以降への期待も覗かせた。"デビューして、アルバムをリリースし、またこうしてワンマンでツアーを行って、誰のために歌うのかなど意識が変わっていった"と最後に語ったヨシダ。ラストに演奏された「東京少年」には、phatmans after schoolとして、地面にしっかりと踏ん張ってここから走り出そうという4人の思いが託されていたと思う。本編が終わりアンコールの歓声や手拍子の中で、寄せ書きのようなものが書かれた手作りの大きな垂れ幕を掲げるオーディエンスがいたり、誕生日を迎えたユタニにハッピー・バースデーの歌が歌われたり、デビューしたばかりながら、とても熱いファンに囲まれていることもわかる。きっとこんなふうなライヴをひとつひとつ積み重ねながら、歌や、音楽への向き合い方も変わってきたのだろう。そんなバンドとオーディエンスの信頼関係を垣間見たライヴだった。

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