Japanese
KEYTALK
Skream! マガジン 2015年12月号掲載
2015.10.28 @日本武道館
Writer 石角 友香
最近、武道館でのライヴが多いな......いきなりKEYTALKの初ライヴ以外の感慨で申し訳ないが、それほど1万人キャパでワンマンが可能なバンドが多いテン年代半ば、である。ひとつの夢を叶えるだけじゃなく、会場の使い方、演出ひとつひとつにアーティストの持ち味やスタンスが如実に出る場としての"初の武道館公演"。ライヴ・シーン活況に伴い、アーティストに求められる新たなハードルなのかもしれない。
初ワンマン・ライヴ体験がこのKEYTALKの初武道館なのかも?と思える初々しいファンも集まる中、ライヴのタイトルとリンクして「Shall we dance?」がBGMに流れ、寺中友将(Vo/Gt)のジェントル(?)なアナウンスが嬌声と笑いを誘う。巨大スクリーンに彼らのジャケットのアートワークと符号する映像が映し出され......音が切れた瞬間、火柱が上がり、奈落からポップアップで横並びに登場! のっけからスペクタクルの予感しかない。4人が1曲目に選んだのは「YURAMEKI SUMMER」。最早、歓声が大きすぎてメンバーの方が気圧されているように見える。その熱量を共にアップリフトしていくように小野武正(Gt/MC/Cho)はスタンド席まで伸びる花道を駆け抜けるは、間奏部分で寺中がビール1本一気飲みという序盤からの荒業まであり、どれだけ盛り込んだら気が済むのか?というテンションのまま、メタリックな「ナンバーブレイン」まで一気に4曲疾走。客席のそこここから"ヤバイ!"としか言いようがないのだろう、興奮しきった声が上がりまくる。小野が"下北沢からやってきましたKEYTALKです!"といつも通りのMCをするも、彼を含めアタマから飛ばしすぎなことをお互いに指摘しあったりする場面も。場を掌握するというより、ファンと作り出した熱量に彼ら自身も抑えきれない興奮にブン回されている印象なのだ。でもそれがKEYTALKらしい。それにしても新旧問わずジェットコースター級のアッパー・ナンバーの多いバンドだ。凄まじい言葉数のラップと怒涛の展開を持つ「鏡花水月」と、インディーズ時代からのキラー・チューンでこれまたリズム・チェンジと展開の多い「fiction escape」が続けて演奏されてもはや違和感がない楽曲の浸透具合もメンバーのエンジンをさらにフル回転させるのか。続く「コースター」はイントロのリフへのリアクションが地鳴りのようだった。
"楽しすぎてベースを投げないように"と冗談と思えないぐらい異様なテンションに入っている首藤義勝(Vo/Ba)、突発的に"かかってこいやー!"と怒涛のドラム・ソロをブチかます八木優樹(Dr/Cho)。おなじみの光景とはいえステージ上とフロアとスタンドのエネルギーの交換が武道館レベルで行われるとこんなことになるんだ......という、ある種、ライヴハウスをそのまま巨大にした空間。セットや演出も派手だが、やはりKEYTALKのライヴの根本は変わらない。変わらないといえば、4、5曲ごとのブロックで突き進み、ブロック間は入念なチューニング・タイムで一瞬静かになるのもライヴハウスと同様。そこにギミックを加えないことで彼らの実は案外不器用な人間臭さも窺えたりして、初の武道館でもネイキッドな部分を見せたというところか。
中盤には首藤義勝のプレイが冴えるミディアム・ファンクな「blue moon light」、BPMを落とした「FREEDOM」をプレイと音楽的なレンジの幅も見せる。ちなみにこの日のセットリストは4人で提案し合って、初の武道館に自分なりの意思を込めた選曲もあるという旨を寺中が話す。"地味で目立たないヤツが誰かのヒーローになれたらっていう気持ちがあって、武道館で一歩それに近づけたらと思ってセットリストに入れた曲です"と、彼の伸びやかなヴォーカルが映えるストレートな「マキシマム ザ シリカ」へ繋ぎ、続けて「エンドロール」とさしずめ"巨匠コーナー"なスケール感の大きな流れを作る。そしてセンチメンタルなギター・フレーズに観客がソワソワし始めた「バイバイアイミスユー」。実は開演前にメンバーを驚かせるサプライズ企画が発表されており、終盤に向かうビートが途切れたヴァースで一斉にスマホのライトが瞬くという演出。スクリーンに映されたメンバーの驚きの表情に見ているファンも込み上げるものがあっただろう。そのあと、ステージ上の照明の光量を落とし、スクリーンに結成当時から最近までの映像を映し出す中、「グローブ」など聴かせるナンバーが続いた。
"何あれ?「バイバイアイミスユー」のあれ。打ち合わせしたの?"と、まだ驚きを隠せないメンバーだったが、小野が大事なことを話し出す。"2011年の11月に初めてKEYTALKのワンマンがソールド・アウトしたのが下北沢のSHELTERで。今日、この床わかります? 同じ大きさで作って持ってきたんです"と説明。火柱や巨大ロゴと対照的だが"自分たちがどこから始まって今ここにいるのか"を実感したかったのだろう。派手な演出より個人的には1番グッときてしまった。自ら再びギア・アップした感じで最終盤は寺中が宙吊りになっての「太陽系リフレイン」に始まり、「MABOROSHI SUMMER」、「MONSTER DANCE」と、もうどんな演出より武道館全体がバウンドするような、大展開するキラー・チューンを投下。
そのスリルをオーディエンスとチェイスするように走りきった。ここまで25曲。まぁ、ライヴハウスでもこれぐらいの曲数を死に物狂いでやってきた彼らではあるけれど、花道まで疾走し、お立ち台に何度も上がり、テクニカルな演奏も当たり前だが絶対、気を抜けない25曲を駆け抜けてきたエネルギーはやはり過去最高。なんだけれども、もう嬉しさが溢れ出して止まらない。首藤が"4年前に200人来てくれて、よっしゃソールド・アウトだ!ってところから今日は1万人。ほんとにひとりひとりにお礼を言ってまわりたいんですが、大人の事情でできないんで"と、精一杯の声で"ありがとうございます!"と叫ぶ。そしてメンバーにも感謝の言葉。小野には"頼れるリーダーです"、寺中には"僕にはない憧れの歌唱力を持ってる巨匠"。そこで八木を無視するお約束で笑わせつつ、"八木っちもありがとう"とひと言。寺中も"パーキングエリアに義勝、置いて行ってごめんね"と、(首藤は"許さねえからな"と返してたものの)ただ仲がいいだけでは到達できない、4人それぞれがKEYTALKに託した思いが伝わった場面だった。"いろんなことはあったけど、変わらずに、KEYTALKの曲で誰かの背中を押せたらと思ってます。もっともっと続けてやっていきたいんで、そのときはまた一緒に遊んでください。最後は今日ここでやるために作った曲です"と、不安も期待も素直に綴り、今自分たちがある役割を"配役された"ことに向かっていく新曲「スターリングスター」が、武道館全体を光で包むように鳴らされて本編が終了した。
が、本編は美しく終了しながら、ダブル・アンコールの前に寺中がこの日に向けて肉体改造していたプライベート・ジム"RIZAP"のパロディ映像でもうひと笑いとった後、ハードコアに「夕映えの街、今」でTシャツを脱ぎ捨てトレーニングが本物だったことを誇示。寺中は咆哮、他の3人も全く余力を残さないハードなステージングで記念すべき初武道館をカオスに叩き込んでエンディング。最新のKEYTALKで締めくくった本編も、このダブル・アンコールもどちらもKEYTALKがKEYTALKのまま大きくなってきたことを示す、そんな道程を余すことなく伝えた初武道館だった。
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