Japanese
Getting Better presents"MUSIC TAGS vol.2"~バンド戦国時代~
2014.10.17 @Zepp Tokyo
Writer 蜂須賀 ちなみ
ビクターエンタテインメント内のレーベル、Getting Better発のライヴ・イベント"~ビクターロック祭り番外編~ Getting Better presents"MUSIC TAGS vol.2"~バンド戦国時代~"。KEYTALK、キュウソネコカミ、go!go!vanillasの3組が東名阪のライヴハウスを廻るツアーは全箇所即日ソールド・アウトを果たした。注目度の高い"期待の新鋭"たちが巻き起こした嵐のようなアクトについて、ツアー・ファイナル、Zepp Tokyoの模様を駆け足でレポート!
トップバッターは、11月5日にアルバム『Magic Number』でメジャー・デビューするgo!go!vanillas。"Zepp Tokyoのみなさん、全力で楽しむ準備はできてますかー!?"という牧達弥(Vo/Gt)の声を合図に「アクロス ザ ユニバーシティ」でスタート! 歌詞を口ずさみながらフロアを煽る宮川怜也(Gt)、右へ左へピョコピョコ跳ねる長谷川プリティ敬祐(Ba)、腕を振り回したり立ち上がったりしながらソロをキメるジェットセイヤ(Dr)と、自分たちの音楽を全身で楽しむ4人。リズムの引っ掛け方が巧みだった「エマ」、ウエスタン調のギターラインを筆頭に前のめりに転がっていく最新曲「マジック」、勢いそのままになだれ込んだ「人間讃歌」。抑えきれない高揚感やはちきれんばかりのエネルギーが漲っているサウンド。血の通ったロックンロールが、観る者ひとりひとりの身体に直列回路で注ぎ込まれていくかのようだ。Zepp Tokyoのステージの中央で"僕を駆り立てる ここは東京 沸き出る言霊に身を任せ"(「オリエント」)と歌う牧の姿を見ながら、メジャーの場に身を置くことに決めた4人の音楽がより広く行き渡っていくであろう未来へと思いを馳せた。
サウンド・チェックから全力のキュウソネコカミが本編1曲目に選んだのは、メジャー・デビュー・ミニ・アルバムのリード曲「ビビった」。サイケなキーボードの音が特徴的な彼らだが、以前よりもリズム隊の音が分厚くなった印象。そんなサウンドを受けてフロアは大盛り上がりだし、ステージ袖にいたKEYTALKの小野武正(Gt)もめちゃくちゃ踊っていた。ヤマサキセイヤ(Vo/Gt)は曲に関係あるんだかないんだかよく分からないジェスチャーを繰り広げ、時にはお手製の筋斗雲に乗りながら吠えまくり噛みつきまくる。ライヴハウスで2800人が元総理の名前を大合唱する(「JP」)なんて異様な光景だけど、現代社会に切り込む視点の鋭さ、それを音楽にして共有してしまう痛快さなど、このバンドの面白さを改めて体験できた場面のひとつだった。とはいえ、「DQNなりたい、40代で死にたい」では恒例化しつつあった"ハンド・オブ・デス"に代わる"モザイク・オブ・デス"を提案、絵面的に何とも微妙な感じに終わる......という場面も。賢さや批評性が評価されがちな彼らだけど、"みんなで一緒に楽しむ場所を作っていきたい"と試行錯誤を繰り返す人間臭さも私は嫌いじゃないなあ。
そしてトリはKEYTALK。登場するなりフロアへダイブ!とハイテンションなのは寺中友将(Vo/Gt)だ。「太陽系リフレイン」「はじまりの扉」「fiction escape」の連投でスタートダッシュをキメれば、ラストの「MABOROSHI SUMMER」まで熱量を落とさずにいったから驚いた。瞬間ごとにサウンドを爆発させる短距離走的なエネルギーの使いかたなのに息切れせずに走りきってしまう感じ。"OVER TONE TOUR 2014""Spring Tour 2014"に加えて多数のフェスやイベントへの出演、さらに他バンドのツアーへの参加という莫大な量のライヴを通して、バンドの筋力、持久力、瞬発力が鍛え上げられたのだろう。10月22日にリリースのシングルから「MONSTER DANCE」も披露。"各国のあらゆるお祭りをつめ込みました"的な多展開パーティー・チューンのMVが公開されたのはこのイベントの前日。にもかかわらず、ノリノリで踊りまくるオーディエンスの吸収力の早さ&この曲の浸透力の高さには感服である。バリエーション豊かなリズムパターンを叩きながらホイッスルを吹く......と大忙しの八木優樹(Dr)を見ながら、まさに怪物みたいな曲だなあと思わずニヤけてしまった。
そしてアンコールでは出演バンド3組がステージ上に勢ぞろい! 誕生日が近い八木をみんなで祝ったあと、小野がベース、寺中がドラム、首藤義勝(Vo/Ba)&各バンドのギタリストがギターという変則バンドをバックに、MONGOL800の「小さな恋のうた」を大合唱。和気藹々とした雰囲気の中でイベントは幕を閉じたのだった。
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