Japanese
キュウソネコカミ
2015年01月号掲載
1. 「GALAXY」
おお、新鮮。愚痴や皮肉を直接ぶちまけず、宇宙がテーマの歌詞は世間を取り巻く事柄のメタファーのようだし、耳に強く残るのはキャッチーな言葉よりも憶えやすいメロディ・ラインだ。アニメ"ドラゴンボール改"主題歌ということもあり開けた曲だが、バンドの性格が知られてきた今だからこそ安住はしたくないという意思の表れだろうか。"ありとあらゆる人たちの人生がそれぞれの宇宙になる"と、個性の強い後6曲への導入もバッチリ。(蜂須賀 ちなみ)
2. 「OS」
1年後に刺さらなくても構わない、ぐらい潔くその都度のリアリティを放出するキュウソ。今回は後半に泣ける曲もあるのだが、この曲はひたすら"温泉=OS"賛歌。ソリッドなギタ--・リフやデッドなスネアはARCTIC MONKEYSばりにクールだし、温泉の天然リバーヴを模したが如き中間部のダビーな展開も唐突じゃない。が、もしかしたら頑張ったところでご褒美はせいぜいスーパー銭湯、もしくはマイルドヤンキーも自分たちも大差ないことを示唆してるのかも。(石角 友香)
3. 「Scary song」
シンプルなギター・リフを合図になだれ込む様式美ハードロック・テイストのアレンジに乗せて歌われるテーマは、"シャワーを浴びてるときにふと背後が気になる"、なんていう誰もが感じる"恐怖心あるある"。途中で挿入されるシーンはライヴでの寸劇的パフォーマンスが期待できそうだし、後半のコーラスもお客さんとのコール&レスポンスを想定しているはず。歌詞の深読み無用、ただただ1曲のロック・オペラを楽しんでほしい。(岡本 貴之)
4. 「貧困ビジネス」
7曲中、最もストレートに噛みつく楽曲。"奨学金で入学しておきながら、まともに講義に出席しない大学生よ、その行いの先にある未来を考えたことがあるか?"という人生の先輩としてのメッセージもあり、一言一言が鋭く的を射る。ギター2本の小気味よい交錯やユニゾンが耳を引くが、セクションごとに様変わりするリズム隊も見事。差し引きが効果的なアンサンブルに、憂いのあるギター・ソロが堂々と映える、キュウソ流のブルースだ。(沖 さやこ)
5. 「要するに飽きた」
ザクッとした音色のギター・リフをたたみかけ、最後まで強迫的に突き進むと思いきや、フュージョン(っぽい)パートを挟んで、中盤から俄然カオティックになる展開は、まさにキュウソならでは。所謂しょっぱい人生を題材にしながらどこか諦観も窺える今回のミニ・アルバムの中で、この曲が印象づけるのは、絶対に手に入らないものを求める虚しさだ。そりゃ投げやりにもなるだろう。笑えるのか笑えないのか躊躇させる含蓄が彼らの歌にはある。(山口 智男)
6. 「勇者ロトシック」
某ゲームのキャラクターをもじったこの曲は、あぶく銭稼ぎにギャンブルをしたり、クジに夢を託す人を描く。本当は、親孝行をしたい。されど、絶賛低空飛行中という哀しきポンコツ心を絶叫するパンク・チューン。インディーズ時代「ファントムヴァイブレーション」で着信音を模したフレーズをフックにしていたが、この曲でもフィーバー音を盛り込んだ遊びあるサウンドで、負の堂々巡りをユーモラスにもシニカルにも聴かせているのがキュウソらしい。(吉羽 さおり)
7. 「なんまんだ」
"なんまんだご先祖様"と先人を弔いつつ、自分にもいつか訪れるそのときに"感謝され"、"別れ惜しまれ"るような人生を歩みたいと歌うラスト・ナンバー。"生死"という重いテーマを、アップ・テンポなラップ調で歌い上げているにも関わらず、フランクになりすぎない絶妙さがキュウソならでは。綺麗事ばかり歌うそこらのバラードよりも、"いつ死んだって後悔の無い 人生なんて歩めない"なんてズバリと言い放つこの曲の方が、よっぽど共感できるのではないだろうか。(奥村 小雪)
キュウソネコカミ 『ハッピーポンコツランド』
[Getting Better]
【初回限定盤】CD+DVD
VIZL-761 ¥2,400(税別)
[amazon] [TOWER RECORDS] [HMV]
【通常盤】CD
VICL-64268 ¥1,800(税別)
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2015.1.14 ON SALE
1.GALAXY
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