Japanese
ART-SCHOOL
Skream! マガジン 2016年03月号掲載
2016.02.13 @新木場STUDIO COAST
Writer 石角 友香
ART-SCHOOLは木下理樹(Vo/Gt)が表現活動を続ける限り存在するものだと思う。そう思っていたのだが、ちょうど1年の活動休止期間を経て戻ってきたART-SCHOOLは、想像以上にバンドであることに大きな意味を持っていた。この1年、木下は自身のレーベル"Warszawa-Label"を立ち上げ、戸高賢史(Gt)はMONOEYESへの参加、そしてRopesの新作を完成させた。殊に戸高がMONOEYESでタフな男子チックな現場に於いてバンドマンとして鍛えられた佇まいはこの日、新たな変化として見て取れた。そして、セットリストの大半が現在のサポート・メンバーである中尾憲太郎(Ba)、藤田勇(Dr)と作り上げた作品群『YOU』や『BABY ACID BABY』以前のものが大半を占めていたことも、今、このメンバーがART-SCHOOLそのものであり、また、20年近く木下理樹が育んできたART-SCHOOLらしさを活動再開のタイミングで刻みこむ意味合いもあったのだと思う。
 
グリーンのバックライトとお馴染みAPHEX TWINの「Girl/Boy Song」が流れただけで大きな歓声があがるフロア。髪を短く切った木下は何か決意を込めているのだろうか? 「14souls」、「エイジ オブ イノセンス」を立て続けに演奏したあと、小さく"ただいま"と挨拶する木下。戸高がファンキーなカッティングで存在感を示した「real love/slow dawn」では、彼の前にあたるエリアでは小さなモッシュが起こり、フィードバック・ノイズから藤田の2カウントでさらにフロアがヒートアップした「Promised Land」と、再開を祝す以上にファンもタフになった印象だ。もしかしたら新たなファンの循環も起こっているのかもしれない。
淡々と演奏を重ねていくステージ上は変わらないのだが、木下のヴォーカルがむしろ若返った。その思いが確かになったのが「LITTLE HELL IN BOY」。彼の常に切実な歌声は、その本質を残したまま、よりしたたかになっていたのだ。
 
改めてシーンへの帰還とファンへの感謝を述べた木下は、この日、ライヴの模様を中継していたニコニコ生放送を見ている画面の向こうの視聴者のことも気にし始め、"wwwとかコメントが流れてるんでしょ"と自虐に入って笑わせつつ、収拾がつかなくなり、戸高に急かされる場面も。噛み合わないながら、それで成立しているふたりの不思議な信頼感。以前ならMCすらほとんどしなかった彼らが、変に肩に力を入れることなくステージに立っていることを今では嬉しく思える。
2001年~2002年ごろの初期ナンバーであり、ライヴでほぼ外れたことのない「サッドマシーン」や「ウィノナライダー アンドロイド」も、中尾、藤田の豪腕すぎるリズム隊に最初は正直、違和感もあったのだが、00年代当時の正真正銘のグランジ色や若さからくる衝動とはまた違う空気感――純化された悲しみやイノセンスの結晶めいたものを今のART-SCHOOLは描ききる。また、現在のメンバー、現在のバンドのグルーヴや実力が発揮された場面が、戸高のクリーン・トーンによる16のカッティングがファンクネス以上にリリカルな歌詞世界を彩った「クロエ」、とても悲しい歌のはずなのに、決然とした意志を感じさせる木下の歌声が素晴らしかった「BUTTERFLY KISS」、この2曲の流れは実に美しかった。一転、"喉がちぎれるぐらいの声で歌います"と、「I hate myself」を絶唱する場面にも悲壮感はなかった。そりゃそうかもしれない、ここからまた始まる最初の日なのだから。
 
終盤前、"正直、意外と再開するの早いなと思った"という戸高に、ふたりの関係性のあけすけなところを見て、妙に安堵。これほど笑顔の多いART-SCHOOLのライヴは初めてなのだが、そこで木下が5月にニュー・アルバムをリリースし、その後ツアーも行うことを発表。その場では発表しなかったが、ニュー・アルバムのタイトルは"Hello darkness, my dear friend"。先祖返りとはまた違うけれど、木下の根本にあるものが滲み出たタイトルに思える。今、再び新鮮に感じられるラップ的なヴォーカルと跳ねるビートの「その指で」以降は再びART-SCHOOLらしいギター・ロックの粋を立て続けに放ち、"I don't know how"の叫びを繰り返す「FADE TO BLACK」で本編を走り切った。
 
本編だけで22曲。だが、これまでよりも1曲1曲の意味や輪郭がはっきりした印象を持った。フロアはそれこそ前方に詰めかけて再開の喜びを全身で表すファンもいれば、佇んで曲に聴き入っていたファンもいた。10数年に及ぶ活動の中でART-SCHOOLはある種、理想的なライヴ空間を作っていたのだ。初期からのファンも新たなファンも循環しつつ、この日のライヴを楽しみにしていた、その様子自体がとても美しい。
アンコールではなんと新曲2曲をプレゼントしてくれた彼ら。1曲はどこかネオアコやギター・ポップのテイストもある透明感のあるナンバーで、"僕は生きていける"という歌詞の一部が聴き取れた。もう1曲は四分キックとメロウネス、そして少しUSインディー感もある新鮮なタイプ。いずれにせよアルバムの全容を早く聴きたいと思わせるフレッシュさのある新曲だった。そう考えると、この日のセットリスト全体のみずみずしさ、メンバー4人からなる"ザ・ギター・ロック・バンド"な選曲の筋も通ってくる。初期ナンバーが多かったことも、ニュー・アルバムのタイトルも、点と点ではなく、アンコールの新曲披露で一気に線として繋がったのだ。トレンドや実験性より、バンドの本質や木下理樹の書くかけがえのないメロディが、2016年の最新型としてもうすぐ届く、そんな予感に満ちた完全復活の夜だった。
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