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Japanese

HAMMER EGG vol.10 SPECIAL

Skream! マガジン 2019年01月号掲載

HAMMER EGG

Official Site

Halo at 四畳半

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2018.12.11 @渋谷TSUTAYA O-EAST

Reported by 秦 理絵

歌に絶対の自信を持ち、言葉とメロディに宿る計り知れない可能性を信じるバンドが共演した"HAMMER EGG vol.10 SPECIAL"が渋谷TSUTAYA O-EASTで行われた。Skream!とTOWER RECORDS、音楽プラットフォーム Eggsが開催する対バン・イベントとして2015年から始まったこの企画は、今回で記念すべき10回目を数えた。そんなメモリアルな節目だからこそ、これまでの出演者の中から"改めて観てもらいたいバンド"を再び招聘。2016年9月30日に開催された"HAMMER EGG vol.4"に出演したSHE'Sと、2017年2月16日に開催された"HAMMER EGG vol.5"に出演したHalo at 四畳半の2組の他、スペシャル・ゲストとしてandropも出演するという夢の共演が実現した。過去最大キャパの会場で行われたこの日は、事前のヴォーカル鼎談 (※2018年10月号掲載)で"心に届く音楽を届けていきたい"と話してくれたとおり、それぞれの音楽で集まったお客さんの心に消えない炎を灯すような、忘れられない一夜になった。


This is LAST

まずはオープニング・アクトとして千葉県柏市発のThis is LASTが登場。今年5月に活動を開始したばかりだという彼らは、10~11月に開催されたオーディションを勝ち抜き、このイベントへの出場権を得た。ピン・スポットを浴びて、あきつぐ(Gt/Vo)がハスキーな歌声を響かせると、次第にバンドの演奏が重なり合い、「純愛」からライヴをスタート。切ない"春の歌"にステージが淡いピンク色に染まっていく。MCでは、りうせい(Ba)が"こんな大きなステージに立って、わけがわかりません......。みんなに連れてきてもらったこのデカいステージで感謝を伝えたいです"と涙ながらに伝えると、その初々しい姿に会場は温かい拍手で包まれた。そして、代表曲「殺文句」へ。打算も戦略もなく、ただ体当たりで伝えるエモーショナルな歌が胸を打つ。まだまだ無名な彼らだが、この先、音楽シーンにどんな足跡を刻むのか楽しみだ。


Halo at 四畳半

"心の奥の奥まで伝えにきました"。渡井翔汰(Vo/Gt)が、自分たちの信念を高らかに伝えてからスタートしたのは、今年メジャー・デビューを果たしたHalo at 四畳半。爽やかに降り注ぐブルーの照明のなか、片山 僚(Dr/Cho)が生命力の漲るドラムを叩き出すと、「リバース・デイ」からライヴが始まった。お客さんをまっすぐ見据えて歌う渡井の両サイドで、齋木孝平(Gt/Cho)と白井將人(Ba)は激しく身体を動かしながら演奏する。その全力の演奏は、殺伐とした日常生活の中で、気がつけば、ぶ厚い防御壁で覆ってしまった心の扉をこじ開けるような、強い陽性のパワーを持っている。
軽快なリズムに乗せて"HAMMER EGG!"とイベント名を叫んで、サビへの加速度を上げた「カイライ旅団と海辺の街」、プロデューサーに寺岡呼人を迎えたことで圧倒的なスケール感を獲得した「ヒーロー」、"ピ、ピ、ピ......"と刻む無機質な心電計の音が会場に響きわたり、出会いと別れを繰り返す命を美しく描いた「ヒューズ」へ。曲ごとにまったく違う景色を描いてゆくライヴの中で、圧巻は、生きるとはなんなのか、なぜ悲しみが尽きることはないのかというハロ(Halo at 四畳半)の原点を渾身の歌唱で届けた「悲しみもいつかは」だった。最後に渡井がギターを弾きながら、"俺らは王道だって言われることがある。王道だからこそ、伝えられる勇気があると思います"とバンドの信じる道について語り掛けると、ラストは「モールス」で終演。音楽だけでは伝えきれないものを、言葉で補完してゆくことも躊躇わない。そうやって想いを尽くしたステージの最後に、ハロは"あなたが忘れないでいてくれたら、いつでも俺らはあなたの味方です"と言い残してステージをあとにした。


SHE'S

出番の直前に同い年のバンド=ハロが気合の入ったステージを見せた直後だ。その見た目からは想像もつかないほど心に燃え滾る情熱を忍ばせたバンド、SHE'Sが奮い立たないわけがない。ストリングスが軽快なリズムを刻む1曲目「Un-science」から、眩い光の景色をTSUTAYA O-EASTに描き出していく。ハロが王道ギター・ロックだとしたら、SHE'Sが鳴らすピアノ・ロックは、その背景に00年代洋楽オルタナ・シーンの匂いが漂う和洋ハイブリッドな音楽性だ。木村雅人(Dr)と服部栞汰(Gt)がオーディエンスを煽り、真っ赤な照明がステージを照らした「Freedom」、洗練されたエレクトロな音像に人肌の温もりを感じるバンドの演奏が重なった「歓びの陽」、"現状を覆していこう!"という開戦前夜のような闘争心をオリエンタルなサウンドに託した「Upside Down」。豊かなアンサンブルで、言葉以上に雄弁に伝えたい想いと景色を描き出していくことができるのが、SHE'Sというバンドだ。
MCでは井上竜馬(Key/Gt/Vo)が"HAMMER EGG"の歴史に触れて、"ずっと続いてほしいよね。50回目とか100回目でまた呼んでほしい。でも、3年で10回だから......100回目は30年後。俺らは56歳や! 腰が痛くなってるな(笑)"と笑い合いながら、イベントの記念すべき日に祝福の言葉を伝えていた。そして、透明感のある音に、凛としたバンドの意志を表明する最新シングル「The Everglow」が素晴らしかった。メジャー・デビューから2年半。悩みや葛藤の日々を経て迷いなく"永遠"を歌えることが、今のSHE'Sの強さだ。最後の「Over You」では、それまで鍵盤を弾いていた井上がアコースティック・ギターを奏でて、お客さんから沸き起こる歌声や手拍子、ひとつひとつの笑顔を、確認するように頷きながら迎えた多幸感に満ちたフィナーレ。そのステージには音楽の喜びが溢れていた。


androp

トリを飾ったのはandrop。佐藤拓也(Gt/Key)が奏でるキーボードのリズムだけで大きな歓声が沸き上がった。1曲目は「Voice」だ。"歌え!"内澤崇仁(Vo/Gt)の熱い声を合図にウォーウォーというシンガロングで早くも会場が満たされる。エッジの効いたマイナー調のロック・ナンバー「Sunny day」では、内澤が前田恭介(Ba)を指さすと、荒ぶるスラップ・ベースが炸裂。MCでは、"(過去に出演したことがある)ハロとかSHE'Sがトリを飾るべきなんじゃないかな? と思って、いろいろ打診してみたのですが......(笑)"と内澤は冗談っぽく言っていた。たしかにハロもSHE'Sもこの日は本当に素晴らしいライヴを見せてくれたが、やはりトリはandrop以外あり得なかったと思う。彼らより少しだけ先を歩き、酸いも甘いも噛み締めたバンドだからこそ届けられる覚悟のこもった歌たちは揺るぎない。"僕らが奏でる音楽がしっかりとあなたに届きますように"と願いを込めて、柔らかなピアノの旋律から壮大な"光"の景色を描き出した「Hikari」、伊藤彬彦(Dr)が叩き出す生命力に満ちたドラムに、佐藤のアルペジオが美しく重なった「Prism」、ヘヴィなバンド・サウンドに乗せて現状に抗い続ける葛藤を綴った「Joker」を披露した。強烈な光と闇のコントラストを描き続けたライヴの終わりに演奏したのは「Yeah! Yeah! Yeah!」。そしてアンコールでは、グルーヴィなセッションで沸かせた「SOS!」のラップ部分を"HAMMER EGG仕様"に変えてライヴを締めくくったのが印象的だった。

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