Japanese
androp
Skream! マガジン 2012年11月号掲載
2012.09.29 @Zepp Tokyo
Writer 山口 智男
8月22日にリリースした2ndシングル(triple A-side)『Boohoo / AM0:40 / Waltz』をひっさげ、全国15ヶ所(追加公演を含む)を回るone-man live tour “angstrom 0.5 pm”がいよいよスタートした。
その初日となる9月29日のZepp Tokyo公演。andropのライヴを見るのは、フル・アルバムのタイトルを冠したone-man live tour “relight”のツアー・ファイナルである今年3月31日のZepp Tokyo公演以来。今回のライヴは、前回の深い感動とはまた違った、ライヴ・バンドとしてのandropの生々しい姿を改めて知ることができ、個人的にとても興味深いものだった。
このone-man live tour “angstrom 0.5 pm”は追加公演となる11月2日のZepp DiverCityまで続くので、今回のレポートは詳細についての記述は控え、印象に残ったシーンを挙げるという形にさせていただきます。とは言え、照明や映像を効果的に使い、曲ごとに趣向を凝らしたステージを展開するandropのライヴである。印象に残っていると言えば、どの曲も印象に残っているのだが、特に印象的だったのは、やはりアップ・テンポの曲を立て続けに演奏した前半の流れから一息つくように、この日、初披露した未発表曲だろう。“新しい目標に向かって成長していきたい”と語った後、“昔から大切にしている”というこの曲を演奏したところには、バンドの将来を見据えながらも、なぜ音楽を演奏するのかその意味も含め、自分たちの原点を忘れずにいたい、という想いが読み取れた。そんなスロー・ナンバーを、それまで大盛り上がりしていたファンがその場で身動きもせず、じっくりと耳を傾けている光景は、また違った意味で壮観だった。
「Boohoo」から突入した後半戦。“もっともっと楽しみましょう!”と声をかけてから演奏した「Pray」では、“一緒に歌ってくれますか?! ”と内澤崇仁(Vo/Gt)が“オーオーオー”と歌ったメロディを、観客がリピートする、いわゆるコール&レスポンスも飛び出す。予想していた以上のレスポンスに内澤が思わず“すごい!すげえ楽しい!!”と驚きの声を上げると、それがあまりに素顔に近かったからなのか、客席から笑いと拍手が同時に湧き起こった。そんな予想外の(?!)展開は、バンドとファンが起こしたライヴならではの化学反応。また、そんなふうにふだんのストイックなイメージとは違うバンドの一面が見られるのもライヴならではだ。
その他、andropがエレクトロニックなサウンドとともに新しいバンド像を打ち出した「World.Words.Lights.」、曲が持つ世界観を象徴する星空を映し出した「Waltz」など、印象に残った曲を挙げていったらきりがないのだが、今、振り返ってみると、この日、一番印象に残ったのは変な話、終始、その他のライヴに比べ、観客を多めに照らしていたように思えた照明だった。
そう言えば、内澤は終盤、andropのテーマの1つである“光”を“生きる希望”にたとえ、“道を照らしてくれる光を歌っていきたい。そういう歌を作っていきたい”と語ると、“(観客1人1人が)すげえいい顔している。逆に光をもらってます”と感謝の言葉を述べた。
この日のライヴの照明を含めた演出に、観客1人1人の顔を見たいというメンバーたちの気持ちが込められていたかどうかはわからないが、この日のステージからはライヴを通して、観客と一つになりたいと願うバンドの想いやファンとの交歓を楽しむバンドの姿が前回のZepp Tokyo公演以上に感じられたのだった。
それも含め、ニュー・アルバムのリリースやホールを回るワンマン・ライヴ・ツアーの告知など、いろいろサプライズの多いライヴだった。
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