Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

androp

2016年10月号掲載

androp

Member:内澤 崇仁(Vo/Gt) 佐藤 拓也(Gt/Key) 前田 恭介(Ba) 伊藤 彬彦(Dr)

Interviewer:山口 智男

andropが自ら立ち上げた"image world"からの第1弾リリースとなるニュー・アルバム『blue』を完成させた。当然、それなりの決意と覚悟が感じられる作品になるとは思っていたが、フロントマンである内澤崇仁以外のメンバーが初めて作詞作曲を手掛けたことを始め、ここまで大胆に変化と挑戦をアピールする作品になるとは。これまで彼らがあえて描いてこなかった闇や人間の黒い部分を抉り出すような歌詞があまりにも強烈だが、それに負けないぐらいバンド・サウンドもタフになっている。ここから始まるandropの第2章はこれまで以上に刺激に満ちたものになりそうだ。

-今回の『blue』はこれまで以上に大胆にandropの新たな一面をアピールする作品になったんじゃないかと思いました。Track.1「Kaonashi」のイントロが聴こえてきたとき、あれ、違うバンド!? と思うぐらいびっくりしたんですけど、今年3月に立ち上げた"image world"からの第1弾ということで、新しいandropを打ち出していきたいというテーマがあったんですか?

内澤:それはもちろんありました。1曲目のイントロを聴いて、今までのandropを知っている人がそう思ったってことは、こちらとしては"よっしゃ!"という感じなんです(笑)。嬉しいです。作品ごとに新たなチャレンジをしてきたつもりなんですけど、今回は意識的に、今まで以上に変化を求めながら作っていったんですよ。ベスト・アルバムの前の『androp』(2015年リリースの4thフル・アルバム)を作り終えたとき、"androp"という意味のない単語に自分たちの活動や音楽で、意味をつけられたような気がして、ようやく自分たちを俯瞰で見ることができるようになったんです。でもそこで、じゃあ次どうしようかって考えたとき、自分が思い描いていた理想のバンド像にはまだまだ追いついていないと感じて。誰かひとり欠けてもandropじゃないし、ひとりいるだけでもandropだしって、それぐらいミュージシャンとしても人間としても強い存在感を持った4人の集合体がandropっていう、そんなかっこいいバンドを目指していたんです。けど、"そうなるためには何が足りないんだろう?"、"バンドの基礎はできたけど、これからどうしていったらいいんだろう?"と考えて、バンドのリーダーとして、僕はもっとかき混ぜたり、基本としてあった流れや当たり前になりつつあるものを壊していったり、メンバーそれぞれが自分の担当楽器以外にもしっかり目を向けて、自分が出す音以外にも責任を持つことをもっとやっていかないとって思ったんです。だから『androp』の制作が終わって新しい作品に取り掛かるとき、これまではフル尺である程度完成したデモを持っていってたんですけど、今回はワンコーラスだけ持っていって、そのあとをみんなで考えたり、もともとあるデモをみんなで壊して新しいものを作り上げてみたりっていうところから始めたんです。

-その中で、内澤さん以外のメンバーも作詞作曲してみようってアイディアが出てきたんですか?

佐藤:今回の制作に入る前に、音楽に関わる関わらない問わず、いつも以上にいろいろな話をメンバーでしたんですけど、あるとき、"内澤君以外のメンバーが曲を作るのはどうなんだろう?"って伊藤君がふと言ったんですよ。そしたら、内澤君が"全然かまわないよ"って。ずっと内澤君が作ったものをみんなで再現していくってことが当たり前になっていたので、僕的には結構意外だったんです。でも7年やってきて、いつの間にかそういうふうに即答できる状態にあったというか、そう言えるところまで来たのかって。内澤君以外のメンバーが書いた曲が実際に作品に入るのかどうかはさておき、曲を持ち寄ってみて、良ければ入れればいいし、内澤君の曲だけになってもいいぐらいの感じでやってみたんですけど、結果的に僕らが作った曲も入ったんで良かったですね。

-伊藤さんはなぜその提案を?

伊藤:佐藤君はandropの前にやっていたバンドではメインで曲を書く人だったし、前田君が自分のライフワークとして曲を作っているという話は結構前から聞いていたので、それなら一度、みんなで聴いたり、それについて話し合ったりしたら刺激になると思ったんです。ぜひ聴かせてほしいと前から思っていたし、そういう新しいことを試してみるにはいいタイミングだなってところで。もちろん、内澤君はたくさん曲を作る人だから、曲が足りないってことは全然なかったんですけど。

内澤:どんな曲だろうと、僕らが鳴らせばandropの音になる自信があったし、どんな歌であっても、自分が経験した悲しみや喜びをちゃんと伝えられる自信があったんですよ。だったら、やってみるべきだと思いました。自分の担当楽器を演奏することだけがバンドじゃないと思うんです。曲を作れば責任にも繋がるし、その曲が認められれば自信にもなるだろうし。

-佐藤さんと前田さんは何曲ぐらい持っていったんですか?

佐藤:僕はトータルで2曲。前田はもうちょっと出したよね?

前田:僕は4曲。

佐藤:内澤君も言ったように、僕らが鳴らせば僕らの音楽になるし、誰が作ろうと鳴らすのは僕らなのでというところで、あまりandropっぽい曲に寄せようとは考えず、もともと自分の中にあるものをそのまま持っていきました。それをみんなで作っていった結果、僕が持っていったものからはガラッと変わりましたけど、それがまさに"僕らが鳴らせばandrop"になるってことだと思います。

前田:僕は普段、生音で再現することを考えずに曲を作ることが多いんですけど、今回はライヴでやることやバンドの編成を意識して、ちゃんとバンドで鳴らせるものをイメージしながら形にしていきました。