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INTERVIEW

Japanese

This is LAST

2019年11月号掲載

This is LAST

Member:菊池 陽報(Vo/Gt) りうせい(Ba) 鹿又 輝直(Dr)

Interviewer:秦 理絵

「殺文句」や「愛憎」といった楽曲がYouTubeやSNSで話題となり、会場限定でリリースされたCDが完売するほか、全国のサーキット・イベントでは入場規制を起こすなど、インディーズ・シーンで大きな注目を集めている千葉県柏発の3ピース・バンド、This is LAST。結成から1年半にもかかわらず、菊池陽報が描く赤裸々で等身大のラヴ・ソングが熱い共感を呼んでいる彼らが、初の全国流通盤『aizou』をリリースする。今作は、真骨頂となる失恋のラヴ・ソングだけでなく、ストリングスを取り入れたアレンジや"実体験"以外の歌詞を綴るなど、バンドの可能性を広げる1枚。"流行りのインディーズ・シーン"から頭ひとつ抜ける存在になるために、彼らが思い描く理想の音楽とは。話を訊いた。

-陽報さんとりうせいさんが兄弟ですよね。

菊池:はい、3歳差ですね。そこにてる(鹿又)が入ってきた感じです。

-ふたりは最初にバンドを組んだときからずっと一緒だったんですか?

菊池:僕が高1のときにギターを始めたんですけど、それにりうせいが影響されて――

りうせい:影響されたんじゃない。あき(菊池)が"やれ!"って言ったんだよ。僕はEXILEとかを聴いてたから、最初はまったくバンドに興味がなかったんです。でも、急にあきがギターを買ってきて、僕に"ベースやれよ"みたいに言ってきたんですよ。

鹿又:バンドをやりたかったんじゃないの?

りうせい:最初はやりたくなかった。いつもそうなんです。あきがテニスをやってるから、僕もやる、みたいな感じで。ずっとあとを追ってるんですよ。で、始めて1週間ぐらいで"ライヴあるから"って言われて。しかも、ギターを弾いてくれって言われたんですよ。届いたのはベースなのに(笑)。

一同:あはははは(笑)!

りうせい:そこでバンドを始めてから、なんだかんだ変形して今に至るっていう。

-最初はコピー・バンドから始まったんですか?

菊池:最初のライヴに向けて、いろいろコピーしましたね。RADWIMPSとかELLEGARDEN、ONE OK ROCKとか。

りうせい:あと、the GazettEね。

-1週間じゃ弾けないでしょう?

菊池:それが若いってすごいんですよ、不可能を可能にする力がある(笑)。

りうせい:そう、なんとなくできちゃいました。

-(笑)そこから、バンドの方向性としてはメタルコアに向かったそうですけど。

菊池:そうです。最初はELLEGARDENっぽいバンドをやってたんですけど。そこから、いろいろなバンドを知っていったんです。coldrainとかSiMみたいな、当時ワンオク(ONE OK ROCK)がよく対バンしていたようなバンドとか、洋楽の激しいバンドを聴くようになって。BULLET FOR MY VALENTINE、METALLICA、PANTERAとか。それで、邦ロック寄りのことよりも、洋楽志向の激しいバンドをやりたいって思うようになったのがきっかけで、そのときのバンドは潰れちゃったんです。そこに、てるが加入した感じですね。

鹿又:僕ら学年は違うんですけど、みんな高校は一緒なんですよ。僕が高校2年生のときに、1年生で入学してきたりうせいが声を掛けてくれたんです。

-じゃあ、輝直さんはラウド系のバンドをやりたいタイプだったんですか?

鹿又:いや、もともと僕もワンオクとかエルレ(ELLEGARDEN)、UVER(UVERworld)を聴いてたんですけど、"一緒にやらないか"って誘われたときに、"うちは激しい系だから"っていうので、coldrainとかSiMを教えてもらって。そこから染まっていった感じですね。

-その激しい路線は何年ぐらいやってたんですか?

菊池:結構長かったですよ。4~5年やってましたね。その時期が苦しかったんです。僕らはライヴをやれば売れると思ってたから、1ヶ月に5、6本ライヴをやってて。

-高校生のバンドの中では多いほうですね。

菊池:それを越えるときもあったし。とにかく半端ないぐらいやってたんです。そのぶんお金もかかるじゃないですか。なのに、当時やってたTwitterでは、告知しても1ファボもつかない、みたいな。その状態が4~5年続いて。でも自分の中で、"絶対に自分は売れる"っていう自信だけはあったんですよね。で、そのバンドを終える理由があって。そこから、いろいろ動き出したっていう感じです。

-その理由はなんだったんですか?

菊池:そのとき、自分が付き合ってた女の子にフラれたっていうことですね。

りうせい:逆に言うと、その激しめのバンドがなかったら、This is LASTは生まれてなかったと思うんです。バンド名も違ったと思うし。

菊池:そうだね。本当にそのメタルコア時代にいろいろバンド名を変えすぎたからね。それで、この名前を最後にしようっていうので、This is LASTになったので。

-フラれたことで、バンドの方向性が変わるっていうのが、ちょっとわかりづらいんですけど......陽報さんの中で、どういう心境の変化があったんですか?

菊池:単純に、書く曲が変わったんですよ。浮気されたことが本当につらくて、この世のものとは思えない痛みがあって。それをメタルコアとか何も考えずに、普通に曲として作ったんです。それがYouTubeに上げている「殺文句」っていう曲なんですけど。それを弟に聴いてもらったときに、"そのまま曲にしたほうがいい"って言われたんです。薄々わかってたんですよ。周りの人からも、"たぶん君たちは、もうちょっと静かな音楽をやったほうが、声質的にも合う"って言われてたから。それを試したのが「殺文句」だったんです。