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INTERVIEW

Japanese

This is LAST

2022年02月号掲載

This is LAST

メンバー:菊池 陽報(Vo/Gt) りうせい(Ba) 鹿又 輝直(Dr)

インタビュアー:秦 理絵

This is LASTが本物のロック・バンドになるために覚醒する。昨年は、全国16ヶ所というバンド史上最大規模のワンマン・ツアーでは各地でソールド・アウトを続出させ、新型コロナの影響で惜しくも無観客配信ライヴとなってしまった渋谷TSUTAYA O-EAST公演も、1万8,000人の視聴数を記録。大きな手応えを掴んだLAST(This is LAST)が、いよいよ2022年第1弾作品となる2ndシングル『いつか君が大人になった時に』をリリース。ストリングスとピアノが彩るドラマチックなバラードとなった表題曲をはじめ、軽快なポップ・ソング「勘弁してくれ」、ダークで官能的なロック・ナンバー「黒く踊る」というバンドの新機軸となる3曲を収録。今改めて"ロック・バンドになる"という目標に照準を合わせたという3人に話を訊いた。


今のロックを聴いている人たちの心を掴めるバンドになりたい。 その先でお茶の間へのアプローチを考えることが、僕たちが踏んでいきたいプロセスです


-2021年は全国16ヶ所のワンマン・ツアー([This is LAST「ポニーテールに揺らされて」 Release tour "夏休みは始まる前が一番楽しい"])を完走させて、またひとつバンドが躍進する年になったのかなと思います。改めてLASTにとってどんな1年でしたか?

陽報:フェスとかイベントが軒並み中止になるとか開催を見合わせていくなかで、自分たちと向き合う年だったと思いますね。今自分たちは何ができるかっていう課題が多かった。そういう状況のなか、ワンマンで駆け抜けた1年でした。自分たちで何を起こせるか、何を見せられるか、何を鳴らせるか、何を伝えられるかっていうのを日々考えて、メンバー同士でもぶつかって。成長と感謝と悔しさの1年だったのかなと思います。

輝直:やっぱりコロナとの戦いでしたね。現場がなくなってしまったぶん、配信ライヴで補うとか。ライヴのときの煽り方も全然変わりますし。

-ツアーのファイナルになっていた念願のO-EAST(渋谷TSUTAYA O-EAST)公演は、無観客の配信ライヴになってしまいましたね。あのときはどういうふうに受け止めていたんですか?

輝直:正直に言うと、有観客でやりたかったっていうのはあったんですけど。でもネガティヴな気持ちだけじゃなくて。"会場に行くのが怖いから、配信で観られて良かった"っていう声もあったので、それもプラスに捉えていますね。

-りうせいさんはどうでしょう。2021年を振り返って。

りうせい:壁にぶち当たったというか。自分たちだけでできる限界が見えてきたんです。ここから先に行くには何をやったらいいのか、どうライヴを作っていけばいいんだろう? っていうところで、自分たちの足りないものがはっきり見えたんですよね。

-"限界が見えた"と言うと、ネガティヴに聞こえるかもしれないけど。バンドの規模が大きくなったことで、チームになっていく必要が出てきたんですね。

りうせい:そうです。活動をするにあたっていろいろな人の力を借りて一緒に切磋琢磨していきたい。チームとしてThis is LASTをやっていったほうがいいなって判断が出ることが、多くなっていった。そういうものが今年は実ったらいいなと思います。

-バンドのTwitterで新年の挨拶動画を観させてもらったんですけど......。

陽報:あ、ありがとうございます。恒例のやつですね。

-その中で2021年はロック・バンドを意識した1年だったと言っていたんですけど、それは具体的にどういうことだったんですか?

陽報:僕らは今年で結成して4年目になるんですけど、最近、人前に出るときも、ライヴをやるときも、"ロック・バンドとしてはどうなんだろう?"っていう意見が出ることがすごく多くなってたんです。ライヴの見せ方とか演出、セットリストを考えるときに、ロック・バンドを見せるにはどうすればいいか? とか、音源を作るときも"ロック・バンドをしよう"って言うようになってて。じゃあ、This is LASTのロック・バンドってなんだ? っていうことを見つめ直す会話がすごく多かったんですよね。

輝直:フェスで戦っていける曲を作っていこう、みたいな話もしたよね。

陽報:うん、もともと「殺文句」(2020年4月リリースのミニ・アルバム『koroshimonku』収録曲)を出したぐらいのときは、お茶の間の人に届くようにっていうことを考えたんですけど。ちょっとずつ考え方も変わってきて、"いや、ちょっと待てよ。俺たちはロック・バンドだよな"っていうところから、邦ロック勢というか、今のロックを聴いている人たちの心をちゃんと掴めるバンドになりたい。そういう人たちに愛されるバンドになってから、その先でお茶の間の人たちへのアプローチを考えることが、僕たちが踏んでいきたいプロセスだと思ったんです。

-自分たちなりのロック・バンドとは? っていうものに答えはあるんですか?

陽報:前のインタビュー(※2021年6月号掲載)でも言ったんですけど、やっぱりライヴでも、音源でもそうですけど、ドキドキワクワクさせたいっていうことですね。僕は学生のときにハードコアが大好きで、そっち系のライヴハウスによく行ってて。そのときは"やってやるぜ"って中指を立ててる人たちがロックだと思っていたんですが、そうじゃなくて、見た目なんか関係なくて、どれだけ人をドキドキさせるか、ワクワクさせるか。その音楽を聴き終わったあとに自然と前を向けていたりする。それが僕たちにとっての極めていきたいロック・バンド像なんですよね。

-例えば、ロック・バンドっていわゆる尖っているというか、カウンターカルチャーであるとかも言われますけど、そういう存在である必要はあると思いますか?

陽報:あぁ、"尖ってる"の見え方によると思うんですよね。すごくポップなことをやってるけど、ポップに尖ってるものってあるじゃないですか。それは一般的に言えば、ポップだとしても、捉え方によってはロックでもあると思うんですよ。それこそ最近の話で言うと、僕はBTSとかも聴いたりするんですけど。COLDPLAYとコラボしたときの制作の映像を観てたら、ヴォーカルのChris MartinがBTSのことを常にロック・バンドって言うんです。僕も同じ解釈をしていて。結局、ロック・バンドって言ったもん勝ちだなっていうのはあるんですけど(笑)。どんな状況であれ、絶対に折れない信念があったり、そのこだわりを貫き通してたりしたら、それがロックなんですよ。見せ方として尖ってるかどうかよりも、これが私だから、これが俺だからって言ってる人がかっこいいですよね。

輝直:世界観を貫き通すというかね。

-ふたりは理想とするロック・バンドについてはどう考えていますか?

りうせい:僕はライヴですかね。ライヴをやってるときって一瞬一瞬の感情の爆発なので。日常で言えないこととか我慢してることがいっぱいあるんですけど、そういうものをライヴハウスで発散したり、涙を流したりする。そういう現象を起こせる存在こそロック・バンドだなと僕は思いますね。

陽報:かっこいいな。俺のドキドキワクワクをすげぇかっこ良く言いやがった。

一同:あはははは!

輝直:それで言うと、僕もライヴっていうのはロック・バンドの根幹かな。そこで魂に訴え掛けるというか。そういうのを伝えられるのがロック・バンドというか。

りうせい:それが好きだよね、僕たちは。"あ、伝わった"っていう思う瞬間。

陽報:ふたりとも、超ライヴが好きだもんな。絶対そう言うと思った。俺も好きだよ? 俺もライヴは好きだけど、作り手でもあるから、ふたりとはちょっと違うかもしれないです。

-なるほど。前置きが長くなってしまったんですけど、どうして最初にLASTのロック・バンド論について聞きたかったかって言うと、今回のシングル『いつか君が大人になった時に』の根底には、今話してくれたようなバンド哲学をすごく感じたからなんですね。

陽報:あぁ、そのとおりだと思います。

-3曲がすべてラヴ・ソングであることもそうだし、徹底してThis is LASTとはこういうものであるっていう世界観を貫きとおしているシングルだなと思っていて。

陽報:そうですね。「いつか君が大人になった時に」っていう曲が、「ポニーテールに揺らされて」(2021年5月リリースの1stシングル表題曲)と一緒に録った曲だったんです。今世に出ているThis is LASTって、「ディアマイ」とか「囘想列車」(2020年11月リリースの1stフル・アルバム『別に、どうでもいい、知らない』収録曲)とか「殺文句」、「愛憎」(2019年11月リリースの1stミニ・アルバム『aizou』収録曲)みたいなバンドっぽい曲がいっぱいあるんですけど、バラードを見たときに「バランス」(『aizou』収録曲)とか「結び」(『koroshimonku』収録曲)、「終電」(『別に、どうでもいい、知らない』収録曲)っていう曲があるなかで、もっと拡張できる余地があるなと思ったんです。で、まずは「いつか君が大人になった時に」を1曲目にしようって決めて。そこに対しての肉づけをするのが「勘弁してくれ」と「黒く踊る」っていうバランスになった感じですね。