Japanese
This is LAST
Skream! マガジン 2021年02月号掲載
2020.12.26 @渋谷CLUB QUATTRO
Writer 蜂須賀 ちなみ Photo by MASANORI FUJIKAWA
This is LASTが12月26日、渋谷CLUB QUATTROにてワンマン・ライヴを開催した。同公演は、1stフル・アルバム『別に、どうでもいい、知らない』発売に伴うツアーで、同ツアーは彼らにとって初のワンマン・ツアーでもある。また、この日はツアー初日=初めてのワンマン・ライヴと、初めて尽くしの1日だった。ちなみに、This is LASTが有観客ライヴを行うのは2020年2月以来であり、およそ10ヶ月ぶり。菊池陽報(Vo/Gt)の"宿願の、念願の、本当に夢だった1stアルバム"という発言、りうせい(Ba)の"この2時間をずっと待っていた"という発言からは、このライヴに懸けるメンバーの想いの強さが伝わってきた。なお、バンドにとって大切なライヴということもあり、この日は会場に来られないファンへ向けて、生配信も行われた。
鹿又輝直(Dr)がいるドラム台の付近に集まり、"オーッ!"と手を合わせてから演奏を始めた3人。観客同士の距離を確保するため、フロアにはパイプ椅子が並べられている。声が出せないぶん、観客は、各パートのソロ・プレイやステージ上から投げ掛けられた言葉に拍手や手拍子で応えていく、メンバーがその様子を見て嬉しそうに頬を緩めていたことがこの日一番印象的だった。3人とも笑みが抑えきれないと言わんばかりの表情で、ファンの前に立てる日を心から待ち望んでいたことが読み取れる。MCはまるでラジオ番組のような親しみやすいテンションで、陽報の"どうか末永くThis is LASTの隣にいてやってください"という発言にはそんなバンドの在り方が表れている。ちなみに、りうせいは"ワンマンではカレーを提供したい"という思いがあったそうだが、今回は叶わなかったため、"(日本)武道館行ったらカレー出す"と宣言。この場限りの冗談なのか、それとも本気でやってのけるつもりなのかは、数年後に明らかになるかもしれない。
2020年のThis is LASTは、『別に、どうでもいい、知らない』だけでなく、4月にミニ・アルバム『koroshimonku』をリリース。ツアーはまだ続くため、ライヴの内容を詳述できないが、観客を前にして演奏するのは初めての曲が多いことはご想像いただけるだろう。加えて、最新作(『別に、どうでもいい、知らない』)が3ピースのバンド・サウンドにこだわった作品だったことを踏まえると、バンド自身を見つめ直す、鍛え直す意味合いを持つツアーになっていきそうだ。久々の有観客ライヴということで、鹿又は"緊張している"と自分で言っていたが、セットリストが進むにつれて、バンドの演奏はどんどん熱を帯びていく。特にバラードは聴きごたえ抜群で、中でも陽報がギターを弾いてひとりきりで歌うシーンでは、グッと集中してステージを観ている人が多かった。この日は眼鏡をかけていたりうせい(本人いわく、キャラ立ちを意識して)、終盤では熱演のあまり、眼鏡が吹っ飛び床に落ちる。"どんなときでもあんたのために歌っているロック・バンドがいること、あんたのために鳴っている音楽があること。どうか覚えていてください"と叫んだMCも熱かったが、彼ひとりが熱くなっているのではなく、バンドがしっかり一枚岩になれているのがあらゆる場面から伝わってきた。本編最後の曲で陽報が歌詞を替え、観客に想いを伝えていたのも、感情が溢れ出した結果だろう。
12月31日に誕生日を迎えるりうせいをサプライズでお祝いして、この日のライヴは終了。This is LAST初のワンマン・ツアーは2月7日、千葉LOOK公演まで続いていく。
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