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INTERVIEW

Japanese

Halo at 四畳半

2018年11月号掲載

Halo at 四畳半

Member:渡井 翔汰(Vo/Gt) 齋木 孝平(Gt/Cho) 白井 將人(Ba) 片山 僚(Dr/Cho)

Interviewer:秦 理絵

ライヴハウスで生まれ、ライヴハウスで育ってきた。その誇りを胸に抱き、たくさんの仲間たちに祝福されながら、いよいよHalo at 四畳半がメジャー・デビューを果たした。"swanflight"というタイトルが表すのは、4人のSwan(=詩人)がこの場所から大空へと羽ばたいてゆくというバンドの決意表明だ。バンド結成から6年をかけて少しずつ培ってきた"4人しか鳴らすことのできない音と言葉"をできるだけ大切にしながら完成させ、新たなチャレンジもした、バンドの名刺代わりとなる1枚。そこには、どんな悲しみも引き連れて生きてゆくという願いのようなものが通奏低音のように流れている。

-『swanflight』、渾身の1枚ですね。バンドにとってメジャー・デビュー・アルバムって一生に一度じゃないですか。それを後悔しないものにするんだっていう意気込みを感じました。

一同:ありがとうございます!

-作品の話をする前に、6月に渋谷クアトロ(2018年6月22日に開催した[Halo at 四畳半 東名阪 2man TOUR 2018 ARK"WANDER LIGHTS"TOUR]の渋谷CLUB QUATTRO公演)でメジャー発表したときのことから聞かせてもらえればと思うんですけど。歓声がすごかったみたいですね。

白井:すごかったですよ。アンコールでは、まず俺が出ていって喋って、そのあとにほかのメンバーが出ていって喋るのがうちの定型なんですけど、その日は4人が一緒に出ていって、渡井が淡々と喋り始めるっていう、いつもと違うアンコールだったんです。だから前の方のお客さんは、途中から"メジャーが発表されるんじゃないか"って勘づいて泣いてる人もいて。でも渡井って、解散しそうな喋り方をするんですよ(笑)。

渡井:基本、ローテンションなんでね。

-あはは、渡井さんの口調ってそうですよね(笑)。

白井:でも、メジャー・デビューを発表した瞬間からお客さんの歓声とか拍手がしばらく鳴りやまなくて。すごく感動しました。

-メンバーは泣かなかったんですか?

白井:俺はクソ泣いた(笑)。僚君も泣いてたよね。

片山:うん。

渡井:そのあと、新曲の「悲しみもいつかは」と「シャロン」(2015年リリースの1stミニ・アルバム『APOGEE』収録曲)をやったんですけど、俺もその隙間で泣いてた。

齋木:俺もアンプの方を向いて泣いてましたね。

-全員、男泣き(笑)。

白井:最近は、仲のいいバンドがメジャー・デビューしていくっていう状況も多かったし、その場に立ち会うことも結構多くて。そのことをTwitterに書いたりすると、お客さんから"次はハロ(Halo at 四畳半)の番ですね"とかコメントを貰ってたんです。お客さんも期待してくれてるというか、もどかしかったと思うんですよね。だから、メジャーにいったから、今後が絶対に安泰だとは思ってないけど、お客さんが喜んでくれるのならちゃんと伝えたいなと思っていて。そういう想いが詰まった発表でしたね。

片山:まだメジャー・デビューするっていう実感もないんですけど、周りの人が思った以上に喜んでくれてるんです。シネマ(cinema staff)の飯田(飯田瑞規/Vo/Gt)さんも言ってたんですけど、シネマもクアトロでメジャーを発表して、そのときのお客さんの歓声が今でも忘れられないって。で、いざ自分がそのときになったら、本当にすごくて。気が引き締まったというか、新たな覚悟が自分の中で決まった瞬間ではありましたね。

-やっぱりインディーズで活動をしてるときにも、いつかはメジャー・デビューするというのは目標のひとつとして掲げてたんですか?

渡井:ハロを組んだときには、そう考えてました。前身バンドは高校時代に組んだから、思い出作りだったけど。東京に出るタイミングで改名をして、Halo at 四畳半になってからは、これから一生音楽をやっていくっていう気持ちが、俺にはありました。

白井:たぶん、みんなあったよ。

-齋木さんは、メジャー・デビューが決まってどう思いましたか?

齋木:嬉しかったです。"絶対にメジャー・デビューするぞ"っていうわけじゃなかったけど、ハロを続けていく以上、歩いていく階段のひとつとしてメジャー・デビューがあるっていうのは思ってたから。ここまで続けてきたものが報われたような気持ちでした。

-今はメジャーとインディーの境目もないって言われるけど、ハロにとってメジャーはどういう場所ですか?

渡井:僕らが学生のころに見ていたメジャーっていうのは、今よりもっともっと輝かしいものがあって、そういうのに憧れて音楽をしていたところがあるので、僕ら自身にとっては、今もメジャーは輝きを失ってないんです。だから、今回はメジャー・アーティストとして相応しい作品を作りたいなっていう気持ちがありましたね。

-それで、今回リリースされた『swanflight』。シングルとかEPじゃなくて、フル・ボリュームの12曲入りアルバムでメジャー・デビューするのがハロっぽいですよね。言いたいことが多すぎて、シングルだと伝え切れないんだろうなって。

渡井:出すならアルバムだと自然に思ったんですよね。

白井:今回は「水槽」っていう、今まで無料配布をしていた曲を再録してるんです。昔から、"この曲を音源に入れるなら、メジャー1stフル・アルバムだよね"って話してたから、俺らはフル・アルバムでメジャー・デビューするんだろうなって。

-これまでに出したミニ・アルバムとかEPでは、制作のたびに"今回が一番つらい制作だった"って言ってましたけど......。

渡井:それが今回はつらくなかったんですよ。単純に曲が豊作だったんです。「水槽」、「アンドロイドと青い星の街」以外は、今年に入ってから作った曲で。本当は去年から作ってた曲もあったんですけど、それは収録しなかったんです。ちょっと重い話になるんですけど......。12月にばあちゃんが死んだんです。その想いの丈を曲にしようとしたら、すぐに曲ができて。去年作った曲と、今年作った曲とがまったく別モノみたいになってたんですよね。

片山:だから歌詞が決まるのが早かったよね。

齋木:いつもは本当にレコーディングの当日まで書いてるから(笑)。

渡井:今回はプリプロの日には書き終わってましたね。

-アルバムを作るうえで、"何を歌おう?"とか"テーマはどうしよう?"って考える感じじゃなくて、今書くべきこと、書かなきゃいけないことが自然に定まっていた感じですか?

渡井:そうですね。ずっと俺は"悲しい"っていう感情にまつわることを書いてたんですけど、その実、本当の深い悲しみを知らずに生きてきたなって気づいたんです。もちろん生きていれば、それなりに悲しいことはあったんですけど、身近な人間が亡くなったことで、本当に悲しいってこういうことなんだなっていうのを改めて知ってしまったような気がして。だからこそ今作は"悲しみ"に関する曲が多くなってしまったというか。

-なるほど。「悲しみもいつかは」とか「水槽」とか、アルバムとして"悲しみを背負って生きていく"っていう想いを強く感じたのは、そういう明確な理由があったと。

渡井:そうなんですよね。