Japanese
HAMMER EGG vol.9
Skream! マガジン 2018年10月号掲載
HAMMER EGG
Official Site2018.08.24 @渋谷eggman
Reported by 石角 友香
Skream!とTOWER RECORDS、新人やインディーズ活動を支援する音楽プラットフォーム Eggsがタッグを組んで、次世代のアーティストを応援する対バン企画"HAMMER EGG"の第9回が渋谷eggmanで行われた。出演アーティストは嘘とカメレオン、Shiggy Jr.、ニガミ17才、Lenny code fiction。2010年代後半のポップを模索するバンドから王道ロックを標榜するバンドまで、過去最強に多彩な面々が集まり、オリジナリティが際立つ一夜となった。
meme
オープニング・アクトで登場したmemeは、男女混成の4ピース・バンド。結成からまだ1年強という、フレッシュなメロコアやメロディック・パンクを軸にしたバンドだ。疾走するシンプルなサウンドに乗る、あどけなさと凛々しさが同居する、たいよう みゆ(Vo/Gt)の、このステージで今まさに歌っていることの楽しさが溢れ出した表情に射抜かれる。"この20分にすべてを凝縮します!"という意気込みどおり、平均年齢20歳の彼ららしく、メロコアと日本語ロックの良さを融合させたオリジナル5曲で走り抜けた。コーラス・ワークとブラストビートのコントラストが印象的なラスト・ナンバー「切符」など、"女性版04 Limited Sazabys"というと安直かもしれないが、それに近い感触を残したのは確かだ。
Lenny code fiction
本編1番手に登場したLenny code fiction。多彩なこの日のラインナップの中でも最も男臭く、切り込み隊長としての役割を果たそうとしているのがわかる。サーキュレーターの風に髪をなびかせながらソロを叩くKANDAI(Dr)に続いて、kazu(Ba)、ソラ(Gt)と音が足されていくなか、けれんみたっぷりに片桐 航(Vo/Gt)が登場。"そろそろ飛ばしてもいいんじゃないですか?"とフロアを煽って「Rebellious」からスタート。めまぐるしいリズム・チェンジも、大きな流れで聴かせるスキルの高さで巻き込んでいく。公演2日前にリリースしたばかりのニュー・シングルの表題曲である「Make my story」も早々に披露し、このバンドのUSやUKといったロックの背景を丸呑みしたようなスケール感がストレートに伝わる新曲が、初見のオーディエンスにも強い印象を与えていたようだ。加えて、ロックのグラマラスさとR&B的なメロディやギター・リフ、間奏で挟まれるジャジーなベースのフレーズといった、1曲の情報量が豊富な「KISS」など、持ち時間にバンドの音楽的な振り幅を凝縮してきたスタンスにも思わずテンションが上がる。片桐が"ラストのラストのバンドまで楽しんでいって!"とバトンを渡すように言い、伸びやかな「Flower」で4人のエネルギーを放出。まるで4本の矢がフロアに向かって飛んでくるような、メンバー全員のキャラクターと想いが放たれるような演奏だった。
嘘とカメレオン
続いては、「されど奇術師は賽を振る」のミュージック・ビデオがYouTubeで360万再生を超え、9月12日リリースのフル・アルバム『ヲトシアナ』でのメジャー・デビューを目前に控える嘘とカメレオン。やおら渡辺壮亮(Gt/Cho)が登場して早々、お馴染みの自作ポエムを読み上げた。この日の暑さとイベント・タイトルをかけて"ハマーのボンネットでハムエッグが焼ける暑さ"的な語りを始めるのだが、なかったことにされる勢いで「N氏について」からスタート。エクストリームでマス・ロック的でもある構成だが、チャム(.△)の歌メロが楽曲のキャッチーさを醸し出す。演奏は恐ろしくスキルフルで、MCになると渡辺がコーラの一気飲みを促されるなど、見どころが多すぎるバンドではあるが、結局印象に残るのは曲の情報量の多さだ。特に、渋江アサヒ(Ba)と青山拓心(Dr)のリズム隊の巧さは超絶。ファンキーな「Lapis」なども織り交ぜて飽きさせないし、オーディエンスが嘘カメ(嘘とカメレオン)のライヴ・スタイルに馴染んだ終盤に、代表曲「されど奇術師は賽を振る」を披露し、太いボトムとタイトに決まる四つ打ちでオーディエンスの足を軽くする。ラストは闇も感じさせつつ、"自分らしく生きたい"という歌の軸がしっかり伝わる「フェイトンに告ぐ」でフィニッシュ。キャラやギャグで笑いを取るという印象はあまりなく、日本的な影やマイナー・メロディと、とてつもない曲展開を自ら作り乗りこなす、音楽的変態性を持つバンドなのでは、と感じた。
ニガミ17才
嘘カメ以上に斜め上の登場の仕方でワクワクさせてくれたのは、ニガミ17才。冒頭から岩下優介(Vo)によるメンバー紹介を4人並んだ状態で行い、この時点で演劇的な匂いがプンプン漂う。が、隙間が多く音の抜き差しで成立しているアンサンブルは高度で、岩下の岡村ちゃん(岡村靖幸)ばりのファンクネス溢れるヴォーカルに惹きつけられる「おいしい水」で、個人的にはこの日のバラエティ豊かなラインナップに感謝すらしていた。「ねこ子」では"ねこ"、"にゃん"、"ねこ"、"にゃん"とコール&レスポンスを要求しながら、シンセサイザー担当の平沢あくびがフロアに下りて、ティッシュ・ケースからひたすらティッシュを撒き散らす。猫の性癖とかけているのかも? と思うとバカバカしさにも腹落ち感がある。岩下の語りやラップに近い発語にあくびがその場で合わせる擬音やコーラスもスリリングで、音楽ジャンル的にはポスト・パンクや、"ファンク版POLYSICS"的なナンバーも、違和感なくフロアを巻き込んでいるのが面白い。最後に投下したのは、参加する楽しさとバンドのスキルの高さの両面が楽しめた「かわきもの」。5拍子の曲だがフロアは4拍子のクラップをしているなか、岩下の指示で、バンドが演奏を止めることなく4拍子から5拍子へリズム・チェンジしてみせる。その変化の面白さを実感できたのは、わりと真面目な意味で楽しかった。ナイスなレクチャーを済ませ、何事もなかったかのようにカバンを腕に掛けて去っていく岩下も見事だった。
Shiggy Jr.
なかなかの長丁場になってきたが、まったく飽きることのないほど色の違うバンドが集合したこの日のトリは、Shiggy Jr.。サポートのキーボーディストも加えた5人編成で、オープナーからシギー(Shiggy Jr.)流パンクの「お手上げサイキクス」を投下。サビの"put your hands up!"に応えるフロア、池田智子(Vo)のセリフめいた歌詞のユニークさも相まって、アクの強いニガミ17才の余韻すら余裕で自らのパワーにしている印象を受けた。さらには池田もSGを弾きながら歌う「Juuuump!!」。"もっといけるっしょ!"とフロアを鼓舞する池田のフロントマンとしての頼もしさも増している。彼女たちの魅力が曲そのものに詰まったモータウン・ポップ「ホットチリソース」では、生でエレピが入っていることでさらにカラフルになり、サビの"bom bom"のシンガロングとクラップも自然に起こる。さらに、歌い出しから高音のクリスタル・ヴォイスで"listen to the music"と歌われるこの曲(「LISTEN TO THE MUSIC」)の、音楽の本質と楽しさが同居した楽曲そのものの完成度の高さ。何度も聴いている曲だが、不覚にも涙腺を刺激されてしまった。この日は、Shiggy Jr.初心者にも入りやすい、彼女たちの真骨頂的なハイブリッド・ポップスを畳み掛けるように演奏してくれたが、改めて、曲の良さこそがこのバンドの心臓部であることを痛感させられた。原田茂幸(Gt/Vo)も森 夏彦(Ba)も諸石和馬(Dr)も、派手なプレイより歌に沿ったアレンジで曲を支え、夏を抱きしめるように歌う「サマータイムラブ」のきらめきを色鮮やかなものにしていた。
全バンドが各々のオーディエンスも巻き込んで、バンド・アンサンブルの多様さを楽しんだこの日。一見バラバラに見えるラインナップでありつつ、どのバンドにも攻めのキャッチーさがあれば、むしろ多様な方が楽しめるということを実感できた時間となった。
- 1
LIVE INFO
- 2022.05.26
-
東京スカパラダイスオーケストラ
BiSH
LUCKY TAPES
the shes gone
ヒトリエ ※振替公演
the band apart
KANA-BOON
四星球
Keishi Tanaka × 村松 拓(Nothing's Carved In Stone/ABSTRACT MASH)
大森靖子 × Have a Nice Day!
桃色ドロシー
"LOVE SUPREME presents DREAMS COME TRUE featuring 上原ひろみ, Chris Coleman, 古川昌義, 馬場智章、WONK"
夜の本気ダンス
kobore
秋山黄色
ニガミ17才
- 2022.05.27
-
TENDOUJI
リーガルリリー
山さん(s o t t o/ex-WHITE ASH)×金廣真悟(グッドモーニングアメリカ/AsuralbertⅡ)
FUNKIST
オレンジスパイニクラブ
the shes gone
ReoNa
Hakubi ※振替公演
Ochunism
松永天馬(アーバンギャルド)
Suspended 4th
日食なつこ
超能力戦士ドリアン
SAKANAMON
小山田壮平
KANA-BOON
四星球
マカロニえんぴつ
THE ORAL CIGARETTES / Age Factory ほか
a flood of circle
BLUEVINE
climbgrow
レイラ
mol-74
Rhythmic Toy World
FIVE NEW OLD
- 2022.05.28
-
TENDOUJI
"Karatsu Seaside Camp 2022 in 玄界灘"
リーガルリリー
Lucky Kilimanjaro
BiSH
フィロソフィーのダンス
Suspended 4th
神はサイコロを振らない
"hoshioto'22"
WANIMA
東京スカパラダイスオーケストラ
BiS
挫・人間
山さん(s o t t o/ex-WHITE ASH)×金廣真悟(グッドモーニングアメリカ/AsuralbertⅡ)
FUNKIST
Dear Chambers
渡會将士
東京初期衝動
キタニタツヤ
松永天馬(アーバンギャルド)
the band apart
SHERBETS
Creepy Nuts / go!go!vanillas ほか
The Biscats
私立恵比寿中学
竹内アンナ
四星球
超能力戦士ドリアン
the quiet room
緑黄色社会
マカロニえんぴつ
あいみょん
androp
怒髪天
AMEFURASSHI
め組
灰色ロジック
[.que]
Made in Me.
POLYSICS
GLIM SPANKY
夜の本気ダンス
ASIAN KUNG-FU GENERATION
ZOC
山中さわお(the pillows)
CODE OF ZERO
B.O.L.T
ポルカドットスティングレイ
back number
亜沙
- 2022.05.29
-
Predawn
TENDOUJI
"Karatsu Seaside Camp 2022 in 玄界灘"
キュウソネコカミ
GANG PARADE
日食なつこ
BiSH
小山田壮平
東京スカパラダイスオーケストラ
フィロソフィーのダンス
SHERBETS
神はサイコロを振らない
WANIMA
Lucky Kilimanjaro
BiS
鶴
SAKANAMON
Dear Chambers
羊文学
豆柴の大群
空想委員会
スピラ・スピカ
挫・人間
キタニタツヤ
凛として時雨
松永天馬(アーバンギャルド)
Bye-Bye-Handの方程式
フジファブリック
climbgrow
the quiet room
androp
"ツタロックDIG LIVE Vol.9 -OSAKA-"
The Biscats
KANA-BOON
夜の本気ダンス
Laura day romance
四星球
あいみょん
怒髪天
山さん(s o t t o/ex-WHITE ASH)×金廣真悟(グッドモーニングアメリカ/AsuralbertⅡ)
B.O.L.T
Ivy to Fraudulent Game
ASIAN KUNG-FU GENERATION
東京初期衝動
back number
- 2022.05.30
-
キュウソネコカミ
ヒトリエ ※振替公演
- 2022.06.01
-
TENDOUJI
a flood of circle
LONGMAN
ReoNa
桃色ドロシー
小山田壮平
MANNISH BOYS
挫・人間
FUNKIST
Mr.ふぉるて
ASIAN KUNG-FU GENERATION
GOOD ON THE REEL
- 2022.06.02
-
TENDOUJI
マカロニえんぴつ
the dadadadys
KEYTALK
四星球
MANNISH BOYS
メメタァ
阿部真央
Cö shu Nie
眉村ちあき
EMPiRE
怒髪天
- 2022.06.03
-
キタニタツヤ
マカロニえんぴつ
a flood of circle
GANG PARADE ※振替公演
東京スカパラダイスオーケストラ
THE BAWDIES
THE BACK HORN
メメタァ
アメノイロ。
ガガガSP
秋山黄色
ドミコ
ドラマストア
SPARK!!SOUND!!SHOW!!
フジファブリック
桃色ドロシー
夜の本気ダンス
山中さわお(the pillows)
オレンジスパイニクラブ
ReoNa
私立恵比寿中学
BLUEVINE ※振替公演
Youplus
tricot
LONGMAN
ACIDMAN
怒髪天
- 2022.06.04
-
BiS
フィロソフィーのダンス
KANA-BOON
あいみょん
a flood of circle
ヤユヨ
緑黄色社会
アメノイロ。
BiSH
Ivy to Fraudulent Game
キタニタツヤ
ASIAN KUNG-FU GENERATION
神はサイコロを振らない
CIVILIAN
竹内アンナ
the dadadadys
"SHIRUBE 2022"
LUCKY TAPES
KEYTALK
忘れらんねえよ
wacci
zoc
Lucky Kilimanjaro
豆柴の大群
ドミコ
"SAKAE SP-RING 2022"
挫・人間
"百万石音楽祭2022"
SHERBETS
伊東歌詞太郎
ガガガSP
GANG PARADE
日食なつこ
秋山黄色
Ochunism
ぜんぶ君のせいだ。
パスピエ
灰色ロジック
HY ※振替公演
シナリオアート
鶴
androp
- 2022.06.05
-
BiS
フィロソフィーのダンス
KANA-BOON
ASIAN KUNG-FU GENERATION
あいみょん
ぜんぶ君のせいだ。
Ivy to Fraudulent Game
山中さわお(the pillows)
BiSH
竹内アンナ
THE BACK HORN
THE BAWDIES
"SHIRUBE 2022"
KEYTALK
SHERBETS
ZOC
Helsinki Lambda Club
B.O.L.T
東京スカパラダイスオーケストラ
凛として時雨
"SAKAE SP-RING 2022"
挫・人間
"百万石音楽祭2022"
wacci
伊東歌詞太郎
SUPER BEAVER
SAKANAMON
小林柊矢
パスピエ
LONGMAN
HY ※振替公演
鶴
スピラ・スピカ
- 2022.06.07
-
amazarashi
山中さわお(the pillows)
KANA-BOON
KEYTALK
キュウソネコカミ
SCANDAL
BiSH
みゆな
THE FOREVER YOUNG
TRI4TH
Nulbarich
- 2022.06.08
-
KEYTALK
tricot
アルコサイト
the telephones × 打首獄門同好会
THE FOREVER YOUNG
MANNISH BOYS
WANIMA
オレンジスパイニクラブ
ChroniCloop
- 2022.06.09
-
羊文学
back number
Suspended 4th
amazarashi
daisansei
kobore
BiSH
Ochunism
GANG PARADE
ドミコ
ニガミ17才
おいしくるメロンパン
WANIMA
Saucy Dog
ReoNa
- 2022.06.10
-
MANNISH BOYS
超能力戦士ドリアン
the shes gone
あらき
東京スカパラダイスオーケストラ
松永天馬(アーバンギャルド)
フジファブリック
THE FOREVER YOUNG
LEGO BIG MORL
キタニタツヤ
マカロニえんぴつ
SHERBETS
Lucky Kilimanjaro
KEYTALK
SPARK!!SOUND!!SHOW!!
小林柊矢
Predawn
ビレッジマンズストア
a flood of circle
ニガミ17才
Suspended 4th
アルコサイト
never young beach
daisansei
ASIAN KUNG-FU GENERATION
BBHF
ドミコ
BLUEVINE ※振替公演
chelmico
Dear Chambers
私立恵比寿中学
アメノイロ。×Organic Call
THE BACK HORN
SCANDAL
Saucy Dog
ReoNa
RELEASE INFO
- 2022.05.27
- 2022.05.30
- 2022.06.01
- 2022.06.02
- 2022.06.03
- 2022.06.08
- 2022.06.09
- 2022.06.10
- 2022.06.15
- 2022.06.17
- 2022.06.22
- 2022.06.24
- 2022.06.29
- 2022.06.30
- 2022.07.01
- 2022.07.04
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
神山羊
おいしくるメロンパン
Skream! 2022年05月号