Japanese
嘘とカメレオン / ONIGAWARA
Skream! マガジン 2021年08月号掲載
2021.07.06 @下北沢LIVEHOLIC
Writer 吉羽 さおり Photo by 清水舞
下北沢LIVEHOLICの6周年を記念し開催されている"LIVEHOLIC 6th Anniversary series"。7月6日はONIGAWARAと嘘とカメレオンを迎え"変幻自在GIG"と題したライヴが行われた。手法は違えど"変幻自在"なサウンドでポップにフロアをかく乱し合いながら、メンバーの共通点も発覚する化学反応で周年イベントを盛り上げた。
まずステージに登場したのはONIGAWARAのふたり、竹内サティフォ(Vo/Gt/Prog)と斉藤伸也(Vo/GAYA/Prog)。"ONIGAWARAよろしく!"の声でスタートしたライヴは、1曲目「MEGA☆DEATH」からカラフルなペンライトがフロアで輝く。のっけから軽やかなビートと爽快でポップなメロディをスパークさせると、「恋はすいみん不足」、ブライトな「ホップステップLOVE」でフロアをアゲるようにジャンプして会場に甘いメロディを拡散させていく。正統派のスウィートで洒落っ気のあるメロディと歌に、とほほな心の内をこぼした曲はキャッチーでファニー。絶妙に香る哀愁とふたりの凸凹なコンビネーションが愛すべきスパイスになっている。それが最高に生かされたのが、この季節にぴったりの「夏フェスなんて大嫌い‼︎なんちゃって」。この曲では竹内もギターを置いてふたりでメロウなフロウを響かせつつ、aikoの「花火」を交えドラマ的な要素を交えたりして、甘酸っぱい(というよりやや塩からいくらいの)青春の1ページを描く。
MCでは、"LIVEHOLIC 6周年おめでとうございます。この2021年にライヴハウスの周年を祝えるのは素晴らしいこと"とまだまだ厳しい現状を交えながら語る。また対バンである嘘とカメレオンと楽屋で話していたところ、斉藤と嘘カメ(嘘とカメレオン)渡辺壮亮(Gt)はその体型のみならず通っていた学校のレベル、歩んできた道など共通点が多いことがわかったという。異色のタッグだが不思議と親和性の高いツーマンだとわかったところで、早くも終盤を迎えたライヴはさらに賑やかさを増していく。アッパーな「ボーイズルール」から、"ペンライトがない人はコブシで"と観客に呼び掛け、きらびやかなディスコ・チューンにふたりで踊りながら、"オー!"、"エヌ!"、"アイ!"......とフロア一体となってONIGAWARAの文字を作りラストまでONIGAWARA印のキラッキラな遊び心で、会場を満たしていった。
続いては嘘とカメレオンが登場。早々とセッティングを終え、オンタイムまで板付きのままトークするというリラックスした始まりで、そこでは嘘カメとLIVEHOLICとの因縁(?)も語られた。初めてこのLIVEHOLICに出演したときは自分たちのお客さんもいなく、浮かない気分でSNSを開いたところ「されど奇術師は賽を振る」のMVがバズっていた。ある意味でバンドの始まりにもなった記念すべき日になったのだそうだ。そのLIVEHOLICの6周年を、嘘カメの5人はダイナミックなパフォーマンスで祝福した。またこの日は、菅野悠太(Gt)監修による激レアなセットリストで、「さらばウォルポール」から彼らならではの祝いのサウンドを打ち鳴らした。ドライヴ感のある濃厚なアンサンブルとチャム(.△)のハイトーンのコントラストが映える「とある男の記録」、そしておなじみ、渡辺がコーラをぐいっとあおって観客を盛り上げると、中盤は「終わりの果てのはなし」から「アルカナ」という流れでフロアを翻弄する。変則的なビートによる摩訶不思議な曲から、美しく叙情的な世界へとひとっ飛びして、シーンをガラリと変えるこのセットリストもいい。MCでは改めて6周年を祝し、またチャム(.△)はコロナ禍を念頭に、当たり前のようで当たり前でない、ライヴができることへの喜びや感謝を語った。また、ONIGAWARAのファンが振っていたペンライトがいいよね? と語り、嘘カメのライヴでも好きなだけ振ってほしいと言うと、後半からはコブシに混じってカラフルなペンライトが瞬く。そして後半は「ルイユの螺旋」に始まり、"やっぱりこれはやるよね"(チャム(.△))と爆裂な「されど奇術師は賽を振る」でフロアの温度を上げると、ラストには"これもレア曲だと思うので楽しんでいって"(渡辺)と、2ndミニ・アルバム『ポストヒューマンNo.5』(2019年)からの曲「Upius」を披露。壮大に広がる幻想の世界と今とを自在に行き来するような、ドリーミーでダイナミックなサウンドが体感できるのはやはりライヴならでは。極上にキャッチーな歌とポップで遊び心ある佇まいで観客の心までキラキラにさせるようなONIGAWARAと、ド迫力のプログレッシヴなサウンドで景色を変えていくような嘘とカメレオン。身も心も軽やかにトリップさせるようなツーマンでの一夜になった。
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