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LIVE REPORT

Japanese

ONIGAWARA / あゆみくりかまき

Skream! マガジン 2017年08月号掲載

2017.06.23 @下北沢LIVEHOLIC

Writer 石角 友香

LIVEHOLIC 2周年記念ライヴの中でも異色の対決と言えそうなONIGAWARA VS あゆみくりかまき。かたやバンドだけど男性アイドルというベクトルが希少で、でもなんかウザかわいいONIGAWARAと、音出しもDJであるメンバーがやるし、エモやポップ・パンクな曲まであるガールズ・トリオの顔合わせは、決して王道中の王道には行けない、行かないけれど、実はそれが音楽的には新しいヴァイブスを生むという点で案外似た者同士なんじゃないのか? という思いを強くした。そして両者とも曲がいい。いい曲は正義だ! そう言い切れる。




MTG(またぎ)Tシャツ着用率の高いフロアから大歓声が起こるなか、まずはDJくりかが登場し、SEの「またぎインダハウス」でスタートの狼煙を上げる。あゆみ(歌うたい)とまき(盛り上げ役)も勢いよくステージに上がり、四つ打ちビートとラウドな重低音がミックスした「ジェットクマスター」で、ステージ狭しとハードコア・バンドのヴォーカルとヒップホップ・ダンサーが融合したように踊りまくる3人。フロアもあゆくまライヴでの掟を遵守しつつ息の合ったガヤ、合いの手、ジャンプの応酬で3人にパワーを送る。"2周年で、めで「タイ」じゃなく「シャケ」で!"の一声に応えて巻き起こる「鮭鮭鮭」でのタオル回しの速さ。エレクトロ・ハードコアな曲調とユーモアのある歌詞世界と目の前の光景が交ざって、理屈抜きに楽しくなってくる。一気に5曲パフォームしたあと、ほんわかムードのくりかが"今何時? もう20分もやったん?"と言えば、しっかり者の進行役、まきが"今日はもっと長いからな"と、至極まっとうに返し、歓声が上がる。ハードなブロックから一変、ガーリーな「スターライトジャンボリー」、再びアグレッシヴな「クマトナデシコ」と、緩急激しすぎるのでは? と思いながらも、やはりどれも曲がいい。そして、あゆくま流のサラリーマン賛歌「ゴマスリッパー」では、シンクロダンスとまたぎのみなさんの手が作り出すウェーヴが見事。しかし声出しが激しく、若干オケが聞こえにくいという、熱狂が生んだ微笑ましい部分も。曲が浸透しきってるのだ。全身全霊の応援を得て、あゆみが"このままONIGAWARAさんまで繋いでいけたら!"と熱いMCからの新曲「絆ミックス」。甘酸っぱいラウド・チューンなんてあゆくまならではなのだが、さらにアウトロでのラップで彼女たちのタフさを見た。ラストにJ-POP色の濃い「素敵な世界」をセットし、約1時間全13曲という超ハードでアッパーなステージの中に多彩さも織り交ぜてみせた。




汗だくのまたぎさんは"ONIGAWARAさんもここ通るんだよね?"と、共演者にもリスペクトを払う人が多いアイドル界隈のメンタルが見て取れ、なんだかほっこりする。もちろん最前列は女子ばかりだが、全体的にウォームなムードのなか、ハイスクール・ボーイ風のお馴染みの衣装でふたりがステージに上がる。竹内サティフォ(Vo/Gt/Prog)の岡村(靖幸)ちゃんイズムが炸裂する「ボーイフレンドになりたいっ!」。中間部に斉藤伸也(Vo/Gaya/Prog)が聖書を読むような朗読を入れるあたりも見どころ満載。女子のみならず、男子もペンライトを振ってエールを送る。サティフォの緩急の効いたソロではフロアみんなが屈んで讃え、早くもその一体感が単純に楽しい。「チョコレイトをちょうだい」では、非モテを正直且つポップに表現するふたりに男性たちもクラップで応えているのがチアフルだ。パーティー・ムードのセットリストの中で、少しシリアスに今のONIGAWARAの決意を表明した「I don't wanna die」が投下されると、エレクトロR&B調のかっこいいナンバーでありつつ、個人的には脳内で銀杏BOYZのひらがなタイトルのナンバーと同じようなある種の切実さが浮かんだ。90'sのJ-POPを標榜し、笑えるけれどキュートと言い切れるクオリティのダンスも繰り出すふたりだが、そこにはおそらくパンクなメンタルも潜ませているのだと思う。 あゆくまのライヴの振動を、楽屋のある階下で感じていたというふたり。"お客さんもグループもエナジーのある方々"と、斉藤らしいボキャブラリーで称賛していた。そして、ラストはディスコ・ファンク・テイストで、さらにふたりのナードだけど洗練されたアクション、サティフォの歌いっぷりも伸びやかになる「タンクトップは似合わない」で、つい1時間ちょっと前まではどう交ざるのか想像できなかった両者のファン、もともとどっちも好きなど、ここにいるあらゆる人たちがONIGAWARAによる一流のエンターテイメントでひとつの場を生み出していた。それもこれも、やはり曲の強度のなせる技なのだ。ぜひまた見てみたい競演だった。


[Setlist]
■あゆみくりかまき
1. ジェットクマスター
2. 心友フォーエヴァー
3. 森森森
4. 鮭鮭鮭
5. 蜜蜜蜜
6. スターライトジャンボリー
7. クマトナデシコ
8. アナログマガール
9. ゴマスリッパー
10. 絆ミックス
11. KILLLA TUNE
12. HAVE A NICE DAY,世界
13. 素敵な世界

■ONIGAWARA
1. ボーイフレンドになりたいっ!
2. 恋はすいみん不足
3. チョコレイトをちょうだい
4. 目立ってます
5. I don't wanna die
6. #gawararadio
7. ホップステップLOVE
8. 恋のメリーゴーランド
9. ヒットチャートをねらえ!
10. タンクトップは似合わない
en. Eじゃん

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