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INTERVIEW

Japanese

ONIGAWARA

2017年04月号掲載

ONIGAWARA

Member:斉藤 伸也(Vo/Gaya/Prog) 竹内サティフォ(Vo/Gt/Prog)

Interviewer:沖 さやこ

ex-竹内電気の竹内サティフォと斉藤伸也によるスーパーJ-POPユニット、ONIGAWARA。2013年より本格始動、2015年9月に全国デビュー、2016年は1stペンライト・シングル『タンクトップは似合わない』、1stインスタントカメラ・シングル『シャッターチャンス'93』、1st写真集シングル『GATTEN承知之助~We can do it!!~』という非常にオルタナティヴなリリースを続けてきた彼らがとうとう1stフル・アルバム『ヒットチャートをねらえ!』を完成させた。Skream!初登場、"ノスタルジー"をキーワードに音楽への熱い想いを語ってもらった。

-ONIGAWARAはサティフォさんが斉藤さんを誘って結成した"スーパーJ-POPユニット"。90年代のJ-POPを基盤に様々な音楽性を取り入れています。

竹内:本格的に動かしていく前からもともと遊びでONIGAWARAというものは存在していて、そのときはaccessやB'zとか、90年代のユニットのオマージュみたいな感じだったんですけど、僕らはいろんな音楽性を取り入れたかったので、それを自分たちなりにポップにしていったらいまのかたちに......という感じですね。僕は小1くらいからずっと、親と一緒に90年代のトップ10を追いかけて音楽を聴いていたので、そのテイストが自然と出てきてしまうんです。

-その時代のJ-POPの魅力とは?

竹内:ただ単純にノスタルジックなところに惹かれているという部分もあるし、当時の楽曲はサウンドも歌詞もきらきらしていますよね。いまは結構本音で言葉を綴っている人が多いと思うんですけど、あの時代はもう少し夢物語的な部分が歌詞に出ているなと思って。それが自分の憧れとしてずっと残ってるんだと思います。

斉藤:素直に憧れられた音楽というか。最近の音楽は妙に生々しかったり、グロテスクな部分が見えるかなと思うんです。リアルさを追求してそこへの共感を求めているものが多い。"ヒットチャート"という言葉は聞こえ方として表層的な部分はあるかもしれないけれど、90年代はもっといろんな人が共感できる音楽が多かったんじゃないかなと思うんですよね。だからこそ、そういうメジャーな音楽に惹かれていたというか。あと、記憶力がいいときに聴いていたのも影響してるかもしれないです(笑)。ほとんどソラで歌えるし。

-思春期にリアルタイムで聴いていた音楽は特別ですよね。そういうノスタルジーがONIGAWARAの音楽に影響していると。

斉藤&竹内:そうですね。それは絶対に。

竹内:でも、自分たちの音楽はまだ90年代に追いついていないと思うんですよ。90年代はカラオケの全盛期で、一般の人がどれだけ歌えるかをプロの作曲家がちゃんと考えて作っているから、もっと歌いやすいんです。ONIGAWARAは自分で曲を書いて歌っているから、主体性の強いものになっている。それでもいつか90年代の音楽に追いつきたいし、"同じレベルまで来れた"と胸を張って言えるくらいにはなりたくて。

斉藤:メロディも含めてね。織田哲郎さんや小室哲哉さんは、一筆書きできれいなメロディを作っていると思うんですよ。いまの時代は単語単語で切れている感じがするんですよね。

竹内:いまの若い人たちの感性ではそういうものがハマるのかもしれないね。自分に染みついているというのもあるかもしれないんですけど、カラオケで90年代の音楽を歌ってみるとすごく歌いやすい。曲タイトルをサビ頭に持ってくるというわかりやすさとか......そのへんは共通項かもしれない。僕は結構、曲タイトルを先に決めてから曲を作るんですよ。歌詞とメロディが一緒に出てくるんですよね。例えば今回のタイトル・トラックの「ヒットチャートをねらえ!」(Track.1)もそうだったからそれを曲タイトルにしたし、「ポップミュージックは僕のもの」(2015年リリースの1stアルバム『エビバディOK?』収録曲)もそうだし。重要な言葉は必ずサビに入れて、そこから曲作りをしているんです。

-「ヒットチャートをねらえ!」を軸にアルバムのイメージは固まっていったのでしょうか?

竹内:いや、実はこの曲はあとあとできた曲なんです。1stフル・アルバムだし、僕らにとって勝負のアルバムにしたいという想いがあったので、リード曲にすごく強いものを持ってきたかった。だからリード曲1,000本ノックみたいに曲を作っていって......それで残ったのが「ヒットチャートをねらえ!」と「ダバダバ」(Track.2)だったんです。どっちもいい曲だから僕らでは決めかねたので、それぞれのデモをネットに上げて"どっちがいい?"とお客さんに聞いてみたり、ラジオ局さんと企画して"どっちの曲をMVにしたい?"と投票を募ってみたりして。

斉藤:強い曲ばかり聴いてると麻痺してくるんですよね。パンチラインがすげぇ曲ばっかりだと、何を選んでいいのかまったくわからなくなっちゃって。......でも、そんな曲たちの中でも余白があったのが「ヒットチャートをねらえ!」だと思ったんですよ。いろんな解釈ができて、不特定多数の人に向けたメッセージ性もあって。

-日常生活的な描写の歌詞に出てくる"ヒットチャート"という言葉がシンボリックだと思います。"ヒットチャート"というものの存在が危うい時代に、これを掲げた理由とは?

竹内:90年代はTVが一番の情報源で、TVで見る人たちがヒットチャート上位の人たちだったけれど、いまはTVに出ていない人たちが上位にランクインしていたり、いろんな出方があるなと思うんです。おまけにいまの時代、いろんなチャートがあって"ヒットチャートとはなんなんだ?"とも思うんですけど、自分たちは当時のヒットチャートにもいまのヒットチャートにも達してないなという部分がすごくあって。だからミュージシャンとして直球の"ヒットチャートをねらえ!"という気持ちを込めた曲なんですよね。でも趣味で音楽を聴いている人にも届けるために広い意味の歌詞にして、Cメロで最も言いたいことを言おうと。

-"お医者さんもサラリーマンさんも/君のために汗を流して/それを"愛"と言うのなら/その人生は美しい"というラインですね。

竹内:その"サラリーマンさん"は結構僕のこだわりで。みんな"お医者さん"とは言うけれど"サラリーマンさん"とは言わないじゃないですか。でもどんなお仕事でも大事なお仕事で、サラリーマンの方々も大事な家族を支えているお父さんが多いと思うんです。だから絶対に"さん"をつけたかったんですよね。"ヒットチャート"という言葉に置き換えたけど、いろんな職種の方に戦いはあると思うので、そういうところが伝わったらなと。

斉藤:"みんなの心のヒットチャートに入り込みましょう"という意味だね。

竹内:自分の人生観を歌った曲になりました。30年生きてきて、どんどん状況が変化してきて。自分が思ってた30代とは全然違うけれど、いまやってる音楽が一番好きだし楽しいので、そういう気持ちも込めました。